概要・あらすじ
野球が大好きな小学生・富良野匠は、帰宅中に見かける模型店に飾られていたガンダムのプラモデル、通称「ガンプラ」の美しさに心を奪われていた。しかし、店内で居合わせたガンプラ好きの同級生である伊矢見シローから逆恨みされ、彼の企みによって翌日の放課後に8体のガンプラを30分で作り上げる「ガンプラ組み立て勝負」に挑むことを要求されてしまう。
プラモデルに関してはまったく素人の匠だったが、その勝負中に天性ともいえる才能を発揮し、時間内に魂のこもった見事なガンプラを組み上げることに成功する。この過程でガンプラ作りの楽しさにすっかり魅了された匠は、ここからガンプラ作りの頂点である「ガンプラ甲子園」を目指すことを決意するのだった。
登場人物・キャラクター
富良野 匠 (ふらの たくみ)
小学5年生の男の子で、父親である富良野司の勧めで野球をはじめた野球少年。「めざせ甲子園」の掛け声で自分を鼓舞する溌剌とした性格だが、野球のプレイそのものはかなり下手。作ったことはないがプラモデルも大好きで、同級生の伊矢見シローの企みで半ば強引に挑まれた「ガンプラ組み立て勝負」がきっかけとなってガンプラの楽しさにすっかり魅了され、それ以降は野球を止めてプラモ道へと足を踏み入れることになる。 プラモデル作りに関しては人一倍の勘と観察眼、そして記憶力を発揮し、「ガンプラ組み立て勝負」の際には、はじめてのプラモデル作りにも関わらず、いつも見ていたショーケースに置かれたディスプレイモデルの記憶のみを頼りに、説明書を読まずに同じものを組み上げてしまったほど。 また、富良野匠が作り上げた作品には人の心を動かす力があり、完成品を手に取った人物はその背景にある物語のビジョンが鮮やかに脳内に浮かび上がり、人目もはばからず感涙を流し、感情の赴くままに絶叫してしまう。その能力を評した友人の黒田耕作は、匠のことを「モデラーのニュータイプ」であると語った。
鞍馬 徹 (くらま とおる)
関西ではトップクラスの実力を誇る少年モデラー。富良野匠と同じ小学校に転校してきた5年生だが、風貌や言動はやや大人びており、身長も高め。プラモデル製作においてはそのモデルの設定を活かした繊細な改造を得意としており、小学生のレベルを超越した卓越した技術を誇る。そのためかなりの自信家だが、他人の実力は素直に認められるいさぎのいい面も持ち合わせている。 また、他人とつるむのを苦手とする一匹狼的な性格で、関西の一流モデラーが集う「関西トップモデラーズ」や、匠たちが創部した「ガンプラクラブ」からの誘いに関してはいずれも断っていた。
藤崎 優香 (ふじさき ゆうか)
富良野匠と同じ小学校に通う小学5年生の美少女。尊敬する8歳年上の兄の影響でガンプラ作りをしていた時期があったが、その兄がアメリカに留学してしまったため、寂しさからガンプラ作りを止めてしまった。それでもガンプラへの想いを消し去ることはできず、「元気堂」にディスプレイされたガンプラを見ていた姿が匠の目に留まり、「ガンプラ同好会」へと誘われる。 同好会の設立を校長が認めなかった時は、交渉のために真っ先に校長室へと向かっていたほど意志の強い行動派。また、かなり気が強い性格で、自身にセクハラした人物に対しては、「金タ○をにぎりつぶす」などの物騒な発言をしたこともある。鞍馬徹のことを少し気になる異性として意識している。
黒田 耕作 (くろだ こうさく)
富良野匠と同じ小学校に通う体格のよい小学5年生の男子。無愛想なうえに少々乱暴な性格だがプラモデル好きで、製作技術にも優れている。「プラモの天才」がいるという噂を校内で聞きつけ、匠が調子に乗っていると誤解。文句を言うために匠の前に姿を現した。当初は伊矢見シローにそそのかされていたこともあり、匠のことを性根の悪い人間だと思っていたが、匠の作成したプラモデルを見てその考えを一変。 匠のプラモデルを愛する気持ちに心を動かされ、以後は同じガンプラを愛する親友同士となる。
富良野 司 (ふらの つかさ)
漫画家の男性で、富良野匠の父親。「あばしり幽平」というペンネームで「あばれ甲子園」という匠をモデルにした主人公の野球漫画を連載している。匠にとっては厳しくも優しい父親で、ガンプラ作りのよき師匠となる。若い頃に絵を描きながら日本全国を放浪していた時期があり、その時に赤井康晴と出会い、共にガンプラコンテストに出場する。 その時は「蜃気楼」とだけ名乗っており、コンテストでの優勝後に康晴の前から忽然と姿を消した。のちに「元気堂」の店主となった康晴と17年ぶりに再会を果たす。
赤井 康晴 (あかい やすはる)
模型ショップ「元気堂」の店主をしている中年男性。毎日熱心にショーウインドウを覗いていた富良野匠を店内に招き入れ、匠がプラモ道を歩むきっかけを作った。素人の匠に親切にプラモデル作りの基礎を教えてくれる優しい性格。TVアニメ『機動戦士ガンダム』の登場人物である「シャア=アズナブル」に心酔しており、彼の専用機であるガンプラが大好き。 ガンプラコンテストなどのイベントの際は、シャアのコスプレをして参加していた。富良野司とは大学生の頃に出会っている。
浪速 恭一 (なにわ きょういち)
関西の一流モデラーが集う「関西トップモデラーズ」のNo.1モデラーで、中学生の男子。月刊ガンプラキングが主催する第10回「ガンプラコンテスト」の優勝者であり、鞍馬徹が己の目標にするほどの実力者。ガンプラにかける情熱と愛情はすさまじく、彼が作り上げた作品は、多くの人々に強烈なイメージと感動を与える。
伏見 二十郎 (ふしみ にじゅうろう)
関西の一流モデラーが集う「関西トップモデラーズ」のNo.2。自他共に認める卓越した技術の持ち主で、作成した作品には鬼気迫る迫力がある。反面、ガンプラに対する愛情が薄い面があり、コンテストで敗退した時には自身の作品を地面に叩きつけて破壊していた。浪速恭一を強烈にライバル視している。
ハセ
富良野匠と同じ小学校に通う小学5年生の男子で匠の友人。匠の野球仲間でもあったが、プラモ作りを始めた匠の影響を受け、のちに同じ趣味を持つようになった。大人しい性格で、クラスメイトの藤崎優香に密かに想いを寄せている。
長谷川指導員 (はせがわしどういん)
時折ガンプラのコンテストの審査員を務める、メガネをかけたバンダイホビー部の社員。「ガンプラを愛して20年」を自称しており、ガンプラに対する造詣は深い。富良野匠の作品に触れるたびに、毎回メガネが破壊されるほど感動している。
赤井 洋子 (あかい ようこ)
赤井康晴の妹。康晴からはTVアニメ『機動戦士ガンダム』の登場人物である「アルテイシア」の名で呼ばれ、時々兄に代わって店番をしている。富良野司とは小学生の頃に出会っており、彼の絵の上手さに感嘆していた。ガンプラのコンテストではしばしばコスプレをしており、「アルテイシア」の格好をしている。
伊矢見 シロー (いやみ しろー)
小学5年生の男の子で、富良野司のクラスメイト。プラモデル好きの少年だが、嫌味かつ傲慢な性格で、自分が作ったガンプラを店に飾ることを赤井康晴に断られ、それを見た匠たちを逆恨み。匠に恥をかかせようと策を弄し、「ガンプラ組み立て勝負」を挑んでいた。実家はかなり裕福で、運転手つきの自家用車で模型店に乗り付けていたほど。
伊矢見 テツヤ (いやみ てつや)
伊矢見シローの弟。「ガンプラ組み立て勝負」の際にシローに呼ばれ、自分のためのプラモデルを富良野匠に作らせていた。最初は兄と同様、匠に対してかなり嫌味な態度をとっていたが根は純粋な性格で、彼の作品に感動してからは「タクミ兄ちゃん」と言って慕い続ける。