SFXを利用した変装術や道具を用いて事件を解決
永瀬公平は傑出した技術力を持つ特殊メイクアップアーティスト。麻生芸能事務所の社長である麻生志保から依頼を受け、相棒の神無月慎吾と共に臨時スタッフとして働いている。公平が請け負う仕事は、芸能界における裏方の仕事や芸能人の安全の確保をすることで、自らや当事者にリアルなメイクを施して変装させたり、見えない箇所に武器を仕込んだりなど、持ち前の技術を生かしてさまざまな活躍を見せる。また、自分の作品を貶めようとする者や、SFXを悪用しようとするアーティストを敵視するなど、公平のSFXに対するこだわりは非常に強い。
恩師との出会いと挫折を経て成長する永瀬公平
ハリウッド映画にあこがれていた永瀬公平は、単身アメリカに渡り、巡り合ったR・Bに師事することで特殊メイクの腕を上げていく。そんな中、公平はR・Bの不在時にテレビゲーム制作会社の依頼を受け、一つのプロモーション映像を作り上げる。しかしその動画は、内容の一部を改ざんされて政府の軍事プロパガンダに利用され、その影響から公平の親友であるダニーが軍に志願し、戦死してしまう。これを知った公平は深い自責の念に苛まれ、自暴自棄になって自らの右手を傷つけた挙句、逃げるように日本へ帰国する。現在も、このトラウマを完全に払拭できずにいるが、SFXへの愛情とR・Bへの思慕の念は健在で、自らの実力を磨くための研鑽を怠らず、その技術を正しいことに使うべく見識を深めるように心がけている。
「業魔のギンベラ」を持つ男
永瀬公平は、さまざまな依頼を受ける中で、自分以上の精密さを誇るメイクアップアーティストの存在を知る。その人物は、のちに島倉紋音の父親を陥れ、財閥令嬢・小早川かすみの当主継承式を妨害する手伝いをするなど、会得した技術を悪用したうえ、姿を見せないまま公平に対して挑発とも取れる行動を繰り返す。さらに、公平が使用する「神のギンベラ」と同じ形状の「業魔のギンベラ」を使用することから、かつて神のギンベラの持ち主であったR・Bともなんらかのかかわりがあることが示唆されている。業魔のギンベラの持ち主との深い因縁を感じた公平は、R・Bの手がかりを求めて参加した「日本メイクアップアーティストコンテスト」で、お互いの信念を賭けて特殊メイク技術を競うことになる。
登場人物・キャラクター
永瀬 公平 (ながせ こうへい)
スタジオ「ギミック」を営んでいる青年。天才的な腕前を誇るメイクアーティストで、「SFXの神様」と呼ばれるアーティストが使用していた小道具「神のギンベラ」を使い、優れた造形メイクや道具を即座に作り上げる。また特殊な視覚効果を施し、通常ではあり得ない出血や肉体の変化を演出するほか、誰にも見破ることができないほどの変装や古傷を隠すことも可能で、この技術を用いて悪人を欺いたこともある。ふだんの生活態度はだらしなく、技術の実験と称してイタズラするなど、子供らしい一面を持つ。しかし、一度作業に入ると寝食を忘れて没頭するため、神無月慎吾からは「仕事をしているという意識すらなく、心底惚れ込んだSFXをひたすらに楽しんでいる」と評されている。自ら作り上げた作品に対する思い入れが非常に強く、自信作の撮影用ロボット「宇宙怪獣エイリ案太郎」を悪用された際は、犯人に激しい怒りを覚える。
神無月 慎吾 (かんなづき しんご)
永瀬公平の仕事仲間でスタントマンの青年。映画やドラマに出演しているが仕事柄、表立った活躍はできていないため、いつか主役となった作品を母親に見せてあげたいと思っている。腕力や身体能力に優れており、4階の窓から外壁をつたって降りることもでき、公平からも「超一流のスタントマン」と評されている。生真面目な性格の苦労人で、公平のSFX技術を生かしたイタズラに毎回手を焼いている。一方で、公平のメイク技術と仕事にかける熱意を評価しており、ビジネスパートナーとして信頼している。公平にメイクを施してもらい、身代わりやおとり役を引き受けることもある。
クレジット
- 原作