概要・あらすじ
腕の良いフリーの鍵屋、紀伊甚六、通称「ロック」。ある日彼のもとに奇妙な依頼が舞い込む。それは、ゲームやアニメでよく見る宝箱のようなものを開けてほしいというものだった。依頼人はフードを被(かぶ)った爺さんと少女の二人組だった。とりあえず、その宝箱を調べてみたロックは、それがトラップだらけであることを見抜く。しかも、依頼人によると、開けるのに失敗すると二度と開かなくなるらしい。鍵師としての血が騒いだロックは、慎重に情報を収集し、集めた情報を脳内で再現する。そして正解の場所を割り出すことに成功した。しかし、閂(かんぬき)がはずれる音がした瞬間、ロックの背筋に悪寒が走る。なにかすごく嫌な感じがしたのだ。そのことを伝えると、爺さんがフードを外して笑顔を見せた。彼によると、この宝箱は最後は魔法でなければ開かないのだという。「魔法」という言葉に怪訝(けげん)な顔をするロックに、爺さんは自己紹介を始めた。爺さんの名はディノ=ロンバルド。異世界の盗賊ギルド・メルディアの魔術顧問だという。連れの少女は、狐耳のアイラだった。ロンバルドによれば、鍵開けの腕が立つ者をスカウトしにきたのだという。というのも、つい先日、腕の良い鍵師が亡くなってしまい、盗賊ギルドが存続の危機にあるからだった。その鍵師は、以前日本でスカウトしたゲン=ミナヅキ(水無月源)という名の稀代の鍵師であった。それを聞いたロックは驚いた。水無月源はロックの師匠であり、養護施設育ちのロックの後見人になってくれた人なのだ。恩人である師匠が骨を埋めた異世界に興味を抱いたロックは、ロンバルドたちと一緒に異世界に行くことを決意する。こうして日本の腕利き鍵師は、異世界の「鍵開け」に挑むことになったのだ。
登場人物・キャラクター
紀伊 甚六 (きい じんろく)
店を持たないフリーの鍵屋の男性。27歳の養護施設育ちで、後見人となった鍵師の水無月源に、鍵屋の仕事を徹底的に仕込まれる。そのおかげで、高度な知識と巧みなテクニックを持つ鍵師として名を馳せている。ある日、異世界の盗賊ギルド、メルディアの魔術顧問ディノ=ロンバルドにスカウトされ、異世界で鍵開けの仕事をすることになる。異世界で亡くなった師匠の水無月源の最後の弟子、狐耳の美少女アイラを弟子にとる。通称はロック。
ディノ=ロンバルド
異世界の盗賊ギルド、メルディアの魔術顧問の男性。白髪、白ひげの老人。稀代の鍵師・ゲン=ミナヅキが亡くなってしまったため、新たな鍵師をスカウトするため、日本にやってくる。宝箱を開けるテストに合格した紀伊甚六をスカウトし、異世界に連れていく。
アイラ
狐耳の美少女。稀代の鍵師、ゲン=ミナヅキに師事していた。鍵開けの仕事に純粋な情熱を持ち、たゆまぬ努力を続けている。最初は紀伊甚六(ロック)に対抗心を燃やしていたが、ロックの技術に惚(ほ)れて弟子入りする。
水無月 源 (みなづき げん)
紀伊甚六(ロック)の師匠の中年男性。額に大きな傷を持つ。養護施設育ちのロックの後見人となり、鍵開けの技術を徹底的に叩(たた)き込む。開けることができない鍵はないと言われるほどの凄腕(すごうで)。7年ほど前、異世界の盗賊ギルドのディノ=ロンバルドにスカウトされ、異世界で鍵師として活躍。しかし、最近病気で亡くなってしまう。
クレジット
- 原作
-
黒六
- キャラクター原案
-
如月 瑞
書誌情報
異世界でも鍵屋さん 7巻 宝島社〈このマンガがすごい! comics〉
第3巻
(2022-06-24発行、 978-4299030375)
第4巻
(2023-01-14発行、 978-4299038449)
第5巻
(2023-07-14発行、 978-4299045058)
第6巻
(2024-01-31発行、 978-4299051226)
第7巻
(2024-07-19発行、 978-4299057082)