クダンノゴトシ

クダンノゴトシ

テレビドラマ化もされた『三億円事件奇譚 モンタージュ』完結から約半年後にスタートした渡辺潤の連載作品。城栄大学の旅行サークルに所属する七人が、卒業旅行の帰り道に車で人面牛「件(くだん)」を轢き殺してしまったことをきっかけに、件による死の予言に翻弄される姿を描いたサスペンスホラー。講談社「ヤングマガジン」2015年37・38合併号から2017年8号まで連載。

正式名称
クダンノゴトシ
ふりがな
くだんのごとし
作者
ジャンル
ホラー
 
サスペンス
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社) / ヤンマガKC(講談社)
関連商品
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「件(くだん)」による死の予言

辻元光たち旅行サークルのメンバーは、卒業旅行の帰り道に山道に迷い込み、人面牛「件」と接触事故を起こす。件は「雨…ガ降ル…ソシ…テ…オ前…ラ…ハ……」と不気味な言葉を発し、七人を恐怖に陥れる。そして、恐怖のあまり件を叩き殺してしまった彼らは、死の予言を受け取ることになる。件はそれぞれに7日後の死を告げ、予言成就を前にした死を断固として受け入れない。たとえば、飛び降り自殺を図ったとしても軽い打撲で済み、心臓を刺されてもわずかな痛みしか感じない。予言が成就するまでは不死身の肉体を持つようになった登場人物たちのさまざまな行動が、本作の展開を一層スリリングにしている。

残された五人の運命

件の予言通り、白石辰巳と馬場あゆみが命を落とす。三人目の死を告げる際、件は死の順番の意図と、予言を回避するためのヒントを残す。死の順番は、本来卒業旅行の帰路に起こるはずだった事故で死亡する順番であり、予言を回避する方法として「この中にいる呪われた一人を探し出して止めろ」と告げる。このヒントをもとに、光たちはそれぞれの方法で呪われた一人を推理し、死の連鎖を食い止めようと奮闘する。死の期限がせまる中、残された五人は自分が何をすべきかを考え、実行に移していく。

光の消失と世界の滅亡

民俗学者の橘秀美による調査が進む中、「辻元光」は現代に存在しない人物だという、衝撃の事実が判明する。光に関する記録は、明治32年(1899年)の長崎や昭和5年(1930年)の香川に残されているものの、実家とされていた場所は神社であり、城栄大学には在籍記録もなく、卒業旅行の帰り道に起こった事故についても記録は残されていなかった。そんな中、光はついに影すらも消えてしまうが、その経緯により、サークルメンバーで敬虔なキリスト教信者である河合舞からは、神として崇められるようになっていく。存在しない人間として生きる覚悟を決めた光だったが、やがて彼の目の前に牛頭人身の人物が現れ、世界の滅亡を告げる。

登場人物・キャラクター

辻元 光 (つじもと ひかる)

城栄大学に通う4年生の男子で、桜井千鶴の恋人。年齢は22歳。旅行サークルに所属しており、サークルメンバーの中で唯一就職が決まっていない。卒業旅行の帰り道、人面牛「件(くだん)」を轢いてしまい、その異様な姿に恐怖を感じ、仲間たちと共に思わず叩き殺してしまう。翌日、件から「7日後に死ぬ」と予言を受け、千鶴に電話で一方的に別れを告げたあと、自殺しようとする。しかし、部屋に血まみれの件が現れ、「自らの死は認めない」と自殺を阻まれてしまう。小学生の頃に行った度胸試しが原因で、千鶴の父親を自殺に追い込んでいる。また、千鶴の父親が残した手帳には、戦争に出征する際の軍服姿をした辻元光の写真が挟まれていた。

桜井 千鶴 (さくらい ちづる)

城栄大学に通う4年生の女子で、辻元光の恋人。年齢は22歳。旅行サークルに所属している。母子家庭で育ち、大学の学費をほとんどアルバイトで賄いながら、優秀な成績を収めてきた努力家。大手企業からの内定もいくつか得ていたが、就職浪人が確実視されている光との時間を大切にするため、小さな会社への就職を選んだ。卒業旅行の帰り道、人面牛「件(くだん)」を轢いてしまい、その異様な姿に恐怖を感じ、叩き殺そうとする男性たちを止めることができなかった。彼らが殺害した件の顔が、かつて自殺した千鶴の父親の顔であることに気づいていた。

書誌情報

クダンノゴトシ 全6巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉

第1巻

(2015-12-04発行、978-4063827170)

第6巻

(2017-03-06発行、978-4063829310)

クダンノゴトシ 5巻 講談社〈ヤンマガKC〉

第2巻

(2016-03-01発行、978-4063827484)

第3巻

(2016-06-01発行、978-4063828023)

第4巻

(2016-09-01発行、978-4063828436)

第5巻

(2016-12-01発行、978-4063828894)

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