概要・あらすじ
私立ひだまり動物園に新人飼育員として就職した宮本晴子は、「匂いで動物の感情が読める」という特殊な能力を持っていた。動物好きな晴子はやる気満々で仕事に挑むが、初日から失敗を繰り返してしまう。そんな中、晴子はライオンの獣舎に鍵をかけ忘れ、ライオンを脱走させてしまうのだった。
登場人物・キャラクター
宮本 晴子 (みやもと はるこ)
ひだまり動物園に就職した新人飼育員の女性。究極の匂いフェチで、匂いで人や動物の感情が読めるという特殊能力の持ち主。思いたったことをすぐ行動に移してしまう衝動的なタイプで、入園初日からさまざまな問題を引き起こしたトラブルメーカー。動物が大好きで、動物と対等な信頼関係を築けると信じている。
藤本 洋介 (ふじもと ようすけ)
ひだまり動物園の園長を務めている男性。前園長である藤本正雄の息子で、正雄の後を継いで園長になった。動物嫌いで、動物園の運営は単なる会社経営にすぎないという信念の持ち主。言動や態度が冷めているため、職員たちからは敬遠されている。
吉野 友紀 (よしの ともき)
ひだまり動物園で飼育員を務めている男性。明るく気さくな性格をしており、入園したばかりの宮本晴子ともすぐに打ち解け、なにかとトラブルを起こす晴子をフォローしていた。藤本洋介の動物園の経営方針には疑問を抱いている。
大橋 由香 (おおはし ゆき)
ひだまり動物園で飼育員を務めている女性。とある事件がきっかけで人嫌いになってしまい、職員にも冷たい態度を取っている。新人の宮本晴子と組まされた時も、衝動的に行動する晴子を毛嫌いしていたが、ともに動物の面倒を見ているうちに徐々に打ち解けていく。
柳田 大次郎 (やなぎだ だいじろう)
ひだまり動物園に勤めるベテラン飼育員の中年男性。猛獣を担当しており、獣舎の管理などもしている。すぐに突っ走る宮本晴子を心配して、飼育員がどうあるべきかを教授していた。樺の木自然園の加藤彰子とは師弟関係にある。
藤本 正雄 (ふじもと まさお)
藤本洋介の父親で、ひだまり動物園の前園長を務めていた中年男性。十数年前に市立から私立経営になったひだまり動物園の園長に就任。経営は悪化の一途をたどり、自身も体調を崩してしまったため、洋介に経営を任せた。アフリカゾウのスミレを可愛がっていた。
藤本 葵 (ふじもと あおい)
藤本正雄の娘で、藤本洋介の妹。就職活動を間近に控えた女子大学生。明るく人懐こい性格をしており、正雄の入院する病院で出会った宮本晴子ともすぐに打ち解けた。ひだまり動物園には幼い頃から通っていたため、柳田大次郎らとも仲がいい。
小沼 克也 (こぬま かつや)
フリーライターをしている男性。黒縁の眼鏡をかけ、左頬にホクロがあり、細身の体形をしている。優しそうで人当たりのいい性格をしている。宮本晴子が起こしたライオン脱走事件に興味を持ち、ひだまり動物園を取材している。
松崎 綾音 (まつざき あやね)
ひだまり動物園で12年間飼育員を務めている女性。ふれあい広場を担当している。黒髪の短髪で鼻の周辺にそばかすがあり、気の強い性格をしている。裏表のない率直な物言いをするため、宮本晴子の衝動的な行動を「天然気取りの身勝手」と言い放っていた。子供にはとても優しい。
坂田 孝太郎 (さかた こうたろう)
ひだまり動物園で6年間飼育員を務めている男性。ふれあい広場を担当している。松崎綾音の後輩で、彼女のことを姐さんと呼んでいた。動物愛が強く、宮本晴子の身勝手な振る舞いを嫌っている。また、藤本洋介の経営方針、さらに洋介本人に対しても強い不信感を抱いている。
泰造 (たいぞう)
星が丘動物園で飼育員を務めている男性。チンパンジーの世話を担当している。ひだまり動物園からメスのチンパンジーを受け入れるための準備をしていたが、遅々として進まない受け渡しと、担当である宮本晴子の知識のなさに辟易している。
加藤 彰子 (かとう あきこ)
樺の木自然園で15年間飼育員を務めている女性。猛獣課のトラの世話を担当している。ヘアスタイルやマニキュアなど身だしなみにも気を使い、バリバリ仕事ができるため、樺の木自然園の名物飼育員と言われている。トラの受け入れ先であるひだまり動物園にいた、宮本晴子の振る舞いにいら立ちを感じている。
源造 (げんぞう)
妻のミズエとともに、ひだまり動物園に長年通園している高齢の男性。認知症を患っているため記憶が混濁しており、妙な言動を繰り返してしまう。極力外出は控えているが、ひだまり動物園に来園した後はよく眠れている。
ミズエ
夫の源造とともに、ひだまり動物園に長年通園している高齢の女性。認知症を患っている夫の面倒を見続けている。ひだまり動物園を、かけがえのない思い出の地と認識しているが、昔と変わってしまった夫には落胆している。