世界観
本作『はたらく細胞』は人間の体を一つの世界と見立て、そこで働く細胞を擬人化した作品となっている。24時間365日休みなく働き続ける体と細胞の様子をコメディタッチで描きつつ、体の仕組みや細胞の役割を「お仕事」としてわかりやすく解説しているのが特徴。また細胞たちはそれぞれの役割をきちんと果たしつつ、体内できちんと生活している魅力的な存在として描かれている。作者の清水茜によれば、「自分の身体かもしれない」と読者に思ってもらえるように、体の持主である人間は登場させず、また年齢や性別を特定させる病気は扱わない方針を貫いている。
作品誕生のいきさつ
本作『はたらく細胞』は、作者の清水茜が日本マンガ塾在学中に、当時高校生だった妹からの「細胞について覚えたいので読み切り漫画を1本描いて欲しい」とのお願いをきっかけに誕生した。当時、卒業制作のテーマを探していた清水茜は、このテーマからアイディアを膨らませ、卒業制作である読み切り漫画『細胞の話』を制作。当初は連載や商業目的で作られた漫画ではなかったが、卒業制作の審査にあたった各出版社の編集者の目にも留まり、彼らに勧められて「少年シリウス新人賞」に応募した。その後、大賞を受賞して連載化に至ったことで本作は正式に誕生することとなった。なお、作者は医療関係の知識を持っていなかったため、連載化にあたっては医療監修者が付いている。
時代背景
本作『はたらく細胞』は2015年3月より連載が開始され、2018年7月にはTVアニメ化もされ人気を集めていたが、2019年、新型コロナウイルスの世界的な流行に伴って、改めて大きな注目を集めることとなった。体の仕組みを視覚的に学べることから、感染予防に効果があると世界各国で取り上げられ、各種教育機関でTVアニメ版が鑑賞されている。また講談社が厚生労働省の協力のもとに「新型コロナウイルス編」を制作した。この漫画は感染予防を目的に作られており、各国の言語に翻訳されて「YouTube」の「フル☆アニメTV」で期間限定で無料公開された。「新型コロナウイルス編」はコミックス最終巻となる第6巻に収録。
あらすじ
肺炎球菌
人間の体の中で24時間365日休みなく働き続ける細胞たち。そんな中、全身の細胞に栄養や酸素を届けるのを役割とする赤血球AE3803番はドジながらも、一生懸命働いていた。しかし赤血球AE3803番は突然、体の外から侵入を果たした肺炎球菌に襲われてしまう。赤血球AE3803番は辛うじて白血球U-1146番に助けられるも、肺炎球菌は姿を消し、白血球U-1146番たちはそのあとを追うこととなる。結局、肺炎球菌を見つけられず赤血球AE3803番は肺に戻り、白血球U-1146番と別れたが、そこで実は荷物に紛れ込んでいた肺炎球菌が姿を現し、赤血球AE3803番に再び襲い掛かる。しかし赤血球AE3803番と別れたあと、異変に気づいた白血球U-1146番が駆け付け、肺炎球菌をくしゃみで追い払うのだった。
がん細胞
白血球U-1146番はある日、奇妙な一般細胞を見つける。ウイルスに感染した細胞とも違い、異形の姿をした細胞は、所かまわず周囲の細胞を襲っていた。異形の細胞を打ち倒し、異変を察知したキラーT細胞やNK細胞と共に、白血球U-1146番は異変の中枢を探り始める。NK細胞は、たまたま近くにいた細胞に道案内を頼み、いっしょに行動を始めるが実はその細胞こそが黒幕のがん細胞で、いち早くその正体を見抜いたNK細胞はがん細胞に襲い掛かる。しかし、成長していたがん細胞は予想以上に凶悪な存在となっており、NK細胞たちは苦戦を強いられることとなる。窮地に陥るNK細胞たちだったが、応援に駆け付けた大量の免疫細胞たちに勇気づけられ、NK細胞は活性化してがん細胞に致命傷を与える。そしてがん細胞は生まれの不幸を嘆きつつも、最後の最後で白血球U-1146番と心を通わせ、彼の手によってトドメを刺されるのだった。
獲得免疫
抗原情報の記録と管理をする記憶細胞は、ある日、不思議な夢を見る。見たこともないウイルスとの戦いを夢で見た記憶細胞は、程なくして、そのウイルスが体内に現れたことを知る。自分に未来予知能力が身についたかと戸惑い、混乱する記憶細胞だったが、B細胞が落ち着かせるため頭を叩いたことで、実はそのウイルスを過去に見ていた記憶を思い出す。実は記憶細胞は予防接種で投入された弱毒化されたムンプスウイルスを記録していたが、あまりに弱いウイルスだったため、その出来事を忘れていたのだ。記憶細胞は抗原の情報をもとに抗体を作り出し、B細胞がその抗体を使うことで、体内からムンプスウイルスを無事に駆除する。そして記憶細胞は未来予知のことを誤魔化そうとするも、B細胞に暴露されて恥ずかしがりながら去っていくのだった。
出血性ショック
いつも一生懸命に働きつつも、いまだにドジな赤血球AE3803番だったが、ある日、後輩の赤血球NT4201番の教育を任されることとなる。先輩としてなんとか後輩を教え導こうとする赤血球AE3803番だったが、赤血球NT4201番は予想以上に優秀で、赤血球AE3803番は後輩に何一ついいところを見せられなかった。そしてちょっとしたトラブルに見舞われつつも、いつもどおり日常が巡っていくと思われたが、その瞬間、体に大きな異変が起きる。頭部で大きな損傷が起き、体中の細胞が危機に反応して動き出す。そして細胞たちが目にしたのは、多くの血球が姿を消した姿だった。赤血球たちが減り、苦しみ出す一般細胞たち。無事だった赤血球AE3803番は赤血球NT4201番と共に、己の職務を果たそうと酸素運搬に駆けずり回るが、状況は徐々に悪化していき、体は出血性ショック死間近となってしまう。体温が低下していくにつれ、赤血球の活動も低下していき、ついに赤血球AE3803番も力尽きようとしたが、そこに輸血によって新たな赤血球たちが補充される。彼らの活躍によって出血性ショック死は回避され、赤血球AE3803番たちも無事に帰還するのだった。そして赤血球AE3803番は赤血球NT4201番にガッツのある姿を見せたことで、仕事に何が大切かを教えることに成功し、教育を無事に終わらせる。
がん細胞Ⅱ
退屈な日常に飽き飽きしていた一般細胞の細胞くんは、ある日、危機に陥っている菌を見つける。本来ならば免疫細胞に通報しなければいけないが、誰かを助けたいとひそかに思っていた細胞くんは、つい菌を助けて匿(かくま)ってしまう。結局、菌は白血球U-1146番に見つかり、彼の手によって処分されそうになるも、そこにピロリ菌が襲来。ピロリ菌が暴れ回ることで細胞くんたちは危機に陥るも、実は乳酸菌だった菌の助けもあり、一行はピロリ菌を打ち倒すことに成功する。そして細胞くんは乳酸菌を仲間のもとに返すべく、白血球U-1146番の助けを借りて、大腸にまで赴くことを決める。白血球U-1146番の案内もあり、旅は順調に思われたが、NK細胞やキラーT細胞改め「メモリーT細胞」が現れ、状況は徐々に物々しい雰囲気となる。実はがん細胞が復活した知らせが届き、免疫細胞に招集が掛かったのだ。白血球U-1146番も彼らに合流し、細胞くんは一人で乳酸菌のもとに向かうも、その道中で悪玉菌の群れに襲われ、細胞くんは絶体絶命の危機に陥る。しかしそこに乳酸菌をはじめとする善玉菌が駆け付け、細胞くんを救うのだった。一方、白血球U-1146番はがん細胞と対峙する。がん細胞は以前倒したものと同じ個体で、抗原情報をもとに復元したのだ。がん細胞は制御性T細胞を支配下に置くことで免疫細胞の大半の力を封じ、さらに悪玉菌の力を取り込んで強大な存在へと変貌する。しかし細胞くんの活躍によって腸内バランスが戻ったことで弱体化。メモリーT細胞の必殺技を食らったことで制御性T細胞の支配も解けてしまう。そして力を失ったがん細胞は、再び白血球U-1146番の手に掛かって敗北するのだった。
新型コロナウイルス
ある日、いつもどおりお仕事をしていたところ、赤血球AE3803番は奇妙なウイルスの噂を聞く。未知のウイルスであるため抗体も存在せず、キラーT細胞や白血球U-1146番たち免疫細胞がウイルスに対抗していた。「新型コロナウイルス」は未知の存在ながら、ウイルスとしては弱く、次々と免疫細胞に打ち取られていく。しかし新型コロナウイルスは倒しても倒しても一般細胞たちに感染していき、戦いは一向に収まることはなかった。長期化していく戦いに体内環境は荒れ、サイトカインが引き起こされたことで免疫細胞たちは活性化する。だが長い戦いで疲弊したキラーT細胞たちは、サイトカインによって見境なく暴れ回るようになり、正常な細胞にまで攻撃を始めてしまう。免疫反応が過剰に引き起こされる「サイトカインストーム」によって、体中の免疫細胞が暴れ回り、体内環境は危険域にまで陥るが、赤血球NT4201番はそんな状況の中でもひたむきに働き続けることを宣言。その言葉によって細胞たちは勇気づけられ、少しずつ事態は改善していく。そしてその輪が広がっていくことで「抑制性サイトカイン」が起き、ウイルスで荒れ果てた体は少しずつ沈静化していくのだった。
表現上の特徴
本作『はたらく細胞』は、細胞の擬人化漫画であるため、基本的に細胞の種類がそのまま呼び名となっている。ただし、同じ種類の細胞同士であれば赤血球AE3803番や白血球U-1146番のように、個体の識別番号で区別する場合がある。またキラーT細胞の「班長」や、血小板の「リーダーちゃん」のように役職で呼ぶ場合もある。細胞の種類によっては、成長や環境、役割の変化によって名前が変わる場合もあるが、その場合もその種類が呼び名となる。外敵と戦うキラーT細胞の場合、同じ外敵と戦う場合は「メモリーT細胞」となり、周囲もそう呼ぶが、戦い終わったらキラーT細胞へと戻っている。
スピンオフ
はたらく細胞BLACK
『はたらく細胞BLACK』は本作『はたらく細胞』のスピンオフ作品で、原作は原田重光、作画は初嘉屋一生が担当している。コミカルで楽しく見ることをコンセプトとしている本作に対し、不摂生で不健康な生活をしている人の体をシリアスかつ殺伐とした雰囲気で描いているのが特徴。題名に「BLACK」とあるように、不健全な体を劣悪な労働環境「ブラック企業」に喩(たと)えており、そこで働く細胞たちが不調に陥ることで体にさまざまな悪影響が及ぼす様子が描かれている。2021年1月から3月までTVアニメ化され、TV放送では本作のTVアニメ版第2期『はたらく細胞!!』と連続放送された。
はたらく細菌
『はたらく細菌』は本作『はたらく細胞』のスピンオフ作品で、漫画は吉田はるゆきが担当している。体内で働く細胞を主役に扱っている本作に対し、細菌の擬人化をメインに扱っているのが特徴。「なかよし」で連載されていたため、主に女性読者をメインターゲットに据えており、体の持ち主は女子高生で美容に関する話題も扱っている。続編に『はたらく細菌Neo』がある。
はたらかない細胞
『はたらかない細胞』は本作『はたらく細胞』のスピンオフ作品で、漫画は杉本萌が担当している。赤血球になる前の「赤芽球」をメインに取り扱った作品で、成長しきっているにもかかわらず、いつまで経っても赤血球になろうとしない問題児たちの姿を描いている。
はたらく細胞フレンド
『はたらく細胞フレンド』は本作『はたらく細胞』のスピンオフ作品で、原作は黒野カンナ、作画は和泉みおが担当している。「体内の殺し屋」ともいわれるキラーT細胞をメインに扱っている作品で、強面(こわもて)で体育会系の性格をしながらも、内心は意外とナイーブで友達を欲しがっているキラーT細胞の姿を描いている。
はたらく血小板ちゃん
『はたらく血小板ちゃん』は本作『はたらく細胞』のスピンオフ作品で、原作は柿原優子、作画はヤスが担当している。血小板たちが日常を過ごす姿を描く、ほのぼのとした日常4コマ漫画となっている。『はたらく細胞』のスピンオフは別人の体内であることが多いが、『はたらく血小板ちゃん』は同一の体内とされ、本作と同一のキャラクターたちが活躍している。また「リーダーちゃん」という呼び名やうしろまえちゃんなど、『はたらく血小板ちゃん』の一部設定が本作にも反映され、一部キャラクターがゲスト出演している。
はたらく細胞BABY
『はたらく細胞BABY』は本作『はたらく細胞』のスピンオフ作品で、漫画は福田泰宏が担当している。妊娠40週目の胎児の体の中で、細胞たちはどのように働き始めるのか、新人細胞たちによる奮闘記が描かれている。
はたらく細胞LADY
『はたらく細胞LADY』は本作『はたらく細胞』のスピンオフ作品で、原作は原田重光、作画は乙川灯が担当している。女性向けに特化したスピンオフ作品で、生理、妊娠、出産など女性特有の体の仕組みを取り扱っているのが特徴。主人公は男性の姿となったマクロファージで、彼の視点で女性の体内の仕組みが描かれている。
はたらく細胞WHITE
『はたらく細胞WHITE』は本作『はたらく細胞』のスピンオフ作品で、漫画は蟹江鉄史が担当している。白血球を主役としたスピンオフ作品で、本編と同じ人の体内という設定で、白血球U-1146番も登場する。
関連商品
公式ガイド
本作『はたらく細胞』の公式ガイドブック『はたらく細胞 公式コミックガイド』が講談社より2018年7月に刊行されている。『はたらく細胞』に登場するキャラクターのガイドや名シーンが収録されている。『はたらく細胞 公式コミックガイド』には本作『はたらく細胞』のもととなった読み切り作品『細胞の話』も収録されている。またアニメの公式ガイドブック『はたらく細胞 公式アニメ完全ガイド』も講談社より2021年3月に刊行されている。こちらはアニメ1期『はたらく細胞』、2期『はたらく細胞!!』、両方の内容を完全に網羅し、ストーリーとキャラクターの詳細な解説が掲載されている。
バイリンガル版
本作『はたらく細胞』は吹き出しの内容が英語になり、同時に日本語訳も掲載された「バイリンガル版」が講談社より刊行されている。バイリンガル版には「Cells at Work!」と副題が付いているが、この副題は『はたらく細胞』の英語版のタイトルとなっている。内容は本作の通常版と同じで、英語と日本語がいっしょに併記されているため、辞書いらずで英語の文章を読むことができ、英語と同時に体の仕組みを学べる一冊となっている。
小説
本作『はたらく細胞』は時海結以によってノベライズ化もされ、『小説 はたらく細胞』の題名で講談社KK文庫および講談社青い鳥文庫から刊行されている。小説版のイラストは本作と同じく清水茜が担当している。基本的に漫画版をそのまま小説にした内容だが、小中学生を対象としており、文章による状況説明が丁寧でわかりやすくなっているのが特徴となっている。
イラスト集
2021年4月には、本作『はたらく細胞』のイラストを集めた『はたらく細胞 ILLUSTRATIONS』が講談社より刊行されている。画集には「月刊シリウス」連載時の表紙イラストや、各キャラクターの初期設定画、特典イラストなどコミックス未収録のイラストが多数収録されている。
教科書
本作『はたらく細胞』は人体の仕組みやウイルスをわかりやすく解説していることから教育関係者からも好評で、教材として取り上げられるほか、本作の内容を盛り込んだ教科書も刊行されている。講談社より刊行されている『よくわかる! 「はたらく細胞」 細胞の教科書』は小中学生向けの理系の教科書で、体の仕組みや細菌・ウイルスを楽しく学べる内容となっている。またこのほか、本作の内容を盛り込んだ図鑑『からだのしくみを学べる! はたらく細胞 人体のふしぎ図鑑』『感染症を正しく学べる! はたらく細胞 ウイルス&細菌図鑑』も、それぞれも講談社より刊行されている。低学年向きに絵本『絵本 はたらく細胞 ばいきんvs.白血球たちの大血戦!』と『めくって学べる! はたらく細胞 からだのしくみ』も講談社より刊行されている。
コラボレーション
ポカリスエット
2018年7月、熱中症による救急搬送者数が過去最多となったことを受け、編集部は熱中症対策の正しい知識を啓発するため本作『はたらく細胞』の第6話「熱中症」(https://twitter.com/hataraku_saibou/status/1021998482985574405)を無料公開している。またTVアニメの製作委員会もこの試みを快諾し、アニメ11話に当たる「熱中症」をアニプレックスの公式YouTubeチャンネル内に置いて期間限定で公開した。また2019年7月には、大塚製薬株式会社の健康飲料「ポカリスエット」とコラボを開始。熱中症対策のため、アニメ11話「熱中症」に特別なエピソードを追加したコラボアニメを制作し、インターネットの動画サイトで配信している。コラボアニメ『はたらく細胞』11.5話「熱中症~もしもポカリスエットがあったら~」では、なぜ熱中症対策に水だけでは駄目なのか、ポカリスエットが体内にどう働き掛けるのかをわかりやすく解説している。コラボアニメは大塚製薬の公式YouTubeチャンネルなどで、毎年夏場に取り上げられており、2021年には2020年の熱中症状況を解説する部分が新録されている。
ユーグレナ
2021年1月、株式会社ユーグレナと本作『はたらく細胞』がコラボをしている。株式会社ユーグレナは「ユーグレナ」という藻の一種の研究、開発、商品展開を行っており、栄養サプリとしてユーグレナを扱っている。このためコラボでは清水茜がユーグレナを新規キャラクターとしてデザインし、ユーグレナの働きを解説する漫画を描いている。この漫画は、アニメ声優たちによって朗読される形で動画にされ、『はたらく細胞 ユーグレナ編~ユーグレナで、免疫細胞がもっと強くはたらく!~』という題名でユーグレナの公式サイトおよび特設サイトで期間限定で公開された。声優はアニメ版と同じで、ユーグレナ役は釘宮理恵が演じている。
日本赤十字社
2018年6月30日から7月7日にかけて、日本赤十字社と本作『はたらく細胞』がコラボレーション企画を実施。コラボをしている献血ルームや移動採血バスで献血をすると、『はたらく細胞』のイラストが描かれたカードがもらえた。またカードにはQRコードとシリアルナンバーが記載され、QRコードをスマートフォンで読み取ってシリアルナンバーを入力すれば、アニメ『はたらく細胞』の第1話を先行視聴することができた。赤十字社とのコラボは2019年に第2弾も行われており、オリジナルカレンダーやクリアファイルがもらえるキャンペーンを実施している。
おくすり手帳
2018年1月、全国で薬局を展開する日本調剤株式会社と本作『はたらく細胞』がコラボレーション企画を実施。このコラボでは日本調剤株式会社が監修して、『はたらく細胞』のキャラクターがデザインされた「はたらく細胞オリジナルおくすり手帳」を作成。TVアニメ版『はたらく細胞』が放送開始されるのに伴って、「はたらく細胞オリジナルおくすり手帳」が抽選で当たるキャンペーンを開始した。またこのほかにも各薬局、ドラッグストア、医薬品メーカーなどで『はたらく細胞』とのコラボが行われている。
妖怪ウォッチ
2021年3月29日から4月12日にかけて、『妖怪ウォッチ』のスマートフォン向けゲーム『妖怪三国志 国盗りウォーズ』と本作『はたらく細胞』がコラボレーション企画を実施。コラボでは両作のキャラクターが共演するストーリーが展開されている。また『妖怪三国志 国盗りウォーズ』の漫画を描いている須藤ゆみこが、『はたらく細胞』のキャラクターが登場するコラボ用の漫画を公開している。
メディアミックス
TVアニメ
2018年7月から9月にかけて、本作『はたらく細胞』のTVアニメ版第1期『はたらく細胞』が、2021年1月から3月にかけてTVアニメ版第2期『はたらく細胞!!』が、それぞれTOKYO-MX、BS-11、AT-X、インターネット配信ほかで放送された。第2期は同時期にTVアニメ化された本作のスピンオフ作品『はたらく細胞BLACK』のTVアニメ版と連続放送という形が取られ、その放送枠は「はたらく細胞アワー」と称された。また第2期の一部エピソードは2020年9月に『「はたらく細胞!!」最強の敵、再び。体の中は“腸”大騒ぎ!』というタイトルで先行劇場上映されている。キャストは赤血球AE3803番を花澤香菜、白血球U-1146番を前野智昭が演じている。TVアニメは非常に丁寧な出来栄えで評価が高く、海外でも大きな反響を呼んでいる。また各教育機関で、漫画と併せて教材として使われることも多く、アニメの公式サイトには画像使用の際のレギュレーションが記載され、一部のものに限ってはレギュレーションを順守の上、無料で使用することができる。このほかアニメは2021年5月4日に放送された『林修の今でしょ!講座』でも、「現役東大生500人が選んだ「勉強になるアニメ」ランキング」で第1位に選ばれ、楽しく学べる教材アニメとして高い評価を受けている。
webラジオ
2021年1月から6月にかけて、webラジオ「一緒に「はたらく細胞」らじお」が音泉で隔週水曜日に配信された。TVアニメ第2期『はたらく細胞!!』と『はたらく細胞BLACK』の放送に合わせて配信されており、ラジオのパーソナリティも『はたらく細胞』からは白血球U-1146番の前野智昭が、『はたらく細胞BLACK』からは赤血球の榎木淳弥と、白血球の日笠陽子が担当している。
スマートフォン向けゲームアプリ
スマートフォン向けゲームアプリとして本作『はたらく細胞』をゲーム化した『いつでもはたらく細胞』が2019年3月23日から2020年1月31日まで配信されていた。内容は細胞たちを育ててウイルスや細菌から体を守るタワーディフェンス型のゲームで、本作でもお馴染みのキャラクターが活躍したり、漫画の内容を再現したストーリーが見られたりした。またゲームオリジナルのキャラクターやストーリーも展開していた。キャストはTVアニメ版と同じで、赤血球AE3803番を花澤香菜、白血球U-1146番を前野智昭が担当している。
舞台
2018年11月、本作『はたらく細胞』の舞台版『体内活劇「はたらく細胞」』がシアター1010で上演された。内容は原作エピソードの「肺炎球菌」「インフルエンザ」「擦り傷」「がん細胞 前編・後編」をもとに構成されたエピソードとなっている。また2019年9月27日から10月6日まで、第2弾となる『体内活劇「はたらく細胞Ⅱ」』も同じくシアター1010にて上演された。第2弾は一部キャストが第1弾から変更されている。キャストは、赤血球AE3803番は第1弾が七木奏音で、第2弾を川村海乃、白血球U-1146番は第1弾が和田雅成で、第2弾を北村諒が演じている。
社会に与えた影響
本作『はたらく細胞』はもともと作者の清水茜が妹の勉強のために作った漫画であるため、教育漫画としての側面が強い。このため漫画が刊行され話題となったあと、全国の教育機関から本作を教材として使いたいという声が殺到した。この声を受け公式には教育機関、医療施設向けに素材を提供し、一部素材に関してはレギュレーションを遵守することで無料で使用することができるようになった。また本作で取り扱われているがん細胞や細胞・ウイルスの働きは、専門家もうなるほど正確性が高い。このため学校の授業で本作のアニメ版を鑑賞するなど教材として使われたりすることもある。
海外からの反応
本作『はたらく細胞』は視覚的にわかりやすく細胞の働きや感染病を学べると、日本のみならず世界各国で評価されている。フランスでは『Les Brigades immunitaires』のタイトルで刊行されており、2017年にはフランスの新聞「ル・モンド」が紹介する「この夏推薦する図書リスト」の13作品の一つに選ばれた。また中国では『工作細胞』のタイトルでインターネットでアニメが配信されて以降、教育アニメとして一般層からも高い評価を得て、中国の国営放送である中国中央テレビでTVアニメ版が放送され、中国TVドラマ業界の権威である「白玉蘭賞」で最優秀アニメーション脚本賞を受賞するという快挙を果たしている。
評価・受賞歴
本作『はたらく細胞』のもととなった『細胞の話』が2014年に行われた第27回少年シリウス新人賞大賞を受賞し、連載が開始された。連載後も順調に注目を集め2016年には宝島社の「このマンガがすごい!」で7位にランクインしている。
登場人物・キャラクター
赤血球AE3803番 (せっけっきゅう)
一般細胞に栄養や酸素を届ける役割を担う細胞。赤髪のショートカットで、赤いジャケットを身にまとった女の子の姿をしている。個体識別名は「AE3803番」で、帽子に付けたバッジに識別番号が記されている。明るく実直な性格で、全身の細胞に酸素を届ける仕事であることから体中を走り回っているが、ドジっ子であるため、よく道に迷ったりしている。赤血球は、白血球や一般細胞と違ってミトコンドリアを持たないため、「ブドウ糖(グルコース)」を活動源にしており、よくスウィーツを食べてエネルギーを補給している。肺炎球菌に襲われた際に、白血球U-1146番と出会ってから、何かとお互いにかかわることが多い。いつも着ているジャケットはリバーシブルで、動脈を通る際には明るい赤、静脈を通る際には暗い赤となる。能天気なところがあるが、細胞にお届けものをする今の仕事をひたむきにがんばっており、どんな状況になろうともあきらめない芯の強さを持つ。後輩の赤血球NT4201番からもそのメンタルの強さを認められている。赤血球になる前の「赤芽球」時代は幼い少女の姿で、その頃からドジだった。迷子になって緑濃菌に襲われていたところを、当時、好中性骨髄球だった白血球U-1146番に助けられた過去がある。のちに成長して再会したが、二人ともそのことには気づいていない。
白血球U-1146番 (はっけっきゅう)
外敵と戦う免疫細胞の一種。白い髪を右目を隠すように伸ばした青年の姿をしている。白血球は種類が多く存在し、好塩基球、好酸球も白血球にあたるため、区別するために「好中球」とも呼ばれる。白いロングジャケットとズボンを羽織り、白の帽子をかぶった白ずくめの格好をしている。個体識別名は「U-1146番」で、帽子に付けたバッジに識別番号が記されている。帽子には細菌などを察知する「レセプター」が付いており、これを使って敵を探す。好中球は抗原提示を必要としない白血球で、ウイルスや細菌が侵入した際には真っ先に行動するのが特徴。このため敵を見つけたらすぐに攻撃を仕掛けるが、その姿があまりに凄惨であるため、ほかの細胞たちからは凶暴な存在と思われている。実際は非常に面倒見がよく、温厚な性格をしており、ドジな赤血球AE3803番を何かと気にかけている。細胞の隙間を通り抜ける「遊走」という能力を持つため、正規の通路ではない場所も自在に動き回り神出鬼没。赤血球AE3803番やうしろまえちゃんに対しては、遊走の力を使ってまで陰ながら手助けしている。白血球になる前の「好中性骨髄球」時代は少年の姿で、その時は出会った好塩基性桿状核球の影響を色濃く受けている。好塩基性桿状核球の言葉によって、生死によって深く考えてしまうところがあり、体を活かすために外敵を殺す自分の役割に矛盾した思いを抱えている。役割が似通っているため、キラーT細胞やNK細胞と行動を共にすることが多い。がん細胞を相手にした際にも彼らと共に戦うが、がん細胞にその胸に抱える矛盾した思いを見抜かれ、彼らの中で唯一がん細胞に気に入られ、がん細胞との2度にわたる戦いではどちらも白血球U-1146番がトドメを刺すこととなった。
マクロファージ
白血球の一種。白いエプロンドレスを身にまとい、温和な笑みを浮かべた女性の姿をしている。死んだ細胞や細菌を片付ける掃除屋で、掃除道具を持っている。また、抗原や免疫情報を探し出す役割を担い、抗原と戦うこともある。お淑やかな見た目に反してかなり強い白血球で、細菌を見つけたら鈍器や鉈(なた)を使って戦う。また、未熟な赤芽球などの教育係も務めている。マクロファージは、実は全白血球の七割を占める単核の白血球「単球」が、血管の外に出た姿。単球時はガスマスクに全身を覆う防護服を身にまとい、いっさいしゃべらないため、赤血球AE3803番はマクロファージと同一人物だと気づかなかった。
肺炎球菌 (はいえんきゅうきん)
レンサ球菌の一種。薄紫色の体表と触手を持った異形の姿をしている。非常に残忍な性格の持ち主。栄養要求率が高いα溶血性の細菌で、赤血球を襲って栄養を奪い取り、血管に入り込んで体中の臓器を攻撃する。肺炎の原因にもなる毒性の強い細菌で、免疫細胞に攻撃されても「莢膜(きょうまく)」と呼ばれる細胞本体を守る防御層のようなものを出して逃げ回る。体内に侵入して赤血球AE3803番に襲い掛かり、彼女の運んでいた荷物に紛れ込むことによって免疫細胞の目を欺いて肺胞にたどり着く。肺を侵略するつもりだったが、すんでのところで気づいた白血球U-1146番に邪魔をされ、くしゃみで体外に放り出される。その後も肺炎球菌の別個体がたびたび体内を侵略している。
血小板 (けっしょうばん)
血液成分の一種。たくさんの小さな幼稚園児たちの姿をしている。血管壁が損傷した際に集まって傷口をふさぐ役割を担い、ほかの細胞に比べて小さいのが特徴。「血小板」と書かれた帽子をかぶったロングヘアの女の子がリーダーを務め、周囲からは「リーダーちゃん」と呼ばれている。明るく無邪気な性格ながら、仕事に対して一生懸命な姿がかわいらしく、ほかの細胞たちからもかわいがられている。傷口を塞ぐために、血小板が血管内皮細胞下に集まって粘着・停滞する「一次凝集」を行う際には、血小板が集まって組体操を行う。そして凝固因子を使い、赤血球や白血球などの血液を集めて傷口を塞ぐ「フィブリン」を作るのが仕事となっている。フィブリンは、たくさんの赤血球や白血球が網にがんじがらめになった姿として描かれている。
ヘルパーT細胞 (へるぱーてぃーさいぼう)
リンパ球の一種。眼鏡をかけた青年の姿をしている。外敵が侵入したのを察すると、外敵の情報を分析して、キラーT細胞に攻撃を指示する免疫細胞の司令官的な役割を担う。仕事中にティータイムを楽しむなど、ゆるいところがある。体育会系のノリが苦手で、キラーT細胞とは折り合いが悪い。ヘルパーT細胞になる前の「未熟胸腺細胞」だった時代は、今とは打って変わって効率を重視する優等生で、やる気に満ち満ちていた。キラーT細胞の班長とは胸腺学校の同期で、お互いに大きな影響を与え合っている。また、当時の班長から「肩の力を抜け」と言われたことが、現在のゆるい性格へと変貌する大きなきっかけとなった。
キラーT細胞 (きらーてぃーさいぼう)
リンパ球の一種。外敵と戦う軍隊のような役割を担う。「KILL」と書かれた黒い帽子と黒い作業着を制服としている。金髪で筋骨隆々とした男性がまとめ役で、周囲からは「班長」と呼ばれている。ヘルパーT細胞の指示によって出動し、外敵を打ち倒す殺し屋のような存在だが、粗野な性格をしているため、正常な一般細胞を攻撃しようとする際は制御性T細胞によって攻撃を抑制される。体育会系のノリで暑苦しいため、ヘルパーT細胞とは折り合いが悪い。キラーT細胞になる前の「未熟胸腺細胞」だった時代は、今とは打って変わって弱々しい落ちこぼれだった。ヘルパーT細胞の班長とは胸腺学校の同期で、お互いに大きな影響を与え合っている。一見無意味と思える努力でも、ひたむきにがんばり続けるのが長所だとヘルパーT細胞に教えてもらい、現在の性格へと変貌している。同じ免疫細胞であるため、白血球U-1146番やNK細胞とはいっしょに行動することが多く、彼らと共にがん細胞とも戦っている。キラーT細胞は同じ外敵の情報を抗原として記録しており、同じ抗原が出現した際は「メモリーT細胞」となり、抗原提示を待たずに速やかな再攻撃を仕掛けられるようになっている。がん細胞の復活の際には班長がメモリーT細胞となり、「MEMORY」と書かれた帽子をかぶりなおしている。未熟胸腺細胞時代に同期から冗談で言われたT細胞の奥義「パーフォリン・キャノン・パンチ」の話を真に受け、ひたすら練習し続けて2度目のがん細胞との戦いでは、本当にパーフォリン・キャノン・パンチを放って、がん細胞にダメージを与えている。ちなみに「パーフォリン」とは、キラーT細胞ががん細胞を攻撃する際に放出する物質となっている。
スギ花粉のアレルゲン (すぎかふんのあれるげん)
スギ花粉内部に存在するタンパク質。ずんぐりむっくりしたゲル状の体で埴輪(はにわ)のような形をしている。主に「Cryj1(クリジェイワン)」「Cryj2(クリジェイツー)」という成分で構成されている。「スギ~」と鳴きながら体中を徘徊するが、特に害をもたらすことはない。それでも白血球U-1146番たちは何かしらのトラブルになる抗原と認識しており、見つけ次第駆除する決まりとなっている。B細胞がスギ花粉のアレルゲンをIgE抗体を使って攻撃すると、その数値を察知したマスト細胞がヒスタミンを分泌する。スギ花粉のアレルゲンが過剰にヒスタミンの分泌をうながし、これがスギ花粉アレルギーを引き起こす原因となる。最終的にはステロイドによってすべてが一掃されるため、それらの一連の大災厄は記憶細胞に言い伝えという形で伝わっている。
記憶細胞 (きおくさいぼう)
リンパ球の一種。ベストを着た黒髪の青年の姿をしている。抗原情報の記録と管理をする役割を担い、抗原情報を特定するために現場に出ることもある。ふだんはまじめに事務仕事をしているが、思い込みとリアクションが激しく、スギ花粉のアレルゲンが襲来した際には、記憶細胞の言い伝えにある「世界の終わり」だと騒いでいた。またそそっかしい一面があり、ムンプスウイルスが襲来した際には、過去に予防接種でムンプスウイルスの抗原を提示されていたにもかかわらず、うっかりそのことを忘れ去り、既視感のある状況を未来予知だと勘違いしている。
B細胞 (びーさいぼう)
リンパ球の一種。青い作業着を着た青年の姿をしている。細菌やウイルスといった抗原に対して、抗体を作り出して対抗するため「抗体生産細胞」ともいわれる。抗体は大きなドラム缶に入れて背負っており、B細胞は大きな水鉄砲のようなものを使って抗体を噴射する。記憶細胞の管理している抗原情報を基にして抗体を作り出すため、仕事上何かと付き合いが多く、思い込みが激しい記憶細胞に時おりツッコミを入れている。またスギ花粉アレルギーの際には、マスト細胞とは責任のなすりつけ合いをしたため、恐ろしく仲が悪くなっている。
マスト細胞 (ますとさいぼう)
免疫細胞の一種。黒髪を伸ばして白衣を着た女性の姿をしている。抗体の動きに反応して、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質を分泌する役割を担っている。仕事に対しては人一倍まじめだが、マニュアル人間で融通が利かず、怒ると意固地になるためトラブルを起こすこともしばしばある。ヒスタミンを分泌すると炎症などが起きて、アレルギーの原因にもなって正常な一般細胞にも被害がもたらされるため、ほかの細胞たちからは非難を受けて、ケンカをすることもある。しかしヒスタミンはサイトカインを誘発し、血管を膨張することで白血球などの免疫細胞を助ける働きがあり、生体防御反応として必要不可欠な存在となっている。「肥満細胞」とも呼ばれるが、これは化学物質を含んだ姿が肥満を連想させるために付いたもので、肥満とは関係なく、マスト細胞も太っていないため「肥満細胞」と言われると激怒する。抗体を作るB細胞とは犬猿の仲で、スギ花粉アレルギーの際には責任のなすりつけ合いで大ゲンカをしている。
ステロイド
ホルモンの一種。細胞たちとは違ってロボットのような無機質な姿をしている。スギ花粉アレルギーが起きた際に、体内に投与される形で現れる。超強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を持ち、「副腎皮質ホルモン」とも呼ばれる。頭の部分は強力なレーザー砲で、両腕はガトリングガンとなっている。アレルギー反応を抑える薬効を持つが、患部に到着すると、アレルギーの原因となっているすべてを破壊して回る。あまりの暴れっぷりからほかの細胞たちに怯(おび)えられており、B細胞とマスト細胞の仕事っぷりのほうが相対的にマシだと評価が上がっている。すべてを破壊し終わったあと、電池が切れて活動停止する。
ナイーブT細胞 (ないーぶてぃーさいぼう)
リンパ球の一種。前髪がひと房長く伸びている少年の姿をしている。抗原と一度も接触したことのない未熟なT細胞。キラーT細胞の班長からは新米扱いされており、似た格好をしているが、帽子の文字が「NAIVE」となっている。自分に自信が持てず、おどおどした雰囲気を漂わせている。インフルエンザウイルスとの戦いでは、敵を前に逃げ出してしまうが、ほかのキラーT細胞たちも昔は未熟なナイーブT細胞だったことを樹状細胞から教えられ、自分の弱さを克服する。そして樹状細胞によって活発化し、「エフェクターT細胞」となって、インフルエンザとの戦いに舞い戻った。ナイーブT細胞時代はあどけない少年の姿をしていたが、エフェクターT細胞では掘りの深い顔をした筋骨隆々とした大男の姿へと大きな変貌を遂げている。
インフルエンザウイルス
ウイルスの一種。大きなボールに突起物が生えたような姿をしている。正常な一般細胞に帽子のようにかぶさることで細胞に感染し、細胞をゾンビのようにあやつることができる。ウイルスは次々と増殖することで感染を拡大させていき、頭痛、筋肉痛、関節痛、発熱などさまざまな症状を引き起こす。もともと人に感染しなかったものが人に感染するくらいに変異したものは「新型インフルエンザウイルス」と呼ばれる。インフルエンザウイルスは大まかにA型、B型、C型と分類される。
赤血球NT4201番
赤血球の一人で、黒い髪を肩まで伸ばした女の子の姿をしている。赤血球になったばかりの新人で、赤血球AE3803番が教育係を務めている。赤血球AE3803番からは「後輩ちゃん」と呼ばれる。要領がよくて知識も豊富で、教育係の赤血球AE3803番も何を教えればいいか、とまどったほど優秀な赤血球。一方優秀すぎて、これまでなんでもそつなくこなしてきたために逆境に弱く、打たれ弱い一面がある。体内で大量出血が起きた際には、事態を正確に把握してすぐにあきらめてしまうが、赤血球AE3803番が絶望的な状況の中でも決してあきらめない姿を見て感化される。それからは、仕事は知識や技術だけではなく、熱いハートも大事だと実感して赤血球AE3803番にお礼を述べている。
赤血球DB5963番
赤血球の一人で、眉毛が太い青年の姿をしている。体が大量出血した際に「輸血」という形で新たにやって来た赤血球たちのリーダーを務めている。違う体から来たため、赤血球AE3803番たちとは微妙に異なった赤い制服を身にまとっている。しゃべり方に独特のなまりがある。体を復調させるために尽力したため、すぐに最初からいた赤血球や細胞たちとも打ち解けた。
好酸球 (こうさんきゅう)
白血球の一種で、金髪のツインテールでピンクの作業着を着た女性の姿をしている。使命感は強く、淡々と仕事をこなしていくタイプ。しかし、細菌と戦ってもすぐに負けるほど弱いため、ほかの細胞たちから信頼されていない。だが細菌やウイルスに対しては弱いが、寄生虫にに対しては滅法強く、ほかの免疫細胞が戦いあぐねていたアニサキスを倒したことでほかの細胞からもその活躍を認められる。ふだんは無表情のキリっとした表情をしているが、超恥ずかしがり屋で褒められると羞恥のあまり、顔を真っ赤にして表情を崩す。白血球U-1146番とは、白血球になる前の「好中性骨髄球」時代からの知り合い同士。当時、好酸球も好酸球となる前の「好酸性骨髄球」で、彼と共に好塩基性桿状核球を先輩として慕っていた。好塩基性桿状核球の影響を色濃く受けており、難解な言葉を好み、こっそりポエムをしたためている。
NK細胞 (なちゅらるきらーさいぼう)
リンパ球の一種で、女性ながら筋肉質のたくましい体でサーベルを武器としている。タンクトップに短パンという動きやすい恰好をしている。黒い髪をショートカットに整え、右目を隠すように前髪を伸ばしている。全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルスを排除する役割を担っている。リンパ球の中では珍しく自然免疫であり、抗原提示に頼らなくても自己判断でウイルスやがん細胞を攻撃できる。このため正常な細胞に化けたがん細胞も、その正体を暴いて攻撃することができるなど察しのよさを見せる。キラーT細胞、白血球U-1146番とは役割が似ているため、行動を共にすることが多く、よくキラーT細胞をからかっている。笑うことで「神経ペプチド」という神経伝達物質が生産され、この神経ペプチドによって大きく活性化することができる。笑えば笑うほど強くなるが、逆にストレスをに感じると極端に弱体化してしまうという二面性を持つ。ふだんは強気な性格ながら、弱体化すると非常に後ろ向きな性格となる。実は新人時代は、マクロファージのように黒髪ロングのゴスロリメイドファッションを身につけた非常にかわいらしい姿をしていた。現在はこの姿を見られるのを極端に嫌っており、樹状細胞によって写真がばらまかされた際には大きく活性化し、見た者すべてを倒そうと暴れ回る。
制御性T細胞 (せいぎょせいてぃーさいぼう)
リンパ球の一種で、金髪をシニヨンにまとめてスーツを着た女性の姿をしている。冷静沈着な性格で、司令塔であるヘルパーT細胞の補佐のような立場を担っている。T細胞の暴走を抑制し、免疫異常を起こさないように調整したり、キラーT細胞が正常な一般細胞に攻撃しようとした際にそれを止めるのを役割としている。しかし規律を守るのを第一と考えるあまり、視野が狭くなりがちで、がん細胞を正常な細胞と誤認し、がん細胞への攻撃を妨害する場合もある。復活したがん細胞によって半ばあやつられてしまい、キラーT細胞の攻撃を抑制する。細胞の認識は彼らが着ているシャツを見て判断しているらしく、キラーT細胞の「パーフォリン・キャノン・パンチ」で、がん細胞のシャツが汚れ「細胞」の字が「細包」になって正常な認識を取り戻す。
好塩基球 (こうえんききゅう)
白血球の一種で、マスクとニット帽で目元以外は素顔が見えない男性の姿をしている。いつも傘を持ち歩き、思わせぶりなミステリアスな言動をとる。好中球と好酸球を問題部位に導く役割を担い、好塩基球自体も免疫系にかかわる役割があるとされているが、まだ十分に解明されておらず謎が多い。好塩基球になる前の「好塩基性桿状核球」時代は、素顔をさらして整った顔立ちの少年の姿をしていた。思わせぶりな言動は幼い頃からそのままで、「細と胞の詩」という詩集を手に、難解な言い回しで人と会話している。幼い頃の白血球U-1146番や好酸球の先輩で、その言動は彼らに多大な影響を与えている。未熟な免疫細胞が外敵との戦いに駆り出される「左方移動」によって白血球たちの前から姿を消し、そのまま行方不明となったため、白血球たちからはそのまま死んだと思われていた。白血球たちからは「好塩基球」と「あこがれの先輩」は長らく同一人物と思われていなかったが、好塩基球が「細と胞の詩」を持っているのに見て、同一人物だと気づく。
一般細胞 (いっぱんさいぼう)
肉体を構成する一般的な細胞で、平凡な顔立ちをして「細胞」と書かれたシャツを着ている。赤血球から酸素と栄養を受け取り、「細胞分裂」をして、分裂して生まれた細胞が独り立ちするまで教育する役割を担っている。酸素と栄養が行き届かないと次第に弱り、最終的に死亡する。彼らの住む場所は集合住宅のように整然としているが、がん細胞による浸潤などが起きると、住処の壁が壊れ不安定となる。またウイルスに感染するとあやつられ、ウイルスをさらに増やすため暴れ回っている。
細胞くん (さいぼうくん)
咽頭付近に住む一般細胞で、黒髪に「細胞」と書かれたシャツを着た青年の姿をしている。白血球U-1146番たちからは「細胞くん」と呼ばれている。細胞分裂するだけの退屈な日常に嫌気が差しており、何か刺激がないかと思っている。ライノウイルスに感染した細胞を、そうと知らずになかよくなり、彼といっしょになってイタズラをしていた。その際、ウイルスに感染しそうになるが、キラーT細胞に救われる。この際に不用心と叱られたため、免疫細胞には苦手意識を持っていたが、同時に外敵と戦う免疫細胞にあこがれの感情も抱いている。そのためその後、たまたま細菌が困っている姿を発見し、葛藤の末助けている。菌に懐かれ匿うが、白血球U-1146番に見つかり、彼に処分されそうになる。しかし懐いた菌は実は乳酸菌で、ピロリ菌との戦いで彼らを助けたために処分は保留。乳酸菌を仲間たちのもとに届けるべく、白血球U-1146番と行動を共にする。乳酸菌はほかの免疫細胞からは処分の対象であるため、白血球U-1146番と共に隠しながら進むが、周囲からはバレバレで見て見ぬフリされている。乳酸菌の仲間のいる大腸にたどり着くが、そこで悪玉菌の大群に襲われる。絶体絶命の危機に陥るが、乳酸菌の仲間たちが駆け付け命が救われている。また、細胞くんが助けた乳酸菌たちの活躍で腸内バランスが整い、それが結果的に同じ時期に暴れていたがん細胞の力を弱めるのにもつながっている。
樹状細胞 (じゅじょうさいぼう)
免疫細胞の一種で、緑色の制服と制帽を身につけた黒髪の青年の姿をしている。巨大な樹のような施設の中で働いており、体内に侵入して来た細菌やウイルスの断片を抗原として提示し、ほかの免疫細胞にそれを伝える連絡役を担っている。樹状細胞から連絡された免疫細胞は活性化し、その力を大きく増す。だがその連絡方法は、免疫細胞の過去の恥ずかしい写真をばらまくといったやり方で、免疫細胞は怒りと恥ずかしさでパワーアップする。乳酸菌の生み出す多糖体を接種すると樹状細胞も活性化する。活性化した際にはサングラスをかけ、コートを羽織った派手な格好となる。
ランゲルハンス細胞 (らんげるはんすさいぼう)
樹状細胞の一種で、ヒゲを生やした西洋の紳士のような姿をしている。体内に細菌やウイルスといった異物が侵入した際に、それを脳へ知らせる役割を担っている。また、体表を紫外線や乾燥などから守る際にも大きな役割を果たしている。膵臓に存在する「ランゲルハンス島」と混同されがちだが別物。蚊が媒介する「デングウイルス」に感染すると、天狗の形をしたお面をかぶり、葉っぱの奥義で突風を引き起こして周囲を破壊して回り、デング熱を引き起こす。デングウイルスに感染すると「デデーン」としか言わなくなる。
巨核球 (きょかくきゅう)
骨髄の中で最も大きい造血系細胞で、体格のよい女性の姿をしている。血小板を生産する細胞で、血小板を育てつつ、同時に一人前の血小板として働けるように教育する役割を担っている。血小板と似た制服を羽織り、「巨核球」と書かれた帽子をかぶっている。一見すると軍隊の教官のように口調が厳しいが、血小板たちを「弟子」としてかわいがっている。彼らが苦戦している際にはすぐさま応援に駆け付け、血小板のがんばる姿を見た際には感動して泣いている。
うしろまえちゃん
血小板の一人で、帽子をうしろまえにかぶった幼児の姿をしている。そそっかしいドジな性格で、白血球U-1146番からは赤血球AE3803番とそっくりと思われている。しかし仲間たちの足を引っ張らないように自分にトレーニングを課し、努力を重ねている。自信をなくしていたが、たんこぶができた際に、リーダーちゃんが落とした凝固因子を拾いに行った勇気を巨核球と仲間たちに認められ、自信を取り戻す。『はたらく血小板ちゃん』にも登場している。
脳細胞 (のうさいぼう)
脳にある神経細胞(ニューロン)、神経膠細胞の総称で、スーツを着た長髪の青年の姿をしている。脳細胞は、脳細胞のまとめ役を担い「局長」と呼ばれている。脳は巨大なビルがいくつもあるオフィス街のような形をしており、脳細胞はそこで情報を集め、次の神経細胞に伝える仕事をしている。桿体細胞とは二人三脚で働く中で、密接な関係を築いている。かつては気の置けない仲だったが、職務に忠実に働くあまり疎遠となり、多くの細胞のため合理的に働くために苦渋の選択で桿体細胞を切り捨てている。表面上は冷徹に振る舞っているが、内心では桿体細胞に強い罪悪感を抱いており、失明の際には死に瀕した桿体細胞の代わりに、細胞たちの非難の矢面に立った。iPS細胞が新たな桿体細胞となったのに希望を抱き、桿体細胞と本音で語り合って彼の最期を看取った。
桿体細胞 (かんたいさいぼう)
眼球の網膜に存在する細胞で、バンダナをして作業着を身にまとった青年の姿をしている。光を認識して、それを電気信号に変換し、脳細胞に視覚情報として伝える役割を担っている。「網膜色素変性症」によって失明の危機にあり、ほとんどの桿体細胞は死亡し、最後に残った桿体細胞は現状に絶望して自暴自棄となっていた。脳細胞とは二人三脚で働いてきたが、自分たちを顧みない脳細胞に不信感を募らせ、現在は険悪な関係となっている。しかしiPS細胞に説得され、最後に自分の本心を伝える。失明の危機に陥った際には、自らの代わりに泥をかぶった脳細胞を泣きながら見つめていたが、iPS細胞が新たな桿体細胞となって危機を乗り越えたのを目にし、最期は脳細胞と言葉を交わして安らかに息を引き取った。
iPS細胞 (あいぴーえすさいぼう)
人工的に作り出された細胞で、作業着を着た黒髪の青年の姿をしている。何の細胞か自分も含めて誰も知らず、桿体細胞のところに出入りしていた。明るくまっすぐな性格をしており、桿体細胞と脳細胞の確執について意見し、本音で語り合うように勧めた。その正体は体外で人工的に培養、分化誘導された「iPS細胞」で、新たな桿体細胞として体内に送り込まれた。送り込まれた当初は自分の役割を忘れていたが、桿体細胞と過ごすうちに役割を思い出し、新たな桿体細胞として定着する。また体内には多くの仲間たちが存在し、新たな桿体細胞となった直後、彼らも合流している。桿体細胞から仕事を引き継ぎ、死に瀕した桿体細胞を見送る。
乳酸菌 (にゅうさんきん)
菌の一種。まん丸とした体で、つぶらな瞳をしたかわいらしい姿をしている。体の形はだいたい同じだが、個体によって体の模様と色が異なる。肺炎球菌のようにしゃべることはできず、「にゅー」と鳴くだけ。ふだんは一般細胞に抱えられるほど小さいが、活性化すると大きくなる。善玉菌の一種で、人体に悪影響をもたらすプリン体を食べたり、悪玉菌と戦ったりと、人体に欠かせない存在の一つ。ほとんどの乳酸菌は大腸にいるが、何かの拍子で大腸から出てくることがある。白血球は乳酸菌も細菌として攻撃をするため、見つかれば処分の対象となってしまう。細胞くんに見つかって彼と友情を育み、仲間のもとに送ってもらった。細胞くんのことを大切に思っており、彼が悪玉菌に襲われた際には仲間たちを引き連れ、彼のもとに駆け付けている。
ライノウイルス
ウイルスの一種。インフルエンザと同じく、ボールのような形をしている。帽子のような形となって一般細胞に取り憑き、感染していく。帽子のマークが星型となっている。カゼの原因となる代表的なウイルスで、主な症状として軽い鼻かぜを引き起こす。感染力が非常に高く、感染された一般細胞はソンビのような姿となり、周囲の正常な細胞も感染させようとする。
がん細胞 (がんさいぼう)
遺伝子異常によって無軌道に増殖するようになった細胞。ふだんは無害な一般細胞のフリをしているが、その正体を現すと髪が白くなり、体中から触手や腕が生えた異形の姿となる。がん細胞は毎日数千個も生まれているが、ほとんどは成長しきる前に駆除されている。しかし駆除されるのを逃れ、成長していくと周囲の正常な細胞との境界をどんどん侵し、増殖する「浸潤(しんじゅん)」を引き起こす。がん細胞は「炎症性サイトカイン」を発することで、栄養豊富な赤血球を引き寄せ、この栄養を糧にして浸潤する。このため浸潤が深刻化すると体内の栄養バランスが崩れ、さまざまな問題が引き起こされる。また、がん細胞は成長すると血管やリンパ管の流れに乗って体中に転移し、体の生命維持活動に大きな悪影響を与える。体内でひそかに浸潤していたが、NK細胞に正体がバレて、キラーT細胞や白血球U-1146番、NK細胞と戦う。圧倒的な力を持ち、終始三人を圧倒したが、ほかの細胞たちの応援で立ち上がった三人に敗北して死亡した。本来は細胞として生まれるはずだったが、何らかのバグによって一方的に排除される境遇に陥り、命を狙われている。このため世界そのものを恨み、体を破壊するために活動しているが、一方で正常な細胞として生まれたかったという願いも秘めており、白血球U-1146番にその思いを吐露している。のちに白血球が抗原情報として保管していた遺伝情報が流出し復活。制御性T細胞をあやつることで免疫細胞の攻撃を無効化し、悪玉菌の毒素を取り込むことでさらに凶悪な存在へと変貌する。メモリーT細胞の攻撃によって制御性T細胞が正気に戻り、白血球U-1146番の攻撃によって再び殺される。白血球U-1146番のことは気に入り、二度敗北したが、彼に殺されるなら本望と満足している。
新型コロナウイルス (しんがたころなういるす)
2019年12月に発見された新型のコロナウイルス。細胞の頭に帽子のようにくっつくインフルエンザウイルスに似た姿をしており、くっついた細胞をあやつることができる。ヒトに感染する動物由来のウイルスとしては「SARSコロナウイルス」「MERSコロナウイルス」に次いで発見されたため、英語名「severe acute respiratory syndrome coronavirus 2」を略して「SARS-CoV-2」とも表記される。新型コロナウイルス自体はキラーT細胞にあっさり駆除されるほど弱いが、体中の至る所に潜伏しているため、完全な駆除が難しく、潜伏期間中の無症状状態でも周囲に感染させる力がある。症状が発症すると味覚、嗅覚などの神経を狂わし、食事の際に味や香りがしなくなる特徴がある。また症状が重症化すると、免疫細胞を活発化させる「サイトカインIL-6」を誘発させる。新型コロナウイルスは完全な駆除が難しいため、サイトカインがどんどん誘発されていくと、そのまま免疫細胞の反応は過剰なものとなり、正常な細胞にまで攻撃するようになる。これを「サイトカインストーム」と言い、免疫細胞によって細胞が傷つけられると炎症が起きて、血栓ができやすくなり、これが肺や各臓器に飛ぶことで肺梗塞などの血栓塞栓症を引き起こす。そして最終的に体は多臓器不全に陥り死に至る。新型コロナウイルスがサイトカインストームを引き起こしやすい理由は不明で、体内のウイルスが減少してるにもかかわらずサイトカインストームが起きるケースがある。また軽症者であっても数週間から数か月にわたって後遺症が残る場合も存在する。
場所
血管 (けっかん)
血液の通り道。多くの赤血球が行き交っており、酸素や栄養を一般細胞のもとに届け、不要な二酸化炭素を回収して、肺に届けている。酸素を届ける場合は「動脈」、二酸化酸素を届ける場合は「静脈」を通るのが決まりとなっている。血液の流れは体を循環しており一方通行。このため血管には血液の逆流を防ぐための弁が存在し、それぞれ「大動脈弁」「静脈弁」と呼ばれる。
リンパ管 (りんぱかん)
体の免疫システムの一部。血管が回収しきれなかった余分な水分や脂肪、ばい菌などを回収する役割が存在する。またもう一つの役割として免疫細胞の通り道として機能しており、「リンパ球」と呼ばれる軍隊がウイルスや細菌など外敵に備えて循環している。
その他キーワード
くしゃみ
体が引き起こす反応の一つ。鼻の奥に付いたホコリやウイルスなどの異物を、体外に排出しようとして引き起こされる。異物をカプセルのようなもので閉じ込め、ロケット砲に詰め込んで発射する形となっている。またアレルギーで、ヒスタミンが鼻の粘膜にある知覚神経を刺激し、くしゃみ中枢に達すると刺激が引き起こされたりもする。
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はたらく細菌 (はたらくさいきん)
人間の腸内にいる細菌を擬人化し、善玉菌、悪玉菌、日和見菌たちの陣取り合戦を描いたコメディ作品。『はたらく細胞』の公式スピンオフで、『はたらく細胞』の作者、清水茜が監修している。また菌の解説は『はたらく... 関連ページ:はたらく細菌
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書誌情報
はたらく細胞 6巻 講談社〈シリウスKC〉
第1巻
(2015-07-09発行、 978-4063765601)
第2巻
(2015-11-20発行、 978-4063765892)
第3巻
(2016-06-09発行、 978-4063906332)
第4巻
(2016-11-30発行、 978-4063906646)
第5巻
(2017-08-09発行、 978-4063907209)
第6巻
(2021-02-09発行、 978-4065222522)