概要・あらすじ
過去にサーカスで空中ブランコに乗っていたトリノスは、演技中の事故で弟のミシェルを亡くして以来、弟の亡霊にとらわれていた。これにより空中ブランコに乗れなくなったトリノスは、オーギュスト・キリロワ率いるサーカス団「シルクドゥ・ソワール」でピエロとして生きていた。陰気なトリノスはサーカス団の中でも虐げられていたが、ある日、日本の外交官であるオオナギマコトに見初められ、サーカスを辞めて男妾となり、「オオナギタケオ」として生きていくことになる。
登場人物・キャラクター
トリノス
サーカス団「シルクドゥ・ソワール」でピエロとして活躍していた青年。以前は弟と組んで空中ブランコに乗っていた。鳥の巣のような髪をしているため団員からは「トリノス」と呼ばれている。「シルクドゥ・ソワール」を辞めてオオナギマコトの男妾になってからは、「オオナギタケオ」を名乗るようになる。
ミシェル・ボーランジェ (みしぇるぼーらんじぇ)
ココの弟で、オオナギマコトの義理の弟にあたる青年。年齢はトリノスの1つ年下。マコトがココのもとにトリノスを連れてきた際に彼と出会い、以降トリノスを気にかけるようになる。トリノスを「タケオ」と呼んでいる。トリノスと出会ってから3年後には大学生になり、法律を学んでいる。
ミシェル
トリノスの弟で、空中ブランコのパフォーマーだった少年。空中ブランコの演技中にトリノスの手を取り損ねて、落下し死亡した。現在は、亡霊となって時々トリノスの側に現れて話しかけている。異父兄弟だったため、トリノスとは似ておらず、さらさらな金髪で綺麗な顔をしていた。
オオナギ マコト
日本の外交官の男性。サーカスの公演の宣伝をしているピエロ姿のトリノスを街で見かけ、彼の美貌に気づく。サーカスを辞めたトリノスに「オオナギタケオ」という名前をつけ、服などを買い与えて男妾とした。ココという妻がいるが別居中で、ココにトリノスの家庭教師をするように頼む。
ココ
オオナギマコトの妻で、ミシェル・ボーランジェの姉。昔はよく笑う明るい女性だったが、マコトと結婚後はあまり笑わなくなってしまった。マコトとは別居中だが、彼が連れて来たトリノスの家庭教師となる。トリノスを快く思っておらず、授業の際には、毎回彼の首に薔薇の棘を刺している。
ミナ
サーカス団「シルクドゥ・ソワール」の空中ブランコのプリマ。ロングの黒髪で切れ長な目をした美人。親に金で売られてサーカス団に入った経緯の持ち主だが、自分のことを不幸だとは思っていない。トリノスに想いを寄せつつも、つい悪態をついたりからかったりしている。サーカスのショーが終わると、娼婦として客をとらされている。
レオ
以前に勤めていたサーカスが潰れ、「シルクドゥ・ソワール」にやって来た男性。16本の重たいピンを扱ったジャグリングを担当している。背が高く、寡黙な冷たい印象を与える男性だが、トリノスのことを気にかける優しい性格の持ち主。
オーギュスト・キリロワ (おーぎゅすときりろわ)
サーカス団「シルクドゥ・ソワール」の団長。「サーカスはサーカスであるべき」と考え、いくつものサーカス団が潰れていく中、サーカスを続け、サーカスとともに生きている。サーカスのショーだけでは経営が厳しいため、団員に娼婦・男娼として客をとらせている。年老いて病気を患っており、現在は下半身が動かなくなっている。
ルネ
オーギュスト・キリロワの妻。サーカス団「シルクドゥ・ソワール」解散後、オーギュストが新たに団長を務めることとなったサーカス団でパフォーマンスを行い、彼を献身的に支えている。かつて「シルクドゥ・ソワール」にいたトリノスを覚えており、サーカスの終演後にテントを眺めていたトリノスに声をかけ、仲良くなる。
集団・組織
シルクドゥ・ソワール (しるくどぅそわーる)
オーギュスト・キリロワが団長を務めるパリのサーカス団。トリノス、ミナ、レオたちが所属していた。空中ブランコ、ジャグリング、火の輪くぐりなどの演目を行っている。経営が苦しく、上客には演目者リストを渡し、団員に娼婦・男娼として客をとらせていたが、事故がきっかけで解散してしまう。