ゴクシンカ

ゴクシンカ

ピエール手塚の初連載作品で、自身の読み切り『ヘレディタリー/極道』を連載向けにアレンジした内容となっている。現代日本を舞台に、ふつうのサラリーマンで新人ヤクザの手塚冷士が、「傷痕(スカー)能力」を武器に裏社会で伸し上がっていく姿を描いた極道異能アクション。傷痕能力とはトラウマを異能に昇華させたもので、手塚が過去のつらい経験を自らの力に変えて危機的な状況を打ち破っていく様子が見どころとなっている。傷痕能力の発動時に出現するビジョンは、「定食屋のババア」「全裸のマッチョ」「吠える犬」などバラエティーに富んでおり、シリアスな抗争の場面に異物感の強いビジョンが現れて手塚の手助けをする描写はシュールで、コメディとしても楽しめる。KADOKAWA「月刊コミックビーム」2022年5月号から連載の作品。

正式名称
ゴクシンカ
ふりがな
ごくしんか
作者
ジャンル
マフィア・ギャング・ヤクザ
 
異能力・超能力
レーベル
ビームコミックス(KADOKAWA)
巻数
全2巻完結
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概要・あらすじ

登場人物・キャラクター

手塚 冷士 (てづか れいじ)

ごくふつうのサラリーマン。左目の下から顎にかけて、子供の頃に事故で負った大きな傷痕がある。面長で骨張った顔立ちで、恨みがましい目をしている。ノーと言えない気弱な性格で、周りの空気を読んで感情を抑えてしまうことが多い。人付き合いも苦手で、ネット上にしか友達がいない。ある日、ネットで知り合った黄泉羽(よもう)組直系光線組若頭の寺田魔佐彦に顔の怖さを見込まれ、極道の世界に誘われる。そんな中、カタギの人間でありながら、系列組織のホープ・竹富とロシアンルーレットで争うことになってしまうが、この戦いで「傷痕(スカー)能力」が覚醒。やがて日本を震撼(しんかん)させる大規模な抗争の中心人物となり、「最恐のヤクザ」と呼ばれるまでになる。なお、傷痕能力とは手塚の心に傷を残した存在のビジョンを呼び出す能力で、ビジョンは手塚に助言を与えてくれるが、基本的に手塚にしか認識できずに物質にも干渉できない。平たく言えば、過去に受けた酷い仕打ちを思い出し、苦難を乗り越えるヒントを得る能力である。

定食屋のババア (ていしょくやのばばあ)

ふくよかな体型の中年女性。定食屋あらばき食堂の女将を務めている。明朗快活な性格で、本職のヤクザさえ目をそむける強面の手塚冷士に凄まれても怯まない胆力の持ち主。しらす丼定食を頼んだ手塚を自分のミスで30分も放置しながら悪びれもせず、確認を怠った手塚に問題があると言い切る。そればかりか、「人間はミスをする生き物。他人の仕事を信じるべきではない」という旨の説教を一方的にまくし立て、手塚の度肝を抜いた。この出来事は人を怖がらせる才能に一縷(いちる)の希望を見いだしていた手塚に冷水を浴びせ、心に深い傷痕を残した。しかし、女将の清々しいまでの自己中心的な発言が手塚の心を動かし、「傷痕(スカー)能力」の覚醒をうながす結果となった。女将に由来する手塚の傷痕能力は「しらす丼が食べたいよ(自己決定の権を他人に握らせるな)」と名付けられ、デビュー戦から大活躍している。黄泉羽(よもう)組若頭補佐の暗木城太郎は、手塚に寄り添う女将のビジョンから「荒吐民代(あらばきたみよ)」という人物の面影を見いだしている。

書誌情報

ゴクシンカ 全2巻 KADOKAWA〈ビームコミックス〉

第1巻

(2022-10-12発行、 978-4047372191)

第2巻

(2023-08-12発行、 978-4047376014)

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