サイレーン

サイレーン

『はるか17』(山崎さやか名義)など多数のメディア化作品を持つ山崎紗也夏の代表作の一つ。架空の「武蔵県」を舞台に、機動捜査隊に所属する里見偲と猪熊夕貴が、周囲で多発する殺人事件の真相を追う姿を描いた刑事サスペンス。二人の前に現れた橘カラのミステリアスな行動や、その美しい顔の奥底に秘められた恐ろしい本性が見どころとなっている。ちなみにタイトルの「サイレーン」は「セイレーン」と「サイレン」をもじった造語である。講談社「モーニング」2013年21・22合併号から2015年6号にかけて掲載の作品。2015年10月にテレビドラマ版『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』がフジテレビ系列で放送され、偲を松坂桃李、夕貴を木村文乃が演じている。

正式名称
サイレーン
ふりがな
さいれーん
作者
ジャンル
警察官・刑事・検察官
 
サスペンス
レーベル
モーニング KC(講談社)
巻数
全7巻完結
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二人の捜査官は秘密の関係

機動捜査隊で初動捜査を担っている偲と夕貴は、仕事上のパートナーだが、実は恋人同士。二人の関係を知る者は家族だけで、警察関係者は夕貴の父親以外は誰も知らない。しかし二人は、どちらかが捜査一課に配属された暁には正式に籍を入れ、その関係を公表しようと考えている。この約束が、二人の手柄を立てることに対するモチベーションになっており、恋人でありながら互いにライバルとして競い合う理由にもなっている。

武蔵県で多発する奇怪な事件

ある日、風俗店でマネージャーの女性、孤坂が死亡しているとの通報を受け、偲と夕貴は現場に急行する。捜査の結果、武蔵県警は大量の睡眠薬とアルコールを飲んでの自殺と判断されるが、偲はその様子にどこか違和感を覚える。それからしばらくのあいだ、大きな事件も起きずに平和な日々が続いていたが、そんな穏やかな日常を打ち砕くように、マンションで女性の惨殺死体が発見される。さらに、通り魔事件や整形外科医の月本圭が主催する売春サロンでの変死事件など、奇怪な事件が多発するようになる。偲と夕貴はこれらの事件の捜査を開始するが、二人の身にも危険が及ぶことになる。

心に闇を抱える美女が事件に関与

偶然、事件現場で偲と夕貴に出会ったキャバクラ嬢のカラは、シリアルキラーという裏の顔を持つ。そんなカラは、夕貴の実直な性格と正義感の強さに倒錯した感情を抱き、やがて彼女を殺すことでその正義感を自らの所有物として取り込もうと目論む。そして、整形外科医の圭や夕貴の寮の近くに住む渡公平を言葉巧みに騙すことで支配下に置き、さらなる殺戮(さつりく)を繰り返しながら、夕貴の身柄を確保しようと暗躍していた。偲は一連の事件にカラが関与していることにいち早く気づき、水面下で彼女の調査を開始する。

登場人物・キャラクター

里見 偲 (さとみ しのぶ)

武蔵県警機動捜査隊に所属している青年。年齢は30歳。夕貴は同僚ながら恋人同士で、職場ではそのことを秘密にしている。生真面目かつ誠実な性格のため、女性から非常にモテる。しかし偲自身は、女性から人気を集めていることを不本意に思っており、とりわけ煽情的な女性が近づいてくることに苦手意識を抱いている。洞察力や推理力に優れ、武蔵県で多発する変死事件や殺人事件にキャバクラ嬢のカラが関与していることにいち早く気づいた。付き合い程度で飲むだけでもすぐに酔っぱらってしまい、醜態を晒(さら)すこともある。二人のうちどちらかが捜査一課に呼ばれたら、籍を入れて区切りをつけることを夕貴と約束している。

猪熊 夕貴 (いのくま ゆき)

武蔵県警機動捜査隊に所属している女性。偲とは恋人同士で、職場ではそのことを秘密にしている。偲からは「イノ」のあだ名で呼ばれている。明るい性格で気が強く、相棒としても恋人としても偲をリードしている。正義感が非常に強く、自らの罪と向き合おうとしない犯罪者に対しては特に厳しく接する。趣味は格闘技の観戦で、夕貴自身も空手や逮捕術に優れている。カラとは事件先で偶然知り合い、彼女の奇想天外な行動や美しい容姿に好感を抱くようになる。その後、スポーツクラブに通ったり、格闘技観戦に行ったりと、良好な関係を築いている。しかし、持ち前の正義感に歪(ゆが)んだ執着心を向けるカラから、やがて命を狙われるようになる。

書誌情報

サイレーン 全7巻 講談社〈モーニング KC〉

第1巻

(2013-09-20発行、 978-4063872521)

第7巻

(2015-03-23発行、 978-4063884432)

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