概要・あらすじ
愛車ロータス・ヨーロッパを駆る風吹裕矢は、暴走族に属さず一匹狼で走ることから「ロータスの狼」と呼ばれていた。暴走族のリーダーで後に宿命のライバルとなる早瀬佐近、プロのレーサーで後に義理の兄となる飛鳥ミノルらとの出会いによって、彼は公道からサーキットへと導かれ、レーサーのライセンスを取得する。
デビュー戦から連勝を飾り、「サーキットの狼」へと成長を遂げた風吹裕矢だが、ヨーロッパ進出の権利が賭かったレースでクラッシュ。初めての挫折を味わう。日本での生活を捨て、再び一匹狼となってヨーロッパに乗り込んだ風吹裕矢はF3レースで優勝。日本製のマシンを駆り、ついにF1へとデビューする。
登場人物・キャラクター
風吹 裕矢 (ふぶき ゆうや)
18歳の高校生。白いスーパーカーロータス・ヨーロッパを駆り、暴走族には属さない一匹狼。「ロータスの狼」の異名をとる。レースで勝つごとに愛車に「星マーク」をつけている。激しく熱くなりやすい性格。ナチス軍のリーダー早瀬佐近に勝負を挑んだことがきっかけで彼とは永遠のライバル関係に。 また、彼の妹である早瀬ミキと交際している。公道グランプリで優勝し、谷田部 行雄のサポートを受けてプロレーサーの道へ。沖田から受け継いだフェラーリ・ディノを駆り、デビュー戦となった流石島のレースで優勝を飾る。続くレースでも連勝を飾るが、ル・マン・イン・ジャパンではトップで迎えたゴール直前でクラッシュ。 初めての挫折を味わう。すべてのサポートを失った風吹裕矢は、再び一匹狼としてヨーロッパへと渡ることを決意。モナコで開催されたF3レースで、ライバルであり最愛の友であった早瀬 佐近の命を奪ったジョージ・プライスを抜き去り優勝。日本発のチーム神風とともにF1へと参戦する。
早瀬 佐近 (はやせ さこん)
18歳。風吹裕矢の最大のライバル。暴走族ナチス軍のリーダーで総統と呼ばれる。愛車はポルシェ・カレラRSとポルシェ・930ターボ。電機メーカー早瀬電機の御曹司。風吹と首都高で対決し僅差で勝利を収めるが、風吹のマシンが故障していたことから勝ちとは認めなかった。 その後飛鳥ミノルとの縁で富士スピードウェイで風吹と再会。以後ライバル関係となる。公道グランプリで敗れたことをきっかけにナチス軍を解散し、プロレーサーの道をめざす。熱い走りと冷静さを兼ね備えたスタイルは「サーキットの騎士」と称される。流石島のレースでは風吹とトップ争いを繰り広げるも、ゴール直前でクラッシュし重傷を負ってしまう、以後レースへの恐怖を感じるようになったが、風吹に気合を注入されスピードを取り戻した。 ル・マン・イン・ジャパンで2位に入り、ヨーロッパに渡るも、モナコのF3レースでジョージ・プライスの妨害にあいクラッシュ。風吹の目の前で彼の命は炎の中へと消えた。
早瀬 ミキ (はやせ みき)
早瀬佐近の妹。ふだんはお嬢様学校として知られる春花学園の生徒だが、夜は女暴走族グループ赤い流れ星のリーダーとして、バイクを乗り回す。風吹裕矢の恋人。公道グランプリでは、腕を負傷した風吹に代わってギアチェンジを担当した。兄である佐近よりも風吹に肩入れする傾向あり。 風吹とは、F1に優勝したら結婚する約束をかわしている。
風吹 ローザ (ふぶき ろーざ)
風吹裕矢の姉。ファッションモデルでレースクイーンも務める。プロレーサー飛鳥ミノルの恋人。結婚式はサーキットで挙げた。自分よりも車に夢中な夫と弟に時折やきもちを焼きながらも、レーサーとしての活躍を温かく見守る。ヨーロッパに拠点を移した夫飛鳥ミノルを追い、また弟風吹を支援するためにマンションを売却してイギリスに渡ることを決断する。
飛鳥 ミノル (あすか みのる)
若手トップと目されるプロのレーサー。風吹裕矢の姉、風吹ローザの恋人(後に義理の兄)。愛車はランボルギーニ・ミウラ。「ロータスの狼」の異名をとる風吹の才能を見抜き、プロのレーサーとして「サーキットの狼」になることを勧める。早瀬佐近の父が経営する電機メーカー早瀬電機がスポンサーである。 レースで優勝後に風吹ローザとの結婚を宣言し、その場で結婚式を挙げる。流石島でのレースではスタート直後のマシントラブルを克服し2位まで追い上げるも、風吹とのバトルに敗れ3位となった。続くル・マン・イン・ジャパンで優勝し、ヨーロッパのF2レースに挑戦。見事チャンピオンに輝き、ポルシェチームからF1への参戦が決まる。
谷田部 行雄 (やたべ ゆきお)
カーマニアの中年男性。実業家で、多数の非行少年たちを更生させた実績を持ち「青少年の父」と呼ばれる。警察にも口利きができる力を持つ。同郷の沖田にプロレーサーになることを勧める。沖田の死後は風吹 裕矢のスポンサーとなる。一時は椿 健太郎をサポートしていたが、純日本のF1チーム神風を立ち上げ、そのドライバーとして風吹と神藤速人を起用した。
山岸 みのり (やまぎし みのり)
早瀬佐近の幼馴染で、電機メーカーの社長令嬢。佐近の父の会社とは激しいライバル関係にある。佐近に好意を寄せており、公道グランプリに参戦。愛車はコスモ・スポーツ。
沖田 (おきた)
25歳。警察官で、暴走族専門の取り締まり組織「新選組」に所属するが、風吹裕矢や暴走族たちに理解を示す。かつては秋田で工員をしながら街道レーサーをしていた。愛車はフェラーリ・ディノ。警察を辞職して公道グランプリに参戦するが、彼は結核の持病をかかえていた。 レースではトップ争いを繰り広げるも、ゴール直前に発作を起こしてしまい、そのまま絶命する。下の名前は不明。
隼人 ピーターソン (はやと ぴーたーそん)
一人称は「ミー」。富士スピードウェイで風吹裕矢と出会う。勝つためには手段を選ばない性格で、レースでは執拗なブロックを見せる。愛車はトヨタ2000GT。公道グランプリでは海沿いの道路で亀裂を避けることができず、海へと転落してしまう。その後イギリスに渡り、レーシングスクールで特訓を受ける。 流石島でのレースにBMWで参戦するが、風吹とのトップ争いに敗れてまたもクラッシュする。
椿 健太郎 (つばき けんたろう)
富士スピードウェイで開催されたフレッシュマンレースで風吹裕矢と対決するが、エンジンを壊しリタイア。谷田部行雄に実力を見込まれ、ホークスのサブリーダーに就任。事件解決後は彼からのサポートを受けるようになる。ル・マン・イン・ジャパンで3位入賞し、ヨーロッパに渡る。
土方 年男 (ひじかた としお)
警察官で暴走族取り締まり専門組織新選組に所属。沖田とは親友であった。沖田の死後、彼の遺志を受け継いでレーサーになることを決意する。派手さはないものの着実な走りが信条だが、風吹裕矢との戦いでは闘志を燃やす。流石島でのレースでは、風吹との争いに気を取られピットインに失敗。 マシンは海に飛び込んでリタイアした。
魅死魔 国友 (みしま くにとも)
公道グランプリ終了後、各地で解散した暴走族の生え抜きが集結したグループ神風のリーダー。愛車はフェアレディZ。首都高で風吹 裕矢と早瀬佐近に勝負を挑むも敗れる。流石島で開催されたレースでは、国産車へのこだわりを捨ててリジェJS2で出場したが、雨の中クラッシュした。
関根 英次 (せきね えいじ)
「潮来のオックス」と呼ばれるレーサー。愛車はランボルギーニ・イオタ。流石島のレースでは序盤にコースアウトを喫し、その後追い上げるも飛鳥ミノルとのバトルの最中にクラッシュ。ル・マン・イン・ジャパンでは6位に入賞し、ヨーロッパのレースに出場する権利を得たものの、クラッシュで再起不能の重傷を負ってしまった。
原田 和夫 (はらだ かずお)
「北海の龍」の異名をとるレーサー。愛車はランチア・ストラトス。通称を持つ。A級ライセンス取得のための模擬レースで風吹裕矢と対決。ゴール直前までトップを争った。流石島のレースでは雨の中、ホテル街でクラッシュ。マシンは炎上した。ル・マン・イン・ジャパンにも出場したが8位。
ハマの黒ヒョウ (はまのくろひょう)
横浜の暴走族連合の総元締め。愛車はランボルギーニ・カウンタック。公道グランプリではレース途中から乱入、他のレースではわざに周回遅れになって妨害するといったラフプレーの使い手で、クラッシュも多い。日光で開催されたル・マン・イン・ジャパンでもクラッシュ。マシンとともに炎に包まれ命を落とす。
京極 さくら (きょうごく さくら)
京都の女暴走族紅孔雀の総統で、ホークスのサブリーダーに就任。ル・マン・イン・ジャパンでは、同じくサブリーダーだった椿健太郎とトップ争いを繰り広げる。自分よりも速い椿健太郎に対して好意を抱いている。
ジョージ・プライス
イギリスのF3選手権で連勝街道を走る若きレーサー。有名ブランドの御曹司で、ヨーロッパのニュースターとして将来を嘱望されている。風吹裕矢が初めて挑んだ第4戦では、圧倒的な速さを見せながらもマシントラブルでリタイア。風吹に優勝をさらわれる。完璧主義で冷徹な面を持つ。モナコのF3レースで早瀬佐近に対してラフプレーを仕掛け、彼を死に至らしめてしまう。 風吹との決着をつけるために、F1マシンを買い取りレースに参戦。
セシル・ラピエール
ヨーロッパで活躍する美しき女性レーサー。フランス貴族の出身で、何不自由のない生活に反発して自力でレーサーとなった。「バラのセシル」の異名をとる。モナコのF3レースで風吹 裕矢と出会う。彼女がプールで泳ぐ姿を見て、風吹はジャンピング・ターンフラッシュのアイデアをひらめいた。 決勝レースではジョージ・プライスをブロックし、風吹のアシスト役となる。
神藤 速人 (しんどう はやと)
サッカー選手で、日本人として唯一海外で活躍したスーパースター。谷田部 行雄に請われてレーサーへと転向。チーム神風でマシンの開発を担当し、風吹裕矢とともにF1に参戦する。
集団・組織
ナチス軍 (なちすぐん)
『サーキットの狼』に登場する暴走族グループ。早瀬佐近をリーダーとし、名前通りの独裁的な統一を誇る。カギ十字をシンボルとする。極道連影法師とともに三大勢力を形成。公道グランプリをきっかけに、早瀬 佐近はプロのレーサーになることを決意。グループを解散した。
極道連 (ごくどうれん)
『サーキットの狼』に登場する暴走族グループ。高校時代不良だった者たちの集団。トレードマークはドクロ。ナチス軍影法師とともに三大勢力を形成。リーダーが風吹裕矢に勝負を挑むも敗れる。公道グランプリでは風吹の妨害をたくらみ、ケガを負わせた。
影法師 (かげぼうし)
『サーキットの狼』に登場する暴走族グループ。ナチス軍極道連とともに三大勢力を形成するが、やや押されぎみ。会長は富士スピードウェイでレースに出場している。公道グランプリでは隼人ピーターソンの妨害にあってクラッシュしてしまう。
ホークス
『サーキットの狼』に登場する集団。暴走族のリーダー格が集まって結成されたグループ。暴走族やスーパーカーを標的に襲う、謎の黒いランボルギーニ・カウンタックとフェラーリ512に対抗するために結成された。谷田部行雄の指名で風吹裕矢がリーダーとなる。椿健太郎らもサブリーダーとして協力し、事件を解決に導く。
神風 (かみかぜ)
『サーキットの狼』に登場する自動車レースのチーム。谷田部行雄が代表を務め、エンジンとギヤボックス以外はすべて日本製のマシン「ゼロ戦007」を開発。風吹裕矢と神藤速人をドライバーに起用して1978年のスペイングランプリに参戦したが、マシンの完成度が足りず2台ともリタイアに終わる。翌1979年、日本の自動車メーカーの技術を集結させた「ゼロ戦009」とともにベルギーグランプリに再挑戦。 見事にポールポジションを獲得する。
赤い流れ星 (あかいながれぼし)
『サーキットの狼』に登場する女暴走族グループ。関東のバイクの暴走族グループをまとめあげている。極道連に絡まれた風吹裕矢のピンチを救う。リーダーは早瀬ミキである。
イベント・出来事
公道グランプリ (こうどうぐらんぷり)
『サーキットの狼』に登場する自動車レース。箱根と伊豆で開催され、全国から有数の街道レーサーとスーパーカーが集結する。非公認のレースであり、途中で警察が取り締まろうとする。
ル・マン・イン・ジャパン
『サーキットの狼』に登場する架空のレース。フランスのル・マン24時間レースを模したビッグレースで、日光の一般公道を封鎖したコースを使用。日本のトップレーサーたちが集結した。上位6名の選手はヨーロッパのレースに招待される。
場所
流石島 (さすがとう)
『サーキットの狼』に登場する島。作中、自動車レースの舞台となった場所。瀬戸内海に浮かぶ島で、谷田部行雄の尽力によってサーキットが建設された。コースは1周30kmで、世界中のサーキットの要素を凝縮させたレイアウトとなっている。
その他キーワード
ジャンピング・ターンフラッシュ
『サーキットの狼』に登場する技。風吹裕矢が使うドライビングテクニック。モナコで開催されたF3レースで、女性レーサーセシル・ラピエールがプールで泳ぐ姿からヒントを得た。元F1チャンピオンであるジャッキー・スチュワートでさえも習得できなかったテクニックとされる。
ロータス・ヨーロッパ
『サーキットの狼』に登場するスーパーカー。風吹裕矢の愛車。イギリスのメーカーであるロータスが製造していた実在の車。排気量1558cc、126馬力。パワーは劣るがコーナリング性能が高く、風吹のテクニックを最大限に引き出す。公道グランプリで大きなダメージを負うが、谷田部行雄の支援を受けて修復。 国産ターボエンジンを搭載しパワーアップした。
ポルシェ・カレラRS
『サーキットの狼』に登場するスーパーカー。風吹裕矢の最大のライバルである早瀬佐近の愛車である。ドイツのメーカーであるポルシェが製造する実在の車。排気量2687cc、210馬力。鋭い加速を誇る。
フェラーリ・ディノ
『サーキットの狼』に登場するスーパーカー。元警察官のレーサー沖田の愛車。イタリアのメーカーであるフェラーリが製造する実在の車。「ディノ」とはフェラーリ創業者の息子の名前である。沖田の死後は風吹裕矢に引き継がれ、レース用に大きな改造を受ける。排気量2418CC、195馬力。高いコーナリング性能を誇る。
幻の多角形コーナリング (まぼろしのたかっけいこーなりんぐ)
『サーキットの狼』に登場する技。風吹裕矢のもつドライビングテクニック。流石島でのレース中に本能的に習得した。日本でもごくわずかのトップレーサーしか使いこなせないテクニックである。