シャドーハウス

シャドーハウス

舞台は謎に包まれたシャドー一族たちが暮らすシャドーハウス。顔のないシャドー家の人間は、成人とみなされる年齢になると、それぞれの顔となるべく生き人形を持つ習わしがあった。そんな生き人形のエミリコと、主であるケイト・シャドーの日常を描くファンタジー作品。ほのぼのとした雰囲気のキャラクターデザインではあるものの、ホラーやサスペンスなどさまざまな要素が盛り込まれている。また、コミックス第1巻は1話完結形式だが、第2巻以降はストーリー形式で話が進んでいく。「週刊ヤングジャンプ」2018年40号から連載の作品。アプリ「ヤンジャン!」ではカラー版を配信。2021年4月に第1期、2022年7月に第2期テレビアニメ化。

正式名称
シャドーハウス
ふりがな
しゃどーはうす
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

ケイトとエミリコ

シャドーハウスで暮らす顔のないシャドー一族は、自分たちの「顔」として「生き人形」を従え、貴族のように暮らしていた。そんなシャドー一族の一人、ケイト・シャドーは生き人形のエミリコを与えられるも、明るいがドジなエミリコは失敗ばかり。そんなエミリコに、ケイトは一つ一つ丁寧に教えていく。前向きなエミリコは努力を重ね、仲間の生き人形との交流もあって、少しずつ成長していく。しかしある日、エミリコはケイトの大切な人形を壊して、彼女を怒らせてしまう。意気消沈するエミリコだったが、手持ちの材料で人形を修復し、ケイトと和解。また、その際に自分用に人形の「パンちゃん」を作り、ケイトとの絆にするのだった。

深夜の見回りにて

順調にケイト・シャドーとも絆(きずな)を深めていたエミリコは、初めて生き人形の班に配属され、生き人形の仕事を授業として教わることとなる。先輩生き人形のミアローズマリーからシャドーハウスのことを教わっていたエミリコだったが、そこで亡霊騒ぎが巻き起きる。こびりつきの集合体が暴れ回る中、エミリコたちはそれを撃退しようとするも、ローズマリーがエミリコをかばってこびりつきに取り憑(つ)かれてしまう。エミリコはとっさの機転でローズマリーに花瓶の水をぶっかけ、こびりつきからローズマリーを救うことに成功する。しかし、ローズマリーはすす病に冒されており、彼女は治療のため保護されるのだった。生き人形のまとめ役である星つきバービーは、こびりつきが現れたのは誰かが掃除をサボったせいだと考え、その責任を生き人形の中で一番無能なラムになすりつける。エミリコ、ショーンはその最中にバービーの邪魔をしたため連帯責任とされ、深夜にこびりつきの原因を探すように言われる。エミリコたちは深夜の見回りを始めるが、そこで謎のシャドー・ローブ様に出会う。ローブ様の助言をもらいながら探索したことで、こびりつきの原因は設備の故障と判明。一行は事件を無事に解決するのだった。しかしエミリコたちは一息つく間もなく、「お披露目」が始まることを知らされる。

庭園迷路

生き人形と主の適性が確かめられる「お披露目」が始まる。この度のお披露目に参加するのは、ケイト・シャドーエミリコを含む5組で、その中にはラムショーンもいた。自らを「特別な生き人形」と称するエドワードが、試験官として彼らを見定めることとなるが、エドワードはお披露目の途中で主たちを引き連れ姿を消してしまう。残されたエミリコたち生き人形は、エドワードが部屋にヒントを残していたことに気づき、それを解いてエドワードを追いかけ庭に向かう。そこでエドワードは庭に隠した主を見つけ出し、制限時間内に主と共に帰って来ることが試験内容だと告げる。エミリコは早速広い庭園を探し始めるが、そこでラム、ショーンと合流。いっしょに行動することを決める。三人はそれぞれの特技を活かすことで主の場所を見つけ、その経験で暗く後ろ向きだったラムは、少しずつ積極的な性格へと変わり始める。そしてそれぞれの主を見つけた三人は再会を約束して、主のもとへ駆け付けるのだった。

いきにんぎょう

生き人形たちはそれぞれ機転をきかせて試験を突破し、主たちと対面を果たす。エミリコケイト・シャドーを見つけるが、ケイトは鳥かご型の檻(おり)に囚われており、ケイトを解放するためには棘(とげ)の木に囲まれたスイッチを押さなければいけなくなる。制限時間がせまりつつも、エミリコは仲間たちの助力もあり、ケイトを助けることに成功する。しかし、すでに刻限は目の前にせまり、エドワードはそんなケイトたちの姿を見て満足する。実はエドワードはケイトを怪しんでおり、最初から彼女たちをお披露目に受からせるつもりがなかったのだ。エドワードはケイトたちが不合格になると思っていたが、二人は庭園の水路を下ることでエドワードの予測を覆し、無事に合格を果たす。そして試験は終わりを迎えるが、そこでたった1組、不合格となってしまう。エミリコと別れたラムは無事に主であるシャーリー・シャドーと合流するも、シャーリーはゴール目前で力尽き、その体は崩れ去ってしまう。残酷なシャドーハウスの真実に直面するケイトとエミリコだったが、合格した彼女たちは、正式にシャドー一族の成人として認められ、「特別な珈琲(コーヒー)」が振る舞われる。そしてケイトは、ラムたちが不合格になったのを知っても笑顔なエミリコに気づく。お披露目の日を境に態度を豹変させたエミリコを見て、ケイトは特別な珈琲が何者かのすす能力で作られた洗脳効果のある「すす入り珈琲」だと推測し、エミリコから珈琲を取り除くことで彼女を正気に戻す。そしてケイトは、生き人形の正体は人間であることをエミリコに話し、二人でシャドーハウスに反逆すると誓いを交わすのだった。

犯人候補

ケイト・シャドーはみんなをシャドーハウスの呪縛から解放することを決めるも、今はまだ知らないことだらけだった。そのため現状はシャドーハウスに従いつつも、味方を増やしていこうと方針を固める。ケイトはまずジョン・シャドーに手紙を渡し、彼に事情を話して、協力を得ることに成功する。ジョンは直感的にショーンの洗脳も解くも、成人した生き人形は1週間に1度、「喜びの会」ですす入り珈琲を飲ませられることを知り、新たに洗脳を解くのは難しいと実感する。すす入り珈琲は星つきが管理しているため、ケイトはまず星つきになることを目指す。そして再び喜びの会を迎えるが、そこでローズマリーが再びすす病を発症し、多くのこびりつきが暴れ始める。そして騒動のどさくさの中、すす入り珈琲は双子のベルによって壊されてしまう。すす入り珈琲がダメにはなったものの、ケイトを敵視するエドワードは、この機会に彼女を排除することを決め、ケイトがこの一連の亡霊騒ぎの犯人だとつるし上げられる。ケイトはその状況を逆に利用し、犯人を探すことを提案。真犯人を見つければ大きな評価をもらえる約束を交わすが、同時に見つけられなければ自分が犯人となってしまう状況となってしまう。

亡霊騒ぎの犯人

ケイト・シャドー亡霊騒ぎの犯人を探すため、仲間たちと共にシャドーハウスを調査する。ケイトはエミリコショーンがかつて会ったローブ様と、クリストファーと呼ばれるシャドーが事件に深くかかわっていると考え、その正体を探り始める。パトリック・シャドールイーズ・シャドーたち同期の力も借りて、情報を集めたケイトは、当初はクリストファーこそがローブ様と考えていたが、その考えを否定する。そしてエミリコは事件の被害者であったローズマリーの主であるマリーローズこそがローブ様の正体で、亡霊騒ぎの犯人であると特定するのだった。ケイトと同じくシャドーハウスの真実を知り、現状を変えたいと思っていたマリーローズであったが、シャドーと生き人形を一体化する「お呼ばれ」をされてしまったため、すでに時間に猶予がなく、ローズマリーをこびりつきに襲わせすす病にすることで時間稼ぎしていたのだ。その正体を現したマリーローズは、ローズマリーを守るべく、シャドーハウスを強行突破して脱出しようとする。大量のこびりつきを出してケイトたちに襲い掛かり、一行を翻弄するが、仲間たちと力を合わせたケイトたちに敗北。こうして犯人のマリーローズとローズマリーは捕まり、亡霊騒ぎは終局を迎えるのだった。

管理者の思惑

マリーローズローズマリーは捕まり、エドワードに引き渡される。昔からの顔見知りである三人はお互いに言葉を交わすものの、心は通じ合うことはなく、マリーローズは連行のさ中、あらかじめ設置していた大量のすすを使いこびりつきを発生させる。しかし、エドワードにその力は通用することもなく、彼女たちは最後の力を振り絞って連行されていた栄光の廊下を破壊し、崖下に身を投じるのだった。だがそれはケイト・シャドーの作戦で、マリーローズはエドワードたちの脅威をケイトたちに見せつつ、崖下にこびりつきを発生させることで一縷(いちる)の望みを懸けてシャドーハウスから脱出したのだった。そしてケイトの前に再び現れるローブ様。ケイトはクリストファーの存在を気に掛けていたが、同時に彼の生き人形の行方もわからなくなっており、新たなローブ様の正体はクリストファーの生き人形、アンソニーであると看破する。そしてアンソニーはケイトに仲間になるよう提案し、そのまま姿を消すのだった。一方、マリーローズに逃げられたため、失点を抱えてしまったエドワードは、前任者のトマスからも失点を責められたため、それを雪(そそ)ぐためにもケイトの反逆の証拠をつかもうと考える。しかし、星つきバーバラたちはそんなエドワードの行動を怪しみつつ、すす入り珈琲亡霊騒ぎでダメになったのをエドワードに秘密にしているため、彼への警戒心を強める。こうしてシャドーハウスは亡霊騒ぎを解決させたものの、一行の思惑が絡み合い、複雑な様相を呈していく。

顔の見えない人形

エドワードは「こどもたちの棟」に視察のために訪れ、子供たちと一人一人面会する。そして甘言を弄することで、サラ・シャドーダグラスを味方に引き込み、「こどもたちの棟」の内情に踏み込んでいく。生き人形たちがすす入り珈琲を飲んでいないことを知ったエドワードは、すす入り珈琲を用意し、明朝喜びの会を行うよう指示する。一方、ケイト・シャドーはすす入り珈琲が2週間以上飲まれていない状況が生まれ、これをマリーローズが自分たちに託した好機と判断。ルイーズ・シャドーのひょんな一言から、すす入り珈琲の場所を知ったケイトは、これをすり替えようとする。ケイトとエミリコは協力して保管庫に忍び込むも、保管庫には星つきスザンナがいた。エミリコはスザンナの目を盗んで珈琲をすり替えるが、スザンナは侵入者に気づき、見つかりそうになってしまう。しかしそこにこびりつきが現れ、エミリコは騒動のどさくさに紛れて脱出。また脱出の最中、謎の顔の見えない人形が二人の脱出の手助けをしてくれるのだった。無事に目的を果たし、部屋に戻ったケイトたちは、顔の見えない人形から手紙を渡され、その正体がお披露目に落ちて以降、行方不明だったラムだったことを知る。ラムはお披露目のあとエドワードに捕まったが、シャーリー・シャドーは実はすす能力に目覚めて生き残っており、シャーリーの力を借りることで洗脳されることもなく、シャドーハウスに反逆するチャンスを虎視眈々(たんたん)と狙っていた。ケイトたちの真意を理解したラムは、裏から彼女を助け、手紙で現状を伝えてきたのだ。それを知ったエミリコたちは新たな仲間に心強い気持ちを抱くのだった。また、珈琲のすり替えによって生き人形たちは少しずつ意識が変わっており、リッキーは自分の名前こそが「パトリック」であることを思い出すのだった。

コラボレーション

motto cafe

2021年9月、「motto cafe」池袋店と本作『シャドーハウス』がコラボレーション企画を開催。本作に登場したすす入り珈琲もコラボメニューに追加され、SNS上で話題になった。またコラボカフェでは、本作の多数のオリジナルグッズも予約販売されている。

メディアミックス

TVアニメ

2021年4月から7月にかけて、本作『シャドーハウス』のTVアニメ版『シャドーハウス』がTOKYO MX、BS11、AT-X、インターネット配信ほかで放送された。製作はCloverWorksが担当している。キャストは、エミリコを篠原侑、ケイト・シャドーを鬼頭明里が演じている。ほかのキャストは、ジョン・シャドーショーンを酒井広大が演じるといったように、シャドーと生き人形の一人二役が多い。アニメ版の内容は不思議な顔のないシャドーが住まうシャドーハウスで、シャドーの少女、ケイトと生き人形の少女、エミリコが絆を育み、やがて館の真実にせまっていく内容となっている。原作の内容を忠実に再現しつつ、アニメ後半はオリジナル展開に突入し、原作に先駆けてケイトとエドワードの対決が描かれている。アニメオリジナルストーリーは作者のソウマトウが原作の初期プロットを流用して作った脚本で、ソウマトウはTwitterで「こんな展開の可能性もあったんだな」という気持ちで見て欲しいと語っている。2021年9月にはアニメ第2期の制作が発表され、2022年7月から放送された。

その他

「ダ・ヴィンチ」2020年10月号「次にくるマンガ大賞2020」特集にて俳優の高杉真宙が「次にくるマンガ」として本作を挙げた。

登場人物・キャラクター

エミリコ

ケイト・シャドーに仕える生き人形。長く伸ばした金髪をツーサイドアップテールにセットした少女の姿をしている。明るく無邪気な性格で、誰とでもすぐになかよくなることができる。しかし生き人形としての常識がなく、突拍子のない行動を取ったりするため、ほかの生き人形からは「失敗作」や「お花畑」とバカにされることも多い。文字があまり読めないため、ケイトに教えてもらって少しずつ覚えている。生き人形は余計なことを考えないようにと教えられているため、「考えないノート」に毎日物事を日記のように綴っている。頭脳は劣るものの、ロープの上を渡ったり、高所から落ちても大丈夫だったりと、身体能力は小さい体に似合わず非常にパワフル。仕事では失敗も多いが、エミリコなりに改善案を出したり、失敗から思わぬ発想を思いついたりするため、その型破りさを認める者もいる。同期の中でもショーンやラムと仲がよく、ルウとは同じ班。リッキーからは見下されているが、リッキーの主であるパトリック・シャドーとはお披露目での交流を通して好意を持たれるようになった。食いしん坊で、おいしいものが大好き。特にケイトたちシャドーが食べている「おいしすぎるパン」が大好物で、ケイトから時々もらっている。ケイトが大事にした人形を汚して、彼女に初めて叱られた際、仲直りのためにケイトの人形の服を仕立て直し、ケイトからもらった服とケイトのすすを使って「パンちゃん」という人形を作り、いつもポケットに入れている。お披露目合格後、すす入り珈琲を飲まされて洗脳されるが、ケイトの機転に助けられ洗脳から解放される。その後はケイトからシャドーハウスの真実を教えられ、共に戦うことを誓う。亡霊騒ぎ解決後は10班の班長となり、失敗しつつも班のまとめ役として奮闘している。

ケイト・シャドー

シャドー一族の少女。エミリコの主。優しく大人びた性格で、失敗の多いエミリコを温かく見守っている。私室に置いている人形が宝物で、ふだんはエミリコの失敗も許しているが、エミリコが人形の服を汚した際には激怒した。しかし自分のミスもあったと思い直し、エミリコが人形の服を仕立て直したことで仲直りした。放出するすすの量は多く、部屋には「すすつらら」ができるほど。エミリコはケイト・シャドーのすすを使って「パンちゃん」という人形を作っている。また、無意識にこのパンちゃんを動かしたことで、自分のすす能力の目覚めにも気づいた。すす能力は自らのすすを自在に動かす能力で、パンちゃんを自在に動かしたり、物を取り寄せたり応用範囲の広い力となっている。反面、攻撃力はなく、離れた場所になればなるほどすすのコントロールは難しくなるなど弱点も存在する。実はシャドーの中でも特別な個体で、人間に擬態する前のモーフだった時代の記憶を持っている。このためシャドーハウスの真実を知っており、人間を生き人形にし、その顔を奪うシャドーハウスの方針には強い敵愾心(てきがいしん)を抱いている。しかし思慮深いため、自分の存在が異物であるのも理解しており、シャドーハウスのすべてを疑い、周囲に決して心を開かない部分がある。このためにすす能力も、お披露目でギリギリのピンチに陥るまで秘密にしていた。エミリコの天真爛漫さと素直さに影響を受け、自分の疑り深さが敵を作っていると反省し、お披露目後はエミリコに秘密を打ち明け、積極的に周囲と交流し、味方を増やそうとしている。エドワードには不穏分子として疑われており、亡霊騒ぎでは犯人にされかかるが、そのピンチを逆に利用して真犯人を見つけたことで、星つきに評価され、事件解決後は10班の班長となる。

ミア

サラ・シャドーに仕える生き人形。ベージュ色の髪を長く伸ばした少女の姿をしている。明るく快活な性格で、自分の班に配属されたエミリコを先輩としてかわいがっている。ミアの部屋はエミリコの部屋の真上にあるため、何かとエミリコを気に掛けており、窓を通じて手紙をやり取りしたりしている。お披露目が済んでおり、生き人形としては優秀。そのため主の顔として、主の意向を反映して表情や仕草を息ぴったりにマネることができる。このため、サラがいる場所ではふだんの快活さがなくなり、他者を見下した言動が多くなる。主との関係はかなり歪(いびつ)で、隠しているが、その体にはサラから受けた多数の折檻痕が存在する。亡霊騒ぎ後は、ケイトが班長となったため、反感を抱いたサラの影響で、ケイト・シャドーやエミリコとは対立関係となる。この際、エドワードにすす入り珈琲を直(じか)に飲まされ、さらにサラが懐柔されたことにより、ケイトとエミリコの弱みを握るべく行動するようになる。

サラ・シャドー

シャドー一族の少女。ミアの主で、ダグラスたちとは同期。嫉妬深く、上昇志向の強い性格で、星つきを目指している。生き人形としての振る舞いができないエミリコを見て「失敗作」と言い放ち、その主のケイト・シャドーも見下している。また何かと理由をつけてミアに「成長の機会」と称して折檻(せっかん)をしており、ミアの体中には多くの打撲痕を残している。また、ミアがエミリコに構っているのも快く思っていない。そのため、ふだんは気がいいミアも、サラ・シャドーがいっしょだとサラの意を反映した行動を取ることが多い。ケイトとエミリコが自分たちの班長になった際には大きく取り乱し、彼女たちに一層隔意を持つようになる。エドワードが視察した際に、その心の隙間を突かれ、双子のベルがすす入り珈琲の瓶を割ったことをエドワードに報告。さらにケイトを陥れるため、彼女の行動を監視するようになる。

ローズマリー

マリーローズに仕える生き人形。茶色の髪を長く伸ばし、リボンで一つ結びにした少女の姿をしている。マリーローズとは息ぴったりの関係で、ダンスの際には女性のステップを担当し、マリーローズが男性のステップを担当する。おっとりした性格で優しいが、要領が悪いことから、バービーには「ぼんくら」とバカにされている。エミリコと同じ班で、新入りのエミリコを気に入り、彼女にシャドーハウスのことを教育した。亡霊騒ぎが起きた際、こびりつきからエミリコをかばって取り憑かれてしまい、エミリコの機転によって助けられたものの、すす病となってしまう。すす病は治療されたが、喜びの会で再びすす病を発症。大量のこびりつきを生み出して、場を混乱させた。亡霊騒ぎの被害者とされていたが、実は犯人であるマリーローズとは共犯者の関係。一体化のため「お呼ばれ」されたため、マリーローズはローズマリーを守るため、彼女をすす病にしてお呼ばれを先延ばしにしていた。マリーローズの正体がバレた際、彼女と共にケイト・シャドーと戦うも、敗北して捕まった。その後、マリーローズがこびりつきで栄光の廊下を破壊した際、彼女と共に廊下から崖下に飛び降り逃亡する。

ルウ

ルイーズ・シャドーに仕える生き人形。赤毛の髪を肩で切りそろえた少女の姿をしており、整った容姿をしている。主に従うのを是とする生き人形らしい性格で、寡黙でつねに無表情。しかしルイーズの命令には忠実で、ルウの顔が大好きなルイーズの命令に従って表情をコロコロ変えたりする。エミリコとは同期で同じ班。要領よく仕事をこなしているが、アクシデントには弱い部分があり、突飛な発想でアクシデントを乗り切るエミリコには感心しており、仲がいい。お披露目では終始評判がよく、成績優秀者の特権として一番手に持ち出しできる道具の中からハサミを選び、庭園での主探しでも一番にクリアしている。主探しでは途中までリッキーと行動を共にし、ルイーズを見つけたあとは、こっそりハサミをリッキーに手渡し、彼を助けている。ふだんはあまり感情を表に出さないが、エミリコやリッキーには時おり、素の態度で接している。

ルイーズ・シャドー

シャドー一族の少女。ルウの主で、ケイト・シャドーたちとは同期。明るく奔放な性格で、かなりのおしゃべり。楽しいことや美しいものが大好きで、自分の顔であるルウを飾りつけるのが好き。端から見ると自分本位でわがままに見えるが、その行動に悪意はなく、裏表もない。ルウもルイーズ・シャドーの思い付きに振り回され、疲弊していることもあるが、周囲からそれを注意されたらきちんと耳を傾け、ルウを労(いた)わる素直さを持っている。よくも悪くもマイペースであるため、誰にでも分け隔てなく接し、他者の懐に入るのがうまい。みんなが畏れるベンジャミンにもためらわず接しており、彼の助言を受け、いっしょにトレーニングする仲となっている。また気難しいサラ・シャドーもルイーズにはふつうに接する。お披露目以降はすす能力に目覚め、生き人形の感情や表情をあやつる能力を得る。

バービー

バーバラに仕える生き人形。ボリュームのある薄い水色の髪を長く伸ばし、黒いリボンをたくさん付けた少女の姿をしている。非常に攻撃的で、つねに怒ったような表情をしている。星つきであるバーバラの生き人形であるため、子供の生き人形のまとめ役のような立場で、厳しい態度で子供たちに接している。エミリコたちにも厳しく接しており、彼女のことを「お花畑」と呼んで蔑んでいる。実は昔はエミリコのように明るく、天真爛漫(らんまん)な性格をしていた。バーバラは体が弱く、同年代の中では落ちこぼれ扱いされていたが、すすの量がシャドーたちの中でも屈指のもので、マリーローズとクリストファーにそれを認められ心強い思いを抱いていた。同期のマリーローズとバーバラは共に大人になる約束を交わしていたが、突如マリーローズがやる気を失い絶望した。バーバラはクリストファーもいなくなったことで孤独に苛(さいな)まれ、すすを暴発させてしまう。この際の暴発に巻き込まれ、バービーは顔に大きな傷を負ってしまう。これによって一体化ができなくなり、大人になれないと通告されてしまう。本来であれば処分されるところだが、バーバラはシャドーの中でも最大のすすの放出量を誇るため、子供たちのまとめ役として残されることとなった。バービーも主の苦悩を人一倍身近で感じており、心を鬼にして子供たちのまとめ役として行動している。一方で仲間を守るため、一生懸命がんばるエミリコの姿には思うところがあるようで、ベルの処分が検討された際に、必死に食い下がるエミリコを軽い処分だけで済ませたりしている。

ショーン

ジョン・シャドーに仕える生き人形。黒い髪をした少年の姿をしており、冷静沈着な性格をしている。近眼だが、生き人形は主に合わせなければならないため、眼鏡をかけられずにいる。目が悪い分、嗅覚と聴覚が鋭い。のちにショーンの現状を気づかったジョンが、伊達(だて)眼鏡をすることで眼鏡をかけられるようになったが、公的な場では周囲の目があるため相変わらず裸眼でいることが多い。バービーがエミリコを叱ったのを邪魔したため、バービーからの印象は悪く、エミリコたちと共に深夜の見回りを課せられる。この出来事をきっかけにエミリコ、ラムと仲を深め、お披露目でも彼女らと行動を共にしている。一方でリッキーとは仲が悪く、会うたびにケンカをしている。冷静沈着なため、自由奔放なエミリコやジョンのストッパー役になることが多い。お披露目後はすす入り珈琲を飲んで洗脳されていたが、ジョンと殴り合いのケンカをしたことで洗脳から解放される。すす入り珈琲の影響が薄くなってきたことで、自分の本来の名前が「ジョン」であることを思い出す。

ジョン・シャドー

シャドー一族の少年。ショーンの主で、ケイト・シャドーたちとは同期。頭はあまりよくないが、まっすぐで自由奔放な性格で、ショーンからはよく小言を言われて注意されている。生き人形は主に合わせるものだが、近眼のショーンを気づかって自ら眼鏡をかけるなど、型破りながら気づかい屋な一面もある。ケイト・シャドーに一目惚れし、彼女にプロポーズしては邪険に扱われている。直感的な言動が多いため、ショーンにも理解不能な言動をするが、フィーリングが近いのかエミリコはジョン・シャドーの言動をよく理解している。お披露目では自力で脱出するも、服を汚してしまったため失格になりかける。しかしショーンが地図の仕掛けに気づき、すす取りの間を見つけたため、無事に合格する。また試験中、すす能力にも開花し、すすを相手にぶつけることで破壊する攻撃能力を身につけた。生み出すすすの量もかなりのもので、全力で撃てば大岩をも破壊することができるが、射程が短いのが弱点となっている。ケイトからはプロポーズしてくるのを厄介に思われながらも、そのまっすぐさは信頼されており、お披露目後、手紙をもらって真っ先にシャドーハウスの真実を知らされ、仲間に加わる。当初はシャドーハウスの真実に困惑したが、洗脳したショーンを目の当たりにし、彼の洗脳を解く決心をする。ショーンとは殴り合いをして、その洗脳を解いた。殴り合いは完全に考えなしの行動で、その場の勢いでやったが、これが結果的に生き人形の主に手をあげてはならないというルールを破り、ショーンを怒らせることで洗脳を解く効果があった。

リッキー

パトリック・シャドーに仕える生き人形。金色の髪をオールバックにセットした少年の姿をしており、幼いながら自信家で、嫌みな性格をしている。頭はいいが、他者を格付けし、上位者には甲斐甲斐(かいがい)しく仕え、自分より立場の下の人間にはあからさまに見下した態度を取る。このため星つきたちからの評価は高いが、エミリコやショーンに対しては辛らつに接する。特にショーンとは犬猿の仲で、よくケンカをしている。お披露目でもうまく立ち回っており、庭園での主探しではルウに近づいて、彼女を利用している。しかし一方で、ルウが純粋にお礼をしてくれたことや、ショーンと対立しつつも主への忠誠心を吐露したことによって、人間味がある行動も取るようになった。お披露目に合格したあとは、亡霊騒ぎで手柄を得るため、情報を集めてケイト・シャドーたちを手伝っている。嫌みな言動が多いが、ケイトへの忠誠心は高く、生き人形らしい生き人形として評価されていたが、ケイトたちの活躍ですす入り珈琲の洗脳から解放され、次第にシャドーハウスの現状に不信を募らせていく。そして遂にシャドーハウスに来る以前の記憶を思い出し、自分が人間であること、自分の名前こそが「パトリック」であることを思い出す。自分の名前を名乗る主に不信感を募らせ、ほかのシャドーのことも怪しんでいるが、主が自分の体調を気づかった際の真摯な態度を見て、主のことだけは信じてみようと思い直している。

パトリック・シャドー

シャドー一族の少年。リッキーの主で、ケイト・シャドーたちとは同期。プライドが高く、リッキーにも自分の立ち振る舞いを徹底して教え込んでいる。リッキーのことを優秀だと思っており、自分の考えが足りない時は、積極的に彼から助言をもらったりしている。ふだんは尊大な態度を取っているが、一方で繊細で傷つきやすい一面があり、リッキーからもその部分を心配されている。お披露目会ではエドワードに狭い箱に閉じ込められて心細くなり、たまたま通りかかったエミリコの励ましと、彼女からもらった花の香りに癒やされる。当初は「エミリコ」のことを「お花畑」と呼んで見下していたが、この出来事で大きく心変わりし、彼女に好意を持つようになる。そのためリッキーが合流したあと、わざわざケイトのもとに寄り道し、リッキーにルウからもらったハサミをエミリコに渡すように頭を下げてお願いしている。自分でもエミリコへの恋心で、考え方が変わっているのを実感しており、彼女への思いは秘して表に出さないよう決めている。また他者を見下してはばからない人物だが、リッキーのことは本当に信頼しており、彼の様子がおかしくなった際には真摯に彼を心配している。お披露目でエミリコから花をもらって以降、花に興味を持っており、自分で育て始めている。

ラム

シャーリー・シャドーに仕える生き人形。黒い髪を短く切りそろえた少女の姿をしており、おとなしそうな雰囲気を漂わせている。引っ込み思案で、人見知りが激しいため、リボンを付けた左手の人指し指に「ラミー」と名づけ、ラミーと自問自答する癖がある。そのような性格であるため、自分から主との関係に踏み込むことができずいる。シャーリーとは会話したことがなく、おやすみのキスもしたこともない。そのため通常は主から名前をもらうが、シャーリーから名づけられなかったため、「ラミー」を由来に、自分に「ラム」という名前を付けた。要領も悪く、班員からは「無能」と言われていじめられており、生き人形の中でも孤立しがち。エミリコたちと共にお披露目に参加し、明るく屈託のないエミリコと偶然合流し、彼女の言動に流されるまま行動を共にしている。がんばり屋のエミリコと寡黙なラムの相性はよく、エミリコの行動に触発されて、もともと消極的だったラムも積極性を見せるようになる。また、頭の回転が非常に速く、歩いた距離や時間を正確に把握し、複雑な計算も暗算でできるため、エミリコの行動をその頭脳でフォローしている。エミリコの明るさに励まされて、お披露目で前向きに成長し、シャーリーともついに心通わすことに成功するが、お披露目でゴールすることができず、シャーリーの体が崩れ去ってしまう。このため失格となり、顔の見えない人形にされてしまう。エドワードにすす入り珈琲を飲まされ続け、自我を奪われそうになるが、実はシャーリーは小さなモーフの姿になって生きており、口の中に含んだシャーリーが代わりにすす入り珈琲を飲むことで回避していた。またシャーリーはすす能力にも目覚め、彼女の変身能力を利用して、シャドー一族の真実を知ることとなる。シャーリーはしゃべることができなくなったが、ラミーのリボンに変身してラムの人差し指に付くことで、心で会話することができる。顔の見えない人形のふりをしてシャドーハウス内で仕事しており、エミリコがすす入り珈琲をすり替えに侵入した際に、それを助けて自分の無事を彼女に伝えている。

シャーリー・シャドー

シャドー一族の少女。ラムの主で、ケイト・シャドーたちとは同期。ほかのシャドーたちと違い、すすがほとんど出ず、会話や行動もほとんどしない。ラムの名づけも行わず、まともに交流しなかったが、お披露目で初めて「ラム」の名前を呼び、心を通わせる。お披露目ではラムに助け出され、彼女と共にゴールを目指すが、その道中に体が崩れ去り、失格となってしまう。実はシャドーとなったモーフの中でも未熟な個体で、人格を模倣できず、生命力が弱い状態だった。エドワードはシャーリー・シャドーの限界を見抜き、そのまま消滅すると思っていたが、お披露目のあと、モーフの姿となって生存していた。手のひらに乗る程度の小さなモーフだが、人格に目覚め、すす能力にも目覚めている。目覚めた能力は、自分の出したすすを身にまとって変身する能力で、小さなものにしか変身できないが、要所要所で活躍している。ラムのことを大切に思っており、彼女を助けるため、変身能力と小さな体を駆使してシャドーハウスを駆け回っている。ケイトが、シャドー一族の秘密を打ち明けた際にもコッソリそれを聞いており、ラムがすす入り珈琲を飲まないように、自分が代わりに飲む提案している。モーフの姿となって以降はしゃべることができなくなったが、ラミーのリボンの姿となって、ラムの人差し指に巻き付くことで、心で会話することができる。エミリコがすす入り珈琲をすり替えに侵入した際には、こびりつきの姿に変身して彼女を助けた。さまざまな場所に潜入して情報を集めているが、シャドーハウスのおじい様と共にある棟の2階より上は、恐ろしくてまだ近づけずにいる。

偉大なるおじい様 (いだいなるおじいさま)

シャドー一族の長を務める男性。シャドー家の一員として認めるか否かを決めるお披露目を取り仕切ったり、生き人形を与えるかどうかを決める権限を持つ。また、一族に相応しくないと判断した相手を排除することもある。生き人形が人間のように意志を持って動けるのも、偉大なるおじい様が力を与えているからである。シャドーハウス内で生活しているが、人前に姿を現すことはほとんどない。生き人形からは「シャドー家を統率するシャドーハウスの王・私たち生き人形の生みの親・偉大なる想像主様」と呼ばれているが、名が汚れる可能性があるとその名でさえ滅多に口にすることは許されない。

エドワード

特別な生き人形の一人。ケイト・シャドーたちのお披露目の試験官を務めた。アッシュブロンドの髪をオールバックにセットし、上品なスーツを身にまとった青年で、優秀だが非常に神経質な性格をしている。観察力が鋭く、他者の性格を読んで試験を用意するが、予想外のことがあるとうろたえる打たれ弱い一面がある。また完璧主義者であるため、仕掛けも大がかりなものになりがちで、お披露目のために庭園丸ごと一つ用意した際には、3階の住人から「ガーデナーになるつもりか」と呆(あき)れられている。その正体は生き人形と一体化したシャドーで、シャドーハウスの2階の住人。すす能力や一体化は子供のシャドーには秘密であるため、特別な生き人形と偽って彼らに接している。シャーリー・シャドーが未熟な個体であることを見抜き、彼女を試験に落とすことは、試験前にすでに決定済み。また、ケイトも不穏分子として怪しんでおり、彼女も落とすつもりでいた。お披露目合格後も、ケイトのことは怪しんでおり、たびたび彼女たちに干渉し、その尻尾をつかもうとしている。上昇志向が強く、お披露目も試験官として3階の住人たちに自分の有能さをアピールするつもりでいる。お披露目は予定外のことがあったものの、結果的に偉大なるおじい様に評価され、「こどもたちの棟」の管理人となる。クリストファーとは同期の関係で、かつては「エド」という名の生き人形を従えていたが、一体化によってその顔を奪っている。すす能力は音をあやつる力で、これによって声を変えたり、不快な音で相手を攻撃することができる。

マリーローズ

シャドー一族の女性で、ローズマリーの主。男装の麗人で、明朗快活な性格をしている。ダンスが大好きで、ダンスの際にも自分が男性のステップをし、ローズマリーに女性のステップをさせて以心伝心に踊る。シャドーハウスの子供たちの棟では最年長で、バーバラとは同期。実はローブ様の正体で、亡霊騒ぎを引き起こしていた犯人。ケイト・シャドーと同じくモーフだった頃の記憶を持つ特別な個体で、すす入り珈琲の秘密に気づき、信頼できるローズマリーとクリストファー、アンソニーに秘密を明かした。しかし、一体化の秘密を知ったクリストファーが自殺。自分が軽々しくすす入り珈琲の洗脳を解いたせいで、クリストファーが自殺したことに思い悩み、その事実を口に出すこともできず、完全に孤立してしまう。また、ローズマリーのことを本当に大切に思っており、マリーローズ自身も一体化によってローズマリーを殺さなければいけない事実に直面し、わざと成績を落として、一体化を先延ばしにしていた。そんな中、こびりつきをあやつるすす能力に目覚める。すす能力を使って仲間を集めようとしたが、一体化を行う「お呼ばれ」が目前にせまったため、やむを得ずこびりつきにローズマリーを襲わせ、亡霊騒ぎを引き起こすことで時間稼ぎを行った。すすからこびりつきを生み出すことができるが、自らが生み出せるすすの量は少ない。しかし、他者のすすからでもこびりつきは生み出せるため、敵の攻撃を利用してこびりつきを生み出すこともできる。ケイトに正体がバレるものの、すす能力を使って彼らを圧倒。だが仲間たちと連携したケイトに敗北し、捕まる。エドワードに引き渡されるが、栄光の廊下に足を踏み入れた瞬間、すす能力を使って彼らに襲い掛かる。実はエドワードを襲撃するため、すすをあらかじめ運び込んでおり、こびりつきを使って廊下を破壊。ケイトの発案で襲撃にアレンジを加え、崖下にこびりつきを配置し、一縷(いちる)の望みを懸けて廊下から崖下に飛び込んで脱出する。

バーバラ

シャドー一族の少女。バービーの主で、星つきとして子供たちのまとめ役を担っている。バービーと違って実直な性格で、物腰は非常に丁寧。しかし厳しく怒りっぽいところは同じため、周囲からは苦手意識を抱かれている。実はマリーローズとは同期の関係。もともとバーバラは体が弱く、同年代の中でも落ちこぼれだったが、マリーローズにすすの量がすごいことを見いだされてからは、自信を持つようになる。マリーローズのことを信頼し、彼女といっしょに大人になる約束をしていたが、マリーローズの心変わりで失望。尊敬していたクリストファーもいなくなってしまったため、孤独に苛まれて絶望してすすを暴発させてしまい、自らの生き人形であるバービーに大ケガを負わせてしまう。バービーの顔に傷跡が残ったため、大人になることが難しくなる。通常なら処分が検討されるが、バーバラの生み出すすすの量はシャドーハウスの総量の6割にも及ぶために処分されず、トマスによって子供たちのまとめ役としての役割が課せられることとなった。現在は星つきのリーダーとして振る舞っており、亡霊騒ぎではケイト・シャドーを犯人として怪しみつつも、事件を解決した際にはきちんと評価してケイトを班長に任命している。一方でベルを犯人として断定し、それが結果的に片方のベルの衰弱死を招いたことに責任も感じている。かつての出来事以降、すすを暴発させてしまう「発作」を時々起こすようになっている。

クリストファー

シャドー一族の男性。アンソニーの主で、エドワードたちとは同期の関係。かつての星つきのリーダーを務めており、みんなから慕われていた非常に優秀な人物。マリーローズやバーバラからも慕われ、マリーローズからシャドーハウスの真実を打ち明けられ、彼女の言葉に共感し、アンソニーの洗脳を解いている。実は正気に戻ったアンソニーが優秀だったため、自分は補佐に回り、アンソニーこそが同世代の陰の主役ともいえる存在となっていた。クリストファーがリーダーだった頃は、「最高の世代」といわれるほどみんなが幸せだったが、クリストファーはお呼ばれのあと、一体化の真実を知って自殺。お呼ばれされたシャドーは帰ってこないため、子供たちの棟ではそのまま大人になったと思われている。しかしクリストファーがいなくなったことで、絶望したバーバラが発作を起こすようになったのもあり、子供たちの棟ではその名はタブー扱いされている。

アンソニー

クリストファーに仕えていた生き人形。エドワードたちとは同期で、当時、星つきのリーダーを務めていたクリストファーと並び、同年代の中心的な存在だった。マリーローズにも信頼され、すす入り珈琲の秘密を打ち明けられ、珈琲を飲むのを止めたことで、洗脳から解放されている。しかし「お呼ばれ」されたことで一体化の秘密を知り、クリストファーはその事実に耐えられなくなって自殺。アンソニーは一人逃げ帰り、マリーローズにその事実を伝えた。その後、マリーローズとは協力関係にあり、ローブ様の共犯者として活動している。しかし、シャドーハウスから逃げ出すことを選んだマリーローズを見限っており、最低限の協力はしているものの、それ以上踏み込もうとはしていない。現在は「人間」としてシャドーハウスと戦うつもりで、マリーローズが脱出して以降は、ケイト・シャドーの目の前に姿を現し、自分の「生徒」になるように彼女に提案する。

スザンナ

シャドー一族の女性。スージーの主で、星つきの一人。気さくで明るい性格をしており、気に入った人間の体をさする癖がある。救護班の班長と子供たちのすす能力の指導役を務め、ケイト・シャドーやジョン・シャドーの指導を担当した。すす能力はすすの膜を広げる能力で、このすすに触れたものの動きを感知することができる。ある程度離れた場所にも設置できるため、警報装置の代わりにもできるが、遠隔操作は多大な集中力が必要となるために1か所しか設置できない。責任感が強く、同じ星つきへの仲間意識も強いため、仕事に対しては人一倍入れ込んでいる。そのためふだんは気さくだが、仕事での失敗には厳しく、怒った際にはふだんからは考えられないほどの豹変ぶりを見せる。亡霊騒ぎで双子のベルがすす入り珈琲の瓶を割った際には大きく動揺し、周囲に当たり散らした。仲間と子供たちを守るための使命感が強く、新たなすす入り珈琲は必ず守るべく、厳重に管理している。

スージー

スザンナに仕える生き人形。黒い髪をシニヨンにした女性の姿をしている。主に忠実な生き人形で、優秀なためにスザンナから色々任されることもある。しかし、亡霊騒ぎでは判断ミスですす入り珈琲を失ってしまったため、スザンナから責められている。すす入り珈琲を失ったため、新たなすす入り珈琲は必ず守るべく、厳重に管理している。

ベンジャミン

シャドー一族の男性。ベンの主で、星つきの一人。ベンと共によくトレーニングをしているため、主従そろって体格がよく、力が強い。そのため、ほかのシャドーたちから恐がられている。実際、クリストファーの名をつぶやいたマリーローズに詰め寄ったりなど荒っぽい言動をしているため、周囲から反感を買っている。しかしその実、非常に仲間思いで、バーバラにフォローを入れたり、ふだん体を鍛えるのも仲間を守りたい一心だったりするため、星つきからは頼りにされている。また、自分に物おじせず近づいてくるルイーズ・シャドーと交流を育んでおり、自分の助言でトレーニングに興味を持ったルイーズとはよくいっしょにトレーニングする仲となっている。すす量は多く、すすを吸わせた生き人形の士気を高める精神操作系のすす能力を持つ。

ベン

ベンジャミンに仕える生き人形。筋骨隆々とした青年の姿をしている。無口で表情に乏しく、よく主のベンジャミンといっしょにトレーニングをしている。体格に見合ったパワーを持ち、亡霊騒ぎで真っ先にこびりつきの前に立ちはだかり、格闘戦でこびりつきを倒している。

オリバー

シャドー一族の男性。オリーの主で、星つきの一人。ハイブリッジの眼鏡をかけ、好奇心旺盛な性格をしている。研究班に所属しており、発明が大好きで、香水やすす回収用の道具などさまざまなものを開発している。ほとんど研究室に入り浸っており、自分の部屋にもあまり戻らないほど。自分の発明品になると非常に饒舌になるが、作ることに夢中になりすぎて、部屋の入り口より大きな道具を作って持ち出せなくなったりと抜けた部分がある。リディア、ジェレマイアとは同期で仲がよく、よくいっしょに研究しているが、周囲からは変人ばかりだと言われている。すす回収機「オリバー2号」を使いこなしたエミリコを、「スーパー生き人形」と評して気に入っている。また、その主のケイト・シャドーのことも話をきちんと聞いてくれるために気に入っており、彼女たちがいつでも来れるように研究室の合鍵を渡している。また、エミリコに何かと便利なアイテムを融通してくれたり、口が軽いためにケイトに重要な情報を教えたりしている。すす能力は詳細不明だが、発明品を動かす力がある。

オリー

オリバーに仕える生き人形。主と同じデザインのハイブリッジの眼鏡をかけ、黒髪の少年の姿をしている。主と同じく好奇心旺盛な性格で、実験室では主を「先生」と呼び、その助手を務めている。すす回収機「オリバー2号」を使う際には、動力として主のすす能力を使うため、主にその操縦を担当する。オリバー2号を使いこなしたエミリコのことは主と共に気に入っており、彼女が研究室に来た際には歓迎している。

リディア

シャドー一族の女性で、リディの主。オリバーとは同期の関係で、同じ研究班に所属している。貴族として振る舞うシャドーにあるまじき毒舌の持ち主で、リディアの不興を買うと恐るべき罵倒が飛んでくる。子供たちの棟で使われる香水の管理を担当しており、研究室でも香水を主に研究している。研究室の人間の例にもれず、自分の好きなものに対しては饒舌で、亡霊騒ぎの調査をしていたケイト・シャドーたちにシャドーハウスの香水事情を教え、調査を助けている。

リディ

リディアに仕える生き人形。黒灰色の髪を長く伸ばした女性の姿をしており、目つきが鋭く、威圧的な雰囲気をまとっている。アンナ曰く、主と同じく毒舌の持ち主とのこと。

ジェレマイア

シャドー一族の男性で、ジェレミの主。オリバーとは同期の関係で、同じ研究班に所属している。非常にマイペースな性格で、周囲が大騒ぎしている中でも眠り続けていたり、唐突に食事を始めたりする変わり者。また寡黙で必要最低限のことしかしゃべらないため、ジェレミが主の言葉を翻訳して他者に伝える。エネルギーを専門に研究しており、現在はこびりつきを大量に捕まえて研究している。そのためジョン・シャドーからは一度、亡霊騒ぎの犯人ではないかと疑われるが、意外とノリがよく、その嫌疑にかこつけてジョンをからかっている。ジョンをからかったあとは、その代わりにこびりつきの生態を教え、亡霊が誰かのすす能力ではないかとの見解を伝えている。すす能力はすすで無数の手を作る力で、ジェレマイアは「蜘蛛手」と名づけている。また、ジョンはこのネーミングに影響を受け、自分のすす能力を「ジョンパンチ」と命名した。

ジェレミ

ジェレマイアに仕える生き人形。灰色の前髪を長く伸ばし、右目を隠している青年の姿をしている。ジェレマイアと同じくマイペースな性格で、突拍子のない行動を取っている。言葉足らずな主の言葉を翻訳して伝える役割を担っているが、どうでもいいことまで翻訳して伝えるために周囲からは不評を買っている。

アンナ

シャドー一族の少女。ナンシーの主で、オリバーと同じ研究班に所属している。大きな丸眼鏡をかけており、何事にも及び腰で、おどおどした態度を取っている。紅茶を淹れるのにすら不安になるため、それを飲まされる側も心配になったりしている。研究室の雑務を担当している。

ナンシー

アンナに仕える生き人形。赤毛の髪をツインテールにした少女の姿をしており、主人と同じデザインの大きな丸眼鏡をかけている。主人と同じく心配性な性格で、何事にも及び腰な態度を取っている。オリバー2号のホースを使うのを担当していたが、パワーと俊敏性が足りず、使いこなせなかった。その後、ホース担当はエミリコに引き継がれている。

イザベル

シャドー一族の双子の少女で、ミラベルの姉。ベルの主で、妹とシンメトリーなデザインの白いドレスを身にまとっている。ベルと同じく意地の悪い性格で、ケイト・シャドーのことを気に入らないと思っている。亡霊騒ぎでは双子のベルが、すす入り珈琲の瓶を壊したため、彼女たちと共に過酷なすす管の掃除を命じられる。その後、双子のベルの片方が過酷な罰に耐え切れず衰弱死。残ったベルをミラベルと取り合うこととなる。しかしケイトに叱責されたことで、二人でベルを顔とすることを決める。すす能力はミラベルと同じ生き人形をあやつる能力で、感情や記憶はあやつれないが、生き人形の動きを操作することができる。ケイトには叱責されて以降、思うところがあるようで、ダグラスにケイトが糾弾された際にはこっそりすす能力を使ってケイトを助けている。

ミラベル

シャドー一族の双子の少女で、イザベルの妹。ベルの主で、姉とシンメトリーなデザインの白いドレスを身にまとっている。ベルと同じく意地の悪い性格で、ケイト・シャドーのことを快く思っていない。亡霊騒ぎでは双子のベルが、すす入り珈琲の瓶を壊したため、彼女たちと共に過酷なすす管の掃除を命じられる。その後、双子のベルの片方が過酷な罰に耐え切れず衰弱死。残ったベルをイザベルと取り合うこととなる。しかしケイトに叱責されたことで、二人でベルを顔とすることを決める。すす能力はイザベルと同じ生き人形をあやつる能力で、感情や記憶はあやつれないが、生き人形の動きを操作することができる。ケイトには叱責されて以降、思うところがあるようで、ダグラスにケイトが糾弾された際にはこっそりすす能力を使ってケイトを助けている。

ベル

イザベルとミラベルに仕える双子の生き人形。二人とも「ベル」と呼ばれており、どちらも長く伸ばした金色の髪を二つ結びにした、瓜二つの少女の姿をしている。二人とも意地の悪い性格をしており、自分たちを二つで一つとし、一人分の仕事しかしない。このため班長を務めているにもかかわらず、班員にその分、しわ寄せがいっている。よくサボっているが、ヒマな時間に星つきに媚びを売っているため、問題視されていない。亡霊騒ぎの際に、スージーからすす入り珈琲を守るように言われるが、突如正気を失ってすす入り珈琲を破壊してしまう。本人たちは自分の意思ではないと言っていたが、その罰としてすす管の掃除を命じられる。すす病を発症しても許してもらえず、治療を受けてはひたすら掃除をするという日々に衰弱してしまう。そして、すす管の掃除が終了したのと同時に、片方のベルはそのまま衰弱死し、処分されてしまう。その後、残ったベルをミラベル、イザベルが取り合うこととなったが、それに巻き込まれたベルは情緒不安定となり、まともに活動できなくなってしまう。班が再編されたことで、新たにエミリコのいる第10班に配属されたが、仕事に出ることもできずにいた。しかしエミリコから手紙をもらい、ミラベルやイザベルがケイト・シャドーに叱責されたことで、少しずつ環境が変わり、仕事にも取り組むようになる。

ダグラス

シャドー一族の少年。ダグの主で、サラとは同期の関係。赤いジャケットを身につけている。班長を務めており、サラ・シャドーと同じく上昇志向が強く、嫌みな性格をしている。サラのことをすす能力がないと見下し、かつてサラから婚姻を持ち掛けられたが断っている。エドワードの甘言に乗せられ、サラと手を組んだあと、立場が同じになったために今度はダグラスからサラに婚姻を持ち掛ける。だが、サラの方も最初から立場が上のダグラスに取り入るため婚姻するつもりだったため、立場が対等になったのもあり、あっさり拒絶された。エドワードに指示されてケイト・シャドーを怪しんでおり、サラと共にケイトとその周囲を監視している。

ダグ

ダグラスに仕える生き人形。黒髪の少年の姿をしており、主と同じく嫌みな性格をしている。髪型にこだわりがあるため、つねにくしを持ち歩き、時おり、くしで髪をとかしている。他者を蹴落としても上に行こうとする意地の悪さがあり、こびりつきに襲われた際もミアを盾にして自分だけ助かったり、ケイト・シャドーを貶めようとしたりしている。

ライアン

シャドーハウスの3階の住人の一人で、生き人形と一体化した青年のシャドー。天然パーマ気味の髪に、顔は青白く、目つきが鋭い。派手好きで嗜虐的な性格で、お披露目では試験に落ちるシャドーが出るのを楽しみにしていた。シャーリー・シャドーとラムが脱落した際には、その散りざまを嘲りをもって称賛し、喜んだ。すす能力は腕からすすを伸ばし、鞭状にしてあやつる力がある。

ソフィ

シャドーハウスの3階の住人の一人で、生き人形と一体化した女性のシャドー。背中に大きな蝶の羽飾りが付いた特徴的なドレスを身にまとっている。ふだんはおしとやかでまじめに振る舞っているが、すす能力が大好きらしく、ジョン・シャドーがすす能力を使った際には、その威力を見て人が変わったように興奮した。人の姿もふつうの人と同じような姿をしているが、舌からすすを蝶の舌のように長く伸ばしており、これですすを舐める。ふだんはその姿を見せないが、すすを見て興奮すると長い舌を出した姿を見せる。

ジョゼフ

シャドーハウスの3階の住人の一人で、生き人形と一体化した男性のシャドー。モノクルをかけた姿をしている。保守的な考えを持っており、3階の住人の中でご意見番的な立場を担っている。

ドロシー

シャドーハウスの3階の住人の一人で、生き人形と一体化した女性のシャドー。黒いロングヘアの美女で、胸元が大きく開いたドレスを身にまとっている。享楽的な性格をしており、お披露目を楽しんで見ている。何事も面白がる癖があり、周辺の村への訪問も愛される貴族として演じるのが楽しいと語っている。ライアンとは話が合うが、ソフィ、ジョゼフとは話が合わないと内心思っている。

トマス

シャドーハウスの2階の住人の一人で、生き人形と一体化した男性のシャドー。黒い髪を長く伸ばし、口ひげを整えている。シャドーハウスの子供たちの棟の前管理者で、子供たちの棟の現管理者となったエドワードのことを不快に思っている。2階の住人の中にはトマスの派閥に与する者も多く存在するため、新参者のエドワードは表立って対立していないが、手柄を立てて立場をひっくり返したいと思っている。トマスもそれに気づいてエドワードにプレッシャーを与えている。

アイリーン

シャドーハウスの2階の住人の一人で、生き人形と一体化した女性のシャドー。薄桃色の髪をし、帽子をかぶっている。鳥を模したドレスを身につけ、羽を象った特徴的なデザインのケープをまとっている。エドワードやクリストファー、ジェラルドとは同期の関係。エドワード、ジェラルドと共に3階の住人になることを目指している。すす能力は鳩を模したすすバトを作り出す能力で、かなり遠くまですすバトを飛ばして、相手に伝言を伝えることができる。ただし伝言の伝え方は、すすバトが奇妙な叫びを上げてはじけ飛び、すすで文字を浮かび上がらせるというやり方であるため、静かにできないのかと不評を買っている。

ジェラルド

シャドーハウスの2階の住人の一人で、生き人形と一体化した男性のシャドー。黒い髪を長く伸ばした青年の姿をしている。エドワードやクリストファー、アイリーンとは同期の関係。エドワード、アイリーンと共に3階の住人になることを目指している。数少なくなった同期を大切にしており、エドワードに対して慎重に行動すべきと進言している。すす能力はすすを動かすタイプの力を持つ。

ローブ様 (ろーぶさま)

エミリコたちが深夜に出会った謎のシャドー一族。目深にローブをかぶっていたため、エミリコが「ローブ様」と呼んでいる。しゃがれた声をしており、ほかのシャドーと違って一人称が「わたし」であるため、性別も不明は不明。亡霊騒ぎで、深夜の見回りをしていたエミリコたちの前に姿を表す。ひょうひょうとした態度でエミリコたちを手助けし、こびりつきの原因が施設の老朽化であることを共につき止めるが、怪しい行動も取っており、真意は謎のまま。その正体は亡霊騒ぎの真犯人であるマリーローズその人。こびりつきをあやつるすす能力で声を変え、小さなこびりつきに乗って移動することで身長も偽って変装していた。また、マリーローズが捕まったあとは、アンソニーが新たにローブ様の姿で暗躍している。

亡霊 (ぼうれい)

巨大なこびりつき。こびりつきが集まって生まれた集合体で、シャドーハウスでは「亡霊」と呼ばれている。当初はこびりつきが集まって自然発生していると思われていたが、こびりつきを研究しているジェレマイアが再現実験をしたところ、こびりつきは融合して密度が上がっても巨大化することはないと結論を出し、誰かのすす能力ではないかと推測している。そして亡霊騒ぎを調査していたケイト・シャドーは、亡霊はマリーローズの能力であることをつき止める。マリーローズは他者のすすからでもこびりつきを作ることができ、その気になればほかのシャドーのすす能力による攻撃をこびりつきに変化させることもできる。また、物理系の遠隔操作に位置する能力だが、一度命令すれば半ば自動的に自律して動くため、すす能力の中でも射程が広く、汎用性の高い能力となっている。亡霊の由来は、クリストファーが子供たちに掃除の大切さを教えるために語った作り話が基となっている。

集団・組織

シャドー一族 (しゃどーいちぞく)

全身がすすで覆われた特殊な一族。全身が真っ黒なシルエット姿をしており、素顔を見ることはできない。単体の場合は「シャドー」と呼ばれる。すすによっていつも体中を汚しているため、一日に何度も服を着替える。またすすはふだんから出ているが、感情が昂(たかぶ)ったり、不安になったりすると、放出されるすすがさらに増える。顔で識別できないため、一人称を自分の名前にする習わしがある。また、「生き人形」と呼ばれる特別な人形をつねに侍(はべ)らせ、彼らを自らの「顔」とする習慣がある。シャドー一族はふだんは生き人形に身の回りの世話をさせ、貴族のような生活をしている。その正体は「モーフ」と呼ばれる特殊な妖精。生き人形はシャドーを模して作られたと言われているが、事実はまったくの逆で、モーフが生き人形となった人間を模してシャドーとして振る舞っているにしか過ぎず、シャドーたちは生き人形の人間だった頃の名前を名乗っている。ほとんどのシャドーにはモーフだった頃の記憶はないため、何の疑問も抱かずその現状を受け入れているが、一部にはモーフだった頃の記憶を所持したままの特別な個体も存在する。シャドーにはモーフだった頃の名残で、身近な人間を模倣して影響を受ける習性のようなものが残っている。シャドーハウスの上層部はこの事実を利用して、生き人形にすす入り珈琲を飲ませて洗脳させることで、シャドーに忠誠心を植え付け、自分たちに都合のいい存在として教育している。成長したシャドーはすす能力に目覚め、最終的にはお呼ばれされて生き人形と一体化する。

こびりつき

シャドー一族が発するすすを放置することで生まれる生物の集団。性別の概念はなく、言葉を発することもない。ネコくらいの大きさで基本的に四足歩行だが、個体によっては六本の脚を持つ者もいる。真っ黒な個体もいれば、薄く透けている個体も存在するなど、一定の姿を持たない。一度発生すると水をかけられるか、体を潰されない限り、シャドーハウス内を自由に動き回る。小さな集団では移動した場所をすすで汚す程度の悪さしかしないものの、大きな集団「亡霊」と呼ばれる集合体になると、シャドー一族や生き人形に危害を与えるようになる。また、亡霊に取り憑かれると「すす病」という病気になり、一時的に正気を失う。生き人形がすす病を患うと、最悪のケースでは処分される。そのため、見つかり次第生き人形によって処理されている。

場所

シャドーハウス

シャドー一族が暮らす大きな館。屋敷は子供が暮らす「こどもたちの棟」と、偉大なるおじい様が住まう「おじい様と共にある棟」の2棟が存在する。2棟の行き来は厳格に管理されており、大人となったシャドーも子供たちの棟に許可なく入ることはできない。このため、子供たちの棟では「星つき」と呼ばれるまとめ役が、子供たちの教育と管理を行っている。十分に成長した子供は、お呼ばれされて大人の仲間入りを果たす。また大人になっても、おじい様と共にある棟は能力によって「1階の住人」「2階の住人」「3階の住人」と格付けされ、大人のシャドーは成果を上げて上を目指すこととなる。このようにシャドーハウス内部は他者を蹴落としても上を目指す競争社会となっており、おじい様への高い忠誠心からその現状を疑問に思う者は存在しない。館内部には入ってはいけない場所がいくつか存在し、そこはワナもある危険な場所となっている。これらを潜り抜けた先には玄関があるが、玄関先は崖で内部の人間を逃がさない意思を感じる構造となっている。子供たちの棟とおじい様と共にある棟は「栄光の廊下」と呼ばれる渡り廊下でつながっており、この廊下の中心はタイルで区切られ、そこを境にそれぞれの棟の管轄になる決まりとなっている。

すす取りの間 (すすとりのま)

シャドー一族が住むシャドーハウスの中に存在する、生き人形のための部屋。入浴習慣のない生き人形が極端にすすにまみれてしまい、体が汚れたときに使用する。生き人形がベッドのような部分に横たわると、背中から強い風が吹いてすすを吹き飛ばす。その風の勢いは息ができないほど非常に強い。

洗浄の間 (せんじょうのま)

シャドー一族が住むシャドーハウスの中に存在する、生き人形のための部屋。大浴場のような場所で、生き人形用の石鹼や温浴施設が用意されている。二人一組で入浴し、生き人形の楽しみの一つになっている。身を清めると同時に体のメンテナンスやチェックも行われ、その際には顔の見えない人形が世話をする。シャドー家内で自分の主の身分や立場が上がると、洗浄の間での扱いがよくなっていく。

すす管 (すすかん)

シャドーハウスに張り巡らされたすすを運ぶパイプ。正式名称は「すす管理施設」ながら、専ら「すす管」と呼ばれる。「こどもたちの棟」で回収したすすを粉砕処理し、「おじい様と共にある棟」に運ぶのを役割とする。シャドーハウスの根本を支える重要な施設だが、すすを運ぶ性質上、こびりつきが大量に発生するため、持ち回りで定期的な清掃が行われている。また、シャドーハウス内で重大なペナルティが発生した場合、罰則として「すす管送り」となる。本来は持ち回りで行うすす管の掃除を終わるまで強制される罰で、シャドーにとって最も屈辱的な罰となっている。また、生き人形にとっては非常に過酷な罰となっており、この罰を受けた生き人形は清掃中に何度もすす病となる。すす病となっても治療を受けたあとは強制的に再びすす管送りとなるため、生き人形は罰が終わるまで何度もすす病となる。このため、壊れて処分される生き人形も出る過酷な罰となっている。

その他キーワード

生き人形 (いきにんぎょう)

シャドー一族に仕える人形。偉大なるおじい様が人間を模して作り出した意思を持って動く人形で、シャドー一族に一人一つ与えられる。顔の見えないシャドー一族の「顔」となる存在で、生き人形の教育はそのまま主の格を決める。生き人形はメイドや執事のように主に仕えるが、生き人形の資質は個々によって違い、個性が存在する。また人間を模して作られているため、痛覚が存在し、人間と同じくふつうに飲食もできる。人形であるためケガや死を「壊れた」と表現し、主の不興を買えば「処分」されて然(しか)るべきだと考えている。基本的に生き人形は主の顔として振る舞うため、主の名前の響きに近い名前が付けられる。また生き人形の中には「特別な生き人形」と呼ばれるものも存在する。その正体は生きた本物の人間。近隣の村に住む子供たちが、おじい様のすす入り珈琲を飲んだことで記憶を消され、自分が生き人形だと思い込まされているのが真相だった。シャドーたちが名乗っている名前も本来は生き人形のもので、生き人形は記憶と名を奪われ、そして最終的には一体化によって顔すら奪われる運命となっている。

顔の見えない人形 (かおのみえないにんぎょう)

シャドーハウスで働く人形。つねに黒いベール付きの黒い服を身にまとっており、顔が見えない。指示に従って動くだけの人形で、生き人形と違って自分から行動したり、会話したりすることはできない。さまざまな雑用を行っており、シャドーハウス中でその姿を見ることができる。その正体は主を失った生き人形が「再利用」された姿。すす入り珈琲を30日間も念入りに飲まされ、強烈に洗脳することで記憶も感情も消し去った存在で、シャドーの命令を聞くためだけに在り続けている。身にまとっている黒服は屋内で働くためのドレスと、屋外で働くための作業服の2種類がある。ドレスはスカート付きだが男女兼用。顔の見えない人形は非常に数が多いが、これはすす入りの人形を動かして数をかさ増ししているためで、すす入り人形を顔の見えない人形として巡回させ、警備を担当させている。

特別な生き人形 (とくべつないきにんぎょう)

シャドーハウスの中でも特別とされる生き人形。エドワードがこの肩書を自称し、生き人形にもかかわらずシャドー一族に対しても高圧的に接する。その正体は、お呼ばれされ生き人形と「一体化」したシャドー。シャドーと生き人形、どちらの姿も取ることができ、シャドーのすす能力も自在にあやつることができる。もともとあった生き人形の意識は一体化によって完全に失われており、見た目は生き人形だが、中身は乗っ取ったシャドーの意識が入り込んでいる。すす能力も一体化もシャドーハウスの重要な秘密であるため、エドワードはこの肩書を名乗った。

パンちゃん

エミリコがケイト・シャドーからもらった洋服を着た小鳥のぬいぐるみ。エミリコの何よりも大切な宝物であり、自室に一人のときは熱心に話し掛けている。中には綿ではなく、ケイトから出たすすが詰まっている。名前はエミリコの好物であるパンが由来している。

すす炭 (すすたん)

すすを集めて加工したもの。燃料として石炭よりも優秀で、シャドーハウスで使われているほか、近郊の村に配られている。実はすすには精神に影響を及ぼす効果があり、このすす炭にもその効果が残っている。すす炭の煙を吸った人間は正常な思考能力を奪われるため、近郊の村に住む人々はシャドー一族の言いなりになるのを何の疑問も抱かず受け入れている。

お影様 (おかげさま)

生き人形が名前を知らないシャドー一族の誰かを呼ぶときに使用する名称。ほかの名前で呼ぶと厳しい注意を受ける。

お披露目 (おひろめ)

シャドー一族にふさわしい人物なのか、その適正をチェックする機会。偉大なるおじい様を中心に、シャドー一族の者たちが確認する。本人だけでなく、生き人形の資質も同時に確認をされ、相応しくないと判断された生き人形は破棄される運命にある。お披露目によって合格した者と生き人形は正式に成人したとみなされ、改めてシャドー家の一員として認められる。一方、シャドーハウスで暮らすシャドー家の人々にとっては、誰が合格するのか見守ることが娯楽の一つとなっている。

星つき (ほしつき)

シャドーハウスの「こどもたちの棟」の管理を任されたシャドーと生き人形のペア。星つきは生き人形が星型のブローチを付けるのが決まりとなっている。クリストファー世代以前では意味合いが違い、まとめ役と言った役割はなく、「お呼ばれ」が決まったペアに与えられる証(あかし)で、大人になるための準備期間に与えられるものだった。現在はトマスによって意味合いが大きく変わっており、お呼ばれは星つき以外の者から行われる決まりとなっており、子供たちの教育係としての側面が強くなった。また、すす入り珈琲の管理なども大人から任されており、彼らの立ち回りが生き人形の洗脳を強固なものにしている。星つきになるためには、大きな成果を挙げて、現星つきからの推薦が必要となる。

すす

シャドーの体から放出される黒いすす状の物質。シャドーが無意識のうちに生み出しており、シャドーはすすで服を汚してしまうために日に何度もお着換えをする。特にシャドーが負の感情を抱くとすすを放出する傾向にあり、すすには負の感情が宿っているため、放置しておくと悪意を持って動き出す「こびりつき」へと変化してしまう。そのためすす掃除は館の生き人形たちの大事な仕事となっている。集められたすすは「すす炭」と呼ばれる燃料に加工され、近くの村に与えられる。すすの放出方法はシャドーによって個性があり、また生み出すすすの量もシャドーによって違う。シャドーハウスでは、すすを多く生み出すシャドーほど重宝される傾向にある。すすを特に多く生み出すシャドーの部屋には「すすつらら」と呼ばれるすすがつらら状になったものができる傾向にあり、すすつららを生み出せるシャドーは一目置かれることとなる。またシャドーは成長することで、「すす能力」と呼ばれる特殊な能力にも目覚める。

すす能力 (すすのうりょく)

シャドー一族が持つ特殊能力。ある程度成長した一部のシャドーのみが使える能力で、シャドーハウスではこの能力が重要視されている。しかしシャドーハウスの重要な機密に当たる内容であるため、子供のシャドーにはその詳細が明かされずにいる。すす能力の種類は個人によって違い、シャドーの生み出すすすの量によっても威力などが左右される。基本的にすすで物理干渉をする「物理系」の能力か、すすを生き人形の体に吸い込ませることでその精神をあやつる「精神系」の能力に大別される。精神系の能力は強力だが、シャドーには効果がない。また物理系の能力も、威力が射程と比例する能力が多く、遠隔操作するのは非常に集中力が必要となる。このほか能力が変化する場合もあり、マリーローズは最初は小さなものを動かす程度しかできない能力だったが、成長することですすをこびりつきに変化させてあやつる能力へと変化している。

すす病 (すすびょう)

生き人形がすすを体内に取り込むことで発症する病気。こびりつきに取り憑かれてなる場合もあり、この病気を発症すると生き人形は一次的に正気を失い、錯乱状態となる。症状が重症の場合は処分の対象ともなる恐ろしい病気で、軽症であれば口から大量の水を飲み、それを吐き出すことですすを体外に排出すれば治療することができる。胃など、体の奥深くに入り込むと治療ができない場合もあり、謎の多い病気となっている。

モーフ

模倣、擬態能力を持つ妖精。シャドーのもととなった存在で、真っ黒なシーツをかぶった子供のような姿をしており、小さく細い手足が生えている。大きさは手のひらに乗るほど小さいものから、小型犬程度の大きさまでさまざま。基本的に人格は存在せず、モーフが人間を模倣することでシャドーは生まれる。模倣していくうちに人格や感情が生まれ、シャドーは人のように振る舞い始める。ほとんどのモーフはシャドーとなることで、モーフだった頃の記憶を失い、何の疑問も抱かずシャドーとして生活を始めるが、極まれにモーフだった頃の記憶を持ったままシャドーとなる「特別な個体」が生まれることもある。また、すべてのモーフがシャドーとなるわけではなく、中には模倣がうまくいかず、人格が宿らず、生命力に乏しい個体も存在する。お披露目の真の目的も、不完全なシャドーをふるいに落とすこととされている。

すす入り珈琲 (すすいりこーひー)

すすの入った珈琲。ふつうの珈琲とは違い、飲んだ生き人形の記憶と感情を操作し、余計なことを考えられなくなる効果がある。シャドーには効果がないが、シャドーはモーフであった名残から無意識に生き人形を模倣しているため、洗脳された生き人形を通じてシャドーも洗脳され、偉大なるおじい様への忠誠心を植え付けられることとなる。子供たちの棟では、お披露目を合格し、成人と認められた生き人形にすす入り珈琲を振る舞っている。すす入り珈琲の効果は時間経過とともに次第と抜けていくため、1週間に一度「喜びの会」でご褒美として生き人形たちに振る舞い、洗脳の効果を蓄積していっている。洗脳はすす能力ですす病にしているのに近いため、すす病の治療法がそのまま効果がある。すす入り珈琲は大事なものであるため、星つきが厳重に管理している。

お呼ばれ (およばれ)

シャドーが大人のシャドーとして認められること。シャドーが成長し、「こどもたちの棟」から「おじい様と共にある棟」へと居を移すことであるため、「お呼ばれ」と呼ばれている。お呼ばれの詳細は秘密で、前日に星つきとお呼ばれをされる本人にのみ教えられ、口外することは禁止されている。かつては星つきがお呼ばれをされる証のようなものとして扱われていたが、クリストファーの自殺、バーバラのすす能力の暴発によって意味合いが変わった経緯がある。お呼ばれの真の意味とは、シャドーと生き人形の「一体化」を行うことで、お呼ばれされたシャドーと生き人形は「完成の箱」と呼ばれる緑色の箱に入り、繭を作って包まれることとなる。一体化が成功すると1週間から2週間ほどで生き人形の意識は消え去り、一体化した完全なシャドーとして生まれ変わる。しかし、失敗した場合は見るも無残な姿へと変化し、そのまま両者死亡することとなる。

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