シャドーハウス

シャドーハウス

舞台は謎に包まれたシャドー一族たちが暮らすシャドーハウス。顔のないシャドー家の人間は、成人とみなされる年齢になると、それぞれの顔となるべく生き人形を持つ習わしがあった。そんな生き人形のエミリコと、主であるケイト・シャドーの日常を描くファンタジー作品。ほのぼのとした雰囲気のキャラクターデザインではあるものの、ホラーやサスペンスなどさまざまな要素が盛り込まれている。また、コミックス第1巻は1話完結形式だが、第2巻以降はストーリー形式で話が進んでいく。「週刊ヤングジャンプ」2018年40号から連載の作品。アプリ「ヤンジャン!」ではカラー版を配信。2021年4月テレビアニメ化。

正式名称
シャドーハウス
ふりがな
しゃどーはうす
作者
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

ケイトとエミリコ

シャドーハウスで暮らす顔のないシャドー一族は、自分たちの「顔」として「生き人形」を従え、貴族のように暮らしていた。そんなシャドー一族の一人、ケイト・シャドーは生き人形のエミリコを与えられるも、明るいがドジなエミリコは失敗ばかり。そんなエミリコに、ケイトは一つ一つ丁寧に教えていく。前向きなエミリコは努力を重ね、仲間の生き人形との交流もあって、少しずつ成長していく。しかしある日、エミリコはケイトの大切な人形を壊して、彼女を怒らせてしまう。意気消沈するエミリコだったが、手持ちの材料で人形を修復し、ケイトと和解。また、その際に自分用に人形の「パンちゃん」を作り、ケイトとの絆にするのだった。

深夜の見回りにて

順調にケイト・シャドーとも絆(きずな)を深めていたエミリコは、初めて生き人形の班に配属され、生き人形の仕事を授業として教わることとなる。先輩生き人形のミアローズマリーからシャドーハウスのことを教わっていたエミリコだったが、そこで亡霊騒ぎが巻き起きる。こびりつきの集合体が暴れ回る中、エミリコたちはそれを撃退しようとするも、ローズマリーがエミリコをかばってこびりつきに取り憑(つ)かれてしまう。エミリコはとっさの機転でローズマリーに花瓶の水をぶっかけ、こびりつきからローズマリーを救うことに成功する。しかし、ローズマリーはすす病に冒されており、彼女は治療のため保護されるのだった。生き人形のまとめ役である星つきバービーは、こびりつきが現れたのは誰かが掃除をサボったせいだと考え、その責任を生き人形の中で一番無能なラムになすりつける。エミリコ、ショーンはその最中にバービーの邪魔をしたため連帯責任とされ、深夜にこびりつきの原因を探すように言われる。エミリコたちは深夜の見回りを始めるが、そこで謎のシャドー・ローブ様に出会う。ローブ様の助言をもらいながら探索したことで、こびりつきの原因は設備の故障と判明。一行は事件を無事に解決するのだった。しかしエミリコたちは一息つく間もなく、「お披露目」が始まることを知らされる。

庭園迷路

生き人形と主の適性が確かめられる「お披露目」が始まる。この度のお披露目に参加するのは、ケイト・シャドーエミリコを含む5組で、その中にはラムショーンもいた。自らを「特別な生き人形」と称するエドワードが、試験官として彼らを見定めることとなるが、エドワードはお披露目の途中で主たちを引き連れ姿を消してしまう。残されたエミリコたち生き人形は、エドワードが部屋にヒントを残していたことに気づき、それを解いてエドワードを追いかけ庭に向かう。そこでエドワードは庭に隠した主を見つけ出し、制限時間内に主と共に帰って来ることが試験内容だと告げる。エミリコは早速広い庭園を探し始めるが、そこでラム、ショーンと合流。いっしょに行動することを決める。三人はそれぞれの特技を活かすことで主の場所を見つけ、その経験で暗く後ろ向きだったラムは、少しずつ積極的な性格へと変わり始める。そしてそれぞれの主を見つけた三人は再会を約束して、主のもとへ駆け付けるのだった。

いきにんぎょう

生き人形たちはそれぞれ機転をきかせて試験を突破し、主たちと対面を果たす。エミリコケイト・シャドーを見つけるが、ケイトは鳥かご型の檻(おり)に囚われており、ケイトを解放するためには棘(とげ)の木に囲まれたスイッチを押さなければいけなくなる。制限時間がせまりつつも、エミリコは仲間たちの助力もあり、ケイトを助けることに成功する。しかし、すでに刻限は目の前にせまり、エドワードはそんなケイトたちの姿を見て満足する。実はエドワードはケイトを怪しんでおり、最初から彼女たちをお披露目に受からせるつもりがなかったのだ。エドワードはケイトたちが不合格になると思っていたが、二人は庭園の水路を下ることでエドワードの予測を覆し、無事に合格を果たす。そして試験は終わりを迎えるが、そこでたった1組、不合格となってしまう。エミリコと別れたラムは無事に主であるシャーリー・シャドーと合流するも、シャーリーはゴール目前で力尽き、その体は崩れ去ってしまう。残酷なシャドーハウスの真実に直面するケイトとエミリコだったが、合格した彼女たちは、正式にシャドー一族の成人として認められ、「特別な珈琲(コーヒー)」が振る舞われる。そしてケイトは、ラムたちが不合格になったのを知っても笑顔なエミリコに気づく。お披露目の日を境に態度を豹変させたエミリコを見て、ケイトは特別な珈琲が何者かのすす能力で作られた洗脳効果のある「すす入り珈琲」だと推測し、エミリコから珈琲を取り除くことで彼女を正気に戻す。そしてケイトは、生き人形の正体は人間であることをエミリコに話し、二人でシャドーハウスに反逆すると誓いを交わすのだった。

犯人候補

ケイト・シャドーはみんなをシャドーハウスの呪縛から解放することを決めるも、今はまだ知らないことだらけだった。そのため現状はシャドーハウスに従いつつも、味方を増やしていこうと方針を固める。ケイトはまずジョン・シャドーに手紙を渡し、彼に事情を話して、協力を得ることに成功する。ジョンは直感的にショーンの洗脳も解くも、成人した生き人形は1週間に1度、「喜びの会」ですす入り珈琲を飲ませられることを知り、新たに洗脳を解くのは難しいと実感する。すす入り珈琲は星つきが管理しているため、ケイトはまず星つきになることを目指す。そして再び喜びの会を迎えるが、そこでローズマリーが再びすす病を発症し、多くのこびりつきが暴れ始める。そして騒動のどさくさの中、すす入り珈琲は双子のベルによって壊されてしまう。すす入り珈琲がダメにはなったものの、ケイトを敵視するエドワードは、この機会に彼女を排除することを決め、ケイトがこの一連の亡霊騒ぎの犯人だとつるし上げられる。ケイトはその状況を逆に利用し、犯人を探すことを提案。真犯人を見つければ大きな評価をもらえる約束を交わすが、同時に見つけられなければ自分が犯人となってしまう状況となってしまう。

亡霊騒ぎの犯人

ケイト・シャドーは亡霊騒ぎの犯人を探すため、仲間たちと共にシャドーハウスを調査する。ケイトはエミリコショーンがかつて会ったローブ様と、クリストファーと呼ばれるシャドーが事件に深くかかわっていると考え、その正体を探り始める。パトリック・シャドールイーズ・シャドーたち同期の力も借りて、情報を集めたケイトは、当初はクリストファーこそがローブ様と考えていたが、その考えを否定する。そしてエミリコは事件の被害者であったローズマリーの主であるマリーローズこそがローブ様の正体で、亡霊騒ぎの犯人であると特定するのだった。ケイトと同じくシャドーハウスの真実を知り、現状を変えたいと思っていたマリーローズであったが、シャドーと生き人形を一体化する「お呼ばれ」をされてしまったため、すでに時間に猶予がなく、ローズマリーをこびりつきに襲わせすす病にすることで時間稼ぎしていたのだ。その正体を現したマリーローズは、ローズマリーを守るべく、シャドーハウスを強行突破して脱出しようとする。大量のこびりつきを出してケイトたちに襲い掛かり、一行を翻弄するが、仲間たちと力を合わせたケイトたちに敗北。こうして犯人のマリーローズとローズマリーは捕まり、亡霊騒ぎは終局を迎えるのだった。

管理者の思惑

マリーローズとローズマリーは捕まり、エドワードに引き渡される。昔からの顔見知りである三人はお互いに言葉を交わすものの、心は通じ合うことはなく、マリーローズは連行のさ中、あらかじめ設置していた大量のすすを使いこびりつきを発生させる。しかし、エドワードにその力は通用することもなく、彼女たちは最後の力を振り絞って連行されていた栄光の廊下を破壊し、崖下に身を投じるのだった。だがそれはケイト・シャドーの作戦で、マリーローズはエドワードたちの脅威をケイトたちに見せつつ、崖下にこびりつきを発生させることで一縷(いちる)の望みを懸けてシャドーハウスから脱出したのだった。そしてケイトの前に再び現れるローブ様。ケイトはクリストファーの存在を気に掛けていたが、同時に彼の生き人形の行方もわからなくなっており、新たなローブ様の正体はクリストファーの生き人形、アンソニーであると看破する。そしてアンソニーはケイトに仲間になるよう提案し、そのまま姿を消すのだった。一方、マリーローズに逃げられたため、失点を抱えてしまったエドワードは、前任者のトマスからも失点を責められたため、それを雪(そそ)ぐためにもケイトの反逆の証拠をつかもうと考える。しかし、星つきのバーバラたちはそんなエドワードの行動を怪しみつつ、すす入り珈琲が亡霊騒ぎでダメになったのをエドワードに秘密にしているため、彼への警戒心を強める。こうしてシャドーハウスは亡霊騒ぎを解決させたものの、一行の思惑が絡み合い、複雑な様相を呈していく。

顔の見えない人形

エドワードは「こどもたちの棟」に視察のために訪れ、子供たちと一人一人面会する。そして甘言を弄することで、サラ・シャドーとダグラスを味方に引き込み、「こどもたちの棟」の内情に踏み込んでいく。生き人形たちがすす入り珈琲を飲んでいないことを知ったエドワードは、すす入り珈琲を用意し、明朝喜びの会を行うよう指示する。一方、ケイト・シャドーはすす入り珈琲が2週間以上飲まれていない状況が生まれ、これをマリーローズが自分たちに託した好機と判断。ルイーズ・シャドーのひょんな一言から、すす入り珈琲の場所を知ったケイトは、これをすり替えようとする。ケイトとエミリコは協力して保管庫に忍び込むも、保管庫には星つきのスザンナがいた。エミリコはスザンナの目を盗んで珈琲をすり替えるが、スザンナは侵入者に気づき、見つかりそうになってしまう。しかしそこにこびりつきが現れ、エミリコは騒動のどさくさに紛れて脱出。また脱出の最中、謎の顔の見えない人形が二人の脱出の手助けをしてくれるのだった。無事に目的を果たし、部屋に戻ったケイトたちは、顔の見えない人形から手紙を渡され、その正体がお披露目に落ちて以降、行方不明だったラムだったことを知る。ラムはお披露目のあとエドワードに捕まったが、シャーリー・シャドーは実はすす能力に目覚めて生き残っており、シャーリーの力を借りることで洗脳されることもなく、シャドーハウスに反逆するチャンスを虎視眈々(たんたん)と狙っていた。ケイトたちの真意を理解したラムは、裏から彼女を助け、手紙で現状を伝えてきたのだ。それを知ったエミリコたちは新たな仲間に心強い気持ちを抱くのだった。また、珈琲のすり替えによって生き人形たちは少しずつ意識が変わっており、リッキーは自分の名前こそが「パトリック」であることを思い出すのだった。

コラボレーション

motto cafe

2021年9月、「motto cafe」池袋店と本作『シャドーハウス』がコラボレーション企画を開催。本作に登場したすす入り珈琲もコラボメニューに追加され、SNS上で話題になった。またコラボカフェでは、本作の多数のオリジナルグッズも予約販売されている。

メディアミックス

TVアニメ

2021年4月から7月にかけて、本作『シャドーハウス』のTVアニメ版『シャドーハウス』がTOKYO MX、BS11、AT-X、インターネット配信ほかで放送された。製作はCloverWorksが担当している。キャストは、エミリコを篠原侑、ケイト・シャドーを鬼頭明里が演じている。ほかのキャストは、ジョン・シャドーショーンを酒井広大が演じるといったように、シャドーと生き人形の一人二役が多い。アニメ版の内容は不思議な顔のないシャドーが住まうシャドーハウスで、シャドーの少女、ケイトと生き人形の少女、エミリコが絆を育み、やがて館の真実にせまっていく内容となっている。原作の内容を忠実に再現しつつ、アニメ後半はオリジナル展開に突入し、原作に先駆けてケイトとエドワードの対決が描かれている。アニメオリジナルストーリーは作者のソウマトウが原作の初期プロットを流用して作った脚本で、ソウマトウはTwitterで「こんな展開の可能性もあったんだな」という気持ちで見て欲しいと語っている。2021年9月にはアニメ第2期の制作が発表された。

その他

「ダ・ヴィンチ」2020年10月号「次にくるマンガ大賞2020」特集にて俳優の高杉真宙が「次にくるマンガ」として本作を挙げた。

登場人物・キャラクター

エミリコ

ケイト・シャドーに仕える生き人形。長く伸ばした金髪をツーサイドアップテールにセットした少女の姿をしている。明るく無邪気な性格で、誰とでもすぐになかよくなることができる。しかし生き人形としての常識がなく、突拍子のない行動を取ったりするため、ほかの生き人形からは「失敗作」や「お花畑」とバカにされることも多い。文字があまり読めないため、ケイトに教えてもらって少しずつ覚えている。生き人形は余計なことを考えないようにと教えられているため、「考えないノート」に毎日物事を日記のように綴っている。頭脳は劣るものの、ロープの上を渡ったり、高所から落ちても大丈夫だったりと、身体能力は小さい体に似合わず非常にパワフル。仕事では失敗も多いが、エミリコなりに改善案を出したり、失敗から思わぬ発想を思いついたりするため、その型破りさを認める者もいる。同期の中でもショーンやラムと仲がよく、ルウとは同じ班。リッキーからは見下されているが、リッキーの主であるパトリック・シャドーとはお披露目での交流を通して好意を持たれるようになった。食いしん坊で、おいしいものが大好き。特にケイトたちシャドーが食べている「おいしすぎるパン」が大好物で、ケイトから時々もらっている。ケイトが大事にした人形を汚して、彼女に初めて叱られた際、仲直りのためにケイトの人形の服を仕立て直し、ケイトからもらった服とケイトのすすを使って「パンちゃん」という人形を作り、いつもポケットに入れている。お披露目合格後、すす入り珈琲を飲まされて洗脳されるが、ケイトの機転に助けられ洗脳から解放される。その後はケイトからシャドーハウスの真実を教えられ、共に戦うことを誓う。亡霊騒ぎ解決後は10班の班長となり、失敗しつつも班のまとめ役として奮闘している。

ケイト・シャドー

シャドー一族の少女。エミリコの主。優しく大人びた性格で、失敗の多いエミリコを温かく見守っている。私室に置いている人形が宝物で、ふだんはエミリコの失敗も許しているが、エミリコが人形の服を汚した際には激怒した。しかし自分のミスもあったと思い直し、エミリコが人形の服を仕立て直したことで仲直りした。放出するすすの量は多く、部屋には「すすつらら」ができるほど。エミリコはケイト・シャドーのすすを使って「パンちゃん」という人形を作っている。また、無意識にこのパンちゃんを動かしたことで、自分のすす能力の目覚めにも気づいた。すす能力は自らのすすを自在に動かす能力で、パンちゃんを自在に動かしたり、物を取り寄せたり応用範囲の広い力となっている。反面、攻撃力はなく、離れた場所になればなるほどすすのコントロールは難しくなるなど弱点も存在する。実はシャドーの中でも特別な個体で、人間に擬態する前のモーフだった時代の記憶を持っている。このためシャドーハウスの真実を知っており、人間を生き人形にし、その顔を奪うシャドーハウスの方針には強い敵愾心(てきがいしん)を抱いている。しかし思慮深いため、自分の存在が異物であるのも理解しており、シャドーハウスのすべてを疑い、周囲に決して心を開かない部分がある。このためにすす能力も、お披露目でギリギリのピンチに陥るまで秘密にしていた。エミリコの天真爛漫さと素直さに影響を受け、自分の疑り深さが敵を作っていると反省し、お披露目後はエミリコに秘密を打ち明け、積極的に周囲と交流し、味方を増やそうとしている。エドワードには不穏分子として疑われており、亡霊騒ぎでは犯人にされかかるが、そのピンチを逆に利用して真犯人を見つけたことで、星つきに評価され、事件解決後は10班の班長となる。

ミア

サラ・シャドーに仕える生き人形。ベージュ色の髪を長く伸ばした少女の姿をしている。明るく快活な性格で、自分の班に配属されたエミリコを先輩としてかわいがっている。ミアの部屋はエミリコの部屋の真上にあるため、何かとエミリコを気に掛けており、窓を通じて手紙をやり取りしたりしている。お披露目が済んでおり、生き人形としては優秀。そのため主の顔として、主の意向を反映して表情や仕草を息ぴったりにマネることができる。このため、サラがいる場所ではふだんの快活さがなくなり、他者を見下した言動が多くなる。主との関係はかなり歪(いびつ)で、隠しているが、その体にはサラから受けた多数の折檻痕が存在する。亡霊騒ぎ後は、ケイトが班長となったため、反感を抱いたサラの影響で、ケイト・シャドーやエミリコとは対立関係となる。この際、エドワードにすす入り珈琲を直(じか)に飲まされ、さらにサラが懐柔されたことにより、ケイトとエミリコの弱みを握るべく行動するようになる。

サラ・シャドー

シャドー一族の少女。ミアの主で、ダグラスたちとは同期。嫉妬深く、上昇志向の強い性格で、星つきを目指している。生き人形としての振る舞いができないエミリコを見て「失敗作」と言い放ち、その主のケイト・シャドーも見下している。また何かと理由をつけてミアに「成長の機会」と称して折檻(せっかん)をしており、ミアの体中には多くの打撲痕を残している。また、ミアがエミリコに構っているのも快く思っていない。そのため、ふだんは気がいいミアも、サラ・シャドーがいっしょだとサラの意を反映した行動を取ることが多い。ケイトとエミリコが自分たちの班長になった際には大きく取り乱し、彼女たちに一層隔意を持つようになる。エドワードが視察した際に、その心の隙間を突かれ、双子のベルがすす入り珈琲の瓶を割ったことをエドワードに報告。さらにケイトを陥れるため、彼女の行動を監視するようになる。

ローズマリー

マリーローズに仕える生き人形。茶色の髪を長く伸ばし、リボンで一つ結びにした少女の姿をしている。マリーローズとは息ぴったりの関係で、ダンスの際には女性のステップを担当し、マリーローズが男性のステップを担当する。おっとりした性格で優しいが、要領が悪いことから、バービーには「ぼんくら」とバカにされている。エミリコと同じ班で、新入りのエミリコを気に入り、彼女にシャドーハウスのことを教育した。亡霊騒ぎが起きた際、こびりつきからエミリコをかばって取り憑かれてしまい、エミリコの機転によって助けられたものの、すす病となってしまう。すす病は治療されたが、喜びの会で再びすす病を発症。大量のこびりつきを生み出して、場を混乱させた。亡霊騒ぎの被害者とされていたが、実は犯人であるマリーローズとは共犯者の関係。一体化のため「お呼ばれ」されたため、マリーローズはローズマリーを守るため、彼女をすす病にしてお呼ばれを先延ばしにしていた。マリーローズの正体がバレた際、彼女と共にケイト・シャドーと戦うも、敗北して捕まった。その後、マリーローズがこびりつきで栄光の廊下を破壊した際、彼女と共に廊下から崖下に飛び降り逃亡する。

ルウ

ルイーズ・シャドーに仕える生き人形。赤毛の髪を肩で切りそろえた少女の姿をしており、整った容姿をしている。主に従うのを是とする生き人形らしい性格で、寡黙でつねに無表情。しかしルイーズの命令には忠実で、ルウの顔が大好きなルイーズの命令に従って表情をコロコロ変えたりする。エミリコとは同期で同じ班。要領よく仕事をこなしているが、アクシデントには弱い部分があり、突飛な発想でアクシデントを乗り切るエミリコには感心しており、仲がいい。お披露目では終始評判がよく、成績優秀者の特権として一番手に持ち出しできる道具の中からハサミを選び、庭園での主探しでも一番にクリアしている。主探しでは途中までリッキーと行動を共にし、ルイーズを見つけたあとは、こっそりハサミをリッキーに手渡し、彼を助けている。ふだんはあまり感情を表に出さないが、エミリコやリッキーには時おり、素の態度で接している。

ルイーズ・シャドー

シャドー一族の少女。ルウの主で、ケイト・シャドーたちとは同期。明るく奔放な性格で、かなりのおしゃべり。楽しいことや美しいものが大好きで、自分の顔であるルウを飾りつけるのが好き。端から見ると自分本位でわがままに見えるが、その行動に悪意はなく、裏表もない。ルウもルイーズ・シャドーの思い付きに振り回され、疲弊していることもあるが、周囲からそれを注意されたらきちんと耳を傾け、ルウを労(いた)わる素直さを持っている。よくも悪くもマイペースであるため、誰にでも分け隔てなく接し、他者の懐に入るのがうまい。みんなが畏れるベンジャミンにもためらわず接しており、彼の助言を受け、いっしょにトレーニングする仲となっている。また気難しいサラ・シャドーもルイーズにはふつうに接する。お披露目以降はすす能力に目覚め、生き人形の感情や表情をあやつる能力を得る。

バービー

バーバラに仕える生き人形。ボリュームのある薄い水色の髪を長く伸ばし、黒いリボンをたくさん付けた少女の姿をしている。非常に攻撃的で、つねに怒ったような表情をしている。星つきであるバーバラの生き人形であるため、子供の生き人形のまとめ役のような立場で、厳しい態度で子供たちに接している。エミリコたちにも厳しく接しており、彼女のことを「お花畑」と呼んで蔑んでいる。実は昔はエミリコのように明るく、天真爛漫(らんまん)な性格をしていた。バーバラは体が弱く、同年代の中では落ちこぼれ扱いされていたが、すすの量がシャドーたちの中でも屈指のもので、マリーローズとクリストファーにそれを認められ心強い思いを抱いていた。同期のマリーローズとバーバラは共に大人になる約束を交わしていたが、突如マリーローズがやる気を失い絶望した。バーバラはクリストファーもいなくなったことで孤独に苛(さいな)まれ、すすを暴発させてしまう。この際の暴発に巻き込まれ、バービーは顔に大きな傷を負ってしまう。これによって一体化ができなくなり、大人になれないと通告されてしまう。本来であれば処分されるところだが、バーバラはシャドーの中でも最大のすすの放出量を誇るため、子供たちのまとめ役として残されることとなった。バービーも主の苦悩を人一倍身近で感じており、心を鬼にして子供たちのまとめ役として行動している。一方で仲間を守るため、一生懸命がんばるエミリコの姿には思うところがあるようで、ベルの処分が検討された際に、必死に食い下がるエミリコを軽い処分だけで済ませたりしている。

ショーン

ジョン・シャドーに仕える生き人形。黒い髪をした少年の姿をしており、冷静沈着な性格をしている。近眼だが、生き人形は主に合わせなければならないため、眼鏡をかけられずにいる。目が悪い分、嗅覚と聴覚が鋭い。のちにショーンの現状を気づかったジョンが、伊達(だて)眼鏡をすることで眼鏡をかけられるようになったが、公的な場では周囲の目があるため相変わらず裸眼でいることが多い。バービーがエミリコを叱ったのを邪魔したため、バービーからの印象は悪く、エミリコたちと共に深夜の見回りを課せられる。この出来事をきっかけにエミリコ、ラムと仲を深め、お披露目でも彼女らと行動を共にしている。一方でリッキーとは仲が悪く、会うたびにケンカをしている。冷静沈着なため、自由奔放なエミリコやジョンのストッパー役になることが多い。お披露目後はすす入り珈琲を飲んで洗脳されていたが、ジョンと殴り合いのケンカをしたことで洗脳から解放される。すす入り珈琲の影響が薄くなってきたことで、自分の本来の名前が「ジョン」であることを思い出す。

ジョン・シャドー

シャドー一族の少年。ショーンの主で、ケイト・シャドーたちとは同期。頭はあまりよくないが、まっすぐで自由奔放な性格で、ショーンからはよく小言を言われて注意されている。生き人形は主に合わせるものだが、近眼のショーンを気づかって自ら眼鏡をかけるなど、型破りながら気づかい屋な一面もある。ケイト・シャドーに一目惚れし、彼女にプロポーズしては邪険に扱われている。直感的な言動が多いため、ショーンにも理解不能な言動をするが、フィーリングが近いのかエミリコはジョン・シャドーの言動をよく理解している。お披露目では自力で脱出するも、服を汚してしまったため失格になりかける。しかしショーンが地図の仕掛けに気づき、すす取りの間を見つけたため、無事に合格する。また試験中、すす能力にも開花し、すすを相手にぶつけることで破壊する攻撃能力を身につけた。生み出すすすの量もかなりのもので、全力で撃てば大岩をも破壊することができるが、射程が短いのが弱点となっている。ケイトからはプロポーズしてくるのを厄介に思われながらも、そのまっすぐさは信頼されており、お披露目後、手紙をもらって真っ先にシャドーハウスの真実を知らされ、仲間に加わる。当初はシャドーハウスの真実に困惑したが、洗脳したショーンを目の当たりにし、彼の洗脳を解く決心をする。ショーンとは殴り合いをして、その洗脳を解いた。殴り合いは完全に考えなしの行動で、その場の勢いでやったが、これが結果的に生き人形の主に手をあげてはならないというルールを破り、ショーンを怒らせることで洗脳を解く効果があった。

リッキー

パトリック・シャドーに仕える生き人形。金色の髪をオールバックにセットした少年の姿をしており、幼いながら自信家で、嫌みな性格をしている。頭はいいが、他者を格付けし、上位者には甲斐甲斐(かいがい)しく仕え、自分より立場の下の人間にはあからさまに見下した態度を取る。このため星つきたちからの評価は高いが、エミリコやショーンに対しては辛らつに接する。特にショーンとは犬猿の仲で、よくケンカをしている。お披露目でもうまく立ち回っており、庭園での主探しではルウに近づいて、彼女を利用している。しかし一方で、ルウが純粋にお礼をしてくれたことや、ショーンと対立しつつも主への忠誠心を吐露したことによって、人間味がある行動も取るようになった。お披露目に合格したあとは、亡霊騒ぎで手柄を得るため、情報を集めてケイト・シャドーたちを手伝っている。嫌みな言動が多いが、ケイトへの忠誠心は高く、生き人形らしい生き人形として評価されていたが、ケイトたちの活躍ですす入り珈琲の洗脳から解放され、次第にシャドーハウスの現状に不信を募らせていく。そして遂にシャドーハウスに来る以前の記憶を思い出し、自分が人間であること、自分の名前こそが「パトリック」であることを思い出す。自分の名前を名乗る主に不信感を募らせ、ほかのシャドーのことも怪しんでいるが、主が自分の体調を気づかった際の真摯な態度を見て、主のことだけは信じてみようと思い直している。

パトリック・シャドー

シャドー一族の少年。リッキーの主で、ケイト・シャドーたちとは同期。プライドが高く、リッキーにも自分の立ち振る舞いを徹底して教え込んでいる。リッキーのことを優秀だと思っており、自分の考えが足りない時は、積極的に彼から助言をもらったりしている。ふだんは尊大な態度を取っているが、一方で繊細で傷つきやすい一面があり、リッキーからもその部分を心配されている。お披露目会ではエドワードに狭い箱に閉じ込められて心細くなり、たまたま通りかかったエミリコの励ましと、彼女からもらった花の香りに癒やされる。当初は「エミリコ」のことを「お花畑」と呼んで見下していたが、この出来事で大きく心変わりし、彼女に好意を持つようになる。そのためリッキーが合流したあと、わざわざケイトのもとに寄り道し、リッキーにルウからもらったハサミをエミリコに渡すように頭を下げてお願いしている。自分でもエミリコへの恋心で、考え方が変わっているのを実感しており、彼女への思いは秘して表に出さないよう決めている。また他者を見下してはばからない人物だが、リッキーのことは本当に信頼しており、彼の様子がおかしくなった際には真摯に彼を心配している。お披露目でエミリコから花をもらって以降、花に興味を持っており、自分で育て始めている。

ラム

シャーリー・シャドーに仕える生き人形。黒い髪を短く切りそろえた少女の姿をしており、おとなしそうな雰囲気を漂わせている。引っ込み思案で、人見知りが激しいため、リボンを付けた左手の人指し指に「ラミー」と名づけ、ラミーと自問自答する癖がある。そのような性格であるため、自分から主との関係に踏み込むことができずいる。シャーリーとは会話したことがなく、おやすみのキスもしたこともない。そのため通常は主から名前をもらうが、シャーリーから名づけられなかったため、「ラミー」を由来に、自分に「ラム」という名前を付けた。要領も悪く、班員からは「無能」と言われていじめられており、生き人形の中でも孤立しがち。エミリコたちと共にお披露目に参加し、明るく屈託のないエミリコと偶然合流し、彼女の言動に流されるまま行動を共にしている。がんばり屋のエミリコと寡黙なラムの相性はよく、エミリコの行動に触発されて、もともと消極的だったラムも積極性を見せるようになる。また、頭の回転が非常に速く、歩いた距離や時間を正確に把握し、複雑な計算も暗算でできるため、エミリコの行動をその頭脳でフォローしている。エミリコの明るさに励まされて、お披露目で前向きに成長し、シャーリーともついに心通わすことに成功するが、お披露目でゴールすることができず、シャーリーの体が崩れ去ってしまう。このため失格となり、顔の見えない人形にされてしまう。エドワードにすす入り珈琲を飲まされ続け、自我を奪われそうになるが、実はシャーリーは小さなモーフの姿になって生きており、口の中に含んだシャーリーが代わりにすす入り珈琲を飲むことで回避していた。またシャーリーはすす能力にも目覚め、彼女の変身能力を利用して、シャドー一族の真実を知ることとなる。シャーリーはしゃべることができなくなったが、ラミーのリボンに変身してラムの人差し指に付くことで、心で会話することができる。顔の見えない人形のふりをしてシャドーハウス内で仕事しており、エミリコがすす入り珈琲をすり替えに侵入した際に、それを助けて自分の無事を彼女に伝えている。

シャーリー・シャドー

シャドー一族の少女。ラムの主で、ケイト・シャドーたちとは同期。ほかのシャドーたちと違い、すすがほとんど出ず、会話や行動もほとんどしない。ラムの名づけも行わず、まともに交流しなかったが、お披露目で初めて「ラム」の名前を呼び、心を通わせる。お披露目ではラムに助け出され、彼女と共にゴールを目指すが、その道中に体が崩れ去り、失格となってしまう。実はシャドーとなったモーフの中でも未熟な個体で、人格を模倣できず、生命力が弱い状態だった。エドワードはシャーリー・シャドーの限界を見抜き、そのまま消滅すると思っていたが、お披露目のあと、モーフの姿となって生存していた。手のひらに乗る程度の小さなモーフだが、人格に目覚め、すす能力にも目覚めている。目覚めた能力は、自分の出したすすを身にまとって変身する能力で、小さなものにしか変身できないが、要所要所で活躍している。ラムのことを大切に思っており、彼女を助けるため、変身能力と小さな体を駆使してシャドーハウスを駆け回っている。ケイトが、シャドー一族の秘密を打ち明けた際にもコッソリそれを聞いており、ラムがすす入り珈琲を飲まないように、自分が代わりに飲む提案している。モーフの姿となって以降はしゃべることができなくなったが、ラミーのリボンの姿となって、ラムの人差し指に巻き付くことで、心で会話することができる。エミリコがすす入り珈琲をすり替えに侵入した際には、こびりつきの姿に変身して彼女を助けた。さまざまな場所に潜入して情報を集めているが、シャドーハウスのおじい様と共にある棟の2階より上は、恐ろしくてまだ近づけずにいる。

偉大なるおじい様 (いだいなるおじいさま)

シャドー一族の長を務める男性。シャドー家の一員として認めるか否かを決めるお披露目を取り仕切ったり、生き人形を与えるかどうかを決める権限を持つ。また、一族に相応しくないと判断した相手を排除することもある。生き人形が人間のように意志を持って動けるのも、偉大なるおじい様が力を与えているからである。シャドーハウス内で生活しているが、人前に姿を現すことはほとんどない。生き人形からは「シャドー家を統率するシャドーハウスの王・私たち生き人形の生みの親・偉大なる想像主様」と呼ばれているが、名が汚れる可能性があるとその名でさえ滅多に口にすることは許されない。

エドワード

特別な生き人形の一人。ケイト・シャドーたちのお披露目の試験官を務めた。アッシュブロンドの髪をオールバックにセットし、上品なスーツを身にまとった青年で、優秀だが非常に神経質な性格をしている。観察力が鋭く、他者の性格を読んで試験を用意するが、予想外のことがあるとうろたえる打たれ弱い一面がある。また完璧主義者であるため、仕掛けも大がかりなものになりがちで、お披露目のために庭園丸ごと一つ用意した際には、3階の住人から「ガーデナーになるつもりか」と呆(あき)れられている。その正体は生き人形と一体化したシャドーで、シャドーハウスの2階の住人。すす能力や一体化は子供のシャドーには秘密であるため、特別な生き人形と偽って彼らに接している。シャーリー・シャドーが未熟な個体であることを見抜き、彼女を試験に落とすことは、試験前にすでに決定済み。また、ケイトも不穏分子として怪しんでおり、彼女も落とすつもりでいた。お披露目合格後も、ケイトのことは怪しんでおり、たびたび彼女たちに干渉し、その尻尾をつかもうとしている。上昇志向が強く、お披露目も試験官として3階の住人たちに自分の有能さをアピールするつもりでいる。お披露目は予定外のことがあったものの、結果的に偉大なるおじい様に評価され、「こどもたちの棟」の管理人となる。クリストファーとは同期の関係で、かつては「エド」という名の生き人形を従えていたが、一体化によってその顔を奪っている。すす能力は音をあやつる力で、これによって声を変えたり、不快な音で相手を攻撃することができる。

集団・組織

シャドー一族 (しゃどーいちぞく)

全身がすすで覆われた特殊な一族。全身が真っ黒なシルエット姿をしており、素顔を見ることはできない。単体の場合は「シャドー」と呼ばれる。すすによっていつも体中を汚しているため、一日に何度も服を着替える。またすすはふだんから出ているが、感情が昂(たかぶ)ったり、不安になったりすると、放出されるすすがさらに増える。顔で識別できないため、一人称を自分の名前にする習わしがある。また、「生き人形」と呼ばれる特別な人形をつねに侍(はべ)らせ、彼らを自らの「顔」とする習慣がある。シャドー一族はふだんは生き人形に身の回りの世話をさせ、貴族のような生活をしている。その正体は「モーフ」と呼ばれる特殊な妖精。生き人形はシャドーを模して作られたと言われているが、事実はまったくの逆で、モーフが生き人形となった人間を模してシャドーとして振る舞っているにしか過ぎず、シャドーたちは生き人形の人間だった頃の名前を名乗っている。ほとんどのシャドーにはモーフだった頃の記憶はないため、何の疑問も抱かずその現状を受け入れているが、一部にはモーフだった頃の記憶を所持したままの特別な個体も存在する。シャドーにはモーフだった頃の名残で、身近な人間を模倣して影響を受ける習性のようなものが残っている。シャドーハウスの上層部はこの事実を利用して、生き人形にすす入り珈琲を飲ませて洗脳させることで、シャドーに忠誠心を植え付け、自分たちに都合のいい存在として教育している。成長したシャドーはすす能力に目覚め、最終的にはお呼ばれされて生き人形と一体化する。

こびりつき

シャドー一族が発するすすを放置することで生まれる生物の集団。性別の概念はなく、言葉を発することもない。ネコくらいの大きさで基本的に四足歩行だが、個体によっては六本の脚を持つ者もいる。真っ黒な個体もいれば、薄く透けている個体も存在するなど、一定の姿を持たない。一度発生すると水をかけられるか、体を潰されない限り、シャドーハウス内を自由に動き回る。小さな集団では移動した場所をすすで汚す程度の悪さしかしないものの、大きな集団「亡霊」と呼ばれる集合体になると、シャドー一族や生き人形に危害を与えるようになる。また、亡霊に取り憑かれると「すす病」という病気になり、一時的に正気を失う。生き人形がすす病を患うと、最悪のケースでは処分される。そのため、見つかり次第生き人形によって処理されている。

場所

シャドーハウス

シャドー一族が暮らす大きな館。屋敷は子供が暮らす「こどもたちの棟」と、偉大なるおじい様が住まう「おじい様と共にある棟」の2棟が存在する。2棟の行き来は厳格に管理されており、大人となったシャドーも子供たちの棟に許可なく入ることはできない。このため、子供たちの棟では「星つき」と呼ばれるまとめ役が、子供たちの教育と管理を行っている。十分に成長した子供は、お呼ばれされて大人の仲間入りを果たす。また大人になっても、おじい様と共にある棟は能力によって「1階の住人」「2階の住人」「3階の住人」と格付けされ、大人のシャドーは成果を上げて上を目指すこととなる。このようにシャドーハウス内部は他者を蹴落としても上を目指す競争社会となっており、おじい様への高い忠誠心からその現状を疑問に思う者は存在しない。館内部には入ってはいけない場所がいくつか存在し、そこはワナもある危険な場所となっている。これらを潜り抜けた先には玄関があるが、玄関先は崖で内部の人間を逃がさない意思を感じる構造となっている。子供たちの棟とおじい様と共にある棟は「栄光の廊下」と呼ばれる渡り廊下でつながっており、この廊下の中心はタイルで区切られ、そこを境にそれぞれの棟の管轄になる決まりとなっている。

すす取りの間 (すすとりのま)

シャドー一族が住むシャドーハウスの中に存在する、生き人形のための部屋。入浴習慣のない生き人形が極端にすすにまみれてしまい、体が汚れたときに使用する。生き人形がベッドのような部分に横たわると、背中から強い風が吹いてすすを吹き飛ばす。その風の勢いは息ができないほど非常に強い。

洗浄の間 (せんじょうのま)

シャドー一族が住むシャドーハウスの中に存在する、生き人形のための部屋。大浴場のような場所で、生き人形用の石鹼や温浴施設が用意されている。二人一組で入浴し、生き人形の楽しみの一つになっている。身を清めると同時に体のメンテナンスやチェックも行われ、その際には顔の見えない人形が世話をする。シャドー家内で自分の主の身分や立場が上がると、洗浄の間での扱いがよくなっていく。

その他キーワード

生き人形 (いきにんぎょう)

シャドー一族に仕える人形。偉大なるおじい様が人間を模して作り出した意思を持って動く人形で、シャドー一族に一人一つ与えられる。顔の見えないシャドー一族の「顔」となる存在で、生き人形の教育はそのまま主の格を決める。生き人形はメイドや執事のように主に仕えるが、生き人形の資質は個々によって違い、個性が存在する。また人間を模して作られているため、痛覚が存在し、人間と同じくふつうに飲食もできる。人形であるためケガや死を「壊れた」と表現し、主の不興を買えば「処分」されて然(しか)るべきだと考えている。基本的に生き人形は主の顔として振る舞うため、主の名前の響きに近い名前が付けられる。また生き人形の中には「特別な生き人形」と呼ばれるものも存在する。その正体は生きた本物の人間。近隣の村に住む子供たちが、おじい様のすす入り珈琲を飲んだことで記憶を消され、自分が生き人形だと思い込まされているのが真相だった。シャドーたちが名乗っている名前も本来は生き人形のもので、生き人形は記憶と名を奪われ、そして最終的には一体化によって顔すら奪われる運命となっている。

顔の見えない人形 (かおのみえないにんぎょう)

シャドーハウスで働く人形。つねに黒いベール付きの黒い服を身にまとっており、顔が見えない。指示に従って動くだけの人形で、生き人形と違って自分から行動したり、会話したりすることはできない。さまざまな雑用を行っており、シャドーハウス中でその姿を見ることができる。その正体は主を失った生き人形が「再利用」された姿。すす入り珈琲を30日間も念入りに飲まされ、強烈に洗脳することで記憶も感情も消し去った存在で、シャドーの命令を聞くためだけに在り続けている。身にまとっている黒服は屋内で働くためのドレスと、屋外で働くための作業服の2種類がある。ドレスはスカート付きだが男女兼用。顔の見えない人形は非常に数が多いが、これはすす入りの人形を動かして数をかさ増ししているためで、すす入り人形を顔の見えない人形として巡回させ、警備を担当させている。

特別な生き人形 (とくべつないきにんぎょう)

シャドーハウスの中でも特別とされる生き人形。エドワードがこの肩書を自称し、生き人形にもかかわらずシャドー一族に対しても高圧的に接する。その正体は、お呼ばれされ生き人形と「一体化」したシャドー。シャドーと生き人形、どちらの姿も取ることができ、シャドーのすす能力も自在にあやつることができる。もともとあった生き人形の意識は一体化によって完全に失われており、見た目は生き人形だが、中身は乗っ取ったシャドーの意識が入り込んでいる。すす能力も一体化もシャドーハウスの重要な秘密であるため、エドワードはこの肩書を名乗った。

パンちゃん

エミリコがケイト・シャドーからもらった洋服を着た小鳥のぬいぐるみ。エミリコの何よりも大切な宝物であり、自室に一人のときは熱心に話し掛けている。中には綿ではなく、ケイトから出たすすが詰まっている。名前はエミリコの好物であるパンが由来している。

すす炭 (すすたん)

すすを集めて加工したもの。燃料として石炭よりも優秀で、シャドーハウスで使われているほか、近郊の村に配られている。実はすすには精神に影響を及ぼす効果があり、このすす炭にもその効果が残っている。すす炭の煙を吸った人間は正常な思考能力を奪われるため、近郊の村に住む人々はシャドー一族の言いなりになるのを何の疑問も抱かず受け入れている。

お影様 (おかげさま)

生き人形が名前を知らないシャドー一族の誰かを呼ぶときに使用する名称。ほかの名前で呼ぶと厳しい注意を受ける。

お披露目 (おひろめ)

シャドー一族にふさわしい人物なのか、その適正をチェックする機会。偉大なるおじい様を中心に、シャドー一族の者たちが確認する。本人だけでなく、生き人形の資質も同時に確認をされ、相応しくないと判断された生き人形は破棄される運命にある。お披露目によって合格した者と生き人形は正式に成人したとみなされ、改めてシャドー家の一員として認められる。一方、シャドーハウスで暮らすシャドー家の人々にとっては、誰が合格するのか見守ることが娯楽の一つとなっている。

星つき (ほしつき)

シャドーハウスの「こどもたちの棟」の管理を任されたシャドーと生き人形のペア。星つきは生き人形が星型のブローチを付けるのが決まりとなっている。クリストファー世代以前では意味合いが違い、まとめ役と言った役割はなく、「お呼ばれ」が決まったペアに与えられる証(あかし)で、大人になるための準備期間に与えられるものだった。現在はトマスによって意味合いが大きく変わっており、お呼ばれは星つき以外の者から行われる決まりとなっており、子供たちの教育係としての側面が強くなった。また、すす入り珈琲の管理なども大人から任されており、彼らの立ち回りが生き人形の洗脳を強固なものにしている。星つきになるためには、大きな成果を挙げて、現星つきからの推薦が必要となる。

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