概要・あらすじ
親兄弟とも、周囲の連中とも全く似ていないパン屋の長男シンバッドは、自分の出生の謎を解き明かしたいと思い続けていた。そんなある日、占い師たちに乱暴されている旅の少女ルールーを助けたことから、すべての時を視ることができる宝玉の争奪戦に巻き込まれてしまう。シンバッドは、掠われたルールーを救出し、自分の出生の秘密を知ろうと、自分に好意を抱いているジャリスと共に冒険の旅に出る。
登場人物・キャラクター
シンドバッド
『シンバッド』の番外編「余話として」で紹介される『アラビアン・ナイト』の「船乗りシンドバッドの冒険」に主人公として登場する人物。
アラジン
『シンバッド』の番外編「余話として」で紹介される『アラビアン・ナイト』の「アラジンと魔法のランプ」に主人公として登場する人物。実は中国人。
シンバッド
両親とは似ても似つかぬ一重まぶたの三白眼で直毛で鼻も低く、自分の血筋に疑問を抱いていた。実は漂着した倭人の幼児を、養父母が拾って、長男として育ててきたことが判明し、悪の魔術師ラァスに追われる占い師ルール、幼なじみの占い師ジャリスとともに自分の出自を探る旅に出ることに。 武器は母親が彼を拾った浜で手に入れた日本刀だが、剣術の遣い手ではなく、奇襲を得意とする。特技は素潜りでバハリ(海の妖怪)の異名を持つ。
ジャリス
シンバッドに好意を寄せている占い師の少女。旅の仲間となる。香を用いた占香術を得意とする。催涙香、睡眠香などを調合できる。褐色の肌で、よそ者扱いされている。
ルールー
とある前国王のお抱え占い師だったヤーサミーン(故人)の娘で、自分も占い師。母の形見の水晶玉マールートの瞳を持って、現国王のお抱え占い師で悪の魔術師ラァスから逃げている。彼女の占術で自分の過去を知ろうとするシンバッドに助けられ、一緒に旅をする。
アブドゥル
18年前、シンバッドを拾い、育てた養父。パン屋を営む。
オフクロ
名前は不明。18年前、シンバッドを拾い、育てた養母。夫のアブドゥルより肝が据わっており、何が起きても動じない。シンバッド旅立ちの日、日本刀を授ける。
アハマド
シンバッドの幼なじみの二枚目でライバル。シンバッドに決闘を挑むが、奇襲に遭って、一撃で倒される。ファヘドの弟。
ナルジス
シンバッドとアハマドから恋されている美少女。彼女を賭けて二人は決闘することになったのだが、彼女はアハマドの方に好意を抱いていた。
ヤーサミーン
ルールーの亡母。とある王家に代々仕えた占い師。マールートの瞳を使った占いは百発百中で、防衛目的以外の戦の占いをしないという契約だったが、新国王が隣国に攻め入る戦の成否を占えと強いたため、娘を連れて逃亡。娘に占いを仕込んだ後に死去した。
ファヘド
アハマドの兄で、モナの彼氏。弟がやられた仕返しにシンバッドを打ちのめす。その後、シンバッドに自分の船を乗っ取られ、さらにその船が海洋宮に激突して沈没してしまう。
モナ
アハマドの兄ファヘドの彼女。占い師。よそ者のルールーをリンチにかける。
ラァス
とある現国王のお抱え占い師で、悪の魔術師。海に浮かぶ宮殿海洋宮に乗り、多くの手下とともにルールーとマールートの瞳を追っている。
ジャービル・イブン・ジャービル (じゃーびるいぶんじゃーびる)
世紀の大天才の大錬金術師。ラァス、ヤーサミーンの師匠。魔術を悪用するラァスを追っている。
ハッサン
ジャービルのお供。
クマサン
ジャービルのお供。
カーシム
ラァスの部下を率いる隊長。剣術に長けた隻眼の男。
ハールート
ハールートの涙を海底の聖庫に封じた堕天使。
ヒコ
太陽号が座礁した孤島に住む鎧武者。シンド人(インド人)。幼児の頃に漂着し、先に島に流れついていた倭人たちに育てられる。倭語しか話せないが後にアラビア語を学ぶ。薙刀の名手。
シュヴァラモヒシャースラ
太陽号の寄港先の町を荒らす魔神。真実のささやかな愛を求め、次々と美女をさらって、無理矢理結婚している。暗闇にいる時はまともだが、光の中では悪行がとまらない。かつて一度愛した魔女を捨てて、呪いを掛けられ、不死の身体と醜い外見に変えられてしまった。呪いが解けるのは、心底愛してくれる女が現れるか、自分が死ぬ時だけ。
参謀 (さんぼう)
シュヴァラを無理矢理暗闇から引きずり出して、女狩りをそそのかす腰巾着。ネズミの耳とネズミの下半身、コウモリの翼を持った小柄なメガネ男。「爆裂溶破斬」(コンヤノシロバカマ)、「轟天屠竜砲」(イシャノフヨウジョウ)、「震星雷」(ネル・コハソダツ)、「毀壊覆滅衝」(ハヤオキハサンモンノトク)などの強力な攻撃魔法を操るが、命中しない。
ソーマ
シュヴァラを慕い、真人間に戻って欲しいと願う女奴隷。
ガネーシャン
シュヴァラの魔宮の地下の水牢に囚われた男たちのリーダー。この牢に囚われている男たちはシュヴァラに奪われた乙女たちを救出しに来た恋人や親族である。
魔女 (まじょ)
名前は不明。妖霊国から来た美女。シュヴァラに捨てられたことを恨み、彼と館の召使いすべてに呪いをかける。
ナビック
シュヴァラの部下。魔女の呪いで巨大な山椒魚の姿に変えられ、魔宮の堀を守っている。
シャハリヤール
『シンバッド』の番外編「余話として」で紹介される『アラビアン・ナイト』に登場するササン朝ペルシャの王。妃や奴隷たちの不倫に激怒し、全員の首をはね、処女を娶っては翌日殺害するという行為を繰り返すようになる。そこでシェヘラザードが王に毎夜、物語を語って聞かせ、一日ずつ命を延ばすことになる。
シェヘラザード
『シンバッド』の番外編「余話として」で紹介される『アラビアン・ナイト』の語り手。
モルギアナ
『シンバッド』の番外編「余話として」で紹介される『アラビアン・ナイト』の「アリババと40人の盗賊」で活躍する女奴隷。
ウルルワン
『シンバッド』の番外編「SDシンバッド『壺中魔神』」に登場する巨大な猫の姿をした魔神。二千年近く壺に閉じ込められていたが、シンバッドに解放される。シンバッドを食い、世界を征服しようとする。
集団・組織
イダテン
『シンバッド』に登場するシュヴァラの部下たち。元は人間だったが、魔女の呪いで脚が四本ある魔物に姿を変えられている。
場所
妖霊国 (じんにすたーん)
『シンバッド』に登場する魔女の母国。
海洋宮 (かいようきゅう)
『シンバッド』に登場するラァスの海に浮かぶ宮殿。大型船として航行する他、サマック・モードで潜水航行も可能。
その他キーワード
マールートの瞳 (まーるーとのひとみ)
『シンバッド』に登場する宝玉。すべての時を見通せる。占いにも、過去視にも使えるが、未来は複数の可能性があるため完全な予言はできないし、占い師の能力によって限界がある。ハールートの涙と対になっている。
ハールートの涙 (はーるーとのなみだ)
『シンバッド』に登場する宝玉。すべての場所を見通すことができる。マールートの瞳と対になっている。
太陽号 (たいようごう)
『シンバッド』に登場する船。錬金術師ジャービルが建造した。風力ではなく、科学技術で航行する。
イスカンダルの小舟 (いすかんだるのこぶね)
『シンバッド』に登場する船。錬金術師ジャービルが建造した潜水艇。
ミケルバン
『シンバッド』に登場する気球。錬金術師ジャービルが作った猫型気球。初期型は風任せの気球だったが、その後、動力飛行式に改良される。
ジャービルのカマーキム
『シンバッド』に登場する武器。錬金術師ジャービルが作った爆雷。ギリシアの火の改良版を詰めた瓶で水中でも発火する。カマーキルは「瓶」を意味するクムクムの複数形。
ギリシアの火 (ぎりしあのひ)
「ジャービルのカマーキム」に詰められた可燃性粘着物質。水では消火できず、かえって火勢が強くなる。
スライマーンの絨毯 (すらいまーんのじゅうたん)
シュヴァラの巨大な空飛ぶ絨毯。