概要・あらすじ
水爆実験から逃れるため、犬のハンペンをはじめとする動物たちは海へと船出した。海上で彼らと出会い仲間になった白井太郎は、苦難の果てに南海の孤島に流れ着く。そこには戦争で生き残った日本兵が隠れ住んでおり、島のどこかに隠されているという宝を探していた。島を急襲した海賊から逃げている時に、太郎は偶然に宝の隠し場所を見つけるが、ウラニウム鉱脈以上に大変なものを発見してしまう。
莫大な富を生み出すウラニウム鉱脈を求めてやって来る者たちから島を守るため、太郎と仲間たちは果敢に立ち向かう。
登場人物・キャラクター
白井 太郎 (しらい たろう)
色々な職業を経て、現在は国連警察軍に柔道を教えている少年。動物たちからは「タロ」と呼ばれている。かつてボリショイサーカス団に在籍しており、その時に、動物の顔つきや鳴き声を読み取って会話ができるようになった。真面目で正義感が強く、自分を犠牲にしても仲間の動物たちを守ろうとするため、周りからとても信頼されている。
ハンペン
野良の子犬。生まれて10日目に父親が水爆の実験で死に、20日目に母親が人工衛星に乗せられて飛ばされた過去を持つ。しかし優しい性分なため、人間を恨んではいない。トップのことを慕っており、動物仲間の協力を得て鎖に繋がれていたトップを解放し、一緒にイカダに乗って水爆から逃げた。
トップ
動物たちのリーダー的存在のシェパード犬。責任感の強いしっかり者で、白井太郎のサポート役を務める。ハンペンを弟のように可愛がっている一方で、仲間たちを率いる役目を彼に継がせようと考えているため、時に厳しい訓練を課すこともある。
三助 (さんすけ)
おっちょこちょいで理屈屋のサル。物知りで知恵が働き、ピンチの時には解決策を思いつくことが多い。また脱出用のイカダを自ら組み上げるなど、手先も器用。一方で気が弱い小心者で、仲間たちから意気地なしだと言われることもある。ウサギのラビちゃんに憧れている。
くろ公 (くろこう)
田舎者で生真面目な性格のタヌキ。船に置き去りにされていたところを白井太郎に助けられ、恩義を感じている。短気で怒りっぽくわがままなおじょうさんの振る舞いについては腹に据えかねており、追い出してしまえと繰り返し主張する。
タブー
食いしん坊で寝ぼすけの大きなブタ。のんびりした性格でピンチの時にも慌てることはない。体が大きいだけにかなりの力持ちで、隊長と戦って足に怪我を負った白井太郎を沢の底から引っぱり上げて助けるなどの活躍を見せる。ただしお腹が減ると力が出ないため、何でも食べてしまう。
ラビちゃん
優しくて可愛らしいウサギの女の子。ハンペンたちと一緒に、水爆から逃れるために海へ船出した。思いやりにあふれ、仲間のためには勇気を奮って行動する面もあり、みんなの憧れの的でお母さん代わりでもある。長い耳を活かして手旗信号を送ることができる。
ゴンベエ
少しずるい性格で、都合のいいことばかり考えるキツネ。くろ公やおじょうさんとともに、船に置き去りにされていたところを白井太郎に助けられる。海を漂流中に食料がなくなってしまい、いよいよ誰かが犠牲になって食われるしかないと選抜のくじ引きをした時、当たりを引きながらズルをして逃れようとした。
おじょうさん
もとは映画スターのブリジット・ベントー嬢に飼われていたメスネコ。気位が高くワガママで、自分は他の動物たちとは身分が違うからと特別扱いするよう主張し、何かと問題を起こす。自分を助けてくれた白井太郎を密かに慕っているが、プライドが邪魔してみんなの前ではその気持ちを見せないようにしている。皆には「おじょうさん」と呼ばれているが、本名は「ミミー」。
アホウドリ
白井太郎と仲間の動物たちが流れ着いた島をハリケーンが襲った時に、避難して来たアホウドリのコンビで、それぞれ「一号」「二号」と呼ばれる。徹底したいたずら者で、大事な食料を食べつくしたり、ゴンベエを縛り上げたりした。一方で義理に厚く、太郎たちがピンチに陥った際には手助けをする。
隊長 (たいちょう)
白井太郎と仲間の動物たちが流れ着いた島で、戦争が終わってからもずっと隠れ住んでいた日本陸軍の隊長の男性。部下たちが戦争は終わっているのではないかと主張しても頑なに聞き入れず、島を守るためと言って毎日穴を掘らせている。実は戦争がとっくの昔に終わったことを知っているが、アメリカの船団が島に隠した莫大な宝石とお金を手に入れようと企み、穴を掘らせていた。
キャラ・メル (きゃらめる)
ハリケーンに遭遇し、白井太郎と仲間の動物たちが住む島に流れ着いた少女。少年院を脱走して来た不良であり、命を助けられたにも関わらず太郎たちが持っていたお金と宝石に目を付け、どうにかして奪おうとする。おじょうさんを騙して隠し場所へ案内させるが、そこでもっと貴重なウラニウム鉱脈を発見して独り占めしようと企む。
ガム
ハリケーンに遭遇し、白井太郎と仲間の動物たちが住む島に流れ着いた少年。少年院を脱走して来た不良であり、命を助けられたにも関わらず太郎たちが持っていたお金と宝石に目を付け、どうにかして奪おうとする。企みに気づいて後を追って来た太郎とハンペンをピストルで脅し、殺そうとする。
スンダ
ロスポロス島の酋長の青年。もともと住んでいた島を白人に奪われて追い出され、新しい島を探して船出した。留学してイギリスの大学を出たインテリだが、白人に復讐するために海賊をしている。島をめぐって何度も白井太郎と戦うが、動物たちが懐いている姿を見て悪い人間ではないと判断し、自身の負けを認めて友情を結ぶ。