ジャンケット

ジャンケット

「ジャンケット」と呼ばれる、カジノにVIP顧客を紹介するブローカーの青年が、VIP顧客を相手に駆け引きの勝負を挑む姿を描いたギャンブル漫画。テキサスホールデムポーカーやブラックジャックといった、カジノゲームがメインに扱われている。

正式名称
ジャンケット
ふりがな
じゃんけっと
原作者
赤木 太陽
作画
ジャンル
ギャンブル・賭博
関連商品
Amazon 楽天

概要・あらすじ

マカオでジャンケットとして活動する葛城ショーは、カジノで富裕層のVIP顧客・通称「」を釣り上げる(自分の客にする)ために、仲間からの情報を受けてターゲットに接触。ポーカーテーブルに同席し、自分を売り込むと同時に、マカオでのジャンケットの必要性を説明する。パチンコ業界のトップ、大物弁護士、不動産ブローカー、元IT長者、詐欺師、香港マフィアなど、一筋縄ではいかない裏社会の大物たちを相手に、ショーは駆け引きを繰り広げていくが、日本がカジノの合法化に向かうにつれて、ショーの持つ顧客データを巡り、周囲の情勢が様変わりしていく。

登場人物・キャラクター

葛城 ショー (かつらぎ しょー)

ジャンケットを生業にする、マカオ在住の青年。種類を問わずギャンブルに関する卓越した腕を持ち、ポーカーの世界大会では世界ランカーのプロをも破った。ブラックジャックでは、場に出されたカードをすべて記憶する「コンプリート・カード・カウンティング」という神業を披露する。また麻雀にも精通していて、3対1での勝負でも敵同士の通しサインを見破り、勝利を収めるほどの腕前。 ブラフと心理操作が得意で、勝負中はささいなことも決して見逃さず、違和感を感じたらその原因を徹底的に追求し、チャンスに変える。ただし、自らを「カジノのハイエナ」を称しており、相手の骨までしゃぶる「鮫」(プロポーカープレイヤー)とは違って、プレイヤーとしてテーブルで稼ぐことを主目的とはしていない。 これらはあくまで「ジャンケット」として、自分を高く売り込むためのものである。「どこで誰が見ているかわからない」という理由で、「鯨」を釣り上げる(自分の客にする)勝負の前には、リムジンでカジノに乗り付けるなど、こと仕事に関しては徹底した姿勢を見せる。ちなみに、リムジンは演出のためのレンタルなので、帰りはスラムまで徒歩となる。 カジノに現れるVIP顧客のデータを常に持ち歩いているため、日本のカジノ合法化に向けてイニシアチブを取りたがっている者たちに狙われている。当初、身に付けている時計は偽物のパテック・フィリップだったが、途中からは岡田会長から巻き上げたブレゲのトゥールビヨンを愛用している。香港マフィアにジャンケット料をよく滞納しており、その度に殴られて大怪我をしている。 その際、痛み止めにはマリファナを愛用。チャンとは親しい友人で、「兄弟」と呼ぶほど。

ミリア

マカオで高級コールガールを務める女性。その腰使いは東洋一といわれ、初対面の黒武にも「あからさまにビッチ」と評されている。葛城ショーに「鯨」の情報を渡す協力者でもある。ショーには「世界中どこに行っても適応できる」と高く評価されており、実際に日本に戻った際には、銀座のクラブで瞬く間にNo.1の座に就いた。

チャン

マカオ在住の中国人男性。スキンヘッドの強面の顔立で、眼鏡をかけている。「福建野郎」呼ばわりされることもあるが、偽造パスポートで入国しているため、実際の出身地は定かでない。葛城ショーの相棒で、地元関係者との折衝役を務めており、バックには香港マフィア「新義安」がついている。ショーに金を貸すことがよくあるが、利息は1日1割と高め。 チャン本人もポーカーをすることがあるが、あまり強くはない。

岡田会長 (おかだかいちょう)

業界最大手パチンコメーカー「キョウハン」の会長を務める男性。マカオのカジノで葛城ショーと出会い、彼の顧客となった。その過程で、ブレゲのトゥールビヨンを巻き上げられている。日本のカジノ合法化に向け、イニシアチブを取ろうと暗躍している1人。ショーの持つ顧客データを狙っている一方で、彼のギャンブルの腕を高く評価している。 ゲーム中は常に葉巻を燻らせている他、コカインの常用者でもある。

南野 幸造 (みなみの こうぞう)

45歳の男性弁護士。日本で貧困層の人間を対象にした債務整理を主に手掛けており、「人生は弱い者探しの旅」という哲学を持っている。ミリアの客となったが、「こんな奴から一刻も早く離れたい」と思わせたほどに性格が悪い。特徴的な癖があるため、ポーカーではテーブルの全員に手札が見破られている。この時、葛城ショーにポーカーで敗れ、骨までしゃぶるという「鮫」(プロポーカープレイヤー)の存在を警告されたことをきっかけに、ショーの顧客となった。 大京社長を金主としている。

大京社長 (だいきょうしゃちょう)

大物不動産ブローカーの41歳の男性。毎日マカオで億単位の金を使っていると言われている。南野幸造の金主であり、彼と組んでローン破綻者の物件を安く買い叩き、高く売る任意売却の手法で会社を急成長させた。工藤昇に詐欺で騙された損害金を合法的に回収するため、カジノで工藤から金を取り返すための代打ちを葛城ショーに依頼する。 日本のカジノ合法化に向け、イニシアチブを取ろうと暗躍している1人。ミリアを尾行してショーのアパートを突き止めたり、ショーの危機を救ったところで、彼の持つ顧客データを要求するなど抜目ない性格。一方でショーの人間性は気に入っているようで、別れ際には「今度は一緒に儲けようぜ」と誘っている。

堀川 清明 (ほりかわ きよあき)

元IT長者の男性。常に棒付きの飴を舐めている。債権者対策のため、現在は落ち目になっていると見せかけ、表向きは引退したように振る舞っている。実際は、出会い系サイトや情報商材アフェリエイトで相当儲けている。新宿に裏カジノも持っており、月に一度、金持ち連中を集めてポーカーの卓が立てられる。東大出の秀才で、ポーカーはインターネットで覚え、確率論をもとにプレイする。 勝負の最中によくしゃべって相手の不快感を煽るが、相手が長考すると自分がイラつき出すという幼稚なところがある。葛城ショーが勝負中にキレた数少ない相手。ミリアによれば、とんでもない早漏だという。日本のカジノ合法化に向け、イニシアチブを取ろうと暗躍している1人。

工藤 昇 (くどう のぼる)

ファンドマネージャーを務めている男性。年齢は39歳。ただしこれは表向きで、実は詐欺師。30億円の巨額投資詐欺のリーダー的存在で、大京社長からも金を騙し取った切れ者。これが大京社長の怒りを買っており、葛城ショーは「屈辱と自己嫌悪に満ちた最低最悪のフィニッシュで地獄に落とせ」との条件で、代打ちを依頼されることとなった。 強気のプレイスタイルで、弱い手役を強く見せるというブラフが得意。そのためゲームへの参加率が高く、ベット・レイズ(賭け金の上乗せ)のアクションが多い。もちろんブラフ一辺倒ではなく、時には本当に強いカードを持って勝負を挑んでくるため、チャンに「見るたびに印象が変わる本物の詐欺犯(ブラファー)」と言わしめた。実はカツラを被っている。

黒武 (くろたけ)

新宿を根城にするケンチャンマン頭の男性。パンチパーマの髪型で、細いヤンキーメガネに鼻ピアスと、見た目は完全にチンピラ然とした風貌。日本に戻って来た葛城ショーと雀荘で出会い、新宿の裏カジノでの儲け話を提案する。黒武自身はギャンブルは強くないものの、自分のチームを持っている。またチャイニーズマフィアや暴走族上がりにも顔が利くため、裏カジノのポーカー卓ではショーのボディガードを務めている。 ショーを慕っているが、気が短く、暴走するとバットで殴りかかろうとすることもある。新宿の裏カジノでは、ほぼ出禁レベルの人物として警戒されており、「クロム」という通称でマークされている。

ティム

香港の金貸しの男性。頭をスキンヘッドにしている。カジノで「鯨」に付きまとい、金を高利で貸し付けて破産させてしまうため、香港マフィア「新義安」から疎まれている。ショーを「小日本人」呼ばわりし、やたらと尖閣諸島問題にこだわる。一方でショーからは「東亜病夫(チャイニーズ)」と呼ばれ、お互いがお互いを差別しあっている。 ヤンと岡田会長と組み、葛城ショーの持つ顧客データを奪おうと企んだ。実はドMの変態。

ヤン

北京から来た、眼鏡をかけた出っ歯の男性。日本のカジノ合法化に向けて、岡田会長に協力している。葛城ショーの持つ顧客データを狙い、ティムや岡田会長らと組んでショーに麻雀勝負を挑む。マカオのタイパ地区ではその名を知られた、有名なスカトロマニア。

我修院 (がしゅういん)

堀川清明が経営するポーカールームの男性客。運に任せたポーカーをするが、引きが強く降りないため、葛城ショーの駆け引きがうまく機能せず苦戦させた。ただし、キレると冷静な判断が一切できなくなってしまい、瞬時にカモになる。ゲーム中に賭け金が大きくなると勃起する癖がある。また、好きな手はハートの92(クンニ)、ハートの69(シックスナイン)で、ショーには「とことん下品」と評されている。 時計は3000万円オーバーのオーデマピゲを愛用。地回りのヤクザにも顔が利くこともあり、自分に勝ったショーを脅したが、黒武に制された。

集団・組織

新義安 (しんぎあん)

香港で暗躍するマフィア。マカオと香港に存在する「三合会」と呼ばれるマフィア組織のうちの1つ。映画界、カジノ運営、麻薬・武器の密輸、人身売買と、あらゆる商売に手を広げている。チャンの後ろ盾であり、葛城ショーにジャンケット権を貸している組織。制裁は厳しく、ショーがジャンケット料を滞納した時には、骨が折れるまで徹底的に痛めつける。

その他キーワード

ジャンケット

カジノにVIP顧客「鯨」を紹介するブローカー。ジャンケットがカジノと契約するには数億円の保証金が必要となるが、ジャンケットは既に契約を交わしている者から権利を借りることが可能で、カジノ側もそれを黙認している。葛城ショーはこのシステムを利用し、新義安の持つ権利を借りて活動しているため、新義安に権利料を支払うことを義務付けられている。 ジャンケットの報酬は、紹介した「鯨」がカジノに持ち込んだ金額に応じ、完全歩合制の形で支払われる。ジャンケットの中には、航空機などの手配だけでなく、女やドラッグの世話および後始末、カジノを使ったマネーロンダリングなど、非合法な要望に応じる者もいる。

(ほえーる)

富裕層のVIP顧客を指す隠語。彼らの使う金がカジノの収益の80%ほどを占めている。カジノにただ遊びに来る者から、マネーロンダリングを目的に訪れる者まで、その目的はさまざま。「鯨」は時に1日で億単位の金を使う場合もある。カジノはこのような優良顧客を獲得するため、ジャンケットと契約している。

ケンチャンマン

店舗サービスのみを狙ったプレイヤーの総称。歌舞伎町の地下カジノやポーカー喫茶、雀ピュータ屋に生息する。1人1万円分のサービス券やサービスチップを店から得ることを目的とし、数十人単位で組織化されている。そのボスを「ケンチャンマン頭」という。金を落とすことなく、ただサービスだけを消費するため、店にとっては何の利益も生まない、ただ邪魔なだけの存在。

クレジット

原作

赤木 太陽

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