ソードアート・オンライン プログレッシブ 泡影のバルカローレ

ソードアート・オンライン プログレッシブ 泡影のバルカローレ

比村奇石の『ソードアート・オンライン プログレッシブ』の続編。アインクラッド第4層に挑戦するキリトとアスナの戦いや冒険を描くバトルファンタジー。「電撃G'sコミック」2018年6月号から連載され、のちに「ComicWalker」と「ニコニコ静画」で連載された作品。

正式名称
ソードアート・オンライン プログレッシブ 泡影のバルカローレ
ふりがな
そーどあーとおんらいん ぷろぐれっしぶ ほうえいのばるかろーれ
原作者
川原 礫
作画
ジャンル
ゲーム
レーベル
電撃コミックスNEXT(KADOKAWA)
巻数
全2巻完結
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

プレイヤーの仮想体「アバター」の死が、現実の死につながるデスゲームと化したバーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)の世界に多くのプレイヤーが閉じ込められてから、すでに1か月以上が経っていた。ダークエルフの騎士キズメルと別れ、浮遊城アインクラッドの第3層をあとにしたキリトアスナは、次なる階層であるアインクラッド第4層の扉に到着していた。しかしキリトは、その扉の見た目が以前プレイしていたSAOのβ版とは、明らかに違っていることに気づく。扉を開けた二人を待ち受けていたのは、勢いよく流れる大きな谷川だった。β版では「涸れ谷」でしかなかった第4層は、正式版では水が巨大な編み目のように走る「水路」のフロアに変貌を遂げていたのである。キリトとアスナは現在の装備では川を渡って街に行くことができないと気づき、近くの樹に生っていた実で浮き輪を作り、川を渡ってロービアの街に到着することに成功。そこでは湖水に浮かぶ街並みが広がり、水上には大小無数の船が並んでいた。街中でアルゴと再会したキリトは彼女から情報を買い、第4層攻略の方法を探る中で、β版には存在しなかったクエストが追加されていることに気づく。この新クエストこそが攻略の鍵とにらんだキリトたちは、水路の向こうにある大扉の家に向かい、謎の老人と出会う。

第2巻

新クエストを発見したキリトアスナは、ロービアの水路を自由に移動するためには、「ゴンドラ」と呼ばれる船が必須であると知る。さらにゴンドラを作るためには、マグナテリウムを倒し、「ヌシ熊の脂」を得る必要があった。キリトとアスナは謎の老人にゴンドラを作ってもらうために、二人で協力しながら強敵マグナテリウムに挑む。材料集めを終えたキリトたちは老人にゴンドラを作ってもらい、完成した船は以前パーティを組んだキズメルの妹の名前から取って、「ティルネル号」と名づけられる。こうしてキリトたちは水路を移動できるようになるが、アインクラッド第4層の攻略にはさらなる難関が二人を待ち受けていた。ゴンドラに乗って洞窟を訪れたキリトたちは、水運ギルドとフォールンエルフの集団が取り引きしている現場を発見。フォールンエルフたちの企みを探るため、キリトたちはゴンドラを隠して洞窟の奥に進む。スニーキングミッションから戻ったキリトたちは一休みするが、次の日にはアルゴから情報を得たプレイヤーたちがゴンドラをそろえ、フィールドボスに挑戦していた。その夜、キズメルと再会したキリトたちは、フォレストエルフとフォールンエルフがヨフェル城を狙っていることに気づく。キリトたちはキズメルが属するダークエルフに味方することになり、ヨフェル城を守るために新たな戦いに挑む。

関連作品

本作『ソードアート・オンライン プログレッシブ 泡影のバルカローレ』は、比村奇石の『ソードアート・オンライン プログレッシブ』の続編となっている。前作では浮遊城アインクラッド第1層から第3層に挑戦する、キリトアスナの戦いや冒険が描かれている。こちらも本作と同様に川原礫の小説『ソードアート・オンライン プログレッシブ』を原作としているが、原作小説とは異なり、アスナの視点で物語が展開される。

登場人物・キャラクター

キリト

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)をプレイしている少年。黒髪短髪で、本名は「桐ヶ谷和人」。主武装は片手剣で、アバターでは全体的に黒い服装を好んで着用している。ゲーム以外の趣味は買い食いと昼寝。ほかの多数のプレイヤーたちと共にSAOに囚われたプレイヤーの一人だが、SAOβ版のテストプレイに参加していた元βテスターでもあり、その時の経験や知識を生かしてトッププレイヤーおよび「攻略組」の最前線として活躍している。モンスターに襲われて死の危機に瀕していたアスナを救出したことで知り合い、彼女とタッグを組んで行動することが多くなる。ディアベルの死をきっかけに生まれた元βテスターへの憎悪やプレイヤー同士の争いを抑えるため、自ら嫌われ役の「ビーター」を名乗ってソロプレイでの攻略を続けようとする。しかし、それらの真意を理解したアスナが自らついてきたため、そのままコンビを継続している。ゲーム初心者であるアスナにβ版で得た知識や攻略情報、ゲームのセオリーなどを教える指南役となり、つねに彼女を導いている。コンビとして行動するうちにアスナのことが気になっており、さまざまな危機や戦いを共に乗り越えながら、彼女と心を通わせていく。またアスナの持つ高いリーダー素質を見いだしており、自分の持つ技術や知識を通して彼女を導き続けることを、目標の一つとしている。

アスナ

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)をプレイしている少女。栗色のロングヘアで、本名は「結城明日奈」。高校受験のエリートコース脱落をきっかけにSAOをプレイするようになった。主武装は細剣。キリトと同じくSAOに囚われたプレイヤーの一人で、モンスターに襲われて死の一歩手前まで追い詰められていたところを彼に救われる。第1層のボスに挑戦する時にキリトとコンビを組み、それ以降も共に行動するようになる。現実生活ではキャリア重視の母親からプレッシャーをかけられていたこともあり、SAOに囚われた当初は、絶望から破滅的な行動を繰り返していた。このため当初は暗い雰囲気だったが、キリトと行動するうちに少しずつ前向きになっていき、本来の明るい性格を取り戻していく。攻略への熱意は強いが、お化けや幽霊のようなモンスターは苦手としている。オンラインゲーム初心者だが持ち前の反応速度や、キリトから仕込まれたゲーム知識を得るうちに、彼と同様「攻略組」になくてはならないプレイヤーに成長しつつある。また、キリトからはキバオウやリンド、ディアベルをも超えるリーダー素質を秘めていると評されている。恩人でもあるキリトのことが気になっており、さまざまな危機や戦いを乗り越えて助け合いながら、心を通わせていく。

アルゴ

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)をプレイしている少女。一人称は「オレっち」。元βテスターでもあり、同じくβテスターであるキリトとは知り合い。頰にネズミのヒゲのような3本線のフェイスメイクがあることから、「鼠のアルゴ」と呼ばれる。情報屋としてはかなり有名な存在で、キリトたちの行く先々に現れては、高額な報酬の代わりに攻略に必要な情報を提供している。少しでも弱みを見せると相場の何倍もの報酬をふっかけてくるため、キリトからは警戒されている。その一方で、あいまいな情報は裏を取ったりプレイヤーとしてのモラルを守ったりなど、情報屋としての腕前は一流。SAOのデスゲーム開始後はβテスターであることを明かしてソロプレイで情報収集を続け、生存に必要不可欠な重要な情報は攻略本としてまとめ上げ、プレイヤーたちに配布している。アインクラッド第4層でキリトたちに再会し、彼の依頼でロービアのマップを提供した。

ディアベル

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)に囚われた男性プレイヤー。盾持ちの片手剣使い。SAOのβテスターでもあるが、独善的な行為には走らず持ち前のリーダーシップでほかのプレイヤーをまとめる。浮遊城アインクラッド第1層でリーダーを務めながらボス戦に挑むが、攻撃パターンの変わっていたボスの一撃で返り討ちにされ、攻略をキリトに託して死亡した。

キバオウ

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)に囚われた男性プレイヤー。トゲが生えたような髪型で、あごにちょびヒゲを生やしている。関西弁で話し、ガサツな言動が多いものの、面倒見はよく話のわかる人物。持ち前のリーダーシップで攻略組のギルド「アインクラッド解放隊」を率いており、リンドが率いる「ドラゴンナイツ・ブリゲード」とはライバル関係にある。熱心にSAOの最速攻略を目指しており、リンドと共にキリトやアスナの行く先々に現れ、ロービアではフィールドボスの「バイセプス・アーケロン」に挑戦する。

リンド

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)に囚われた男性プレイヤー。ディアベルの仲間で、ディアベル亡きあとはギルド「ドラゴンナイツ・ブリゲード」のリーダーを務めるようになり、攻略組として活躍している。キバオウが率いる「アインクラッド解放隊」とはライバル関係で、たびたび対立している。熱心にSAOの最速攻略を目指しており、キバオウと共にキリトやアスナの行く先々に現れ、ロービアではフィールドボスの「バイセプス・アーケロン」に挑戦する。

キズメル

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」に登場するNPC。エルフの一種「ダークエルフ」の女性で、浮遊城アインクラッド第3層の長期クエスト「エルフとダークエルフの対立クエスト」にてキリトとアスナに助けられ、クエスト終了までパーティに加わって行動を共にしていた。褐色肌と長い耳を持つ凛々しい女騎士で、かなりの巨乳。クールに振る舞っているが人間に対しても義理堅く、仲間思いな性格をしている。非常に高い戦闘力を持つ「エリートMob」と呼ばれるNPCでもあり、NPCとは思えないほどに感情豊かで、スムーズな意思疎通もできる。ティルネルという妹がいたがすでに亡くなっており、アスナがティルネルとよく似ていることから、彼女を妹のように思って親身に接している。浮遊城アインクラッドに関する知識が豊富で、ふつうの人間と大差ない人格も持つが、ほかのNPCと同様にキズメル自身が仮想世界の存在であるという自覚はない。第3層でキリトたちと別れていたが、アインクラッド第4層のヨフェル城にて再会。ふだんは騎士の格好をしているが、ヨフェル城内の空気が緩んでいるためにドレスを着ていた。ヨフェル城が難攻不落の城であることから、城に住むダークエルフたちが緩み切り、神官たちがのさばっている現状を嘆いている。フォールンエルフとフォレストエルフがヨフェル城を狙っているという情報をキリトに聞き、彼やアスナと協力して戦う。

マグナテリウム

アインクラッド第4層の南の森に潜む大型火炎獣。頭部に一本のツノが生えた、身の丈8メートルのクマの姿をしている。通称「ヌシ熊」。ゴンドラの材料の一つである「ヌシ熊の脂」を得るために倒す必要がある。犬以上の鋭い嗅覚を持ち、ツノや爪だけでなく口から炎を吐いて攻撃する。

謎の老人 (なぞのろうじん)

キリトとアスナがロービアで遭遇したNPCの男性。街中にある大扉の家に住んでいる。大柄で筋肉質な褐色肌を持つ老人で、元は船大工をしていた。しかし、ゴロツキとつるんでいる水運ギルドに必要な資材を独占されたため、船が造れなくなった。第4層に追加された「造船クエスト」を発生させるために重要なNPCだが、不愛想で寡黙なため、ふつうの会話だけではクエストや情報を引き出すのが難しい。実はゴンドラの材料を提供することで、最高のゴンドラを造ってくれるNPCでもある。態度には出さないが最高のゴンドラを造ることを誰よりも望んでおり、それを見抜いたアスナたちがゴンドラの材料を手に入れたことにより、望みを叶えることができた。

ヨフィリス

ヨフェル城の城主を務めるNPCで、ダークエルフの子爵の女性。見た目は若いが、ダークエルフの中でも特に長く生きている。左目に大きな傷跡があり、ほかのダークエルフ以上に警戒心が強く、厳格な雰囲気をまとっている。難病を患っており、部屋にこもりがちなため、ヨフェル城の細かな出来事に目が行き届かず、これが城内の神官がのさばる原因となっている。

集団・組織

水運ギルド (すいうんぎるど)

アインクラッド第4層で活動しているギルド。ゴロツキとつるんで船の資材を占領し、謎の老人をはじめとする船大工たちから仕事を奪っている。裏ではフォールンエルフたちと取り引きをしており、エルフ全体の掟で生木の伐採を禁じられている彼らに代わって、船の材料を調達、提供している。

場所

浮遊城アインクラッド (ふゆうじょうあいんくらっど)

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」の舞台となる仮想世界で、空に浮かぶ巨大な城。100層に分かれた階層に、都市や村、森や湖などさまざまなフィールドがある。上の階層に進むには、その階層の「迷宮区」を攻略しつつ、迷宮区の奥を守るフロアボスを倒す必要がある。一度クリアした階層であれば、主街区にある転移門やテレポート用アイテムなどを使って転移ができる。

アインクラッド第4層 (あいんくらっどだいよんそう)

バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)の舞台である浮遊城アインクラッドの4番目の階層。SAO正式版では、キリトがテストプレイをしていたβ版とはマップなどが一部変更されており、扉にはレリーフの装飾が追加され、全体が大きな水路の走るフロアに変貌している。谷川の向こうには水路に囲まれた街、ロービアが広がる。

ロービア

アインクラッド第4層にある大きな街。β版では地味な街だったが、正式版では現実のヴェネツィアを模した、華やかな街に変わっている。湖水に浮かぶ白亜の美しい街並みと水路が広がり、水上には大小無数の船が並んでいる。街中を自由に移動するには「ゴンドラ」と呼ばれる船の調達が必要で、第4層の新クエストである「造船クエスト」に挑戦し、材料から集める必要がある。

ヨフェル城 (よふぇるじょう)

四方を湖水と断崖に囲まれた小島にある、巨大なダークエルフの砦。古くからオークやゴブリン、フォレストエルフなどの侵入を阻むほどの、難攻不落の城となっている。その一方で、ヨフェル城に住む神官を中心に、一部のダークエルフたちの油断を生み、城内の空気は緩みがちになっている。

クレジット

原作

川原 礫

キャラクターデザイン

abec

書誌情報

ソードアート・オンライン プログレッシブ 泡影のバルカローレ 全2巻 KADOKAWA〈電撃コミックスNEXT〉

第1巻

(2018-12-10発行、 978-4049122305)

第2巻

(2020-01-10発行、 978-4049129885)

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