あらすじ
第1巻
多くのプレイヤー仮想現実世界に囚われ、悪夢のデスゲームが繰り広げられた「SAO事件」から、2年の月日が流れていた。VR技術がさらなる進化を続ける中、VRマシン「アミュスフィア」に対抗するかのように、拡張現実(AR)機能を最大限に駆使した最先端ARマシン「オーグマー」も開発されていた。安全性と利便性から日常生活にも役立つツールとして大流行したオーグマーは、さらに専用のバーチャルRPG「オーディナル・スケール」(OS)も発売される。自分達の現実世界をゲーム空間に作り変えられる魅力を持つOSは一気に一大ブームが巻き起こり、アスナ達もこのゲームに参加していた。キリトもOSに参加するものの、彼はオーグマーには乗り気ではなく、OSもあまりプレイしていなかった。そんなキリト達のあいだで、OSに「ソードアート・オンライン」のボスが出現するという、奇妙な噂が流れ始める。アスナに連れられたキリトが目にしたのは、浮遊城アインクラッド第10層のボスモンスター「カガチ・ザ・サムライロード」であった。さらにOS内では、ほかのSAOボスモンスターも出現しており、プレイヤーを混乱させていた。キリトとアスナはこの出来事をきっかけに、現実世界を舞台にした、何者かの陰謀に巻き込まれていく。
第2巻
バーチャルRPG「オーディナル・スケール」(OS)内には、続々と「ソードアート・オンライン」のボスモンスターが出現していた。そんな状況に違和感を抱きつつも、アスナ達は積極的にバトルに参加し、ランクを上げていた。一方、アスナ達と共にプレイしつつも積極的にランクを上げていなかったキリトは、代々木公園でユナにそっくりな謎の少女、白いユナに遭遇する。生身の人間ではなく拡張現実の存在に見えるその少女は、キリトに「探して」と謎の言葉を残し、その場から消えてしまう。そしてキリト達の知らぬ間に、何者かによる巨大な陰謀が動き出しつつあった。後日、白いユナが気になったキリトはOSのイベントバトルが行われた場所を探るが、同時にOSにしばらく顔を出していないクラインの事が気になっていた。その日の夜、キリトは再び白いユナに遭遇するものの、彼女はどこかを指差して再び消えてしまう。さらに、クラインがOSのバトルで何者かに襲われて骨折し、入院したという連絡が入る。今夜のイベントバトルにアスナ達が参加する事を心配したキリトは、急いで恵比寿ガーデンプレイスに向かう。一方、リズベット達と共にバトルに挑むアスナは、前回遭遇したエイジと再会する。
第3巻
バーチャルRPG「オーディナル・スケール」(OS)でのイベントバトル中にシリカをかばい、ダメージを負ったアスナは一見無事に見えたものの、時間の経過と共に一部の記憶を徐々に失っていた。それは「ソードアート・オンライン」の中でキリトと共に体験した2年間の記憶で、OSをプレイするほかのSAO帰還者の中にも、アスナと同様に記憶抽出の被害に遭うプレイヤーが続出するようになる。事態が思わぬ方向へ動き出す中、キリトはアスナの記憶を取り戻す手段を探る中で、ランク2位の凄腕プレイヤー、エイジが一連の事件と関係があると考えるようになる。キリトはエイジに接触するため、積極的にOSのバトルに参加するようになり、東京ドームシティでシノンと遭遇する。SAO生還者ではないシノンの協力を得られるようになったキリトは彼女に背中を預け、ボスモンスター「ザ・ダイアータスク」に立ち向かうのだった。シノンのサポートを受けてボスモンスターを撃破したキリトは、白いユナと再会。どこかを指差して消えた白いユナが導いた場所をサーチしたキリトは、ARマシン「オーグマー」の設計者、重村教授がいる東都工業大学へ向かう。
関連作品
本作『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』の基になっている関連作品として、川原礫の小説『ソードアート・オンライン』を原作とする劇場版アニメ『ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』がある。ストーリーは川原礫による書き下ろし新作で、2017年2月18日から公開された。バーチャルRPG「オーディナル・スケール」に仕掛けられた悲しい陰謀と、キリトやアスナの新たな活躍を描く。
登場人物・キャラクター
キリト
バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」のSAO事件で活躍した、SAO生還者の少年。本名は「桐ヶ谷和人」。悪夢のデスゲームと化したSAOをクリアに導いた「英雄」として、多くのプレイヤー間で伝説となっており、「黒の剣士」の異名で呼ばれる。同じSAO生還者であるアスナとは、共にSAO事件での激戦を戦い抜いた仲間であると同時に、現在でも心身共に支え合う相思相愛の仲。仮想空間へのフルダイブができるVRシステムを好むためARマシン「オーグマー」にはあまりなじめず、「オーディナル・スケール」(OS)も積極的にはプレイしていなかった。アスナ達に誘われてOSをプレイしつつ、「アルヴヘイム・オンライン」へのログインを続けていたが、OSの流行による過疎化には少々寂しさを抱いている。ランクはほとんど上げておらず、現実の身体能力に左右されるOSでの戦闘において、ARとVRの違いにもあまり慣れていない。しかし恋人のアスナが記憶をなくしてからは、シノンのサポートを受けながら、アスナを救うために攻略イベントにも積極的に参加するようになる。当初のランクは104137位であったが、剣道の動作を一から学び直して都内の攻略イベントに参加するうちに、短期間で上昇させていく。OSでの武器は、DウェポンタイプS「エグゼキューター」を使用する。
アスナ
バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)のSAO事件で活躍した、SAO生還者の少女。本名は「結城明日奈」。SAOにおいては「閃光」の異名を持つレイピア使いとして活躍し、「血盟騎士団」の副団長も務めていた。同じSAO生還者であるキリトとは、共にSAO事件での激戦を戦い抜いた仲間であると同時に、現在でも心身共に支え合う相思相愛の仲。友人のリズベット達と共に「オーディナル・スケール」(OS)を積極的にプレイしている。OSでの武器は、DウェポンタイプS「プリシーダー」を使用する。当初のランクはキリトよりも高めで、1452位。イベントバトル中にシリカをかばってダメージを受けた際に、ARマシン「オーグマー」による記憶抽出の被害に遭い、SAO事件で体験した記憶を失った。以来、日々の出来事や思い出を日記に記録しながら、自宅で療養している。SAO事件での記憶の大半は消えてしまったものの、キリトを大切に思う気持ちは変わっていない。
ユナ
バーチャルRPG「オーディナル・スケール」で、初のARアイドルとして人気を博す歌姫。ユナのライブステージに遭遇すると、特殊な効果を得る事ができる。ライブステージ以外ではエイジと行動している事が多く、ビンの中に謎のキャンディを集めている。実は生身の人間ではなく、AR上だけに存在するAIだとプレイヤー間で噂されているなど、謎の多い少女。
エイジ
キリトとアスナの前に現れた謎の青年剣士。バーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)をプレイしていたSAO生還者でもあり、アスナが副団長を務めた「血盟騎士団」に所属していた。当時は「ノーチラス」という名前で、まじめで素質もあるが目立たず、死の恐怖からボス戦攻略には一度も参加していなかった。現在はSAO時代と大きくプレイスタイルが変わっており、現実世界での優れた身体能力を活かしてランクを上げ続け、「オーディナル・スケール」(OS)でランク2位を誇る凄腕プレイヤーとなっている。SAO生還者のうち、OSの攻略組の一角を担うギルドを狙い、「復讐」と称して一方的に潰している。ユナを連れて行動している事が多く、何者かと結託してOSを巡る陰謀に深くかかわっている。重村悠那とは幼なじみで、SAOの世界では彼女によく励まされていた。
白いユナ (しろいゆな)
キリトが代々木公園で遭遇した謎の少女。白いパーカーで顔を隠しているが、服装以外はユナとまったく同じ外見をしている。生身の人間ではなく残留思念のような形で拡張現実を徘徊し、キリトと初めて出会った時には「探して」と謎の言葉を残して消え去った。その後も別の場所でキリトとしばしば遭遇するようになり、ほかのプレイヤーにも発見されて「フードをかぶった女の子の幽霊」として噂されるようになる。
シノン
かつてバーチャルRPG「ガンゲイル・オンライン(GGO)」にて、キリトと共に戦った少女。ゲーム内では狙撃手として活躍する。過去の事件から銃器に関するトラウマを持っていたが、キリトに救われた事でトラウマを克服するようになる。現在はキリトやアスナ達と共に、「オーディナル・スケール」をプレイしている。アスナが記憶抽出の被害に遭ってキリトが積極的にランクを上げるようになってからは、SAO事件を体験していないため記憶抽出の被害に遭う心配がないという理由で、キリトが参加するイベントバトルに協力するようになる。
リズベット
アルヴヘイム・オンラインの世界を冒険するレプラコーンの少女。SAO生還者であり、ソードアート・オンラインでは名の知れた武器職人として活躍しており、キリトたちの武器の面倒を見ていた。キリトには特別な想いを抱いており、彼との絆があったからこそ今もアルヴヘイム・オンラインを遊んでいられるとリズベット自身は思っている。 アルヴヘイム・オンラインでも武器職人としての道を歩んでおり、ルクスが使っている剣はリズベットが作って贈ったものである。また武器以外にも楽器や盾なども作る事ができるが、服飾関係は別スキルが必要となるため衣装の修復はできない。武器の制作にはポリシーを持っており、友達にも自分の安売りはしないと自分の生産の腕に誇りを持っている。 このため服飾職人であるアシュレイには職人としてのシンパシーを感じていた。戦闘ではメイスと支援魔法を使って戦う。現実世界での本名は「篠崎里香」といい、SAO生還者用の学校である「SAO帰還者学校」にシリカと共に通っている年頃の少女である。
シリカ
アルヴヘイム・オンラインの世界を冒険するケットシーの少女。SAO生還者であり、ソードアート・オンラインで行われたデスゲームの最中にキリトに助けられて以降、彼に特別な想いを抱いている。ソードアート・オンライン時代は苦しい事もあったが、キリトをはじめとしてそこで知り合った人たちとの絆によって立ち直っており、今はソードアート・オンライン時のデータを使ってアルヴヘイム・オンラインの世界を仲間たちと共に冒険している。 現実世界での本名は「綾野珪子」といい、SAO生還者用の学校である「SAO帰還者学校」にリズベットと共に通っている年頃の少女である。現実世界では猫の「ピナ」、ゲーム中では小さい竜の「ピナ」を飼っており、珍しい竜を「使い魔」にしている事から「竜使いのシリカ」と呼ばれている。 短剣と支援魔法を使用した戦いを得意としているほか、観察力が鋭く、グウェンの使った魔法無効化のスキルの正体に真っ先に気づき対抗策を出したり、隠されたギミックを発見したりして活躍している。また彼女の使い魔のピナも味方の回復や援護を行う事ができる。なぜか触手型モンスターに襲われてはハプニングを引き起こすのに定評があり、仲間であるリズベットたちからはすでにお約束として見られている。
重村教授 (しげむらきょうじゅ)
ARマシン「オーグマー」を開発した科学者の男性。東都工業大学電気電子工学科教授を務めている。非侵襲式ブレイン・マシン・インタフェース研究の第一人者で、VRなどフルダイブ技術には否定的。また、先鋭的すぎる研究スタイルなどから、電気生理学界では異端者扱いされている。茅場晶彦はかつての教え子。重村悠那の父親でもあり、生前の彼女にせがまれてナーヴギアとバーチャルRPG「ソードアート・オンライン」のパッケージを入手した。しかし、それが結果的にSAO事件で悠那が命を落とす惨劇につながり、絶望のままに研究に没頭してオーグマーを開発し、悠那をAIとして復活させるための計画を企てるようになる。
重村 悠那 (しげむら ゆうな)
かつてバーチャルRPG「ソードアート・オンライン」(SAO)をプレイしていた少女。重村教授の娘。SAO事件の犠牲者となり、ゲーム中で命を落として2年前に亡くなった。エイジとは幼なじみで、SAOの世界で弱気になりがちだった彼をよく励ましていた。
その他キーワード
アミュスフィア
『ソードアート・オンライン』に登場する架空の脳インターフェース機器。「ナーヴギア」の後継機でソフトウェア互換。頭をぐるっと囲む輪のような形のゴーグルで、後頭部側を上下に開き、頭から被って使用する。 旧世代機で事件が起きたため、電磁波の出力が低く抑えられ、バッテリー非搭載となり、外部からの刺激や体の異常があった場合には強制シャットダウンするようになっているなど、徹底的に安全性が高められている。
オーグマー
VRマシン「アミュスフィア」に次いで登場した、次世代ウェアラブル・マルチデバイス。仮想現実へのフルダイブ機能の代わりに、拡張現実(AR)機能を使用するARマシン。小型のインカムのような形状で、アミュスフィアなどと比べて非常に軽量かつコンパクトなマシンになっている。VRとは異なり、使用者は覚醒状態のままで使用可能で、脳に電磁バルスを入力する事で視覚・聴覚・触覚情報を送り込める。元はフィットネスや健康管理をゲーム感覚で楽しむのに使用されていたが、専用のバーチャルRPG「オーディナル・スケール」がリリースされた事で一大ブームを巻き起こした。
ソードアート・オンライン (そーどあーとおんらいん)
世界初のVRMMORPG。正式名称の頭文字を取って「SAO」の略称で呼ばれる。開発者に乗っ取られてプレイヤーはゲームから脱出できないようにされ、ゲームの死が現実の死に直結するデスゲームとなってしまった。2年の月日をかけてキリトによって犯人が倒され、ゲームに囚われた人々は解放されたが、犠牲者も多く、生き残った人々にも多くの傷を残した。
SAO生還者 (えすえーおーさばいばー)
ソードアート・オンラインで行われたデスゲーム終了時まで生き残り、ゲームから生還したプレイヤーたち。2年間、外界とは隔絶された世界にいたため、一部の修学が必要な者は専用の「SAO帰還者学校」に通っている。過酷な電子世界での経験は多くのSAO生還者の心に傷を残し、人生を狂わせたうえに、周囲からの好奇の視線もあり、今もなお苦しんでいるSAO生還者が存在する。 そのためSAO生還者には二度とゲームに触れたくないと考える者も多く、リズベットは人の縁に恵まれてまた新しくゲームを始めた自分たちの方が少数派ではないかと語っている。
ランク
バーチャルRPG「オーディナル・スケール」の「ランキング・システム」によって決定される、プレイヤーの順位。「オーディナル数」と呼ばれる序数を基準とした順位が決定され、それに基づいて全プレイヤーのステータスが決められている。このランクが上位のプレイヤーほど圧倒的な力が与えられ、特にソロのプレイヤー同士のバトルでは、ランクの順位が勝敗を大きく左右する要因となっている。ただし、プレイヤーの現実の運動能力によっては、相手とのランク差を、ある程度埋める事も可能。
記憶抽出 (きおくちゅうしゅつ)
バーチャルRPG「オーディナル・スケール」のプレイヤーに現れている謎の記憶障害。主に都内でOSをプレイしているSAO生還者が被害に遭っている。プレイヤーがSAO事件で体験した記憶が失われ、一部の者は最近の記憶にも徐々に影響が出始めている。記憶抽出はARマシン「オーグマー」を通して行われており、脳を限定的にスキャニングする事でSAO事件での記憶を読み取っている。このため、オーグマーの開発者である重村教授との関係が疑われている。
オーディナル・スケール
ARマシン「オーグマー」専用のバーチャルRPG。略称は「OS」。プレイヤーは「ジ・オーダー」に所属する対DBA遊撃隊員となって、生体兵器「DBA」(モンスター)と戦う。「ソードアート・オンライン」や「アルヴヘイム・オンライン」に続く最新技術を用いた次世代ゲームとして話題になり、発売と同時に世間で一大ブームを巻き起こした。SAOなど従来のVRMMORPGとは異なり、仮想現実ではなく、オーグマーによって現実世界をゲームフィールドに変えるのが特徴。プレイヤーはゲーム世界に変化した現実世界のフィールドに出現するアイテムの収集や対人戦、モンスターの討伐などを重ねる事で、プレイヤーとしての「ランク」を上げていく。戦闘では「近接」「遠隔」「支援」の3タイプに分けられた、「Dウェポン」と呼ばれる武器から一つを選び、生身の肉体を動かしてオーグマーの視界に表示された敵と戦う。
クレジット
- 原作
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川原 礫
- キャラクターデザイン
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abec