ダスト8

ダスト8

不思議な「生命の石」の力により、旅客機の乗客84名及び乗務員6名のうち8人だけが墜落事故から生還した。石を取り戻し、8人の命を奪うべく、生命の山の守り役キキモラが人間界に旅立つ。元々は18人分の生命の石を回収するという構想で、タイトルも当初は「ダスト18」だったが、8つのエピソードで打ち切られたためこのタイトルとなっている。「週刊少年サンデー」1972年1月9日号から1972年5月14日号まで掲載された作品。

正式名称
ダスト8
ふりがな
だすとえいと
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

本来なら人間が踏み入れてはならない別世界に旅客機が紛れ込み、「生命の山」に激突した。だが、山と接触した旅客機は山の一部を砕き、岩のかけらが乗客に降り注いだことにより、乗客の中の10人だけがかけらのおかげで力を与えられ、命を永らえた。そのうちの8人は、ミサキさつきが気を失っている間に逃げおおせたものの、生命の山の守り役はミサキとさつきに、命と引き換えに彼らの生命の石の回収を命じる。

ミサキはこの命令を拒絶し、自分とさつきの生命の石を投げ捨てて再び死んでしまうが、生命の山の守り役である「キキモラ」は彼らの体を乗っ取り、石を取り戻すため人間界へと向かうのだった。

登場人物・キャラクター

ミサキ

旅客機墜落事故で命を落とした少年。生命の石の力により生き返るが、死後の世界にある生命の山を管理している謎の存在により、自分とさつき以外のよみがえった8人から生命の石を奪い返すように命令される。石を回収すると彼らが死ぬと知り命令を拒んだため、再び死んでしまう。ミサキの体に生命の山の守り役であるキキモラの一人が潜り込み、石を取り戻すために人間界へ旅立つ。 ミサキの中に入る前は、さつきの中に入ったキキモラと夫婦だった。

さつき

旅客機墜落事故で命を落とした少女。生命の石の力により生き返るが、死後の世界にある生命の山を管理している謎の存在により、自分とミサキ以外のよみがえった8人から生命の石を奪い返すように命令される。大喜びで引き受けるが、石を回収すると彼らが死ぬと知ったミサキに持っていた石を捨てられ、再び死んでしまう。さつきの体に生命の山の守り役であるキキモラの一人が潜り込み、石を取り戻すために人間界へ旅立つ。 さつきの中に入る前は、ミサキの中に入ったキキモラと夫婦だった。

阿沙 みどり (あさ みどり)

生命の石のかけらのエネルギーを得て、旅客機墜落事故から生還した8人の一人。ラジオ局でDJをしている。番組を通して、スパイ容疑で逮捕された友人キムの無罪を訴えており、生命の石を回収に来たさつきに、キムの死刑を阻止するまで待って欲しいと頼む。キムの祖国で独裁政治を行っているZ国から送られた刺客に命を狙われても、キムを助けるための署名活動を続けている。

キム

阿沙みどりとは元同級生で恋人だったが、今では友情で結ばれている。独裁政治を敷くZ国出身で、日本の大学に通っていたが、帰国してすぐにスパイ容疑で捕らえられ死刑判決を受けた。キムがスパイではないことは日本にいる友人たちが証言しているがZ国には聞き入れられず、まもなく死刑が執行されることになっている。

阿沙 ロック (あさ ろっく)

阿沙みどりの弟。番組放映中に生命の石を回収に来たさつきに出会い、悲鳴を上げたみどりを心配してラジオ局まで急いで駆けつけた、姉想いの青年。みどりから生命の石の話を打ち明けられても真に受けず、ノイローゼを心配する。キムを助けようと署名を集めるみどりをZ国の妨害から守り、手助けをする。

柏木 良夫 (かしわぎ よしお)

生命の石のかけらのエネルギーを得て、旅客機墜落事故から生還した8人の一人。世界記録を保持するレーサーで、事故を生き延びて以来、自分を不死身だと思い込んで危険なレースに勝利してきた。ミサキと出会い死を宣告されたことで動揺して、死の恐怖に憑りつかれてしまい、42回目の記録更新に失敗する。ミサキの影に怯えながらも、鯨川久との勝負に挑む。

鯨川 久 (くじらがわ ひさし)

柏木良夫の記録に挑戦状を叩きつけたライバル。過去に7回記録を更新した実績を持っている。挑発的な言動をするが、それは互いにベストなコンディションでいいレースをすることを望んでいるがゆえ。ファンを大切にしている。

エリ子 (えりこ)

生命の石のかけらのエネルギーを得て、旅客機墜落事故から生還した8人のうち5番目の人間の娘。石を持っていた母親は、桟橋で転んで亡くなっている。その時に石を落とし、そのまま紛失している。母親が事業で失敗して莫大な借金を残したため、借金のかたにタダ働きをさせられている。空腹でさまよっていたミサキに食事を与えたことがきっかけで、身売りさせられそうになったところを、ミサキに助けられる。

パイロット

生命の石のかけらのエネルギーを得て、旅客機墜落事故から生還した8人の乗客の一人。事故以前は日本の航空会社でパイロットをしていたが、命拾いをして以来、自分はいつ死んでもおかしくないと割り切った気持ちになり、あえて危険な地域で飛行機を運転する外国の航空会社に転職した。アメリカ人の動物学者を乗せて運転中に再び事故に遭い、ジャングルの中に不時着する。 バダク族の罠にかかって死にかけるが、生命の石の力で命を取り留める。バダク族の村の近くに潜む日本兵に動物学者をさらわれてしまい、救助に向かう。

動物学者 (どうぶつがくしゃ)

アメリカ人の動物学者の女性。ジャングルにいる原始的なサルを調査するため、パイロットの操縦する飛行機をチャーターし、一緒に事故に遭って遭難する。ジャングルの中にあるバダク族の村から日本兵によってさらわれてしまい、敵国の人間として処刑されそうになる。

日本兵 (にほんへい)

事故に遭ってジャングルに不時着したパイロットと動物学者がたどり着いた、バダク族の村の近くに潜んで暮らしていた男性。実は日本人ではなくバダク族だが、赤ん坊の時にアメリカ軍に焼き打ちにされた村で日本人の兵隊に拾われた。その後兵隊に息子として育てられ、自分を日本人だと思っている。そのためアメリカを敵国として憎んでおり、村からアメリカ人の動物学者をさらって処刑しようとする。 戦争が終わったことを知らず、パイロットから日本が勝利したと嘘を教えられる。

画家 (がか)

生命の石のかけらのエネルギーを得て、旅客機墜落事故から生還した8人の乗客の一人。いつか誰かが石を取り返しに来るだろうと、毎日夢でうなされていた。画家として活動していたが絵がまったく売れず、借金まみれの生活を送っている。石を回収に訪れたミサキとさつきに素直に石を渡し、代わりに自分の絵が30年後にどんな評価をされているか見せて欲しいと頼む。

久留島 (くるしま)

生命の石のかけらのエネルギーを得て、旅客機墜落事故から生還した8人の乗客の一人。ロボット工学の世界的権威で、知能ロボットの研究をしている。長い間人間と頭脳がまったく同じロボットを開発することに命をかけてきた。生命の石を分析して、命そのものの正体を探ろうとしている。実験材料として石を削って使用しているため、石がどんどん小さくなってしまい、生命を維持する力が弱まって時々倒れているが、研究が終わったら死んでもいいと考えている。 人間の脳細胞と同じ数のICで出来ている電子頭脳を完成させ、生命の石を与えて命を吹き込む。生まれたロボットに、亡き妻にちなんで「カオリ」と名付けた。

その他キーワード

生命の山 (いのちのやま)

人間が死んだ後に行く世界にある山。岩に生命エネルギーが含まれており、かけらには生命を維持させる力がある。旅客機がぶつかった時、岩が砕けてかけらが10人の乗客に降り注いだ。そのため、一度死んだ乗客がよみがえってしまった。

キキモラ

生命の山の守り役。動物を思いのまま念力で動かす力を持つ。個体ごとの名前を持たず、まとめて「キキモラ」と呼ばれている。一方でそれぞれに意思や個性を持つ。ミサキとさつきの中に入っているキキモラは、一対の夫婦だった。

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