概要・あらすじ
金融会社月影ファイナンスで働く春居筆美は、表向きは手品を特技にもつ平凡なサラリーマン。だが、正体は会社のオーナーであり、スーパー奇術師Dr.WHOOとなって、法では裁けない悪人を懲らしめて債権を回収し、善良な人々を救っていく。
登場人物・キャラクター
春居 筆美 (はるい ふでみ)
普段は長い黒髪を後ろで束ね黒縁眼鏡をかけた冴えない営業社員を装っている。お人好しで困っている人を放っておけない性格で、手品を特技とする。表向きは、既婚者で3人の子供がいるように偽装している。正体は店長の巣鴨だけが知る、会社のオーナーである。有事には派手な格好の奇術師Dr.WHOOとして悪人にイリュージョンを見せ、負債の清算を行う、もう1つの顔がある。
小泉 じゅん (こいずみ じゅん)
月影ファイナンスの窓口業務を行っている。春居筆美の単純な手品にも騙され、社内では「日本一騙されやすい女」と言われている。純粋な天然ボケな性格ではあるが、PCの情報処理システム開発に強く、時には能力を発揮する。ペットのベルツノガエル「ベルちゃん」を激愛している。
巣鴨 (すがも)
月影ファイナンスの支店長で、表向きは春居筆美の上司。大きな黒縁眼鏡をつけた小柄な中年男性。Dr.WHOOとしての秘密を知る数少ない人物。薄毛を気にしていて、常にブラシで頭をたたいている。
赤坂 (あかさか)
月影ファイナンスの店長代理。大柄で豪快、女性関係にはマメな性格。客の風俗嬢のトラブルに介入することもある。
青山 ネネ (あおやま ねね)
月影ファイナンスの窓口業務を行う。ギャンブル好きで仕事中でも競馬中継を聞いている。愛読書は競馬新聞。姉御肌で勝気な性格。しばしばブチ切れる。
茅場 頂一 (かやば ちょういち)
月影ファイナンスの若手営業社員。小柄で出っ歯、ネットオークションを趣味とする。欲しいフィギアが有ればお金に糸目をつけないオタク気質がある。洋菓子を愛好し、噂や口コミ情報にも詳しい。
ロベール 山田 (ろべーる やまだ)
カクテルバーBar Houdanを経営する奇術師。八字髭をたくわえた中年男性。おちゃめな人物で、手品で人を驚かせる事が大好き。Dr.WHOOが悪人退治をする場として時々バーを提供し協力している。Dr.WHOOの良き理解者。
黒淵 深海 (くろぶち しんかい)
日本政財界に広い人脈を持ち、黒幕と呼ばれた男。黒淵機関の創設者。マカオにて脳卒中で客死したと言われている。
ジャンヌ
新宿の路地裏でタロット占いを営む女性。また香を使って人を操る術を使う。黒淵機関機関員の1人で、現在のクロブチライブラリーの管理者。人脈の広さで情報収集をしている。フリークライミングを趣味とし運動神経も良いため、たびたびDr.WHOOと共同で作戦を実行している。愛煙家。
カチョー
長日部という名前でふらち野市役所出張所を転々とし、万年課長として勤務している。黒淵機関機関員の1人で、針でのツボ刺しの技を持つ。昼食はいつも親子丼弁当を注文する。
無法松 (むほうまつ)
黒淵機関機関員の1人。巨漢で力が強い。主に裏工作の作業を請け負う。
レオン
黒淵機関機関員の1人。丸いサングラスが特徴。長身で筋肉質な体型を活かし素手で戦う。元プロの格闘家だったが、暴力団とのトラブルに巻き込まれ、死にかけたが黒淵深海に救われた。かつての本名は馳川公彦。
柳原 愛彦 (やなぎはら なるひこ)
衆議院議員。金融界のニューリーダーにして、現与党・立憲民政党幹事長代理。点心作りを趣味とし、弁舌さわやかな政策通というイメージで国民の信頼を得てきた。かつて深島銀行ニューヨーク支店店長。そのニューヨーク支店長時代に部下だった北大路冬彦に横領の嫌疑を着せて有罪にした過去を持つ。
高瀬川 権造 (たかせがわ ごんぞう)
元衆議院議員で、かつては「衆議院の毒マムシ」、「国会の寝業師」とも呼ばれた金権政治家だった。引退後、脳梗塞を患い介護老人となり、無認可の老人ホームに入所させられいる。
高瀬川 清人 (たかせがわ きよと)
高瀬川権造の嫡男。もと深島銀行ニューヨーク支店に勤務していた時、ニューヨーク・マフィアのドンの為替資金を焦げ付かせた張本人。柳原愛彦が設立したシラフジ会の理事長となった。
南丘 静江 (みなみおか しずえ)
北大路冬彦のかつての妻。専業主婦で不自由無く暮らしていたが、夫がシエラネバダ刑務所に収監されたのち、やむを得ず離婚。その後、深島銀行時代の部下だった縁から、柳原愛彦が秘書として迎え、柳原議員事務所の金庫番と呼ばれ、その仕事に充実感を覚える。柳原愛彦を信頼し片腕ともいえる存在となっている。
南丘 夏彦 (みなみおか なつひこ)
北大路冬彦の息子。7歳の時父親と離れ、現在20歳。シラフジ会から奨学金を受けている大学生。演劇サークルに入っているが、手先が器用でマジックに興味が湧きハワード辰巳のアシスタントになる。横領犯として死亡した父を憎んでいて、柳原愛彦を心より信頼している。
ハワード 辰巳 (はわーど たつみ)
派手なブラック・マジックを得意とし、異端のマジシャンと呼ばれている。シラフジ会の2期生として援助を受け、マジックの腕を磨いていた。その才能を買われシラフジ会の危機管理のエキスパートとして力を貸している。
有坂 憲 (ありさか けん)
零細出版社のフリーライター。かつては小泉じゅんと同じ銀行に勤めていた。ノンフィクションライターとして、真相を求めて取材の日々を送っている。月影ファイナンスに疑念を抱き、深入りしないようにカチョーたちにアメリカに飛ばされたが、それがきっかけとなり北大路冬彦の死の真相に迫ることになる。
北大路 冬彦 (きたおおじ ふゆひこ)
かつては海の見える高台の家で家族3人、大型犬と一緒に暮らしてたが。13年前、深島銀行ニューヨーク支店に転勤になり、何者かに横領事件をでっち上げられ、有罪となってしまった。シエラネバダ刑務所に収監中に病死する。
集団・組織
九屈美術工芸舎 (くぐつびじゅつこうげいしゃ)
『ダブル・フェイス』に登場する組織。家族経営の小道具・大道具製造会社。1千万円を融資する代わりに、秘密厳守でDr.WHOOの大道具・小道具の製作する。1人息子の勇希はDr.WHOOのトリックを手伝うこともある。
月影ファイナンス (つきかげふぁいなんす)
春居筆美が経営し、平社員として勤める消費者金融会社。都心に店舗を構えていて、従業員6人の小規模な街金だが堅実経営を社是としている。表向きは月影グループ傘下となっているが、その背後関係は杳として知れず、社員の間でも様々な噂が囁かれている。
黒淵機関 (くろぶちきかん)
『ダブル・フェイス』の組織。黒淵深海を中心として動いていたとされる組織。政治家や財界人の依頼により、裏仕事や汚れ仕事を請け負っている。クロブチライブラリーという裏社会情報のデータベースを有している。黒淵深海の遺志を継いで、現在はDr.WHOOたち5人の機関員が主立って活動している。シラフジ会に機関の地位を簒奪し、日本社会を支配しようと狙われている。
シラフジ会 (しらふじかい)
『ダブル・フェイス』の組織。柳原愛彦が統括コントロールし高瀬川清人が理事長を務める団体。学力、スポーツ、芸術等、秀でた若者に教育上の援助をし、支援している団体。表向きは、日本を担うエリート候補生を支え、将来国家を動かす優秀な人材を確保するという目的だが、実は、柳原愛彦の意のままに動く人間を各界に配備することを目的として運営されている。
場所
Bar Houdan (ばー はーでん)
『ダブル・フェイス』二登場する舞台のひとつ。ロベール山田がバーテンダーを務め、Dr.WHOOが悪人退治をする場として時々バーが利用される。ビル内に小さな看板が出ているが、しばし雲隠れすることがある。マジック愛好者の集いの場になっている。