テノゲカ

テノゲカ

『名探偵コナン ゼロの日常』などで知られる新井隆広の代表作の一つ。順天堂大学浦安病院の整形外科准教授、市原理司が監修を務めている。日本の王嵐堂大学とフランスのアルザス大学を舞台に、手塚一心や明智紋次郎ら若きエリート医師たちが、手の専門医「手外科医」として奮闘する姿を描いた医療ドラマ。物語は、手塚と明智が王嵐堂大学で研鑽を積む「第一部・王嵐堂編」、二人の過去と医師になるまでの道のりを描いた「第二部・日仏青春編」、そして成長した彼らが日本とフランスで活躍する「最終章-C'est la vie-」の3部構成となっている。小学館「週刊少年サンデー」2023年25号から2025年24号まで連載。

正式名称
テノゲカ
ふりがな
てのげか
原作者
詩石灯
漫画
ジャンル
医者・看護師
レーベル
少年サンデーコミックス(小学館)
巻数
既刊10巻
関連商品
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二人の天才手外科医の挑戦

手は人体の中でも特に複雑な機能と構造を持つ器官であり、そのため手に関連する疾患も多岐にわたり、その治療を専門とする「手外科」が存在する。王嵐堂大学に所属する手外科医の手塚と明智は、日本でも屈指の技術を誇る手外科医であり、それぞれ異なる場所で医療技術を学んだ。二人は、手塚の実妹で明智の後輩でもある整形外科医の若井ひなたや、「壬生狼」の異名を持つ麻酔科医の土方泰三と協力し、事故で手に深刻な傷を負った患者たちを神業とも称される手術で次々と救っていく。

腕部のケガと病気を抱える患者たち

王嵐堂大学の手外科には、さまざまな患者が運ばれてくる。事故で右腕を切断された元寿司職人の堂本信一、選手生命が危ぶまれる「舟状骨偽関節」を患ったプロ野球選手の羽鳥修、そして「特発性前骨間神経麻痺」により右腕が動かなくなった漫画家の足立健斗など、腕部にケガや病気を抱えた患者が訪れる。彼らの多くは手や指を使う職業に従事している。手塚や明智をはじめとする手外科医チームは、技術だけでなく、患者のその後の人生をも救うべく全力で手術に臨んでいる。特に、事故で左人差し指に重傷を負った織田良直は、かつて荒れていた高校時代の明智の恩師だった。恩師の危機を知った明智は、自ら執刀医を志願し、手術中に地震に見舞われるというアクシデントが発生するが、手塚の助けを借りて、みごとに織田の手を回復へと導く。

手塚と明智の成長物語

手塚が王嵐堂大学での活動を始める前のこと。高校在学中にフランスの大学入学資格「バカロレア」を取得した手塚は、父親、猛の親友であるフレデリク・モロー教授を頼りにフランスへ渡る。そして、アルザス大学に入学し、「PACES」と呼ばれる非常に厳しい進級カリキュラムに挑戦する。そこで出会ったジャン・ジャック・バレと共に机を並べ、共に困難を乗り越え、みごとにPACESを突破する。一方、19歳になった明智は王嵐堂大学に入学し、当初は緩やかな学風に物足りなさを感じていた。しかし、奈良から上京してきた星井歩という無二の親友を得ることで、二人は互いに切磋琢磨しながら外科医としての技術を磨いていく。それぞれ異なる場所で研鑽を積んだ二人は、王嵐堂大学病院で立派な手外科医へと成長していく。

登場人物・キャラクター

手塚 一心 (てづか いっしん)

王嵐堂大学病院に勤務する手外科医の男性。穏やかな性格でふだんは飄々としているが、仕事中はつねに真剣に取り組んでいる。その卓越した手術技術は、王嵐堂大学の関係者から「失い難い人材」として非常に重宝されている。また、大学生の頃から自炊を続けているため、料理の腕前も非常に優れている。自身が手術を担当したピアニストの岡本吏美の演奏する「ラ・カンパネラ」がお気に入りで、手術中に集中力を高めるためによく聴いている。6歳の時にテロ事件で父親の猛と母親の秀子を失い、自らも親指を失う重傷を負うが、その場にいた父親の友人である若井敦によって父親の親指が移植された。その後、手塚は若井家に引き取られて育てられた。首と背中の傷跡を隠すため、両親が大切にしていた花「グラジオラス・ビザンチヌス」のタトゥーを入れている。高校卒業後、18歳でフランスのアルザス大学で手外科医の医師免許を取得し、その後はアルザス大学の附属病院だけでなく、アフリカや東欧、中東などの戦場で数えきれない命を救ってきた。しかし、戦場で多くの死を目の当たりにしたことで、心身共に疲弊していく。その様子を心配した恩師のフレデリクから、日本の王嵐堂大学で活動するよう要請され、帰国した。帰国直後は、志半ばで戦場を去ることになった無念さや、自分のあるべき姿への葛藤を抱えていたが、明智やひなたをはじめとする王嵐堂大学の仲間や患者たちとの触れ合いを通じて、次第に本来の自分を取り戻していく。

明智 紋次郎 (あけち もんじろう)

王嵐堂大学病院に勤務する手外科医の男性。自分に厳しく、他人への配慮を忘れない優しい性格の努力家。幼い頃、大工の父親、勉が現場での事故により指を切断し、優れた手外科医に救われたことがきっかけで、彼のような医師になりたいと志すようになった。学生時代には不良に目をつけられ、荒れた時期もあったが、美術教師の織田に助けられ、再び医者の道を進むことを決意した。日本の医療に誇りを持っており、当初はフランスから帰国した手塚の技術に疑念を抱いていた。しかし、手塚の手術を目の当たりにし、その卓越した技術に感銘を受けて考えを改め、手塚は王嵐堂大学にとって欠かせない人材であると主張するようになった。さらに、手塚が心の奥底に罪悪感と無力感を抱えていることに気づき、ひなたやフレデリクといった手塚に近しい人々の力を借りて、彼の心を救うために尽力している。

クレジット

原作

詩石灯

監修

市原 理司

書誌情報

テノゲカ 10巻 小学館〈少年サンデーコミックス〉

第1巻

(2023-08-18発行、978-4098528462)

第2巻

(2023-09-15発行、978-4098528837)

第3巻

(2023-12-18発行、978-4098530526)

第4巻

(2024-03-18発行、978-4098531837)

第5巻

(2024-06-18発行、978-4098533831)

第6巻

(2024-09-18発行、978-4098535712)

第7巻

(2024-12-18発行、978-4098538058)

第8巻

(2025-02-18発行、978-4098540167)

第9巻

(2025-04-18発行、978-4098540853)

第10巻

(2025-06-18発行、978-4098541485)

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