トラファルガー

トラファルガー

『エーゲ海の鷲』『七つの海七つの空』『エル・アルコン-鷹-』など、海洋ロマン作品を連続して発表した青池保子による1978年度作品。19世紀初頭、仏軍率いるナポレオンと英国の戦争中に起きたトラファルガー海戦が物語の舞台。ネルソン提督を巡っての、若き英国軍艦長と仏軍狙撃手の友情と激突を描く。

正式名称
トラファルガー
ふりがな
とらふぁるがー
作者
ジャンル
その他歴史・時代
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概要・あらすじ

イギリス海軍の艦長として勇名をはせるユージン・ラドリックは、来るべきフランス海軍との戦いに備えていた。だが封鎖戦の中でユージンを撃った狙撃手が、フランス革命の折に生き別れとなった親友マルソー・ニジェールだと気づく。マルソーの次なる狙いは英国艦隊をまとめるネルソン提督。1805年10月、地中海の出口トラファルガー岬で激突する英国艦隊と仏艦隊。

混戦の中、ユージンはマルソーの狙撃を阻止するべく、奮戦する。

登場人物・キャラクター

ユージン・ラドリック (ゆーじんらどりっく)

英国海軍戦列艦トライトン号の艦長。謹厳実直な25歳の軍人中佐で、長い黒髪をリボンで束ねている。幼い頃にフランスの叔母の家に遊びに行き、その夫の連れ子マルソー・ニジェールと親交を深める。だが、フランス革命の暴動に巻き込まれ、マルソーとは生き別れになった。トラファルガー海戦で、マルソーを狙撃して倒している。

マルソー・ニジェール (まるそーにじぇーる)

金髪碧眼、冷徹な雰囲気を漂わせた25歳でフランス軍大尉。凄腕の狙撃手として活躍する。元は貴族だが、フランス革命時に家族を殺され領地は没収された。ユージン・ラドリックとは幼なじみの関係。軍の暗殺命令を受け、ネルソンの命を狙う。ロマンチストで、狙撃に美学を求めるところがある。

リチャード・モンゴメリー (りちゃーどもんごめりー)

姉アデレイドの反対を押し切り、英国海軍に志願した14歳の少年。トライトン号に士官候補生として乗り込む。ユージン・ラドリックに憧れている。トラファルガー海戦で大砲の下敷きになり右足を失うが、後にユージンの前に現れて軍への復帰を願い出ている。

アデレイド・モンゴメリー (あでれいどもんごめりー)

貴族モンゴメリー伯爵の娘で、リチャードの姉。弟を溺愛しており、軍への入隊を強く反対していた。リチャードの身の安全を図ろうと、ユージン・ラドリックに援助を申し出たこともある。戦傷で除隊となったリチャードを見舞いに来たユージンのことを激しくなじり、追い返している。

ホレーショ・ネルソン (ほれーしょねるそん)

実在の歴史上人物、ホレーショ・ネルソンがモデル。イギリス海軍きっての名提督。隻腕隻眼。イギリスにとって仏軍のナポレオンの侵攻を防ぐための切り札と期待されている。トラファルガーの海戦ではヴィクトリー号に乗り艦隊を指揮、勝利している。しかし、戦闘の最中にマルソー・ニジェールに狙撃された傷が元で死亡。

セント・ビンセント卿 (せんとびんせんときょう)

海軍に勤務する有力貴族。ネルソンの要請を受けて、トラファルガー海戦に参加できる戦闘的な船長としてユージン・ラドリックを推薦した。またアデレイド・モンゴメリーとも面識がある。

エマ・ハミルトン夫人 (えまはみるとんふじん)

『トラファルガー』に登場する人物。作中は39~40歳の頃で、若い頃から美人として有名だった。英国貴族ウィリアム・ダグラス・ハミルトン卿の妻だが、当時はネルソンの愛人だった。ネルソンが仏海軍封鎖作戦の合間を縫って帰国していたが、その理由は作戦会議とハミルトン夫人に会うことにあったという。歴史上の実在の人物、エマ・ハミルトン夫人がモデル。

イベント・出来事

トラファルガー海戦 (とらふぁるがーかいせん)

1805年10月に英国艦隊と仏軍・スペイン軍の連合艦隊が、トラファルガー岬で激突した歴史的に有名な海戦。この戦いで英国海軍のネルソン提督は、仏軍狙撃手マルソー・ニジェールの銃弾によって死亡。マルソーは幼なじみのユージン・ラドリックに撃たれ死亡する。

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