概要・あらすじ
革命期のフランス。(1795年)、首都パリで王党派の反乱(ヴァンデミエールの反乱)が勃発。時の権力者ポール・バラスは国内軍総司令官として、ナポレオン・ボナパルトを副官に起用する。ナポレオン・ボナパルトは市街で大砲を撃つという大胆な作戦で鎮圧。ジャコバン派に与していたとして追放されていた彼は、国内軍総司令官として復権する。
革命後のフランスに絶望しかけていた軍人アラン・ド・ソワソンは、ナポレオンに興味を覚え彼の片腕となる。ヴァンデミエールの将軍と呼ばれパリ市民ナポレオン・ボナパルトは、ポール・バラスの愛人ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネに恋をする。彼女は打算の末にナポレオン・ボナパルトと結婚した。
国民の人気が高まるナポレオン・ボナパルトはフランスの危機を救うため、自ら権力を握る必要があると痛感。稀有の政治手腕を持つタレイラン・ペリゴールや、硬骨のジャコバン派ジャーナリスト・ベルナール・シャトレらと蜂起。ブリュメール18日のクーデターを成功させ、統領政府を樹立。
その後王党派の復活を防ぐという理由で自らが皇帝に即位する。
登場人物・キャラクター
ナポレオン・ボナパルト
実在のフランスの政治家・軍人ナポレオン・ボナパルトがモデル。初登場時は26歳。コルシカ島出身。砲兵将校で当時の位は少将。ジャコバン派に与していたとして追放され、失業中の貧乏士官だったが、国内軍総司令官・バラスに引き立てられ王党派の反乱(ヴァンデミエールの反乱)を鎮圧。 「ヴァンデミエールの将軍」と呼ばれ、民衆の人気を博す。フランスの危機を救うため、自ら権力を握る必要があると痛感。タレイラン・ペリゴールや、硬骨のジャコバン派ジャーナリスト・ベルナール・シャトレらと蜂起。ブリュメール18日のクーデターを成功させ、統領政府を樹立。その後王党派の復活を防ぐという理由で自らが皇帝に即位する。 妻ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネを一途に愛していたが、マリア・ヴァレフスカら愛人をつくるようになる。タレイラン・ペリゴールとジョゼフ・フーシェを政権の両輪とし当初は穏健な内政を敷いていたが、狡猾な彼らを使いこなせず、さらに一族や部下達への不信感が募るようになる。 また、諸国との連戦で国内は疲弊し、次第に批判が高まっていく。
ポール・バラス
実在のフランスの政治家ポール・バラスがモデル。フランス政界の実力者。王党派の反乱(ヴァンデミエールの反乱)鎮圧のためナポレオン・ボナパルトを起用する。奸智に長け好色。多くの愛人がいるが、その1人ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネをナポレオン・ボナパルトの妻にさせる。 ナポレオン・ボナパルトを取り立てるが、次々に戦果を挙げ民衆の人気が出ると彼を危惧し始める。
アラン・ド・ソワソン
貧乏貴族出身の衛兵隊士官。王党派の反乱(ヴァンデミエールの反乱)の際に国内軍の副官として総指揮を執るナポレオン・ボナパルトに出会い、彼とともに各地を転戦し、側近となる。筋金入りのジャコバン派で、ジャーナリスト・ベルナール・シャトレは王政を倒すために共に闘った盟友。 かつては、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェの部下だった。『ベルサイユのばら』にも登場する。
ベルナール・シャトレ
パリ在住のジャーナリスト。王侯貴族に対する憎しみが強く、筋金入りのジャコバン派。妻ロザリー・シャトレの支えを受けながら反骨の記事を書き続け、ジョセフ・フーシェから警戒されていた。ナポレオン・ボナパルトに期待を寄せ、ブリュメール18日のクーデターでは重要な役割を果たす。 その際、タレイランからは官房長官の地位を打診された。『ベルサイユのばら』にも登場する。
ロザリー・シャトレ
ジャーナリスト・ベルナール・シャトレの妻。夫と共に筋金入りのジャコバン派の思想の持ち主で、夫の活動を献身的に支える。『ベルサイユのばら』ではロザリー・ラ・モリエールという名で登場する。住むところが無いというカトリーヌ・ルノーダンを連れ帰り、居候させた。
フランソワ・シャトレ
ジャーナリスト・ベルナール・シャトレと、ロザリー・シャトレの息子。幼いながらも既にジャコバン派的な考え方をする。ブリュメール18日のクーデターでは、父とナポレオン・ボナパルトらとの連絡要員として活躍した。長じてスタール夫人のサロンで法律の勉強をしていたが、その後母と共にスウェーデンに亡命。 スウェーデン皇太子となったジャン・ベルナドットの子オスカル(オスカル1世)の教育係に取り立てられる。
ジョゼフ・フーシェ
実在の政治家ジョゼフ・フーシェがモデル。初登場時36歳。「サン・クルーの風見鶏」とあだ名された政治家。情報網と権謀術数、変節漢ぶりで激動の時代を潜り抜けている。バラスによってナポレオン・ボナパルトに引き合わされる。抜け目ない立ち回りで総裁政府、統領政府では警務大臣となり、ナポレオン・ボナパルトが皇帝即位後も取り入って警務大臣となる。 外務大臣のタレイラン・ペリゴールとはライバル同士。
ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネ
実在のフランス皇后ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネがモデル。ナポレオン・ボナパルトの妻。後に彼のフランス皇帝即位に伴い、皇后となる。元はアレクサンドル・ド・ボーアルネ子爵の妻だったが、総裁政府の実力者・バラスの愛人となっていた。男性の目を引く容貌で社交界でも有名だったが、派手好きで浪費癖があり莫大な借金を抱えていた。 ナポレオン・ボナパルトの求婚を止むを得ず受入れ結婚するが、浮気を繰り返していた。ナポレオン・ボナパルトのエジプト遠征後は、貞淑で一心に彼を思うようになる。
デジレ・クラリー
実在の歴史上の人物デジレ・クラリーがモデル。マルセイユの名門家の娘で、ナポレオン・ボナパルトの婚約者。しかし、彼がジョゼフィーヌと結婚したため、婚約は解消。その後ジャン・ベルナドットと結婚する。後に夫ジャン・ベルナドットがスウェーデン国王に即位したことに伴い、王妃となる。 姉ジュリー・クラリーの夫はナポレオン・ボナパルトの兄ジョゼフ・ボナパルト。
ウジェーヌ・ド・ボーアルネ
実在の歴史上の人物ウジェーヌ・ド・ボーアルネがモデル。ナポレオン・ボナパルトの妻となるジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネの息子。で有能な軍人に成長する。エジプト遠征では副官として参戦し、以後も義父・ナポレオン・ボナパルトに忠実に従う。
カトリーヌ・ルノーダン
ジャーナリスト・ベルナール・シャトレの家に居候することになった若い女性。ジョゼフ・フーシェによって送り込まれたスパイ。実はジョゼフ・フーシェに恨みを持ち、復讐の機会を狙っている。ベルナール・シャトレの盟友アラン・ド・ソワソンと想い合うようになるが、思想の違いが元で別れ、タレイラン・ペリゴールと結婚する。
タレイラン・ペリゴール
実在の政治家タレイラン・ペリゴールがモデル。総裁政府の実力者・バラスに接近して外務大臣となる。ナポレオン・ボナパルトの実力に注目し、政権樹立に活躍。ナポレオン・ボナパルトの皇帝就任後は侍従長官となる。権謀術数に長け、ナポレオン・ボナパルトにとってはジョゼフ・フーシェと共に諸刃の剣。
ジョゼフ・ボナパルト
実在の政治家ジョゼフ・ボナパルトがモデル。ナポレオン・ボナパルトの兄で、彼の覇権成就に協力。後にナポリ王、ついでスペイン王となる。政治家としてある程度の能力はあるが、ボナパルト家の権力独占に拘り、ナポレオン・ボナパルトの妻ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネを追い出そうと企む。 妻ジュリー・クラリーの妹デジネ・クラリーは、かつてナポレオン・ボナパルトの婚約者だった。
マリー・ルイーズ
実在のフランス皇后マリー・ルイーズがモデル。オーストリア帝国皇帝・フランツ2世の皇女。幼い頃ナポレオン・ボナパルトによって侵略され、彼を憎んで成長する。しかしその後、ナポレオン・ボナパルトの皇妃となりナポレオン2世(ローマ王)を産む。
ポーリーヌ・ボナパルト
実在の歴史上の人物ポーリーヌ・ボナパルトがモデル。ナポレオン・ボナパルトの妹。ナポレオン・ボナパルトの妻ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネを嫌っている。ナポレオン・ボナパルトは彼女をアラン・ド・ソワソンと結婚させようとする。
アレクサンドル1世 (あれくさんどるいっせい)
実在のロシア帝国皇帝アレクサンドル1世がモデル。少年の頃は政治の苦労を背負いたくないという気弱な少年だったが、父パーヴェル1世が暗殺された後皇帝に即位。ナポレオン・ボナパルトのライバルとなる。『女帝エカテリーナ』にも登場す。
ホレーショ・ネルソン
実在の軍人・ホレーショ・ネルソンがモデル。イギリス海軍提督。右手が無く、右目に黒い眼帯をつけている。ナイル・アブキール湾海戦やトラファルガー岬沖海戦でナポレオン・ボナパルトを苦しめる。
ムーラッド・ベイ
実在の歴史上の人物・ムーラッド・ベイがモデル。マムルーク族の長で「世界一美しい」と言われる騎兵隊を率いている。エジプト遠征時にナポレオン・ボナパルトを苦しめる。
オルタンス・ド・ボーアルネ
実在の歴史上の人物・オルタンス・ド・ボーアルネがモデル。ナポレオン・ボナパルトの妻ジョゼフィーヌ・ド・ボーアルネの連れ子。兄オルタンス・ド・ボーアルネと共に初めはナポレオン・ボナパルトを嫌っていたが、後には忠誠を示し、誠実に仕えるようになる。後にナポレオン・ボナパルトの弟のルイ・ボナパルトと結婚。 夫のオランダ王即位に伴い王妃となった。
エマニュエル・ジョゼフ・シェーエス
実在の政治家・エマニュエル・ジョゼフ・シェーエスがモデル。総裁政府の総裁の1人。ナポレオン・ボナパルトに接近して、タレイランらと共にブリュメール18日のクーデターを起こし、臨時統領に就任する。
リュシアン・ボナパルト
実在の歴史上の人物リュシアン・ボナパルトがモデル。ナポレオン・ボナパルトの弟。総裁政府時代の議会500人会の議長を務め、ブリュメール18日のクーデターを成功させる役割を果たす。その後、ナポレオン・ボナパルトとの仲は険悪になる。
ジャン・ベルナドット
実在の歴史上の人物・ジャン・ベルナドットがモデル。ナポレオン・ボナパルト配下の軍人。スタール夫人と親しい。ナポレオン・ボナパルトのかつての婚約者デジレ・クラリーと結婚。ナポレオン・ボナパルトが皇帝に即位すると元帥となり、その後スウェーデン国王兼ノルウェー国王となる。
アンヌ・ルイーズ・ジェルメーヌ・ド・スタール
実在の歴史上の人物・アンヌ・ルイーズ・ジェルメーヌ・ド・スタールがモデル。政治への関心が高く、サロンに足を運び多くの知識人と交流し、ジャン・ベルナドットやタレイラン・ペリゴールと親しい。ナポレオン・ボナパルトの才能に早くから注目していたが、皇帝に即位した際にはに失望する。
マリア・ヴァレフスカ
実在の歴史上の人物・アンヌ・ルイーズ・ジェルメーヌ・ド・スタールがモデル。ポーランド貴族ヴァレフスキ伯爵の妻。ポーランド独立のためにナポレオン・ボナパルトの愛人となる。
ミハイル・クトゥゾフ
実在の軍人・ミハイル・クトゥゾフがモデル。ロシア帝国の将軍。皇帝アレクサンドル1世には軽んじられていたが、ナポレオン・ボナパルトのロシア遠征に切り札として出陣する。
ジョアシャン・ミュラ
実在の歴史上の人物ジョアシャン・ミュラがモデル。ナポレオン・ボナパルト配下の騎兵指揮官で、元帥に抜擢される。後にナポレオン・ボナパルトの妹カロリーヌ・ボナパルトと結婚し、ナポリ国王となった。
フランツ2世 (ふらんつにせい)
実在の歴史上の人物フランツ2世がモデル。オーストリア帝国の皇帝。ナポレオン・ボナパルトの後妻として娘マリー・ルイーズを差し出す。政務は腹心メッテルニヒらに任せている。
クレメンス・フォン・メッテルニヒ
実在の政治家クレメンス・フォン・メッテルニヒがモデル。オーストリア帝国の外務大臣。皇帝・フランツ2世の腹心で、彼の命令によって皇女マリー・ルイーズを説得しナポレオン・ボナパルトの後妻として送り込む。その後はタレイラン・ペリゴールと通じフランス打倒に動く。
カール・フォン・クラウゼヴィッツ
実在の軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツがモデル。プロイセン王国戦術士官。ナポレオン・ボナパルトの戦法を研究し、ヨーロッパ連合軍を勝利に導く。後年、戦争論を著す。
ユーゼフ・ポニャトフスキ
実在の軍人ユーゼフ・ポニャトフスキがモデル。ポーランド国王スタニスワフ2世の甥。ポーランド独立のため、ナポレオン・ボナパルト軍に加わって戦う。