あらすじ
第1巻
優等生の丸井蜻蛉は、手のつけられない不良として有名な蜂夜スズメに恋心を抱いていた。そんなある日、スズメは川原でヤンキーに襲われて記憶喪失になってしまう。その後、学校で再会したスズメは以前とは打って変わって、家庭的で優しい女子となっていた。蜻蛉にも朗らかに接してくるようになったが、蜻蛉は以前の不良のスズメにあこがれを抱いており、彼女の記憶を取り戻そうと奔走する。一方、スズメの記憶喪失は実はすべて演技で、内心では蜻蛉が好きで好きでたまらない恋する乙女だった。しかし、ヤンキーの自分が優等生の蜻蛉に近づくわけにはいけないと思ったスズメは、記憶喪失を装って一般人になり、蜻蛉と恋愛することを目論んでいた。こうして不良に恋する優等生と、記憶喪失のフリをする不良少女のすれ違いの恋愛が始まるのだった。(「第一話」。ほか8エピソード収録)
登場人物・キャラクター
丸井 蜻蛉 (まるい とんぼ)
気弱な性格の男子高校生。眼鏡をかけている。クラス委員を務める優等生だが、教育に厳しい親の言いなりになっているだけで、本心では自由で強い存在にあこがれている。不良の蜂夜スズメが夏休みの課題ノートを提出しなかったため、クラス委員として提出するように再三にわたり注意する。そんな中、強い存在であるスズメに尊敬の感情を抱くようになり、同時にスズメからも特別な存在として意識されるようになる。スズメの記憶喪失が演技だとは気づいておらず、スズメが記憶喪失となってからは女性らしくなったスズメを意識しつつも、不良ではなくなったスズメの言動に違和感を感じている。記憶喪失になったスズメを心配しており、あの手この手でスズメの記憶を取り戻そうとする。
蜂夜 スズメ (はちよ すずめ)
記憶喪失のフリをしているヤンキー少女。チーム「殺人蜂」のリーダーを務めているが、不良である自分に分け隔てなく接する丸井蜻蛉に恋心を抱いている。しかし、不良と一般人は相容れないという価値観を持っているため、記憶喪失を装って蜻蛉と関係を深めようとする。兄から借りた少女漫画「ストロベリーハイスクール」を気に入っており、ニセ記憶喪失後の言動はその少女漫画を参考にしたもの。意外と演技派で家庭的な女子高生を見事に演じきっているが、天然なところがあり、時おり素の性格が出てしまう。担任の黒木艶乃は元ヤンキーで、先輩後輩の間柄。艶乃を「艶姐」と呼び慕っており、彼女に恋愛相談したのをきっかけにして記憶喪失のフリをすることを決意した。そのため、たびたび艶乃にサポートをお願いしている。ヤンキー時代はケンカが滅法強く、女子とは思えない怪力を持ち主だった。チーム仲間からも慕われていたが、記憶喪失のフリをしてからは音信不通。一時は、チーム仲間から現状を誤解されたが、事情を話して以降は仲間と和解している。
黒木 艶乃 (くろき あやの)
蜂夜スズメたちの担任を務める女性教師。体育を担当している。黒い髪を長く伸ばし、落ち着いた雰囲気を漂わせている。しかし、周囲には秘密にしているが元ヤンキーで、スズメからは「艶姐」と呼ばれて慕われている。スズメから恋愛相談を受け、彼女が記憶喪失のフリをする原因を作った張本人。スズメの「記憶喪失のフリをする」という提案を馬鹿馬鹿しく思っているが、面白がって協力している。スズメを殴ったフリをして記憶喪失にする役をノリノリで引き受けたが、本番ではふだんの様子からは考えられないヤンキー姿を披露した。その姿は事情を知っているスズメすら怯えるほどの迫力だった。その後もスズメの恋を面白半分ながら応援しており、たびたび彼女の恋の手助けをしたり、振り回したりしている。
集団・組織
殺人蜂 (きらーびー)
蜂夜スズメが率いている不良グループ。スズメをはじめ、アゲハ、クマ、コマユ、キョン子の五人で構成されている。スズメがリーダーを務めていたが、記憶喪失のフリを始めてからは音信不通となっていた。心配した構成員たちがスズメの様子をうかがったところ、スズメの豹変振りを丸井蜻蛉に脅迫されていると勘違いした。スズメを助けるため蜻蛉を襲撃しようとしたが、スズメに止められ、彼女から事情を聞いたことで和解。以降はスズメの恋を応援している。