概要・あらすじ
ナイディンク族とヴェルズンク族の戦いを見たた大神ヴォータンは、娘である戦乙女ブリュンヒルデに、ヴェルズンク族のジークムントに勝利をもたらすよう命じる。しかし、ジークムントがナイディンク族の領袖フンディンクの妻ジークリンデと不倫の恋に落ちたことから、ヴォータンは妻である婚姻の女神フリッカから、ジークムントを罰するようにと進言される。
ジークムントはヴォータンがかつて妻フリッカを裏切り、人間の女性に生ませた不倫の子。苦しみながらもブリュンヒルデに先ほどと逆の命令を下したヴォータンだったが、ブリュンヒルデは父の顔に迷いと苦しみを見て取る。
登場人物・キャラクター
ブリュンヒルデ
『ニーベルンクの指輪』の主人公のひとり。大神ヴォータンとその妻である女神フリッカの娘。甲冑に身を包み、神馬グラーネを駆って戦場をめぐり、死した勇者を神の宮殿ヴァルハラに連れて行く戦乙女。ヴォータンの命令に背き、人間の勇者ジークムントとジークリンデの命を助ける。それにより、神の娘としての力を剥奪された上で、火の神ローゲに守られた山の頂きで眠り、彼女を最初に目覚めさせた人間の妻にならねばならないという神の罰を受けることとなる。 彼女を目覚めさせたのはジークムントとジークリンデの子ジークフリートだった。ジークフリートの妻となって後は、彼が復讐を果たした後、再び自分の下へ帰ってくるのを待つ。
ジークフリート
『ニーベルンクの指輪』の主人公のひとり。ヴェルズンク族のジークムントとジークリンデの息子。自らの両親を知らないままニーベルンク族のミーメに育てられた。自らの出自を知ってなおミーメと暮らそうと決意していたが、異世界から来た男・アドルフにミーメを殺害されたことから、敵討ちのために外界へ赴く。その旅の途中で戦乙女ブリュンヒルデが眠る山の頂きに登り、彼女を目覚めさせて妻とした。 ブリュンヒルデが残った神の力によって祝福を与えたため、背中以外は傷を受けない。アドルフとの戦いの中で、彼が持っていたニーベルンクの指輪を奪うがライン川に転落し、ブルグント王国に流れ着く。大臣ハーゲンに助けられ、一命を取り留める。 しかし記憶を失い、王グンテルの妹であるクリームヒルトと恋に落ちてしまう。ジークムントが手にした英雄の剣ノートゥンクを自らの手で鍛えなおし、受け継いでいる。
ヴォータン
神々の王。妻は婚姻の女神フリッカ。彼女と結婚する時に片目を差し出したため、隻眼となっている。フリッカとの間に、雷神ドンナーと戦乙女ブリュンヒルデという二人の子がいる。また人間の女性に生ませた子として、ヴェルズンク族のジークムントがいる。ジークムントへの愛情から、彼に戦勝をもたらそうとしたが、フリッカの反対にあう。 呪いによりニーベルンクの指輪に自ら触ることができないため、ローレライたちに守らせている。
フリッカ
神々の王・大神ヴォータンの妻で、婚姻の女神。雷神ドンナーと戦乙女ブリュンヒルデの母。ジークムントとジークリンデの不倫に怒り、ヴォータンのジークムントに勝利をもたらさせるという命令に反対する。
ローゲ
全身が炎に包まれた火の神。ヴォータンの命令によってブリュンヒルデを守護する。ブリュンヒルデへの忠誠心は高く、彼女が眠りに付いた際は、山を囲み炎をあげて彼女を守り続けた。
ジークムント
ヴェルズンク族の青年。大神ヴォータンと人間の女性の間に生まれた子供。選ばれた勇者にしか抜けない英雄の剣ノートゥンクを引き抜くほどの力と高潔さを持つ。ナイディンク族との戦いの中で怪我をし、フンディンクの妻ジークリンデに手当てを受けたことから彼女と恋に落ちる。しかしそれによって婚姻の女神フリッカの怒りを買い、フンディンクとの戦いの最中に、大神ヴォータンによってノートゥンクを折られ、敗れてしまう。
ジークリンデ
ナイディンク族の領袖フンディンクの妻。もともとの一族はフンディンクによって滅ぼされ、貢物として妻にされていた。ヴェルズンク族との戦いで夫が家を空けているときに、それと知らずヴェルズンク族の青年ジークムントの傷の手当てをし、彼と恋に落ちる。ジークムントがフンディンクによって倒された後、彼女が妊娠していることに気づいた戦乙女ブリュンヒルデによって戦場から逃される。 行き倒れているところをニーベルンク族のミーメに助けられるが、心身へのダメージが大きく、出産直後に死亡。赤ん坊にジークフリートと名づけ、ジークムントから預かっていた英雄の剣ノートゥンクを託す。
フンディンク
ナイディンク族の領袖で、武勇に優れた男。性格は粗野で傲慢。妻ジークリンデは、滅ぼした一族からの貢物だった。大神ヴォータンの助けを借り、ヴェルズンク族の勇者ジークムントを打ち負かす。
ミーメ
小人族のひとつ、ニーベルンク族の男。鍛冶を営んでいる。行き倒れていたジークリンデを助けたことから、その息子ジークフリートを育てる。ニーベルンクの指輪を自分の指に合うサイズに変えようとしてやってきたアドルフによって殺害されてしまう。
アドルフ
異世界からやってきた男。ライン川でニーベルンクの指輪を手に入れ、それを嵌めることができれば世界を手にすることを知る。鍛冶を営むミーメに指輪の打ち直しを断られ、彼を殺害した後逃亡。元の世界へ戻るため、ブルグント王国の大臣ハーゲンに取り入り、来た時同様の騒乱を起こそうと画策する。 その正体は、ミュンヘン一揆の騒乱から時空を超えてやってきたアドルフ・ヒットラーであると推察できる。楽劇『ニーベルングの指環』の知識があるため、ジークフリートの弱点を知っている。
クリームヒルト
ブルグント王国の王グンテルの妹姫。流れ着いたジークフリートと恋に落ちる。大臣ハーゲンから思いを寄せられている。
グンテル
ブルグント王国の王。妹姫クリームヒルトに求婚したジークフリートに、その代わり神の娘ブリュンヒルデを自分の妃にするために連れて来いと命じる。
ハーゲン
ブルグント王国の大臣。王グンテルの妹姫クリームヒルトに思いを寄せ、彼女を妃にして国を乗っ取ろうという野心を抱いている。偶然助けたアドルフに入れ知恵される形で、野望を行動に移していく。
その他キーワード
ニーベルンクの指輪 (にーべるんくのゆびわ)
この指輪を手にするものは世界を征服するという言い伝えがある。元は「ラインの黄金」であったが、ニーベルンク族の男アルベリヒに盗まれ、指輪に形を変えられた。大神ヴォータンによって取り返され、ライン川の川底でローレライたちに守られている。
ノートゥンク
英雄の剣と呼ばれる剣。銃弾をも弾く力を持つ。大神ヴォータンがトネリコの樹に突き刺し、英雄のみがこれを抜けると予言した。ジークムントによって抜かれ、一度はヴォータンの手で砕かれるが、ジークムントの息子ジークフリートによって鍛えなおされる。
クレジット
- 原作