概要・あらすじ
ジャングルで平和に暮らしていたハレとグゥたちの家が、突如殺し屋に襲撃された。ボディガードの鵲修一によってことなきを得たが、彼が言うには、勘当されていたとされる富豪の娘のウェダに、父親の財産の半分を相続させる遺言状が発見され、それを快く思わない兄と姉が殺し屋を雇ったとのこと。ウェダは相続の放棄と、兄と姉の真意の見極めのために、ハレとグゥを伴い都会の実家へと向かう。
しかし、旅行と勘違いしているハレの仲間たちが同行を頼み、楽天家のウェダもあっけなく了承してしまう。こうして、遺産相続問題を解決するとは思えないほど緩い、ハレたちの旅が始まるのであった。
登場人物・キャラクター
ハレ
ジャングルの村で暮らす、13歳の少年。お人好しだが現実主義で、グゥや家族を始め、暴走する仲間たちに鋭いツッコミを入れ続ける。運動神経はいいがインドア派で、テレビゲームやインターネットが趣味。同居人に恵まれないためか、料理や洗濯など、家事を一通りこなす。苦労人かつ気配りができることからモテることが多く、多くの女性に想いを寄せられている。 グゥの奇行には常に頭を悩ませているが、結果として「悩んでも仕方ない」という諦めに近い気持ちが生まれており、皮肉にもそれは逆境をはねのける強さの源となっている。
グゥ
ある日ハレの家で暮らすことになった謎の少女。小柄で華奢だが、時折人間かどうか疑わしい行動をとることがある。人や物を自在に飲みこむことができ、体内には異空間が広がっている。さらに「古今東西」と唱えることにより、幽体離脱や透明化、性転換など、さまざまな能力を発動できる。要するに一言でいうと「なんでもあり」。悪戯好きで、とりわけ人が葛藤する姿を見ることを好む。 しかし情がないわけではなく、主に自分が楽しむためではあるが、悩む人間に対してとても少女とは思えないような含蓄のある言葉をかけ、問題を解決することもある。
ウェダ
ハレの母親。かつては富豪「フィアスティン家」の末娘であったが、若くして身籠ってしまい、それが原因で勘当されていた。現在はジャングルで、ハレやグゥと共に幸せな暮らしを送っていた。しかし、勘当されてから関わりがないと思っていた父親が自身に遺産を残していることと、それを知った兄と姉が命を狙っているらしいことを聞かされ、実家に戻る決意をする。 かつてはお嬢様らしく清楚な女性だったが、現在はずぼらそのもので、ハレにも苦労を掛けている。
クライヴ
ハレの父親で、本業は医師。しかし、息子の存在を長らく認識しておらず、ジャングルに保険医として向かった際に初めて知った。医者としての仕事は真摯にこなすが、女にだらしないところがあり、かつて病弱だったウェダの主治医をしていた頃に恋に落ち、子供を授かったことでウェダが勘当される原因を作った張本人。こういった事情があるうえに性格も合わないため、ハレとは仲が悪い。 現在でも女性にだらしないのは変わらないが、なんだかんだでウェダとは仲睦まじい様子を見せている。
アメ
ハレの弟。赤ちゃんなので言葉を発することはできない。普段はグゥが面倒を見ており、体内に取り込んで子守をすることもある。
シャロン
ハレの祖母。夫とはすでに死別しており、現時点における「フェアスティン家」の当主を務めている。自分の力が及ばなかったために娘であるウェダの勘当を取り消せなかったことで、彼女には負い目を抱いていたが、ハレやグゥの存在もあり、現在は家族ぐるみで良好な関係を築いている。心優しい性格で、ハレの一家のみならず、ジャングルの友人が訪ねて来た時も快く滞在を許可している。
鵲 修一 (かささぎ しゅういち)
ウェダのボディガードを務める日系の青年。両親は暗殺者で、自らも幼い頃から暗殺術を仕込まれて育つ。そのため、抜群の狙撃の腕を持っている。ベルの指導の甲斐もあり、ウェダ一家に強い忠誠心を抱いている。反面その忠誠心のあまり、わずかでも危害を加えようとしようものなら即座に始末しようとする危険思想を持っており、そのたびにハレに制止されている。 学生時代はハレに劣らぬモテっぷりを披露していた。
マリィ
ハレのガールフレンドで、レジィの妹。11歳の少女。だらしない兄の代わりに家事を一手に引き受けていたりと、頑張屋な性格。天然だが思い込みが激しく、ハレに嫌われたら生きていけないという勢いの気持ちの重さを持っている。ハレとはお互いに想い合っているのだが、時折暴走する上にその暴走をグゥが悪化させるため、ハレにとっては災難を呼ぶことも少なくない。
グプタ
ジャングルにおけるハレの友人。18歳の少年。爽やかな雰囲気を持ち、友達も多いがだらしない今どきの若者で、モテる人を前にするとひがむ。ラヴェンナに想いを寄せており、交際したいと願っているのだが、そのために告白されたいという受け身な形を期待していた。ハレがモテることを知っており、恋愛についてのアドバイスを受けようとするが、グゥに面白半分に利用されており、前途は多難である。
ラヴェンナ
ジャングルにおけるハレの友人。18歳の少女。看護師を志しており、いつか都会に出ようと勉強を続けている努力家である。グプタが寄せる想いにはまるで気づいておらず、友人としか思っていない。そのため、グプタが気を引くために優しくなるたびに気持ち悪がっている。
レジィ
ジャングルの学校で教師をしている青年。マリィの兄だが、家事は彼女に任せきりである。昔のアニメを鑑賞するのが趣味で、そのため時折夜更かしし、教師の仕事を適当に済ませることがある。レベッカとはお互い想いを寄せ合っており、結婚を考えているが、そのことでのんでポクテの集落におけるトラブルに巻き込まれてしまう。
レベッカ
ジャングルにおけるウェダの友人の女性。気さくな酒好きで、ウェダと夜通し酒盛りに興じることがある。幼い頃河原に取り残されてしまい、のんでポクテの長によって人知れず育てられてきたという過去があるのだが、本人はそれをまったく知らない。そればかりか、現在の長が亡き後の後継者に指名されており、これが後の災難に繋がっていくこととなる。
トポステ
ジャングルの長であるボーアの孫。ハレとは同い年の友人で、ジャングル住人のなかでただ1人、関西弁を喋っている。ボーア同様にのんでポクテが大好物で、毎朝食べているのだが、都会への滞在中、そのポクテの影響によって突如胸毛が生えてしまい、さらに通っていた学校のクラスメイトと共に異常な高揚状態に陥ってしまう。
ユミ
ハレの住む隣の村で教職についている若い女性。異常なまでに惚れっぽく、男性に目をつけては、教職をさぼってアプローチをしたりデートに誘ったりしている。現在はトポステがその被害にあっており、ストーカー行為によって日々恐怖心を与え続けている。さらにトポステの家族からは既に交際相手として公認されており、親しい付き合いをしている。
ボーア
ジャングルの長。若い頃からのんでポクテを主食にしており、そのために胸毛が異常なまでに豊かで、現在は毛玉のような姿形になってしまった。家族や村人にはすっかりその状態で定着しており、村における一種の風物詩になっている。後に、毛玉に不思議な力が宿り、ジャングルと都会を自由に行き来できるワープゾーンとして機能するようになるが、ボーア自体は最後までそれを知ることはなかった。
ウイグル
ジャングルにおけるハレの友人。20歳の青年。かつて未亡人とされていたウェダに憧れていたが、クライヴの存在が明るみになってからは身を引いている。自らの存在意義が希薄であることをたびたび指摘されており、グゥに至っては存在そのものを忘れ去っている。後に都会で勉強を始めており、4人のルームメイトと仲良く暮らしている。
ダマ
ハレの住む村の隣の村で暮らしている、アフロヘアの女性。自分について語るのが大好き。グゥが引き起こす不可思議な現象に巻き込まれることが多く、ハレには強い苦手意識を持たれている。双子の妹であるタマには憧れと嫉妬心を抱かれているが、本人は強い包容力と大人としての魅力を内心に備えている。しかし、その内面とあまりにエキセントリックな見た目とのギャップは、最早ギャグと呼べるレベル。
タマ
ダマの双子の妹。都会の高等学校で音楽教師を務めているアフロヘアの女性。掃除と、自分について語るのが大好きで、姉とは確執がある。ダマと共にグゥの体内に広がる異空間に取り込まれていたことがあり、そこで久々に再会した時は確執からいがみ合っていた。しかし後に和解すると、プロ級のピアノの腕を活かし、ダマが経営するジャズバーのピアニストとして招かれている。
クインシー・ポーター (くいんしーぽーたー)
出自不明の、禿頭の巨漢。空手や合気道など、複数の格闘技に精通している。登場直後はグゥに「ちんちくりんステッキ」として利用されており、物のようなぞんざいな扱いを受けていたが、まったく気に留めていない。グゥとは友人のような関係らしく、気安く語り掛けているが、ハレのことは坊ちゃんと呼び慕っている。ハレの守護を巡って鵲修一に敵対心を抱いていたが、後に都会におけるハレの実家の使用人となり、その審査において和解している。
アルヴァ
ハレの従兄弟に当たる少年。ハレとは同い年だが、身長は彼を大きく上回っている。勤勉だが傲慢なところがあり、目的意識を持たずに生きている人間を見下す傾向にある。しかし、一度認めた人間に対しては、傲慢な態度を取りながらも真摯に接する一面もある。また、父親のバーソロミューに対して強い尊敬の念を持っており、彼に対してだけはとても素直に接している。
アンジェラ
世界的な大女優。アルヴァの母親だが、強引かつ奔放な性格故に彼からはよく思われていない。しかしその強引な姿勢は息子を思ってのことで、所謂ツンデレであり、その要素は少なからず息子にも継承されている。ハレのことを気に入っており、アルヴァが彼の従兄弟でよかったと考えている。
バーソロミュー
ウェダの兄で、アルヴァの父親。実業家として大成している青年。勘当されたウェダが遺産を受け取ることを不服として、妹のドナと共に殺し屋を雇い、ウェダを始末しようとしているとされる。しかし実際は心優しい性格で、ウェダが幼い頃から仲もよかった。
アシオ
ハレの実家に勤めている使用人の青年。関西弁を喋る。まつ毛が長く、威圧的な男性に見えるが、実際は気さくな人物。満月の夜になると行水をしてしまう習性を持っているが、その理由は彼自身も知らない。そんな習性もあり、ハレからは高い可能性を秘めていると思われている。
ベル
ハレの実家に勤めているメイド長。家事を完璧にこなすことができ、ボディガードとしての腕も抜群。しかし、ウェダを異常なまでに溺愛してしまっており、彼女の一挙手一投足にいちいち感激し、鼻血を噴き出したり倒れたりしてしまう。部下には基本的には優しいのだが、ウェダが絡むと人が変わり、結果的に彼女が危機に晒された時は、鵲修一にバックブリーカーを決めるほど。
リタ
都会の学校におけるハレのクラスメイト。長身で、ハレにも器量がいいと思われている。男女間の友情は成立すると信じて疑わず、ハレとはお互い友達と認識しているが、多くの男子に魅力的に思われているため、その点においてはハレから注意を促されている。
ヨハン
トポステのクラスメイト。ハレとはリタを巡って因縁がある。かつては太っており、いかにもガキ大将というべき風貌だった。現在はダイエットに成功したのか、スマートな体型になっているが、リタを慕う気持ちから、ハレをよく思っていなかった。しかし、あくまで自分はリタの友達だというハレに対して、後にリタへの告白の後押しを依頼している。
アレキサンダー
ハレの実家の使用人。落ち着きのない30代の男性。屋敷が所有する航空機のパイロットを務めており、シャーリーと共に、実家に向かうハレたちを迎えている。結婚生活が3回失敗に終わっており、離婚の際の慰謝料と子供の養育費の工面に苦心している。さらに妻から素行調査のために探偵を雇われたり、仲のいい男友達とのホモ疑惑をかけられたりと、散々な人生を強いられている。
シャーリー
ハレの実家の使用人。物腰柔らかな20代の女性。屋敷が所有する航空機の客室乗務員を務めている。サディステックな面を持ち合わせており、同僚のアレキサンダーをからかって楽しんでいる。彼が失態を犯した時も必死に弁護をしているが、それは彼のためというより、彼の心の傷をえぐるのが目的である。
タイガーリリー
鵲修一(ロバート)と交流のある殺し屋の一員。感情表現が苦手な16歳の少女。ロバートの親友を救出してほしいというハレの依頼を受け、仲間たちと共に敵対する暗殺者組織を襲撃する。刀の達人で、相手が銃を抜くより早く斬りかかる瞬発力を持っている。後にハレに好意を寄せ、彼に会うためにジャングルに押しかけている。
ダリア
鵲修一(ロバート)と交流のある殺し屋の一員。17歳のアジア系の少女。ロバートの親友を救出してほしいというハレの依頼を受け、仲間たちと共に敵対する暗殺者組織を襲撃する。女性らしい細腕だが、硬いボールを掴むだけで破裂させるほどの怪力の持ち主で、その力を活かして敵の構成員を一方的に叩きのめした。後にハレに好意を寄せ、彼に会うためにジャングルに押しかけている。
マーガレット
鵲修一と交流のある殺し屋の一員。関西弁を喋る14歳の少女。過去に足を負傷しているため戦闘面ではあまり役に立てないものの、円周率を3~4日分暗唱できるなど、並みならぬ頭脳の持ち主である。鵲修一の親友を救出してほしいというハレの依頼を受け、救出のための計画と作戦を立案した。後にハレに好意を寄せ、彼に会うためにジャングルに押しかけている。
チェリーブロッサム
鵲修一(ロバート)と交流のある殺し屋の一員。お菓子が大好きな8歳の少女。ロバートの親友を救出してほしいというハレの依頼を受け、自ら調合した麻酔ガスを用いて本部の無力化を図っている。しかし最も得意とするのは爆薬の調合で、ビルを粉々にするものまで作り出すことができる。後にハレに好意を寄せ、彼に会うためにジャングルに押しかけている。
カモミール
鵲修一と交流のある殺し屋の一員。12歳の大人しめな少女。狙撃の名手で、はるか遠くから目標を正確に狙い撃つことができる。その腕を活かし、敵対する暗殺者を麻酔銃で狙撃している。後にハレに好意を寄せ、彼に会うためにジャングルに押しかけている。
ダンデライオン
鵲修一(ロバート)と交流のある殺し屋の一員。感情表現が希薄な15歳の少女。ロバートの親友を救出してほしいというハレの依頼を受け、仲間たちと共に敵対する暗殺者組織を襲撃する。ナイフの使い手で、相手の持つ銃を素早く柄で弾き飛ばし、返し刀で仕留めるという戦法を得意としている。後にハレに好意を寄せ、彼に会うためにジャングルに押しかけている。
その他キーワード
のんでポクテ
ジャングルに棲む謎の生物。ウサギのような形状で、妙に濃い顔をしている。主に食用として用いられており、栄養価も高いが、過剰に摂取すると胸毛が濃くなるなどの副作用もある。彼らにとって食用になるのは一種のステータスであり、その背景には、かつてのんでポクテの始祖の1人が、飢えた旅人を救うべく自らの身を火の中に投げ込んだというものがある。 また、実は知能が高く人の言葉を話すこともでき、迷子になった人間を助けたり、孤児となった人間を育てたりすることもある。
ベース
ジャングルはいつもハレのちグゥ
ジャングルに住む少年・ハレが、不思議な力をもった少女・グゥや友人、家族たちの奇行に振り回される日常を描いたシュールギャグ漫画。金田一蓮十郎の代表作。ハレたちがジャングルを離れて都会に引っ越した100話... 関連ページ:ジャングルはいつもハレのちグゥ