バジリスク~桜花忍法帖~

山田正紀の小説『桜花忍法帖 バジリスク新章』のコミカライズ作品。本来生まれるはずのなかった双子の兄妹・甲賀八郎と伊賀響は、12歳のある日、公儀の忍を名乗る謎の集団「成尋衆(じょうじんしゅう)」に襲われる。これによって肉体をバラバラに切り刻まれた響を救うため、仲間と共に立ち上がった八郎の戦いを描く忍者バトルアクション。「ヤングマガジン」'17年第34号から'19年第19号にかけて連載された作品。

正式名称
バジリスク~桜花忍法帖~
原作者
山田 正紀
漫画
ジャンル
怪談・伝奇
レーベル
ヤンマガKCスペシャル(講談社)
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あらすじ

第1巻

1626年。甲賀忍者と伊賀忍者による忍法合戦から12年が経過し、甲賀忍者と伊賀忍者は12歳の男女の双子・甲賀八郎伊賀響をそれぞれ棟梁に据えて暮らしていた。そんなある日、突如徳川から甲賀忍者に、八郎と響を殺せと主命が下る。緋文字火送はこれを断ったことで、公儀の忍を名乗る謎の集団「成尋衆」の一人・孔雀啄に殺され、さらに啄は仲間を連れて、八郎たちが暮らす紀伊国九度山慈尊院村を襲撃。甲賀も伊賀も壊滅状態となり、忍頭である服部響八郎までもが殺されてしまう。事態を知った八郎は激怒し、ふだんは封じている術「矛眼術(むがんじゅつ)」を用いて応戦する。しかし啄は非常に手強く、すぐに追い詰められてしまう。これを重く見た響は、やはりふだんは封じている「盾眼術(じゅんがんじゅつ)」を解放するが、これによって二人の術は重なり「桜花」という究極の忍術を実現する。しかし、これこそが成尋衆の狙いだった。響は突如その場に現れた成尋衆の棟梁・成尋によって切り刻まれ、秘術「狂儡(くぐつ)」によってバラバラにされた状態で生かされることになる。唯一首だけは回収できた八郎だったが、その後、生き残った忍たちの任を解くと、姿をくらましてしまう。

第2巻

1632年。「成尋衆」が慈尊院村を襲撃をして6年が経過したある日、行方不明だった甲賀八郎が村に戻って来た。この6年間修業を重ね、八郎は成尋衆に勝つための手立てを探していた。そして、伊賀響の命を維持している「狂儡(くぐつ)」の術が切れるまであと30日ほどらしいと気づいたことで、戻って来たのである。そんな八郎を信じて待っていた八人の忍者は、八郎と響を加えた十人で「新・甲賀五宝連(しん・こうがごほうれん)」と「新・伊賀五花撰(しん・いがごかせん)」を結成。八郎が、甲賀と伊賀が力を合わせて成尋衆を倒そうと提案していると、そこに徳川幕府後見人の南光坊天海と徳川剣術指南役・柳生宗矩がやって来る。天海曰く、成尋衆は織田信長が生前神になるために行った、狂った活動の残り火であり、彼らが使う術は伴天連の魔術なのだという。二人から、成尋衆を討つために協力してほしいと頼まれた八郎は承諾し、響の首を持って早速成尋衆が根城にしているという、安土城跡地へ向かう。しかしその途中、八郎たちは成尋衆が作り上げた動く城「鳳輦車(ほうれんしゃ)」が京都に向かっていることを知る。そこで八郎は目的地を鳳輦車に変更し、滑婆ら八人に、ここからは甲賀と伊賀一人ずつのペアを組んで、四組で戦うように命ずる。そして八人は成尋衆に奪われた響の身体の一部を取り戻すため、戦いを始める。

第3巻

「鳳輦車(ほうれんしゃ)」での戦いは、「成尋衆」の魔術により、橋の上や川などで繰り広げられていた。まず、甲羅式部と蓮は輪廻孫六と戦うことになり、式部たちが勝利するも二人共に死亡。続く蜩七弦と涙は、涅哩底王との戦闘を始め、底王の召喚する魔獣に七弦も「松籟」の能力で応戦していた。一方その頃、外から鳳輦車の動きを見ていた南光坊天海たちは、情報を集めて戻って来た忍法僧から、衝撃の事実を知らされていた。成尋衆とは、現在「成尋」と名乗っている織田信長を中心とする、徳川の治世を覆すために現れた、前世紀の人間たちだったのである。その中の一人、底王の正体はキリシタン武将の明石全登だった。一度は七弦に倒された底王は、全登として戦っていた頃の若い姿に戻り、もう一度七弦と涙に襲い掛かる。そんな全登の願いは、人が人を憎み殺し合うことのない理想郷「神の国」の建立だった。全登はそのために成尋衆に入り、外法に身を落としたのである。そんな全登を七弦はどうにか倒すが、そこで力尽きてしまう。そして涙だけが異空間から脱出し、仲間たちとの合流を目指すことになるのだった。

第4巻

根来転寝と滑婆は、孔雀啄と戦うことになったが、啄は二人を相手にせず、どこかに行ってしまった。一方その頃、碁石才蔵と現は夜叉至と戦っていたが、ここで才蔵は至に賭けをしようと持ち掛ける。それは、それぞれ黒と白の碁石が入った袋を二つ並べ、至が黒を選べば才蔵が自害、白を選べば才蔵が「桜花」に関する情報を、すべて教えるというものだった。才蔵はすでに、成尋の正体が織田信長であり、至の正体が細川ガラシャであること、そして至が現在、家族にもう一度会いたいという願いを叶えるため、憎い成尋に従わざるを得なくなっていることを見抜いていた。つまり至は、成尋を出し抜くために「桜花」に関する情報を求めており、簡単には答えが出せないと踏んだのである。しかしここに啄が現れ、成尋に反逆しかけた至を殺害。こうして才蔵は自害することも情報を漏らすこともなく至を倒すが、今度は啄が、才蔵と現に襲い掛かる。対する転寝と滑婆は、啄の代わりに現れた輪廻孫六と戦っていた。孫六の正体は成尋が信長だった頃、彼に仕えていた黒人男性・弥助で、弥助は成尋と共にあるために成尋衆となったのである。そんな弥助と転寝の戦いは相打ちとなり、滑婆だけが生存して仲間との合流を目指すことになる。

第5巻

碁石才蔵が孔雀啄に敗北し死亡した直後、「鳳輦車(ほうれんしゃ)」の動きが止まった。同時に甲賀八郎たちに幻覚を見せていた「金剛楼閣」は破壊され、異変に気づいた現は合流を急ぐ。一方その頃、八郎は南光坊天海が放った刺客・阿吽坊に襲われていた。天海の目的は「成尋衆」を倒すことではなく、徳川のお家を守ることであり、八郎か伊賀響を殺して「桜花」をこの世から消し去ろうとしていたのである。こうして八郎と阿吽坊の戦いが始まるが、その途中、八郎は響の首を奪われてしまう。危機に陥る八郎だったが、そこに涙、現、滑婆が駆けつけ、八郎以外は殺す許可を得ていない阿吽坊は退散する。残された四人は、阿吽坊が去り際に残した「あとは才蔵に聞け」という言葉に従い、現が回収した才蔵の眼球に、現の「夢寐(むび)うつつ」の術をかけて、眼球の中に残された景色を見ることにする。そこには「桜花」とは、並行世界への接続を可能にする究極の忍法であり、かつて甲賀弦之介と伊賀朧は死の間際にこれを使って、本来生まれるはずのなかった八郎と響を誕生させたという、衝撃の事実が映し出されていた。

第6巻

甲賀八郎たちが、成尋衆に奪われた響の身体の一部をすべて回収したことにより、伊賀響は復活を果たした。するとそこに孔雀啄が現れ、八郎との再戦を望む。現たちも助太刀しようとするが、啄の魔術「時の逆鉾」により妨害され、八郎と啄の一対一の戦いが開始される。そんな啄の正体は、織田信長に仕えた森蘭丸だった。本能寺の変で信長と共に亡くなった蘭丸は、最愛の信長と死の瞬間を共にしたことにより、他者と死を共有することが自らの至高の喜びであり、愛であると考えるようになっていた。そして、その愛を与えるため、八郎を「時の逆鉾」の無限ともいえる時間の世界に閉じ込め、永遠に続く戦いを求めるのだった。一方その頃、滑婆は疲弊した三人を休ませて、周囲の様子を見ていた。そこで滑婆は、成尋に倒され、死にかけた阿吽坊に出会う。阿吽坊から「狂儡(くぐつ)」の術の効果が50年間ということを聞いた滑婆は、成尋がもうすぐ自分自身にかけた狂儡が切れることに気づき、新たな器として響を使おうとしていることに気づく。成尋は、わざと八郎たちに響を復活させ、その後は自分の意のままにあやつろうとしていたのである。しかし時すでに遅く、涙と現が、あやつられた響によって殺害されてしまう。

第7巻

甲賀八郎孔雀啄に勝利し「時の逆鉾」から脱出するが、そこに待っていたのは死亡した現たちと、成尋にあやつられ別人のように変化した伊賀響の姿だった。八郎は成尋に、このまま響に殺されるか、それとも「桜花」の力を使って新たな歴史を作り出すか選べと迫られる。唯一生き残った滑婆は八郎に、もう少し時間を稼げば成尋は「狂儡(くぐつ)」が切れて死ぬはずだと告げる。だが八郎は滑婆に南光坊天海への言伝を頼むと、自分は響と成尋と共に「鳳輦車(ほうれんしゃ)」の中に残る。八郎には、響が「桜花」を発動させようと「盾眼術」を使った瞬間、現が夜叉至を倒した際に回収した鏡を使って術を反射させ、響自身に「盾眼術」をかけることで「狂儡」から解放するという秘策があったのである。そして八郎は見事に策を成功させ、ついに「狂儡」が切れた成尋を打ち倒す。その後、残された八郎と響は、世界を捻じ曲げてしまう力を持つ「桜花」を否定し、本来生まれるはずのなかった自分たちごと、この世界から消えることを決意する。

メディアミックス

TVアニメ

2018年1月から6月にかけて、本作『バジリスク ~桜花忍法帖~』のTVアニメ版がTOKYO MX1系列で放送された。監督を西村純二、シリーズ構成を大西信介、キャラクターデザインと総作画監督を牧孝雄が務め、甲賀八郎役を畠中祐、伊賀響役を水瀬いのりが演じた。

小説

2015年11月から12月にかけて本作『バジリスク ~桜花忍法帖~』の原作小説『桜花忍法帖 バジリスク新章』が講談社タイガ文庫から刊行された。全2巻。著者は山田正紀、イラストはせがわまさきが担当している。

登場人物・キャラクター

甲賀 八郎

甲賀忍者棟梁にして、「新・甲賀五宝連(しん・こうがごほうれん)」の一人である男性。年齢は18歳。紀伊国九度山慈尊院村に暮らしており、甲賀弦之介と伊賀朧の息子で、伊賀響の双子の兄であり許嫁でもある。前髪を目の上で切って真ん中で分け、腰まで伸ばした藍色の髪の毛を、頭の高い位置でポニーテールにしている。額の真ん中には、縦に二つ並んだほくろがあり、左目には「甲」の文字が書かれた眼帯をしている。甲賀の棟梁として育てられ、12歳の頃には「甲賀五宝連(こうがごほうれん)」の一人として数えられるほど優秀な忍者となった。しかし響にしか関心がなく、棟梁としての自覚に欠けていた。そんなある日、慈尊院村が突如「成尋衆」に襲われ、忍頭で、甲賀八郎自身の父親だと思っていた服部響八郎をはじめとする多数の仲間を失う。また、その際実は自分と響が弦之介と朧の子供であり、それゆえに徳川に命を狙われていることを知る。そして成尋に響の身体を切り刻まれ、人質に取られたことで復讐を決意。6年間修業したのち、滑婆をはじめとする八人の仲間と共に、成尋衆に戦いを挑む。「矛眼術(むがんじゅつ)」という、弦之介が生前得意とした自身に向けられる害意、敵意、殺意を反転させる瞳術を使うことができる。この術は、八郎を殺そうとする意志は自身を殺す意思となり、八郎に向けた刃は向けた者自身の自殺の刃となる。

伊賀 響

伊賀忍者棟梁にして、「新・伊賀五花撰(しん・いがごかせん)」の一人である女性。年齢は18歳。甲賀弦之介と伊賀朧の娘で、甲賀八郎の双子の妹であり許嫁でもある。前髪を目の上で切り、胸の下まで伸ばした焦げ茶色のロングヘアを、顔の両脇の髪の毛は顎の高さで結んで、残りの髪の毛は後ろで一つにまとめている。口の左下にほくろが一つあり、右目には「伊」の文字が書かれた眼帯をし、さらにこの右目は縫い付けて開かないようにしている。明るく素直な性格で、甘いものが大好き。八郎たちと共に紀伊国九度山慈尊院村で平和に暮らしていたが、1626年の12歳のある日、突如慈尊院村が「成尋衆」に襲撃される。これによって、多数の忍が死亡し、この惨状から八郎を救うために眼帯を外して、ふだんは封じている「盾眼術(じゅんがんじゅつ)」を解放する。この時八郎の「矛眼術(むがんじゅつ)」と盾眼術が重なったことにより究極の術「桜花」が実現するが、その直後突然現れた成尋に襲われ、身体をバラバラにされたまま「狂儡(くぐつ)」の術で意識不明の状態で生き続けることになる。盾眼術は、いっさいの殺気を持たぬ瞳により、すべての忍術を打ち消す瞳術で、かつては「破幻(はげん)の瞳」と呼ばれる、朧の能力だった。しかし、朧が弦之介と結婚して伊賀と甲賀の血が混ざり合ったことにより、その娘である伊賀響の方がより強力な盾眼術を使えるようになった。

服部 響八郎

紀伊国九度山慈尊院村の忍頭を務める男性で、甲賀八郎と伊賀響の義父。前髪を上げて額を全開にし、髪の毛の頭の高い位置でポニーテールにしている。八郎と響には、二人が12歳になるまでは、忍法合戦のことも、二人の本当の両親である甲賀弦之介と伊賀朧の存在も伏せ、服部響八郎自身が父親として二人を育てていた。しかし1626年、慈尊院村が「成尋衆」に襲撃された際に二人の出生の秘密を打ち明け、その後死亡した。

孔雀 啄

公儀の忍者「成尋衆」の一人で、若い男性。前髪を額の真ん中の髪の毛だけ上げて真上で結び、肩につくほどの長さのセミロングヘアを、耳の下の高さで二つに結んでいる。釣り目で釣り眉、両目の下に刺青、のど元に大きな傷跡がある。また、首から魔術「時の逆鉾」を使う際に用いる大きな砂時計をぶら下げている。マイペースな性格で、なにを考えているのかわからないところがある。1626年のある日、徳川の主命に応じない緋文字火送を殺したのち慈尊院村を訪れ、当時の「甲賀五宝連(こうがごほうれん)」と「伊賀五花撰(いがごかせん)」そして服部響八郎を倒す。また「鳳輦車(ほうれんしゃ)」での戦いでは、碁石才蔵を殺したのち、甲賀八郎と一対一で戦って敗北した。その正体は「森蘭丸」で、成尋、つまり織田信長には「お蘭」と呼ばれていた。本能寺の変で信長と共に亡くなるが、その際最愛の信長と死の瞬間を共にしたことにより、他者と死を共有することが自らの至高の喜びであり、愛であると考えるようになる。その後、成尋となった信長に魂魄をつなぎ留められ、成尋衆入りした。時をあやつる術「時の逆鉾」を使うことができ、無敵に近い力を持っているが、八郎に心の隙を見抜かれ敗北して死亡した。実在の人物、森蘭丸がモデル。

集団・組織

成尋衆

成尋が率いる正体不明の忍一族。甲賀伊賀に変わって徳川家の忍の役目を得る。その主命を受け、甲賀八郎と伊賀響を手に入れるために、孔雀啄らが紀伊国九度山慈尊院村の甲賀伊賀に襲撃をかける。

クレジット

キャラクター原案

せがわ まさき

原作

山田 正紀

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