概要・あらすじ
忍者の甲賀卍谷衆と伊賀鍔隠れ衆は数百年に渡り対立していたが、約定により不戦が保たれていた。互いの跡取りである弦之介と朧が恋仲となり、確執も解けるかと思われたその折、両家の頭領は徳川家康に呼び出された。甲賀と伊賀は、徳川幕府の跡目争いを収めるべく、代表十名ずつによる代理戦争を命じられる。
一族の浮沈を賭けた忍者の死闘に、弦之介と朧の運命は変化していく。
登場人物・キャラクター
甲賀弦之介 (こうがげんのすけ)
甲賀卍谷衆の頭領甲賀弾正の孫であり、強力な瞳術を持つ青年。普段は穏やかで争いを好まないが、その瞳術は自分に殺意を向ける者を一睨みで無惨に自滅させる。伊賀鍔隠れ衆の朧と恋仲。
朧 (おぼろ)
伊賀鍔隠れ衆の頭領・お幻の孫娘で、甲賀の弦之介とは祝言を誓い合った仲。おっとりとした戦を嫌う性格で忍術は不得手だが、見つめるだけで相手の忍法を破る破幻の瞳を生まれつき持っている。
徳川 家康 (とくがわ いえやす)
徳川幕府の将軍を退き、駿府城にて甲賀弾正とお幻に、徳川幕府の跡目争いを賭けた忍法勝負を命じる。歴史上の実在の人物、徳川家康がモデル。
南光坊 天海 (なんこうぼう てんかい)
徳川家康の知恵袋とされた老僧。徳川家の跡目をめぐる内紛を収めるべく、忍者同士の死闘による決定を家康に進言した。歴史上の実在の人物、南光坊天海がモデル。
甲賀 弾正 (こうが だんじょう)
甲賀卍谷衆の頭領として一族を束ねる老忍者。甲賀と伊賀の忍法勝負開始早々、若い頃想いを寄せていたお幻と相討ちになる。
風待 将監 (かざまち しょうげん)
甲賀卍谷衆の一人。駿府城で夜叉丸と戦い、徳川家康に忍術を披露した。蜘蛛を思わせる体型で、強い粘着性の痰を操り、蜘蛛の糸のように操って敵を絡め取る。
地虫 十兵衛 (じむし じゅうべえ)
甲賀卍谷衆の一人。四肢がなく普段は駕籠で移動するが、這えば伊賀の忍者よりも速い。長い舌で喉に隠した槍を放つという隠し技を持つ。よく星占いをし、仲間内ではよく当たると言われている。
霞 刑部 (かすみ ぎょうぶ)
甲賀卍谷衆の一人。怪力巨体の持ち主で、素手で敵の首を折り殺すこともある。壁や地面に体を溶け込ませて身を隠す能力を持つ。
鵜殿 丈助 (うどの じょうすけ)
甲賀卍谷衆の一人。丸々と太った巨漢で、その体は柔軟性に富み打撃も刀も通用せず、鉄格子も容易にすり抜ける。好色なお調子者で、お幻の屋敷では伊賀者の目も構わず朱絹に迫っていた。
如月 左衛門 (きさらぎ さえもん)
甲賀卍谷衆の一人。他人の顔を写し取り、声色も真似て敵を欺く術を用いる。お胡夷の兄。
室賀 豹馬 (むろが ひょうま)
甲賀卍谷衆の一人。盲目だが聴覚などが優れ、夜間のみは目が開き弦之介と同じく瞳術を使う。血縁では弦之介の叔父にあたり、瞳術を仕込んだ師でもある。
陽炎 (かげろう)
甲賀卍谷衆の一人。弦之介に想いを寄せ、朧を敵視する妖艶な女性。男との情欲に身を任せることで、息が猛毒に変わる。
お胡夷 (おこい)
甲賀卍谷衆の一人。無邪気な性格と豊満な肉体を併せ持つ少女で、如月左衛門の妹。肌と口から触れた者の血を吸い取り、ミイラのようにして殺すことができる。
お幻 (おげん)
伊賀鍔隠れ衆の頭領として一族を束ねる老婆。甲賀と伊賀の忍法勝負開始早々、かつて想いを寄せていたが両家の宿縁故に結ばれないでいた甲賀弾正と相討ちになる。
夜叉丸 (やしゃまる)
伊賀鍔隠れ衆の一人。駿府城で風待将監と戦い、徳川家康に忍術を披露した。女の髪を縒り合わせて秘伝の獣油を塗り込んだ糸を使い、岩や刀をも切断する。蛍火とは相思相愛の仲。
小豆蝋斉
伊賀鍔隠れ衆の一人。小柄な老人だが伸縮自在の手足を持ち、木をたやすく切断する。
薬師寺天膳
伊賀鍔隠れ衆の一人にして、実質的なリーダーとなる。殺されても時間がたてば生き返る肉体を持ち、何度も甲賀を欺く。その能力は伊賀鍔隠れ衆の内部に知れ渡っており、「天膳は殺されても必ず生き返る」という一定の信頼を得ている。
雨夜 陣五郎 (あめや じんごろう)
伊賀鍔隠れ衆の一人。塩に触れると体が溶け、水分を得れば元に戻る肉体を持つ。体を変型させ様々な場所に忍び込むが、この術が途中で破れるとかなりの苦痛となる。その性質ゆえ海を非常に恐れる。
筑摩 小四郎 (ちくま こしろう)
伊賀鍔隠れ衆の一人。鎌を武器としてブーメランのように投げる他、吸息で真空の刃を生み出し、敵を切り刻む術を持つ。薬師寺天膳直属の部下であり天膳への忠誠は厚いが、朧への思慕の念も強い。
蓑 念鬼 (みの ねんき)
伊賀鍔隠れ衆の一人。体毛が濃く、前身の毛を手足のように操る。針のように尖らせて人体を貫くことも可能。
蛍火 (ほたるび)
伊賀鍔隠れ衆の一人。歳若い少女の忍者で、夜叉丸とは相思相愛の仲で、彼のことになると感情的になる。虫と蛇を操る術を使う。
朱絹 (あけぎぬ)
伊賀鍔隠れ衆の一人。肌から血を噴き出して霧にし、敵の目をくらませる術を使う。伊賀の仲間に大しては情が深く、負傷した小四郎の世話をするうちに彼への特別な感情を覗かせた。朧の世話をする事も多く、朧から信頼されている。
集団・組織
甲賀卍谷衆 (こうがまんじだにしゅう)
『バジリスク ~甲賀忍法帖~』に登場する忍者集団。甲賀弾正を頭領とし、服部半蔵をして「なんと禍々しい者共」と言わしめる、奇怪な忍術をそれぞれが用いる。多くの者が次期頭領として弦之介を慕っている。頭領を含む精鋭十人衆が伊賀との死闘に挑んだ。
伊賀鍔隠れ衆 (いがつばがくれしゅう)
『バジリスク ~甲賀忍法帖~』に登場する忍者集団。お幻を頭領とし、服部半蔵をして「なんと禍々しい者共」と言わしめる、奇怪な忍術をそれぞれが用いる。頭領を含む精鋭十人衆が甲賀との死闘に挑んだ。
クレジット
- 原作
関連
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アニメ
バジリスク ~甲賀忍法帖~
永きにわたる忍法の二大宗家甲賀と伊賀の宿怨を断ち切り、甲賀弦之介と朧は共に生きることを誓い合った。しかしその頃、将軍家の世継ぎ問題に悩んだ徳川家康は、甲賀を弟の国千代、伊賀を兄の竹千代の代わりとして、... 関連ページ:バジリスク ~甲賀忍法帖~
書誌情報
バジリスク~甲賀忍法帖~ 5巻 講談社〈ヤンマガKCスペシャル〉
第1巻
(2003-04-30発行、 978-4063461978)
第2巻
(2003-09-13発行、 978-4063462128)
第3巻
(2004-01-18発行、 978-4063462333)
第4巻
(2004-04-08発行、 978-4063462388)
第5巻
(2004-08-07発行、 978-4063462463)