概要・あらすじ
パーマネント野ばらは田舎の漁村近くの山間の集落で営業する美容院。なおこは出戻り娘で、なおこの母が営むパーマネント野ばらを手伝っている。パーマネント野ばらは近在の女性たちのたまり場。彼女たちは日々のやるせない思いや男とのいざこざをこの店であけすけに語ることで、それぞれの人生に折り合いをつけていく。
登場人物・キャラクター
なおこ
一人娘のももを連れて、海辺近くの山間の集落にある実家に出戻ってきた。なおこの母が営む美容院・パーマネント野ばらを手伝いながら生活している。もともとはさえないヤンキーで、学生時代はみっちゃん、ともちゃん、けいこちゃんとつるんでいた。時折ひとりで店を抜け出し、「私の好きな人」と会って、とりとめのない話をして過ごすことを楽しみにしている。
なおこの母 (なおこのはは)
なおこの母親。パーマネント野ばらの経営者。村唯一のパーマ屋として、髪を整えに来た女性たちの話を聞くことで、彼女たちの力になっている。なおこが離婚している間に再婚したが、再婚相手のおっさんは家出して、ナス農家のばあさんと同棲中である。
もも
なおこの娘。甘えたい盛りの女児。登場当初は未就学児童で、家の裏の用水路に葉っぱや虫を流して過ごしていた。その後、小学一年生となり、学校に行くようになる。
みっちゃん
なおこの同級生。かつてのヤンキー仲間。フィリピンパブを経営している。ラブホテルから出てきたダンナと彼女を車で追いかけまわしてひいたことがある。後に正式に離婚したが、離婚後も元ダンナに仕送りを続けている。
ともちゃん
なおこのおさななじみ。かつてのヤンキー仲間。兄弟が多く、その中で一番ぶさいくで強情にうまれてしまったため、家族から愛されずに育った。小学校では、なおこと共にずっと便所のすのこを洗って干す係であった。別れたダンナは薬物中毒の末のたれ死んだ。しかし、子供には、「お父さんはえらくて外国で仕事をしている」とずっと嘘をついていた。
私の好きな人 (わたしのすきなひと)
なおこが恋している初老の男性。なおこは時折ひとりで家を抜けだし、この男性と逢瀬の時間を設ける。私の好きな人は、なおこのとりとめのない話や小さな嘘をいつも微笑みながら聞いてくれる。
ひろこちゃん
なおこの友人。漁港のまぐろ屋さん。20年毎日まぐろを解体していたが、包丁をいつも右手に持っており、その包丁でダンナの腹を刺した。その後、退院したダンナは6畳間の付属品となって、大人しく家にいるようになった。
けい子 (けいこ)
なおこの同級生。かつてのヤンキー仲間。なおこの女友達の中で一番最初に結婚して、普通の幸せを手に入れた。高校生時代は「やりまん」で有名だった。何故「やりまん」か尋ねられた際には、「だって私なんにもないフツーやんか。私からま○ことったら何が残るのー?」と答えた。
ゴミ夫婦 (ごみふうふ)
山奥でゴミを集めて暮らしているじいさんとばあさん。最初は、ばあさんひとりだけだったが、いつの間にかどこからかじいさんもわいて出た。すっぱくてしめった納豆みたいな小屋の中で二人がお互いの「つっかえ棒」になってもたれかかって生きている。なおこの母は、村唯一のパーマ屋としてほっておけないらしく、ふたりの頭を定期的にカットしている。
メアリー
みっちゃんが経営するフィリピンパブのホステス。フィリピン人。フィリピンに子供とダンナを置いて出稼ぎにきている。お客さんの山さんとハコさんとできているやり手ホステス。
ゆきママ
村に一軒だけのジュータンパブのママ。目の前の客の酒を全部飲んで、その後目の前の客を食べてしまうので「ヤマタノオロチ」と呼ばれている。
ゆきママのママ
村に一軒だけのジュータンパブのゆきママの母親。ダンナであるジュータンパブの大将が倒れて虫の息になった際、救急車を呼ばず、「今日は天気がええけん、今日死なしちゃる」とあの世に送った。
ジュータンパブの大将 (じゅーたんぱぶのたいしょう)
村に一軒だけのジュータンパブの大将で自称「名の知れた日本食料理人」。ゆきママの父親。ゆきママのママのダンナ。腕のいい旋盤工で酒飲みだったが、ある朝急に日本食の板前を自称し、店を始めた。倒れて虫の息になったが、救急車は呼ばれず、「今日は天気がええけん、今日死なしちゃる」というゆきママのママの判断で、あの世に送られた。
なおこの母の夫 (なおこのははのおっと)
なおこが離婚中、なおこの母が再婚した相手。なおこから「ニューお父さん」と呼ばれている。なおこの母の元から離れ、ナス農家のブサイクなばあさんと同棲中。
みっちゃんの父 (みっちゃんのちち)
なおこのおさななじみ・みっちゃんの父親。ボケていて、木製の電信柱をチェーンソーで切り倒そうとする。昔、一番貧乏だった頃、電信柱を切って薪と銅線にして、ヤミ屋で金に換えてしのいだ事を思い出しての行動らしい。ボケてはいるが、パチンコ屋とフィリピンパブの経営者。しかし、生活保護ももらっている。
場所
パーマネント野ばら (ぱーまねんとのばら)
田舎の漁村近くの山間の集落にある美容院。なおこの母となおこで営んでいる。「女のザンゲ室」と呼ばれ、村の女性たちはこの店で、人生に対する思いをぶちまけ、好きなだけ泣いてスッキリきれいになって帰っていく。