ヒビキのマホウ

ヒビキのマホウ

マホウをまともに使えない半人前のマホウツカイ、ヒビキがさまざまな出会いを通して成長していく姿を描いたハートウォームストーリー。「月刊少年エース」2004年8月号から連載が開始され、「コンプエース」「月刊コンプエース」「月刊コンプエース2011年7月号増刊keyステーション」などに不定期に掲載された。原作は麻枝准(key)。

正式名称
ヒビキのマホウ
ふりがな
ひびきのまほう
原作者
麻枝 准
漫画
ジャンル
ヒューマンドラマ
関連商品
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概要・あらすじ

人里離れた森の奥に建てられた研究所で不老不死の研究をするマホウツカイシロツキの助手を務める少女ヒビキは、マホウを使うことのできない半人前のマホウツカイだった。不器用で何をするにも失敗ばかりだったヒビキは、ある日、シロツキの儀式の手伝いをすることになる。唯一得意なお茶入れでしか役に立てていないことに引け目を感じていたヒビキは、今回こそマホウでシロツキの役に立とうと決心する。

そして迎えた儀式の当日。滞りなく進んでいた儀式の最中に、シロツキの研究していたマホウの成果を狙う賊が現れ、研究所へと押し入ってくるのだった。

登場人物・キャラクター

ヒビキ

すごいマホウツカイであるシロツキの助手を務める少女。ドジで不器用な性格が災いして、まともにマホウを使うことができずいつも失敗ばかりしている。臆病で泣き虫だが、心優しく素直な性格で、人の役に立つことを喜びとしている。その性格から、すべてのマホウが代償を必要とすることに対して、何も失わないマホウを作ることを目標としている。

シロツキ

不老不死の研究をしているマホウツカイ。マホウツカイたちの間では「マホウジンの権威」として知られ、尊敬を集めている男性。人里離れた森深い研究所の中、ヒビキを助手として雇い、共に暮らしながらマホウの研究をしている。魂の転移という方法で不老不死を実現しようと考えていたが、その実験の最中にトラブルが起きたことによって人間の身体を失ってしまい、ヒビキが森から連れてきた実験体のグスクの中に魂だけが存在している。 小動物の身体であるために言葉を話すことはできないが、ヒビキが魔法研究などで困った際はそれとなく彼女の手助けをしている心優しい人物。マホウの代償として記憶を失い続けていた。

ミサキ

王立カミセイドマホウ学院きっての才媛であり、アスマ学院長の助手を務める女性。かつては戦災孤児だった。マホウの素質がなくマホウを使用することはできないものの、助手になるために必要なすべての学科での博士号を有しているために、マホウに関してとても豊富な知識を有している。

アスマ

王立カミセイドマホウ学院の学院長を務める人物。ウェーブのかかった黒く長い髪の柔和な笑顔を浮かべた男性でミサキが助手を務めている。終始どこかおどけていて、ことあるごとに花と小鳥を手品のように生み出す。マホウは人を救うための力だという強い信念を持った人物だが、マホウを使うたびに急激に肉体が成長してしまうという代償を払っているため、年齢と外見が一致していない。

イッコ・ネルサン (いっこねるさん)

王立カミセイドマホウ学院で研究をしている女性で、ユッコの姉。すべてを荒廃させてしまうノロイについて研究している。きれいな外見のイメージにそぐわないとヒビキは語っているが、ノロイの実験中は服装や性格までもがそれらしいものに変貌してしまうという特徴の持ち主である。マシュマロが大好物。ヒビキを呼ぶ時は「かわいらしい訪問者さん」「かわいい研究者さん」などといった「かわいい○○○さん」という定型にルビで「ヒビキさん」と振る独特の呼び方をする。

アヒト

王立カミセイドマホウ学院に通う生徒で、常にサングラスをかけていて、 問題児ばかりが集まっているクラスに所属している。マホウに対してトラウマがあり、特に「マホウは誰かを救うためにある」という理念に反発を覚え、マホウよりも銃器の方が役に立つと考えている。ヒビキの外見が幼いせいで生徒に舐められると、ヒビキにサングラスをプレゼントしたこともある。 かつて見る者の傷を癒やすという右目を持っていたが、過去の出来事が原因で今では右目の視力がほとんどない。

ミヅキ

ヒビキとシロツキが描いたマホウジンの力によってアヒトが見た過去に出てきた少女。事故で両親を亡くしたことがきっかけでマホウに目覚めた。常にうさぎのようなぬいぐるみを持っている。眠っている間に体力を消耗してしまうという問題を抱えていた。

ユッコ

アヒトがヒビキに紹介した女性で、イッコ・ネルサンの妹。過去に自分の子供を亡くして以来、病的にホムンクルスの研究に打ち込んでいる。人の形をしていない不完全なホムンクルスしか作り出せないものの、本人はそれで納得している。しかし、不完全なホムンクルスは3日後には水となって消えてしまうため、繰り返し悲しみを味わってはまた、不完全なホムンクルスを作り出すという悪循環に陥っている。 眠ることが長い間できなくなっており、ユッコはそれをマホウ研究の代償と考えていた。

ナナコ

ユッコの亡くなった娘で、涙が人を癒やすというマホウを授けられていた。亡くなって以来、ユッコのトラウマとなっておりホムンクルス研究へ打ち込む原因となっている。心優しい少女で、その笑顔が涙のマホウよりも、ユッコの心を癒やしていた。

シイラアサン

ユッコの行うホムンクルス研究の手助けになればとヒビキが始めた研究の結果、生み出されたホムンクルスの少女。生み出された直後から言葉を話し、社会情勢を除くある程度の知識を有していた。ホムンクルス本来が持つ人工生命兵器としての力を有しているのだが、飛び回るハエに我慢ならず、バズーカを作り出して発砲するなど常識外れなところがある。 シイラアサンと言う名前は、王立カミセイドマホウ学院の図書館の本に書いてあった「最強のホムンクルス」の名前から拝借し、本人が名付けたもの。

ナズナ=シレイユ (なずなしれいゆ)

モノノケに取り憑かれた少女。かつては国随一の剣士だったが、取り憑かれた影響からか身体に異常な重さを感じるようになってしまい、今は剣をまともに振ることができない。何人ものマホウツカイがモノノケを引き離そうと試みたが匙を投げてきた。ヒビキには不思議と彼女に取り憑いているモノノケの正体を見ることができる。ヒビキたちが暮らす国の王の孫娘にあたる。

四つ辻の悪魔 (よつつじのあくま)

「四つ辻の悪魔の伝説」として語られている女性の幽霊。 かつて両親を失った絶望から悪魔に魂を売り渡した際、魂の代償として願いを叶えるという悪魔に対して「人の願いを叶える悪魔」になることを願った。以後は四つ辻を訪れる人の願いを叶え続けていたが、叶えた人々がことごとく堕落してしまったために、今では人の願いを叶えることを止め、その代わりにメロンパンを配っている。

リク

遊び相手が居なくて暇を持てあましたシイラアサンが、外に遊びへ出た際に知り合った少年。シイラアサンと話がしてみたかったと話しかけてきて以来、彼女のことを気に入ってデートに誘ったりするようになる。家の近くに工場ができて以来、病気を患ってしまっている。

あくまさん

子供たちが遊んでいたボールが飛び込んでしまった廃屋で、ヒビキに取り憑いた存在。その廃屋にはかつて悪魔が住んでいたという噂が流れており、ヒビキには「あくまさん」と呼ばれている。ヒビキを脅しては大食いさせたり、世界一辛い実を食べさせたりといった無茶な要求を実行させ、ヒビキの困る様子を楽しんでいる。

解呪を施す者 (かいじゅをほどこすもの)

イッコ・ネルサンがかつて出会った呪術師の一族の青年。イッコが暮らしていた国に長く降り注ぐ黒い雨のノロイを解呪するために、命を代償とすることを強いられた。見返りとしてイッコという名前の女性を要求したことによって、イッコと出会うことに。実はマシュマロが大好物。本名を「ユクサリ」という。

ユウシン

王立カミセイドマホウ学院の学院長であるアスマの古い友人で、アスマと共に美少年コンビとも呼ばれていた。アスマとは同じマホウ学院に通うクラスメイトでありルームメイト。マホウの名門の出で、学院で5位以内の成績をキープし続けなければ破門にされるという厳しい家に生まれ育っていたが、ある試験でアスマに負けたことをきっかけとして別人のようになってしまう。

ミナ

王立カミセイドマホウ学院に通う女生徒。おじいちゃんがカミセイドマホウ学院のラボで働いている。おじいちゃんのことが大好きだが、無口なおじいちゃんにうとましく思われていないかと不安を感じ、本音を聞き出したいと思っている。

ユイ

シロツキの過去に登場する恋人であった女性。マホウの代償として記憶を失ってしまうシロツキに対して献身的に尽くし、支えていた人物。何度シロツキに忘れられてもめげずに尽くし続けていたが、徐々に消耗していった。シロツキが持つ懐中時計の送り主。

グスク

シロツキとヒビキが暮らす研究所近くの森にたくさん生息しているリスに似た生物。マホウツカイの研究実験に使用するためにヒビキが森から集め、世話をしていた。「大地の分身」と呼ばれている。ヒビキは、白い体毛でふさふさの尻尾が2本生えたグスクを飼っている。

ピー子 (ぴーこ)

ナズナ=シレイユが小さい頃に拾ったヒヨコ。とても可愛がられていたが、ナズナの不注意から死んでしまう。ナズナが幼い頃に育った叔母の家の庭に墓を建てられていたものの、工事によって既に墓も失われてしまっている。死んだ後も霊になってナズナのことを心配し、応援していた。

場所

王立カミセイドマホウ学院 (おうりつかみせいどまほうがくいん)

首都カミグスクに存在する、街の名物となっている学院。ヒビキたちが所属している学院であり、物語の舞台の中心となる場所。カミセイドの国随一のマホウの研究機関であり、廃れつつあるマホウやマホウツカイたちが数多く学習のために学院へと通い、また事務員や助手として勤務している。備え付けられているラボでは研究も盛んに行われている。

カミセイド

ヒビキたちが暮らしている国の名前。首都はカミグスク。王政の国であり、国王の孫娘にあたるのがナズナ=シレイユである。マホウや剣士が存在する一方で、鉄道や電話なども存在している。昔、戦争を行った際にはホムンクルスなどの人工生命兵器を使用していた。また、戦時中にはテロリストによるテロ活動も国内で行われ、犠牲者が出ている。

カミグスク

カミセイドの首都。王立カミセイドマホウ学院と呼ばれるマホウの勉強ができる学校が存在しており、街のシンボルとなっている。王立カミセイドマホウ学院にはラボも併設され、研究員のマホウツカイたちも数多く所属している。そのため、街中では他の街ではあまり見かけなくなったマホウツカイたちをよく見かけることができる。

その他キーワード

マホウ

基本的に先天的に授けられる力でその使用には素質を必要とするが、多種多様な研究によってさまざまなマホウが存在している。マホウはいずれも何らかの事象を引き起こすことができ、例えば人を見ることによってその人の傷や病を癒やす目に込められたマホウや、相手の怖れている物を見せるマホウジンなどが存在する。マホウには代償が必要だというのが通説となっており、マホウツカイの人々は何かしらのリスクを抱えている場合が多い。

マホウツカイ

マホウを使う人の全般のことを示す。マホウツカイの中にはノロイを専門とする呪術師なども含まれる。ヒビキの先生であるシロツキは、「不老不死を生み出し、現実の物とするために研究をしている人々のこと」であると語っている。そのための手段や目的はマホウツカイによってさまざまであり、アプローチ手段が大きく異なる。

マホウジン

「ジン」を刻んでマホウを発動させるためのもので、ヒビキの先生であるシロツキはマホウ界におけるマホウジンの権威と呼ばれていた。地面に模様を描くことでマホウを発動させるのだが、正確に模様を刻まなければならず、ジンが歪んでいたりした場合は正しくマホウが発動しない。ヒビキはシロツキの弟子でありながらマホウジンをうまく書くことができずに、何度も失敗していた。

不老不死 (ふろうふし)

マホウツカイたちが研究する最終的な到達目標。それぞれのマホウツカイがさまざまなアプローチを試みているために定説は存在しない。シロツキは魂の転移と呼ばれる方法で、魂だけを別の器となる存在へ移し替えることで肉体の老化を回避し、擬似的な不老不死を作り出そうとしている。

呪具 (じゅぐ)

ノロイによってマホウの力を込められた道具のこと。込められる魔法によって効果はさまざま。一例として、呪具であるハーモニカは、触れた人物は手が離れなくなり、さらにはその人物が触れた人物とも手が離せなくなるという力を持っていた。

ホムンクルス

戦争中に生み出された人工生命兵器の名称。武器をその場で生み出して戦うことができる。本来は人の形をしているのだが、成功させるのは極めて困難な研究であり、国随一の魔法研究機関である王立カミセイドマホウ学院でも幾人もの人たちが研究を行い、大半は試験管の中で実体化もせずに研究が終わってしまうほど。ユッコが作り出すホムンクルスは実体化には成功したものの、不完全で人の形をしておらず、また3日後には水のように溶けて消えてしまう。

カミセイド鉄道 (かみせいどてつどう)

カミグスクの街に開通した路面電車を運営している鉄道会社の名称。路面電車開通の際には、記念のキャンペーンが行われカミグスク全体が盛況となった。パレードも行われ、そこで路面電車のお披露目も行われたのだが、当の路面電車は不調によって暴走した。

クレジット

原作

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