あらすじ
オシャレに無頓着でトークも苦手な大学生の春夏冬榮司は、女性からまったくモテない日々を送っていたが、在学中に童貞を卒業することを目標にしていた。父親の春夏冬敏の一周忌を終え、父親の趣味であった大量の古着を整理していた榮司は、敏が宝物にしていたジーパンをネットアプリを使って5000円で売り払う。臨時収入を得て服を買いに行った榮司は、たまたま入った古着屋で以前見かけたオシャレな美少女の寒咲アヤメと出会う。彼女に気に入ってもらおうと、興味のない古着の話をしていた榮司は、売り払った敏のジーパンが120万円の価値のある501XX「対戦モデル」のビンテージジーンズであったことを知ってしまう。アヤメから「バカ息子」扱いされた榮司は、敏が自分に古着のよさを何度も伝えようとしていたことを思い出す。そして榮司は、敏の宝物を二束三文で売り払ってしまったことに対し、後悔の念に苛(さいな)まれてしまう。そして眼鏡を外して、髪型を敏と同じ三つ編みに変えた榮司は、恥を忍んでアヤメに古着のことを教えてもらおうとする。その後、アヤメの大学の友人で大学で古着サークルに所属する茨戸景と知り合った榮司は、彼らと交流するうちに古着の魅力に徐々に取りつかれていくのだった。
登場人物・キャラクター
春夏冬 榮司 (あきなし えいじ)
とある大学に通う男子。長髪の野暮ったい風貌で、眼鏡をかけている。生真面目ながら、やや思い込みが激しい猪突(ちょとつ)猛進な性格をしている。大学在学中に童貞を卒業することを目標に掲げているが、話術が苦手なうえにファッションにも興味がないため、まったくモテない。周囲からは「エイジ」と呼ばれている。亡き父は伝説的な古着バイヤーの春夏冬敏だが、春夏冬榮司自身はそのことを知らず、古着にもいっさい興味がない。小学生の頃、古着好きな敏のことを友人に馬鹿にされ、それ以来敏と距離を取るようになってしまった。古着特有の独特な匂いにかなり敏感に反応する。敏の一周忌に彼の遺品であるジーパンをネットで5000円で売り払うが、古着屋で以前見かけた美少女、寒咲アヤメに偶然出会い、それが120万円の価値のある501XX「対戦モデル」であることを聞かされ、故人の思い入れが詰まった宝物を二束三文で売り払ったことを後悔する。それ以降、敏のファッションに習って眼鏡を外して、髪形を三つ編みにしている。また、アヤメから古着について教えてもらうようになり、アヤメやその友人たちとの交流を経て、徐々にファッションと古着の奥深い世界に魅せられていく。特技は逆立ちと因数分解。
寒咲 アヤメ (かんざき あやめ)
春夏冬榮司と同じ大学に通う女子。茶髪をショートボブヘアにしている。スレンダーな体型のオシャレな美少女。芯が非常に強く、自分の考えを曲げずに初志貫徹する。古着が大好きで、つねに古着を身につけている。ファッションセンス抜群で、自分の魅力の見せ方を熟知している。古着屋でアルバイトをしていた際に春夏冬榮司と出会い、彼が父親の遺品であるビンテージのジーパンをネットで5000円で売り払ってしまったことを知り、彼のことを「バカ息子」呼ばわりする。その後は、古着について真摯に学ぼうとする榮司を受け入れ、彼に古着についてさまざまなことを教える。徐々に古着の魅力に取りつかれ、真剣になっていく榮司のことを好ましく思うようになる。
春夏冬 敏 (あきなし びん)
春夏冬榮司の父親。古着好きな中年男性で、故人。長髪を三つ編みにしており、つねに笑顔を浮かべていた。伝説的な古着のバイヤーで、古着業界では知らぬものはいないほどの有名人だった。榮司に対し、事あるごとに古着の魅力を伝えようとしていたが、古着を嫌った思春期の榮司から避けられるようになってしまう。榮司との心の溝が埋まらないまま、1年前に亡くなった。榮司に対し、遺品の古着を売るように遺言を残していた。
江口 操 (えぐち みさお)
春夏冬榮司と同じ大学に通う男子。有名ブランドのファッションを身につけている。明るくて能天気な性格の自信家で、春夏冬榮司の友人。周囲からは「グッチくん」というあだ名で呼ばれている。実家が資産家で、榮司と同様モテたいと思っている。しかし無自覚に一言多いタイプで、有名ブランドで全身を固めた見た目があまりにも嫌味なことから、女子にはまったく相手にされていない。のちに榮司と共に、古着サークルで活動するようになる。特技はすべて金で解決すること。
茨戸 景 (ばらと けい)
春夏冬榮司と同じ大学に通う男子。黒髪で細身の体型に眼鏡をかけている。知的で博識なゆえにこだわりが強く、夢中になると周囲がまったく見えなくなる。寒咲アヤメの友人。古着全般に精通しているコレクターで、大学で古着サークルを運営している。古着に関する話題になると興奮し、蘊蓄(うんちく)が止まらなくなる。アヤメが連れて来た春夏冬榮司も親切に迎え入れ、榮司に似合う古着を見立てていた。のちに榮司の父親が伝説的な古着バイヤーの春夏冬敏であることを知る。
有栖 半次郎 (ありす はんじろう)
春夏冬榮司と同じ大学に通う男子。有栖段次郎の双子の兄。人の好さそうな顔立ちで、ぽっちゃりした体型をしている。茨戸景が運営する古着サークルに所属している。ビンテージミリタリーのマニアで、古着の軍服を身につけている。景にも負けないほどの古着の知識の持ち主。
有栖 段次郎 (ありす だんじろう)
春夏冬榮司と同じ大学に通う男子。有栖半次郎の双子の弟。人の好さそうな顔立ちで、ぽっちゃりした体型をしている。茨戸景が運営する古着サークルに所属している。ビンテージミリタリーのマニアで、古着の軍服を身につけている。景にも負けないほどの古着の知識の持ち主。
書誌情報
ビンテイジ 4巻 講談社〈アフタヌーンKC〉
第1巻
(2022-03-07発行、 978-4065270400)
第2巻
(2022-09-07発行、 978-4065291733)
第3巻
(2023-03-07発行、 978-4065308820)
第4巻
(2023-10-05発行、 978-4065330883)