あらすじ
転勤家族卒業
家族の転勤の都合で今まで転校ばかりしてきた麻生ひなは、恋愛や行事を楽しめるふつうの高校生らしい生活を夢見ていた。そんなひなの転校ばかりの慌ただしい日々も終わり、ようやく一つの学校に落ち着いて通えるようになったひなの転入先は、成績順でクラス分けされているセレブな進学校「宗珱学園」だった。しかし転入初日にひなが案内されたクラスは、成績優秀者が集う男子ばかりの特Aクラスだった。初日から複雑な気持ちでいっぱいのひなをよそに、遅刻して教室に入って来たのは校内で人気グループと知られる「メンズ5」だった。その中でもひときわ目立つリーダー格の清水トシにからかわれたひなは反射的に彼を殴ってしまい、これをきっかけにメンズ5に見込まれたひなは、「姫」の愛称を付けられたうえに、彼らといきなり友人となる。これ以来ひなは、メンズ5のファンの女子から目を付けられたり、ほかのクラスの女子からの闇討ちに巻き込まれたりと、騒がしくも賑(にぎ)やかな高校生活を送ることとなる。少しずつメンズ5と交流を深めていくも、トシのことだけはなんとなく気に入らないひなは、ある日の放課後にトシと資料室で二人きりとなり、突然の停電で部屋が暗くなる。その瞬間にトシに抱きつかれて驚くひなだったが、彼は暗い所が苦手だったのだ。恐いものなしに見えたトシの弱点を知ったひなは、彼のことを少し身近に感じながら、部屋が明るくなるまで彼と手をつないで過ごすことになる。期末テスト終了後、学校では一風変わったサバイバル体育祭が開催されることになり、その会場はなんと見知らぬジャングルだった。ひなたちが出場した障害物競争ではほかのクラスからの攻撃や障害物を仕掛けられるも、クラスメイトと協力しながら乗り越えた特Aクラスは優勝を果たし、無事に体育祭は終了する。
熱海に遠足旅行
体育祭での清水トシの行動に麻生ひなが疑問を抱く中、彼の幼なじみである真人千和が唐突に宗珱学園にやって来る。千和は宗珱学園の理事長の孫でもあり、アメリカ帰りの帰国子女でもあった。千和はいきなりひなに抱きついてくるなどスキンシップ過多の変わり者で、ひなは千和の起こす騒動に巻き込まれてしまう。その一方で、ひなは千和に出会った時から、ほかの人と話した時とは違うドキドキ感を覚えることが多く、不思議に思っていた。何かとひなにちょっかいをかけてくる千和に対し、何も言わないトシの態度にも疑問を抱く中、千和は男装していただけで、本当は女子であったことが判明する。それでも女友達の少ないひなにとっては、初めて自分に好意を抱いてくれた大切な相手であり、ひなは自分から千和に友人になって欲しいと告げるのだった。「メンズ5」の面々に翻弄されながらも、独特すぎる学校の雰囲気にようやく慣れてきたひなだったが、今度の学校行事では遠足が行なわれる。しかし、それはただの遠足ではなく、行き先がくじ引きで決められるうえに、旅館で一泊するという独特なものだった。班ごとに行き先がくじ引きで決められたことで、同じ班になったひなとメンズ5はいっしょに熱海へ行くことになり、宿泊先に到着後にわかったのは、ひなとメンズ5が相部屋だということだった。一抹の不安を抱きながらも海水浴を楽しむひなだったが、そこに偶然、中学時代に同級生だった渓幸平と再会を果たす。さらに幸平はずっと前からひなのことが好きだったと告白し、夜に浜辺で会う約束を彼女と交わす。人に告白されたのが初めてなひなは、ドキドキしながら待ち合わせ場所に向かおうとするが、幸平を怪しく思ったトシが先回りすると、昼間の告白はただのイタズラだったことがわかり、トシは彼とその仲間たちに制裁を下す。トシは幸平のイタズラのことはひなに告げぬまま、何も知らずに浜辺に向かおうとしていた彼女と二人で花火を見ることになる。
波乱の文化祭
宗珱学園の独特な文化祭が近づき、麻生ひなたちは準備に追われていた。毎年恒例の文化祭は決められた資金で売り上げバトルを繰り広げるというもので、クラスを代表する清水トシが挑んだくじ引きにより、特Aクラスは資金32万円で64万円の売り上げを目指すというハードなノルマとなった。トシと共に実行委員になったひなは気合いを入れて準備を進めるが、大切な資金が入った封筒をなくしてしまう。一人で封筒を探しながら、誰にも相談できずにいたひなだったが、異変を察知したトシは彼女と共に封筒を探すことになる。しかしトシは封筒を盗んだ犯人を予測しており、困惑するひなを連れて、「メンズ5」は一斉に生徒会室に向かう。封筒を盗んだのは生徒会執行部の生徒会長、山近亨で、彼の本当の目的は幼なじみでもあるトシの気を引くことだった。生徒会メンバーとの激闘の末、亨が窓から捨てた封筒を追って、ひながプールに飛び込む。メンズ5に助けられ、無事に文化祭資金を取り戻したひなたちは、いくつものトラブルを乗り越えて文化祭の準備を終えるのだった。文化祭初日、メンズ5の考えた企画によって、特Aクラスはお化け屋敷とホストクラブを組み合わせた「ゴージャス・ザ・ホスト」を開催する。トシたちの読みどおり企画は大成功し、特に女性客に大好評だったことでノルマ金額はほぼ達成となった。順調に目標達成できそうな安心感の中で迎えた文化祭2日目、ジャンケンで勝ったトシとひなは、二人で文化祭を回ることになった。トシが飲み物を買いに行っているあいだ、ひなが考えなしにした署名がきっかけで、3年生が主催する「賭けテニス大会」という謎の大会に、猛暑の中で参加させられることになる。ひなとトシのチームに対戦相手として名乗りを上げたのは、文化祭前に対立した亨と生徒会副会長の中込悦のコンビだった。テニスはあまり得意じゃないと言うトシに、自分のブランクを心配するひなは全国大会経験者の亨たちと激戦を繰り広げる。だが、ほかの生徒が金目当てで悦の隠し撮りをしていたことで、試合は思わぬ展開に向かう。
ナオ奪還大作戦
文化祭を終えて期末テストを控えた麻生ひなたちは、毎回余裕で1位を取っている清水トシをよそに猛勉強を始めていた。しかし有沢ナオだけは登校せず、彼の部下がトシたちに助けを求めてきた。部下の話によると、実家が有名な有沢財閥であるナオは親のための縁談を断りに行き、その相手によって会社に監禁されてしまったと言う。相手は日本一のセキュリティー会社でもある金丸セキュリティー社で、その令嬢である金丸倫子は、会社の利益のために無理やりにでもナオと婚約を成立させることで、有沢財閥の地位や財産を手に入れようと目論んでいたのだ。事情を知ったひなとナオ以外の「メンズ5」は監禁されたままのナオを救うため、武装したうえで鉄壁の警備を誇る金丸セキュリティーのビルに侵入。ひなの大胆な作戦が功を奏して、社内のセキュリティーは大パニックに陥り、スキを突いたひなたちはナオと倫子のもとにたどり着く。倫子の身勝手な発言に強い怒りを覚えたひなは彼女を叱責し、それを見たナオは魔法が解けたかのように、ふだんの明るく温厚な彼からは想像できないほど性格を豹変(ひょうへん)させる。倫子は父親から今までの行動を咎(とが)められ、ナオの誘拐騒ぎは無事に解決するのだった。
華道同好会夏休み合宿
すっかり期末テストのことを忘れていた麻生ひなたちは、テストの結果が微妙に終わるが、どうにか夏休みを迎えることとなった。夏休み中に部活動に励むことが課題として出されたが、転入以来どの部活にも所属していなかったひなは、清水トシたちによっていつの間にか入部させられていた「華道同好会」の合宿に参加することになる。行き先は有沢財閥所有の山で、課題をクリアすべく自然に囲まれた場所でキャンプをすることになったひなたちは、偶然を装って追って来た生徒会執行部の面々と遭遇する。華道同好会は乱入した生徒会メンバーと両軍入り乱れたチーム分けをしたうえで、「バトル肝試し大会」を行うこととなる。チーム分けにより山近亨とペアを組むことになったひなは、周りが暗くなってきた頃にトシの暗所恐怖症の秘密を匂わせる、意味深な言葉を亨から聞かされる。その時、突然の雷雨がひなたちを襲い、雷が苦手な彼女は恐怖心から混乱してしまう。だが、実は亨もこの世で一番雷が苦手だと言い出し、二人は雷雨の中でパニックに陥っていた。トシと中込悦のペアが駆けつけたことでひなと亨はなんとか助かり、トラブルが発生するも合宿は無事に終了となる。波乱の夏休みが終わりに近づく頃、岩淵拓依から親戚が開く店のアルバイトに誘われる。あまり夏休みらしいことができなかったひなは、その誘いに乗り、9月4日と5日にアルバイトに参加することになるが、5日はトシの誕生日でもあった。拓依はトシへのサプライズを準備していると言うが、男性に贈り物をした経験がないひなは、トシに渡す誕生日プレゼントに悩まされることになる。
ハロウィンオークションの危機
麻生ひなは「メンズ5」だけでなく、宗珱学園に転入して以来初めてできた女友達である真人千和や、対立しながらも生徒会執行部など多くの仲間たちと出会いや交流を繰り返しながら、さまざまな騒動や問題を乗り越えてそれぞれの絆(きずな)を深めていく。夏休み明けに謎のラブレターが届いたひなとメンズ5は、仮装したうえでハロウィンパーティーに招待されることになる。そこでは生徒会執行部主催によるハロウィンオークションも開催され、いきなり商品として出品されてしまったひなたちはまたしてもピンチに陥る。怪しい男子がひな目当てで値段をつり上げていくが、1000万円もの値を付けたのは、アメリカから帰国した千和だった。山近亨から学園の部外者は落札できないと言われる千和だったが、理事長の孫である彼女は理事長代理を名乗ってひなたちを救い出す。だが、千和がひなたちを救ったのはただの温情ではなく、ひなたちに下着ブランドの新作のモデルを依頼するためでもあった。しかし、千和のビジネスパートナーであるケビン・権造・ルドレッティーナは、子供のひなにモデルは無理だと言い張り、その言葉に苛立(いらだち)を覚えたひなはモデルを引き受けることになる。これによりひなは女としてのプライドを守るために、千和やメンズ5の助けを受けながら、ケビンが用意したプロのモデルと勝負をすることになる。撮影当日、押し寄せる緊張を乗り越えようとするひなだったが、ライバルモデルからの嫌がらせを受けて撮影に使う下着が破れるというトラブルが発生。替えの下着が間に合わない中、清水トシのアイディアによってメンズ5と共に困難を乗り越えたひなは、撮影を成功させる。写真も好評だったひなは次に会う時を心待ちにしながら、アメリカに帰って行く千和を見送るのだった。ますます仲間との絆が深まったひなは、学校でお気に入りブランドの新作を楽しんでいたところ、トシに買い物に誘われる。トシが以前割ってしまったひなの眼鏡を買うために眼鏡ショップに立ち寄る二人は、買い物の途中で泰楽ジュンが年上の女性と親密そうに話しているのを見かける。さらには小学生くらいの少女まで現れるが、その少女と女性はジュンの妹の泰楽ユウと、姉の泰楽ヒロであった。ひなは初対面のユウに優しく話しかけるが、ユウはひなのことが気に入らない様子で、ジュンに注意された彼女はその場を走り去ってしまう。
激闘キング杯
ライバル校の白鶯学院とのあいだで毎年秋に開催される「キング杯」に、今年も男子グループ「メンズ5」が参加することになった。キング杯は、宗珱学園と白鶯学院のどちらに優秀な生徒が多いかを競い合うという恒例行事だった。キング杯前日、白鶯学院の内倉椛をはじめとする白鶯五人組と対峙(たいじ)したメンズ5は、当日にも椛たちと雪山で戦うことになる。本来は男子しか参加できないというキング杯だったが、麻生ひなは相手の不正を防ぐための人質役として、無理やり参加することになった。ところが、白鶯側の不正によって雪崩(なだれ)が発生したことで、キング杯は急遽(きゅうきょ)中止という異例の事態に発展する。ほかの生徒たちが避難する中、清水トシは椛とガケから落ちて大ピンチに陥っていた。モニターでトシのピンチの様子を見ていたひなは、コーヒーを飲んで無理やり人質部屋から脱出し、記憶の薄れる中でトシの救出に成功する。酔っぱらったままのひなはトシに対して意味深な一言を残し、参加者全員が無事に救出されたことでキング杯は終了する。後日、いつものように登校する途中でひなは、メンズ5と出会ってから非常に楽しく毎日を過ごせていることを実感しながら、身近な女友達ともなかよくなりたいと考えていた。そんな風に思っていた矢先、昼食を食べに行く途中で中込悦と小諸佳那から呼び出されたひなは、女同士だけの大事な話があるという理由で屋上に向かうことになる。話は悦が山近亨から預かった大事なディナー券をうっかり破いてしまったために、来週開催される「弁当作り大会」の優勝賞品であるディナー券をこっそり再入手したい、という内容だった。しかし大会には三人一組での出場が必要なため、足りない人数を埋めるために、ひなの力が必要なのだと言う。悦と佳那に頼られることが嬉しくなり、即快諾したひなは、亨たちには内緒で大会に参加することとなる。料理オンチのひながいくつかのトラブルを起こしながらも三人の準備は順調に思えたが、大会当日を控えた頃に亨の誤解を招いてしまったことで、彼と悦のあいだには思わぬすれ違いが起きてしまう。
湯けむり温泉「恋の旅」
矢内小次郎のことが大好きな美島麗の起こした騒動もなんとか一件落着し、麻生ひなが転入して「メンズ5」と出会ってから、早くも7か月が経とうとしていた。引っ越しや転校ばかりの生活を脱して人生初の友達ができたことに喜ぶ一方で、毎日が騒がしいために昔からのあこがれである「純情な恋愛」からはすっかり遠ざかってしまったひなは、そろそろ恋愛の方にも力を入れたいと考えていた。そんなひなの願いに恋愛の神様が用意してくれたのは、商店街の福引で当てた豪華な温泉旅行へのチケットだった。こうしてひなは、メンズ5だけでなく生徒会執行部のメンバーも加えた総勢10名で、1泊2日の温泉旅行に行くことになる。行き先は怪しい女性が女将(おかみ)を務める「忍温泉」で、そこは「恋人たちの楽園」といわれるほどに恋愛イベント満載の特殊な旅館だった。しかしこの旅行が、ひなたちの恋愛関係を大きく発展させる恋の旅になると同時に、生徒会の人間関係をも揺るがす騒動の幕開けになるとは、まだ誰も予想していなかった。カップルがそれぞれ弁当を作るイベントや、夜8時を回った途端に男湯と女湯の壁が亡くなって混浴状態になるなど、いくつかの騒動で気まずい様子の山近亨と中込悦を連れ出したひなたちは、トリプルペア専用の卓球台で温泉卓球山手線ゲームを開始する。そのゲームの途中、この旅行で積極的に切り込んでくる泰楽ジュンが出したお題をきっかけに、亨と悦の仲が進展し始める。激動の勝負を終えたみんなが部屋に戻ろうとした時、お題に対する悦の答えが気になっていた亨は、彼女を連れて二人きりで裏庭に向かう。一方、悦の恋の行方がどうしても気になったひなと清水トシは、草陰からこっそり様子を見守る。
フィーリングカップルクリスマスパーティー
温泉旅行から帰って来た麻生ひなは、旅行中の出来事を振り返りながら、いつもどおりの学校生活を送る中で、転入したばかりの後輩、神代莉央と出会う。転校して来たばかりで友人が少ないと言う莉央に強く共感したひなは彼になつかれるようになるが、その様子を見ていた清水トシは複雑そうな表情を見せる。そんなある日、莉央とトシが二人で話しているのに気づいたひなは思わずロッカーに身を隠すが、トシのことが気に入らない莉央が彼をロッカーに閉じ込めたことで、彼とひなはロッカー内で二人きりになる。莉央からの指摘が気になっていたトシは、信頼してくれるひなに励まされたことで、思わずキスをする。後日、トシを閉じ込めた莉央の行為が気になっていたひなは、彼の気持ちをきっぱりと断る。これにより莉央との関係は落ち着いたものの、ひなはトシを見るたびにモヤモヤしたような感覚を覚えるようになり、それは次第に深刻な悩みに発展していく。クリスマスがせまる中、次の学校行事であるカップルのためのイベント「フィーリングカップルクリスマスパーティー」のクラス代表に選ばれたひなは、当日の衣装のテーマに頭を悩ませる一方、トシがほかの女子といっしょにいるのを見るたびに胸に引っかかりを感じるようになってしまう。莉央に背中を押されたことで、ようやくトシへの気持ちに気づいたひなは告白するも、トシは自分といても幸せになれないという理由で断る。初恋、初告白、初失恋のトリプルカウンターでショックを受けたひなだったが、トシは過去のトラウマで特定の相手を作れないというだけで、本当は彼女に思いを寄せていた。ぎこちない二人の気持ちに気づいた岩淵拓依の助けもあって、ひなとトシは思いを伝え合っていい雰囲気になっていた。そんな中で迎えたクリスマスパーティー当日、衣装のことで揉(も)めた麻生乃浬の足止めを抜け出し、会場に遅れて到着したひなは、改めてトシに思いを伝えようと意気込んでいた。しかし真人千和の作った衣装が好評だったために、ひなはあっという間に男子に囲まれてしまい、その様子を快く思わないトシは会場を離れる。一方、山近亨も素直になれないせいで、中込悦と距離ができてしまう。
僕たちのクリスマス
生徒会執行部の陰謀により、参加者は混雑する会場から巨大迷路とへ落とされ、フィーリングカップルクリスマスパーティーは大混乱に陥る。巨大迷路に迷ったり、男子に絡まれたり友人を助けたりしながら、麻生ひなは多くの女子に囲まれていた清水トシと、ついに再会することができた。多くの障害を乗り越えてようやく両想いになれたひなたちは、平和なひと時も束(つか)の間、今度は矢内小次郎の実家の騒動に巻き込まれるなど、相変わらず騒がしい日々を送っていた。そしてクリスマスイブが近づく中、トシに誘われたひなはイブ当日に待ち合わせをすることになる。トシへのプレゼントを買うために少し早く家を出たひなだったが、道中で二股疑惑に巻き込まれたり、迷子の親を捜したりしていために、約束の時間に大遅刻してしまう。急ぐひなは待ち合わせ場所にトシがいないことに気づくが、呆(あき)れて帰ってしまったと思われた彼は、体調を崩して外出できなくなっていた。心配したひなはトシの自宅へ急ぎ、カゼを引いた彼を看病することになる。
メディア化
TVドラマ
2017年7月から8月にかけて、本作『ファイブ』の実写ドラマ版『ファイブ』がフジテレビで放送された。脚本は神田優が務めている。キャストは、麻生ひなを浅川梨奈が、清水トシを佐藤流司が演じている。
登場人物・キャラクター
麻生 ひな (あそう ひな)
宗珱学園に転入して来た女子高校生。黒のロングヘアで眼鏡をかけている。勝気で負けん気が強いが、素直な性格をしている。親が昔から転勤族なため、宗珱学園に転入するまでも、何度も引っ越しと転校を繰り返していた。このため恋愛経験がないうえに友達が少なく、ふつうの学校生活にあこがれを抱いている。編入された特Aクラスでは唯一の女子であり、男子からも注目を浴びている。転校初日にクラスメイトでもある男子グループ「メンズ5」に出会い、特に清水トシから気に入られ、彼らからは「姫」の愛称で呼ばれている。ふだんはツッコミを担うことが多い常識人だが、少々短気で負けず嫌いな一面があり、ケンカも強いためトシたちを驚愕(きょうがく)させている。メンズ5と知り合ってからは、女子の嫉妬を買ったり、校内で起こるさまざまなトラブルに巻き込まれることが多くなる。成績優秀だがドジな一面もあるおてんば娘で、純粋な恋愛にあこがれながらも他者からの好意には天然で鈍感なところがある。過去にコーヒーを飲んで酔ってしまい、それが原因で凶暴化してからは親に飲むことを止められているが、麻生ひな自身は酔っぱらって暴れた時の記憶は残っていない。また幼少期から柔道、空手、剣道などの武術を習っていたため、コーヒーを飲んで酔った時はさらに戦闘力が上がる。弟の麻生乃浬を溺愛しており、彼の悪口を言われると激怒するなど、周囲から超ド級のブラコンと言われている。料理が壊滅的で、作った料理にモザイクがかかってしまうほどだが、極度の料理オンチであるという自覚はまったくない。しかし、おにぎりやおかゆに関しては天才的な才能を発揮し、無意識に複雑な形を作り、味もおいしいおにぎりに仕上げられる。女子に人気のブランド「マーダーベア」がお気に入りだが、有沢ナオの作ったブランドであることは知らなかった。家に3回雷が落ちたことがトラウマになり、昔から雷が苦手。制服の時は目立たないが、実は隠れ巨乳。トシにからわれることが多いため、当初は彼の考えていることがよく理解できずにいたが、なんだかんだで憎めず、学校行事を中心とするさまざまな出来事を通して、やがて好意を抱くようになっていく。よくも悪くも人を疑わないため少々騙(だま)されやすいところがあり、ウソや隠し事をするのも苦手。得意教科は理科で、苦手教科は国語。7月5日生まれのA型で、身長は157センチ。
清水 トシ (しみず とし)
宗瑛学園に通う男子。「メンズ5」のリーダー的な存在で、真人千和、山近亨とは幼なじみ。制服の時はダボ袖のカーディガンを愛用している。クールでドライな性格に見えるが、実はとても仲間思いであり、面倒事を嫌いながらも仲間を助けるためであれば積極的に行動する。頭脳明晰(めいせき)なイケメンで、女子からの人気は校内外問わず圧倒的で、麻生ひなから「エロエロ大魔神」と評されるほどに女性に手が早い。転校して来たばかりのひなに絡んだ時に怒らせてしまい、眼鏡を割ったお詫(わ)びと言いながら接近し、何かと彼女にちょっかいを出している。何かと危なっかしいひなを気にかけてサポートすると共に、何度も彼女に助けられている。ひなに不意打ちのキスをするなど思わせぶりな態度が多いが、本心は不明。ふだんは作り笑いが多いが、仲間の前では笑顔を浮かべ、心から笑っている時は眉間にしわが寄る癖がある。幼少期は今と違って泣き虫な少年で口調や一人称も異なり、千和や亨に助けられることも多かった。ケンカも強く恐いもの知らずに見えるが、実は暗い場所が苦手という弱点がある。あまり勉強していないように見えるが成績優秀で、テストではつねに余裕で1位を取っている。不得意分野はないが、料理はめったにしない。実は幼少期に母親に捨てられた過去を持ち、暗所恐怖症も寝ているあいだに母親がいなくなったことが原因となっている。このトラウマから、他人に期待をするのをやめ、特定の恋人を作ることは避けている。なんでもできるように見えて、本当は一人で何もできない空っぽな自分にコンプレックスを抱いており、女遊びも孤独感や虚無感を紛らわせるためで、本音では楽しいと思っていなかった。これらの事情から、ひなに思いを寄せているにもかかわらず、最初に彼女に告白された時は断っていた。しかし周囲の助けもあってひなの気持ちを受け入れ、彼女と関係を深めていくと共にトラウマを乗り越えていく。苦手教科はなく、なんでもそつなくこなす。くじ運はあまりよくない。ご飯は固めが好きで、カレーが苦手。9月5日生まれのA型で、身長は179センチ。
岩淵 拓依 (いわぶち たくい)
宗瑛学園に通う男子。「メンズ5」のメンバーの一人。周囲から「イガグリ」とも評されるほどに尖(とが)ったツンツンヘアと、鼻に貼った絆創膏(ばんそうこう)が特徴。制服の上からパーカーを着用している。活発な明るい性格で、運動神経抜群。どんなスポーツも幅広くこなし、外出時はスケボーで移動することもある。カバンの中には、勉強道具の代わりにおもちゃなどを入れている。メンズ5の中では異性に対して純情なところがあり、何かといじられ役になることが多い。麻生ひなに思いを寄せているが、タイミングが悪く告白は失敗している。共働きの両親は教師をしており、高校生の弟のほかに幼稚園児で三つ子の弟妹がいる。奔放な家族に振り回されることが多いが、非常に頼られている。子供っぽく見えて実はかなりのしっかり者で、面倒見がよく家庭的な一面がある。忙しい両親に代わって、家事だけでなく弟妹の送り迎えまでしっかりこなしている。料理や裁縫も得意で、ひなに料理を教えたこともあるが、彼女の料理オンチと自覚のなさには恐怖すら覚えている。ひなのことがあきらめられず、失恋した彼女を励ましながらも思いを告げた。しかしひなだけでなく、清水トシのことも大切に思っているため、二人の気持ちを理解して自ら身を引いた。その後、本音を隠してひなの気持ちに応えようとしないトシの背中を押した。得意教科は家庭科で、苦手教科は数学。5月5日生まれのO型で、身長は163センチ。
有沢 ナオ (ありさわ なお)
宗瑛学園に通う男子。「メンズ5」のメンバーの一人。小柄な体格で明るい性格をしており、グループのムードメーカーな存在であると共に、女子からはかわいいと評されて人気が高い。家は金持ちだが、あまり家のことは話したがらない。語尾に「~だよん」を付けて話す。素直な性格の麻生ひなのことが気に入っている。実家は資産家と知られる有沢財閥で、有沢ナオ自身も若くして人気ブランドを抱える大企業の社長を務めており、ひなのお気に入りブランドでもある「マーダーベア」の企画やデザインも担当している。ふだんは温厚で優しいものの怒ると口調や雰囲気が豹変し、机を吹っ飛ばすほどの力を出す「キレモード」になり、一人称もふだんの「僕」から「俺」に変わる。キレモードになると、仲間でも抑えられないほどに凶暴になる。テストでは清水トシに次ぐ成績を誇るが、単純なミスに泣かされることが多い。家同士の付き合いもある泰楽ジュンと仲がよく、休日も彼と行動を共にすることが多い。中学生時代までは白鶯学院に通い、両親から何事も一番でいることが当たり前と教えられ、幼少期から厳しく育てられると共に、友人を作らず周囲と距離を置いていた。宗瑛学園の入学式でトシたちと出会い、元同級生に絡まれていたところを助けられ、これをきっかけにトシたちとなかよくなり、メンズ5が結成された。得意教科は英語で、苦手教科は家庭科。3月5日生まれのAB型で、身長は155センチ。
矢内 小次郎 (やうち こじろう)
宗瑛学園に通う男子。「メンズ5」のメンバーの一人。髪を一つに結んで数珠(じゅず)のような首飾りをしており、私服は和服を好んで着用している。剣道部に所属しており、武士のような古風な口調で話す。日本刀を持ち歩き、メンズ5の中で戦闘力はもっとも高く、剣術を活かして麻生ひなや仲間たちを何度も助け、彼女たちからも頼りにされている。一方で、エレベーターを壊してしまうほどに機械オンチで、方向感覚が壊滅的ですぐ道に迷ってしまう。また、有沢ナオ以外の小さくてかわいいものが苦手。ふだんは硬派でクールな性格で修羅場でも冷静に行動するが、苦手なものや嫌っている相手の前ではいつもの冷静さを失い、特に美島麗には調子を狂わされることが多い。実家は大きな寺であり、装いから食事まで和風のものを好む。生徒会執行部の中では小諸佳那とライバル関係にあり、何かと対立することが多いが、口調や苦手なものが共通しており似た者同士でもある。実家を離れてフラフラしている兄の矢内政宗とは確執があり、彼が帰って来るたびに敵意を剝(む)き出しにしている。得意教科は歴史で、苦手教科は地理。1月5日生まれのO型で、身長は184センチ。
泰楽 ジュン (たいらく じゅん)
宗瑛学園に通う男子。「メンズ5」のメンバーの一人。政財界にも影響力を持つ有名な高級料亭「青楼庵」の息子。長い前髪で右目が隠れており、左目下に泣きボクロがある。大人っぽいイケメンとして女子から人気が高い。メンズ5の中ではもっともミステリアスな人物で、謎を多く抱えている。頭脳明晰で特Aクラスの中でも最高位の成績を誇るが、テストではペンを動かすのが面倒臭いからと、順位は学年5位くらいに留まっている。パソコンをはじめとする機械の扱いに長(た)けており、ハッキングや株取引も得意。ほかのメンズ5メンバーと比べると戦闘力は高くないが、その頭脳を活かして仲間をサポートおよびフォローしている。有沢ナオと特に仲がよく、休日もよく行動を共にしている。姉の泰楽ヒロと泰楽ユウに対しては、シスコンな一面がある。ふだんはクールで余裕を見せているが、家族絡みのトラブルやナオのピンチには、調子を崩してうろたえることが多い。料理が上手で、友人を青楼庵に招いて料理を振る舞うこともある。もともと気配り上手で察しのいいみんなのお兄さん的なタイプだったが、麻生ひなとなかよくなったことでますます面倒見がよくなっていった。得意教科は数学で、苦手教科は特になし。11月5日生まれのAB型で、身長は177.5センチ。
山近 亨 (やまちか とおる)
宗瑛学園に通う男子。生徒会執行部会長を務めている。女子から人気が高く、おだやかな雰囲気で物腰が柔らかそうに見えるが、実は非常に面倒くさい不器用な性格をしている。幼なじみの清水トシのことが大好きで、周りから「トシコン」と言われるほどに慕っている。 しかしトシが構ってくれないため、彼の気を引くために特Aクラスの文化祭費用を麻生ひなのカバンから盗み出した。これ以来、「メンズ5」やひなとは何かと対立しており、トラブルや陰謀に彼らを巻き込んでいる。実はひなと同様に雷が苦手。ジュニアテニス全国大会経験者で、文化祭ではひなとトシのペアと賭けテニス大会で戦った。真人千和とも幼なじみで、昔は彼女とトシの三人でいっしょに遊んでいたが、彼女のことは少々苦手としている。実は中込悦に以前から思いを寄せているが、生徒会長としての仕事に集中するために、卒業まで恋人は作らないつもりでいた。鈍感なために悦と両思いであることに気づいていなかったが、温泉旅行で思いを伝え合った。しかし、不器用で頑固な一面が災いしてなかなか悦に素直になれず、すれ違いも多い。8月9日生まれのB型で、身長は176センチ。
中込 悦 (なかごめ えつ)
宗瑛学園に通う女子。中込充の双子の姉。生徒会執行部副会長を務めている。黒髪をポニーテールにまとめ、眼鏡をかけている。通称「ミス中込」。ふだんは生真面目で義理堅いクールビューティーだが、たまに大慌てすることがあり、特に山近亨の変化には敏感。昔から亨に好意を抱き、隠しているつもりだが、態度をすぐ顔に出てしまいやすいため、生徒会メンバーや「メンズ5」はもちろん、出会ったばかりの麻生ひなにもバレている。特に亨にはウソや隠し事をすることができない。自分にも他人にも厳しい性格で、怒るとシャツに仕込んでいるハサミやクナイを投げる。ジュニアテニス全国大会経験者で、文化祭ではひなと清水トシのペアと賭けテニス大会で戦った。過去のキング杯では人質役として参加するが、隠し武器を使って脱走したうえに、亨たちを援護するために暴れたことがある。これにより翌年からは宗瑛側の人質役だけロープで縛られるというルールになった。亨と両思いであることに気づいていなかったが、温泉旅行で思いを伝え合った。亨から預かったディナーチケットの一件でひなに相談したのをきっかけに、彼女とはお互いに恋愛相談をするほどの友人になる。12月24日生まれのA型で、身長は162センチ。
中込 充 (なかごめ みつ)
宗瑛学園に通う男子。中込悦の双子の弟。生徒会執行部会計を務めている。眼鏡をかけた理知的な雰囲気を漂わせた少年で、通称「ミスター中込」。クールな性格で淡々としているが、生真面目な悦とは対照的に物事を重く考え過ぎないさっぱりした一面があり、曲がったことやじれったいことを嫌う。パソコンをはじめとする機械の扱いに長けており、泰楽ジュンとは敵対関係にある。小諸佳那とは小学校時代からの付き合いで、周囲が気づかぬうちに恋人関係になっていた。将来は医者を目指しており、ほかの生徒会メンバーとは違う大学に進学することになった。12月24日生まれのA型で、身長は178センチ。
小諸 佳那 (こもろ かな)
宗瑛学園に通う女子。生徒会執行部書記を務めている。生まれつきの巻き毛の髪を、ツインテールにまとめている。生徒会メンバーの中ではもっとも小柄な体型をしている。空手部主将で、剣道部の矢内小次郎とはライバル関係にある。空手の経験を活かした戦闘が得意。老人のような古風な口調で話すなど小次郎と似た部分があり、さらに方向音痴で地理が苦手なところも、彼と共通している。好戦的なお転婆娘だが、子供っぽい見た目に反して実はとても大人っぽくしっかり者な一面もあり、悩みが多い中込悦や麻生ひなにもよく助言を与える。中込充とは小学校時代からの付き合いで、周囲が気づかぬうちに恋人関係になっていた。落ち着いているように見えて年相応の女の子らしい趣味を持ち、私服もフリルのミニスカートなどを好んで着用する。悦がひなに相談事をしたのをきっかけにひなと友人になり、お互いに恋愛相談をするほどなかよくなった。料理上手で、特に中華料理を得意としている。4月1日生まれのO型で、身長は146センチ。
真人 千和 (まさと ちわ)
麻生ひなたちの通う宗瑛学園の理事長の孫。清水トシと山近亨の幼なじみで、ふだんはアメリカでデザイナーとして活躍しており、日本にはめったに帰国しない。出会ったばかりのひなに抱きつくなど、スキンシップが多いため彼女を困惑させている。女性向けのブランドに詳しいなどかなり女慣れしているため、ひなから不思議に思われていたが、実は男子ではなく女子である。長身で男装している時は、「メンズ5」と並ぶイケメンとなる。スタイル抜群のモデル体型で、ひなより胸が大きい。アメリカに戻る前にひなと友人になり、時おり彼女とメールを交わしている。ハロウィンオークションでは久しぶりに帰国し、理事長代理を名乗りながら、商品として出品されていたひなたちを救った。ケビン・権造・ルドレッティーナとはビジネスで手を組むことが多く、彼との新プロジェクトのモデルをひなたちに依頼した。面白いことが好きで少々イタズラ好きな一面もあり、帰国するたびにトラブルを起こしているため、友人は少ない。しかし本来は友人思いで、特にひなと幼なじみのトシのことは大切に思っている。10月10日生まれのB型で、身長は175センチ。
北浜 大輔 (きたはま だいすけ)
宗珱学園に通う男子。特Aクラスに在籍する生徒で、一見、明るく爽やかな優等生に見えるが、実は計算高い狡猾な性格をしている。情報通でもあり、「メンズ5」にも時おり有力な情報を提供している。クラスで唯一の女子である麻生ひなには好意的に接している。文化祭では会計係を務めていた。得意教科は倫理で、苦手教科は生物。
渓 幸平 (たに こうへい)
高校生男子。麻生ひなの中学1年生の時のクラスメイトで、当時はひなのとなりの席に座っていた。ひなたちとは別の高校に通っているが、遠足で熱海に来ていた彼女と再会を果たし、ずっと好きだったことを告白する。地元では有名なプレイボーイであり、大企業の社長の息子。ひなに告白したのは地元の仲間と楽しむためのイタズラであり、それに気づいた清水トシによって制裁を受けた。
泰楽 ヒロ (たいらく ひろ)
泰楽ジュンの姉。高級料亭「青楼庵」の女将を務めている。ロングヘアで、左目は長い前髪で隠れている。サバサバした性格の美女で、誰に対してもおおらかに接する。「メンズ5」とも顔見知りで、麻生ひなのこともジュンから聞いて知っていた。ジュンと妹の泰楽ユウと買い物に出かけていたところで、ひなと知り合う。
泰楽 ユウ (たいらく ゆう)
泰楽ジュンの妹。兄のジュンと同じく冷静な性格で、彼をお兄様と呼び慕う極度のブラコンの美少女。ツインテールの髪型で和服ベースのドレスを着用しており、誰に対しても敬語で話す。当初はジュンと親しげな麻生ひなのことが気に入らず、冷たい態度で接していた。しかし、そんな態度を気にすることなく危機を救ってくれたひなに心を許し、なかよくなった。
麻生 乃浬 (あそう だいり)
麻生ひなの一つ下の弟。宗珱学園のライバル校「白鶯学院」に通っている。黒髪短髪で、顔や性格はひなとあまり似ていないが、姉弟関係は良好。極度のシスコンであり、今までひなに言い寄る男の前に現れては、元彼氏を名乗って追っ払ってきた。このため「メンズ5」のことも敵視していたが、ひなの短所をまったく気にしない彼らとは色々ともめ事を起こしながらも、なかよくなる。宗珱学園との恒例行事「キング杯」が近づいた頃に、メンズ5と知り合うが、彼らと内倉椛たちの対決に巻き込まれる。親の転勤で引っ越しが多かったためにひなと同様に友達が少なく、幼少期からいつも彼女といっしょに過ごしていた。天然な性格で料理オンチなひなに振り回されることも多いが、それでも大切に思っており、メンズ5に囲まれて危なっかしい彼女をいつも心配している。
ケビン・権造・ルドレッティーナ (けびん ごんぞう るどれってぃーな)
世界的な女性下着メーカー「ルドレッティーナ社」の跡取り息子。愛称は「権ちゃん」。真人千和とはビジネスパートナーとして組んでいるが、以前から彼女に思いを寄せている。新ブランドの下着のプロジェクトにかかわった際に、プロジェクトが成功したら結婚して欲しいと千和にプロポーズする。しかし、プロジェクトの成功を確信していた千和からはほかの課題を持ってくるよう言われ、返答は保留となった。
ガンダム
宗瑛学園に通う男子。特Aクラスに在籍している。麻生ひなに片思いしているオタク男子。小太りな体型で眼鏡をかけており、ロボットアニメ絡みの文字が書かれたハチマキをいつも巻いている。痩せた体型の弟、キャノンと小太りな体型の妹、タンクがおり、弟妹もそろってオタクである。ひなに告白しようと下駄箱にラブレターを入れたが、間違えて別の下駄箱に入れてしまい、無関係な女子に情熱的な告白をしてしまう。
アフロ
宗瑛学園に通う男子。特Aクラスに在籍している。黒髪のボリューミーなアフロヘアで、口元はマスクで隠している。友人のガンダムとよくいっしょにいるが、いつも無表情なため謎めいた存在。非常に寡黙な性格で、誰もアフロがしゃべってるところを見た者はいない。自分のアフロ頭でヒヨコを飼っている。
内倉 椛 (うちくら もみじ)
宗瑛学園のライバル校「白鶯学院」に通う男子。前髪の一部をヘアピンでまとめており、アヒル口が特徴。制服の下にパーカーを着込んでいる。関西弁をしゃべるお調子者のイケメン。白鶯五人組のリーダー的な存在で、実は彼女がいる。キング杯では清水トシと対決したが、彼といっしょに崖下に落ちてしまい、トシのついでに麻生ひなに救出された。後輩である麻生乃浬と買い物中に偶然再会して以来、彼を気に入ってよく絡んでいる。
小野 蘭丸 (おの らんまる)
宗瑛学園のライバル校「白鶯学院」に通う男子。白鶯五人組の一人。大きめのサングラスをかけており、耳と舌と眉にピアスを付けている。制服の下に柄物のシャツを着込んでいる。非常に好戦的で、自己中心的とも言えるほどにマイペースな性格の持ち主。過去のことは振り返らない主義で、ネーミングセンスは悪い。
山咲 二葉 (やまさき ふたば)
宗瑛学園のライバル校「白鶯学院」に通う男子。白鶯五人組の一人。眼鏡をかけた理知的な風貌で、いつも敬語で話す。キング杯には麻生ひなと同様に人質役として参加し、ひなのことを見張っていたが、清水トシの危機を知った彼女に脱出されてしまう。一部からはかわいい系と言われているが、他人への関心や仲間意識は非常に薄い。
蓬田 大 (よもぎだ はじめ)
宗瑛学園のライバル校「白鶯学院」に通う男子。白鶯五人組の一人。ニット帽を被っている。眠そうな表情をしているが、実は挑発を得意としており、キング杯で対峙した有沢ナオを激怒させる。ふだんは優しいナオの隠れた本性を引き出すも、彼を怒らせ過ぎたことで、かえって不利になってしまう。
園 哲生 (その てつお)
宗瑛学園のライバル校「白鶯学院」に通う男子。白鶯五人組の一人。オッドアイとドレッドヘアが特徴で、ターバンを巻いている。矢内小次郎とよく似てクールで硬派な性格で、似たようなタイプである彼をライバル視している。キング杯でも小次郎と対峙した。
美島 麗 (みしま うらら)
山近亨の親戚。実家はホテルを貸し切ったりヘリを呼んだりできるほどの金持ちで、ふだんは海外で暮らしている。亨を通して「メンズ5」と知り合ったが、その際に一目ぼれした矢内小次郎のことが大好き。小次郎に会うたびに抱きついてくるのはもちろん、ファンクラブを壊滅させるなど、彼のことになると暴走してしまう。このため小次郎からは、強い苦手意識を抱かれている。中性的な見た目で少女のようなかわいい恰好をしているが実は男で、そのことは小次郎以外のメンズ5も知らなかった。幼く見えるが、年齢も麻生ひなたちと同じである。小次郎に会うために久々に帰国した際、亨の適当な情報を真に受けて、小次郎とひなの仲を誤解する。ひなを貶(おとし)めるために清水トシといっしょにラブホテルに閉じ込めるも火事に巻き込まれてしまい、死にかけていたところをひなたちに救われた。これ以来はひなに心を許すようになると共に彼女をライバルと認め、次に会う時までは強くなると宣言しながら帰って行った。背が低くてか弱いことがコンプレックスで、小次郎のことが好きなのも男らしくて強い彼へのあこがれから。
金丸 倫子 (かねまる りんこ)
日本一の警備会社「金丸セキュリティー社」の令嬢。有沢ナオとは縁談が組まれているが、ナオのことは金丸セキュリティーにとって有益であるかという基準でしか見ていない。ナオの実家である有沢財閥とつながりを作るために、縁談を断りに来た彼を会社内に監禁し、婚約を強行しようと目論む。ナオの部下を通して事態を知った「メンズ5」と麻生ひなの襲撃を受けて計画は破綻し、父親からは高級料亭「青楼庵」の息子である泰楽ジュンに無礼を働いたことを咎められた。
神代 莉央 (かみしろ りお)
宗瑛学園に転校して来たばかりの男子。麻生ひなたちよりも一つ年下。廊下でぶつかって手当てを受けて以来、ひなを慕うようになり、転校して来たばかりで友達が少ないのもあって彼女と意気投合し、放課後は毎日教室まで会いに来るようになる。ひなと接するうちに思いを寄せるようになるが、彼女と親しいのに女遊びの多い清水トシには、嫉妬に近い複雑な感情を抱いている。トシを呼び出した際にその点を指摘し、邪魔者扱いしてロッカーに閉じ込めたが、偶然にもひながそのロッカーに入っていため、図らずとも二人の距離を急接近させることになる。その後はトシを閉じ込めた件をひなに咎められて失恋する。小柄で貧弱なことにコンプレックスを感じているが、実は女子にモテる。のちに恋人ができたことをひなに報告したうえで、トシへの思いに無自覚な彼女の背中を押した。
矢内 政宗 (やうち まさむね)
矢内小次郎の兄。陽気で豪快、自由奔放な性格で、長崎弁で話す。長男のため、実家の寺の除夜の鐘を毎年撞(つ)く役割を担っているが、寺を継ぐ気はなく女性と遊びたいからと、弟の小次郎に代役を押し付けている。小次郎からは突っぱねられて敵意を抱かれているが、剣術はの腕は彼よりも上。触れただけで麻生ひなのバストサイズを見抜くほどに女慣れしており、初対面でいきなり彼女をナンパしたため、「メンズ5」からもあまり快く思われていない。
矢内 市 (やうち いち)
矢内小次郎の姉。小次郎と同様に硬派で生真面目な性格をしている。小次郎との仲は良好だが、矢内政宗とは確執を抱えている。一方で実家を離れてフラフラと遊び回っている政宗には毎回呆れており、年末に彼が帰って来た時は薙刀(なぎなた)を持ち出して捕獲しようとしていた。
集団・組織
メンズ5 (めんずふぁいぶ)
宗瑛学園で女子から圧倒的な人気を誇る、頭脳明晰なイケメングループ。メンバーはリーダー格の清水トシをはじめ、泰楽ジュン、岩淵拓依、有沢ナオ、矢内小次郎の五名。転入して来たばかりの麻生ひなを気に入り、何かと彼女と絡んだり、まだ友達が少ない彼女といっしょに行動することが多い。遅刻など問題行動も多いが全員が成績優秀で、ケンカも強い。ほかの生徒から人気が高く、校内でいつも目立つ存在で、幼なじみやライバルが多い生徒会執行部とは対立することが多い。
その他キーワード
キング杯 (きんぐはい)
宗瑛学園と白鶯学院の合同行事。毎年10月頃に開催される。両校からエントリーされた男子生徒のみが決められたルールの中で対決し、どちらの学校に優秀な生徒が多いかを競い合う。海外の雪山を舞台にしたサバイバルバトルなど、その内容は毎回かなり過酷。基本は男子のみが参加できるが、敵側の不正を防ぐための人質役であれば女子でも参加が可能で、過去に中込悦が人質役として参加していた。
続編
ファイブ+ (ふぁいぶぷらす)
ふるかわしおりの漫画『ファイブ』の続編。3年生に進級した麻生ひなと人気男子グループ「メンズ5」の高校生活と恋愛模様を描いた学園ラブコメディ。「月刊アクション」2016年7月号から掲載の作品。 関連ページ:ファイブ+