概要・あらすじ
小島でたったひとりでサッカーに打ち込んできた、坂本轍平は、姉が監督をしている東京の水本高校サッカー部に入部する。荒削りながらも圧倒的な個人技を見せる轍平に対し、ライバル心をかきたてられる選手、ファンタジスタとして大いに興味を持つ監督たちなど、さまざまな視線を浴びながら轍平はサッカーの頂点を目指し世界への階段をひとつ、またひとつと上っていくのだった。
登場人物・キャラクター
坂本 轍平 (さかもと てっぺい)
水本高校サッカー部員。小さな島で姉の坂本琴音にサッカーを教わってきた少年。仲間たちとプレイをしたことがないことから、プレイは個人技に頼るスタイルだった。姉が監督を務める東京の水本高校にやってきて以来、自分のプレイスタイルと組織プレイに苦しみながらも成長し、日本ユース代表、イタリア修行を経て全日本メンバーとなり世界が認めるファンタジスタへと駆け上がっていく。
坂本 琴音 (さかもと ことね)
水本高校サッカー部監督。坂本轍平の姉でC級ライセンスを持っている。女子サッカー選手だったが肺の病気で長時間走ることができず指導者に転向した。理論に基づいた指導方法で水本高校を強豪校へとのし上げる。
森川 竜司 (もりかわ りゅうじ)
帝東高校サッカー部のエースで日本ユース代表。坂本轍平、坂本琴音の幼なじみで、幼い頃は轍平とともに琴音からサッカーを教わっていた。親の離婚、再婚によって島を離れていたが、インターハイ東京都予選で坂本姉弟と再会。琴音のことをずっと想い続けている。
アルベルト・ロッシ
イタリアのACミランのスカウト。森川竜司を獲得するためにインターハイ東京予選を訪れるが、その試合に途中出場した無名の選手坂本轍平のプレイを見てファンタジスタとしての素質を見抜く。
馬場 健二 (ばば けんじ)
水本高校サッカー部員。フォワードとして試合に出ていたが、坂本轍平の登場によって出番を失う。だが、轍平にはない高さをいかした攻撃を身に付け、水本高校サッカー部になくてはならない存在へと成長していく。
春日部 雄太 (かすかべ ゆうた)
水本高校サッカー部員。守備的ミッドフィルダーとして試合には出るものの、練習への取り組みが甘い選手だった。坂本轍平と出会い多大な影響を受け、後には日本ユース代候補として合宿に呼ばれるまでに成長する。
沖田 薫 (おきた かおる)
強豪天神高校サッカー部のエース。水本高校など歯牙にもかけていなかったが、坂本轍平のプレイを見てライバル心をかき立てられる。日本ユースの合宿では轍平とトップ下のポジションを争うが脱落。ヨーロッパサッカー界から呼ばれることはなく、単身、南米パラグアイへ渡りサッカー修行を積んだ。
近藤 敦 (こんどう あつし)
綾東高校に通うが、サッカー部には属さない現役高校生のJリーガー。組織プレイを重視し、日本ユースの合宿ではファンタジスタ坂本轍平と対立しながらトップ下ポジションを争う。個人技で戦うファンタジスタを完全否定しながらも、次第に轍平の力を認めていく。
ヨハン・ファン・ファーレン
日本ユース監督。パスをつなぐ近代サッカーにおいてはお荷物でしかないといわれるファンタジスタだが、坂本轍平のプレイに近代サッカーも超えた、時代の先にあるサッカーの姿を見る。後に全日本監督として轍平たちを率いる。
アンドレア・ファルコーニ
イタリアのユース代表。ACミランの下部チームプリマヴェーラに所属。ジャパン・ユース・カップで来日したときに坂本轍平と戦い、その潜在的な力に驚きを隠せなかった。轍平がイタリアに渡ったときは同じプリマヴェーラのチームメイトとなる。その後、アテネ五輪ではイタリア代表として全日本の轍平たちと激闘を繰り広げた。
マルコ・クオーレ
イタリアのユース代表。パルマのプリマヴェーラに所属。ジャパン・ユース・カップで来日。幼さの残る少年ながらも、その個人技は想像を絶しており、坂本轍平同様に次世代のファンタジスタとして仲間たちから信頼されている。轍平との戦いを誰よりも楽しみにしている。
西郷 政光 (さいごう まさみつ)
丞南高校サッカー部主将。全国制覇を目指す水本高校の前に立ち塞がる最強のライバル。並外れたディフェンダーで、坂本轍平を苦しめ水本高校を撃破。轍平たちの全国制覇の夢を摘んだ。後に全日本のディフェンダーとして世界の強豪たちと互角に渡り合う。
サルバトーレ・ビアンキ
ACミランプリマベーラの選手。生粋のストライカーで、ディフェンスはほとんどしないことからチームメイトと対立する。しかし、何があっても自分のプレイスタイルは曲げず、勝つためのシュートに固執し続けた。
ヴァレンティノ・ダミアーニ
ACミランプリマベーラの監督。世界のサッカーの厳しさを轍平に教え込んだ男。病気であることを隠し、轍平やファルコーニたちが所属するプリマヴェーラをそのまま一軍にのし上げようという、途方もない野望を持っていた。
集団・組織
水本高校 (みずもとこうこう)
サッカー部は弱小チームだったが、坂本琴音が監督になってからめきめきと頭角をあらわす。さらに坂本轍平が加わると、部員たちのやる気も増し、強豪校の仲間入りを果たし全国制覇を目標に掲げて連勝を続けていく。