あらすじ
若き天才シェフとの出会い
子供の頃から数学に慣れ親しんでいた北田岳は、数学者を目指して私立ヴェルス学園に学費免除の特待生として入学した。しかし3年生の時に、国際数学オリンピックの日本代表を決める選考会を兼ねた春季合宿で、北田はライバルの気迫や執念に押されて最終日の問題を白紙で提出してしまう。そして日本代表に選ばれなかったことが、私立ヴェルス学園の西門学園長の逆鱗(げきりん)に触れたことで、北田は特待生待遇を打ち切られ、生活費を稼ぐために学園内の学生食堂でアルバイトを始める。ある日、賄い料理のナポリタンを作った北田は見知らぬ男性から声をかけられ、自分のナポリタンを食べられてしまう。男性の正体は若くして天才料理人と称される朝倉海で、北田は朝倉が、西門学園長が主催する晩餐会の料理を作るために学園に来ていることを知る。その後、北田は朝倉から強引に晩餐会の会場に連れて行かれ、コース料理のメインディッシュとしてナポリタンを作るように命じられる。
正式採用試験
私立ヴェルス学園を卒業した北田岳は上京し、朝倉海がオーナーシェフを務める都内の一ツ星レストラン「K」に見習い料理人として雇われる。北田は朝倉から正式に採用する条件として「1週間以内にレストランスタッフ全員が満足する賄い料理を作ること」と告げられるが、初日から目の回るような忙しさに体力がついていけず、途中で厨房(ちゅうぼう)から追い出されてしまう。ランチタイムが終了して賄いを作る時間になるものの、北田は何を作ればいいかまったく頭に浮かばずにいた。しかし、寧々の何気ない一言がヒントとなり、北田は誰もが想像もできないような料理を作る。しかし、味のクオリティは高評価を得るものの合格点をつけたのは二人だけで、自信満々だった北田は大きなショックを受ける。そんな精神状態では満足のいく賄い料理は作れるはずもなく、試験終了まで残り2日となったある日、北田は街中で私立ヴェルス学園時代の同級生で、東京の大学に進学した魚見亜由と出会う。お互いに近況を報告する中、北田はある重要なことに気づくのだった。
実写ドラマ
登場人物・キャラクター
北田 岳 (きただ がく)
都内の一ツ星レストラン「K」で見習い料理人をしている男性。小さい頃から数学が大好きで数学者を目指していたが、私立ヴェルス学園3年生の時に国際数学オリンピックの日本代表を決める選考会を兼ねた春季合宿に参加して、ライバルの気迫や執念に押されて数学者になる夢をあきらめる。天才料理人と称される朝倉海と出会い、朝倉から自分の料理をほめられ、さらに料理の魅力に魅せられ、高校卒業後に朝倉の店で見習い料理人となる。興味のあることにはひたむきに努力する誠実な性格で、さまざまなことを数学的にとらえて考える。料理も数学と同様に、完成品から理論的に逆算してレシピや材料を決めている。
朝倉 海 (あさくら かい)
都内の一ツ星レストラン「K」でオーナーシェフを務める男性。年齢は23歳。史上最年少で一ツ星を獲得したとしてメディアでも話題となり、天才シェフと称されている。クールな性格で強引な一面もあるが、料理に対しては真摯に向き合っている。北田岳が意識せずに生き生きと料理を作っているのを偶然見かけ、さらに北田が作った賄い料理のナポリタンを食べて北田に興味を持つ。北田の数学的な思考は、朝倉海自身の料理をさらに高めて料理の真理にたどり着けると考えている。
魚見 亜由 (うおみ あゆ)
東京のスポーツ強豪大学に通う女性。大学は水泳で推薦入学した。高校は北田岳と同じ私立ヴェルス学園に通っており、学園内にある学生食堂でアルバイトした時に北田と知り合う。口調は乱暴ながら面倒見がよく優しい性格をしている。高校時代に自分の力で絶望的な状況を乗り越えた北田のことをヒーローのように思っており、北田に負けないように自分を鼓舞している。
武蔵 魏一 (むさし ぎいち)
衆議院議員を務める男性。私立ヴェルス学園の西門学園長が主催する晩餐会で、北田岳が作ったナポリタンを食べて、北田の料理に魅了される。北田を見出した朝倉海の手腕にもほれ込み、朝倉の店のパトロンとなる。竹を割ったような豪快な性格で、家族思いな人物。
武蔵 神楽 (むさし かぐら)
武蔵魏一の娘。数学オリンピックで日本代表となり、銀メダルを獲得した頭脳明晰な女性。北田岳と同年代で、小学生の頃からの知り合い。問題をただ解くだけでは意味がないと考えており、解くまでの過程を重要視している。
赤松 蘭菜 (あかまつ らんな)
都内の一ツ星レストラン「K」で働いている女性。副菜を担当している。年齢は20歳。思ったままを口にする率直な性格で、当初は素人の北田岳を料理人としては認めていなかった。しかし北田が数学的な思考で料理を作ったり、店の仕事をそつなくこなす姿を見て、少しずつ興味を持つようになる。
寧々 (ねね)
都内の一ツ星レストラン「K」で給仕長を務める女性。料理以外の仕事を完璧にこなしている。多忙な朝倉海の自宅の家事も担っている。店に来たお客の顔は絶対に忘れないが、それ以外の時はまったく覚えていない。
書誌情報
フェルマーの料理 4巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2019-06-28発行、 978-4065162965)
第2巻
(2020-07-30発行、 978-4065206164)
第3巻
(2022-05-30発行、 978-4065276105)
第4巻
(2023-09-28発行、 978-4065333341)