フォーチュン・クエスト

フォーチュン・クエスト

深沢美潮の同名小説のコミカライズ作品。剣と魔法のファンタジー世界に生きる、パステル・G・キングら貧乏パーティの冒険を描く。漫画版の本作『フォーチュン・クエスト』では、原作にはないオリジナルエピソードが描かれているが、手掛けているのは原作小説版の作者・深沢美潮とイラストレーター・迎夏生のコンビであり、原作の作風やイメージがしっかり再現されている。「月刊コミックコンプ」1991年1月号から1991年7月号、「月刊電撃コミックガオ」1993号2月号から1993号6月号にかけて連載された作品。

正式名称
フォーチュン・クエスト
ふりがな
ふぉーちゅん くえすと
原作者
深沢 美潮
漫画
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

夢のなかの王女(第1巻)

ある日、パステル・G・キングは夢で、モンスターに囲まれた少女の「助けて」という言葉を聞く。夢と思いつつもその内容が気になったパステルは、シナリオ屋オーシが儲け話として持って来た「行方不明のアンジェリカ王女」の話から、夢に出た少女が行方不明のアンジェリカ王女だと確信する。パステルから夢の話を聞いた仲間たちは、夢の中の風景からアンジェリカ王女が捕まっているのは「サイ湖」だと判断し、湖に向かう準備を行う。

一方、パーティメンバーの一人であるトラップは、ほかのメンバーに秘密で、オーシからもう一つの儲け話を持ち掛けられていた。その儲け話とは、行方不明の王女の話を聞くためにリーザ国の王都リーザリオンに行く事があれば、ついでにその王都にある賭博場からオーシ自身の借用書を盗んで来てほしいというものだった。高額な報酬に釣られてこれを引き受けたトラップは、王都に到着して以降はパステルたちと別行動を開始する。だが、賭博場に潜入したところで悪名高い暗黒街のボス「ヒサク」ことイーデンに見つかり、絶体絶命の危機に陥ってしまう。辛くも命の危機を乗り越えたトラップだったが、パステルたちとは合流できず、パーティはそれぞれ、慌てて王都をあとにする事となる。

王女の救出(第2巻)

パステル・G・キングたちは、はぐれたトラップとの合流を信じ、アンジェリカ王女が囚われた「サイ湖」を目指す。そしてついにサイ湖に到着したものの、そこにいるモンスターの様子がどこかおかしい。パステル一行は島を探索する内に、この島のモンスターは人間が変装しているものだと気づき、アンジェリカ王女を助けるためモンスターに変装してもぐり込む。リーザ国の騎士イーデンの助勢もあり、一行は無事にアンジェリカ王女を助ける事に成功するが、そこにトラップが合流し、イーデンが悪名高い暗黒街のボス「ヒサク」と同一人物であると告発する。正体を現したイーデンは、アンジェリカ王女の誘拐事件は王に取り入るため起こした自作自演である事を暴露し、パステルたち一行に牙をむく。しかし戦いの最中に湖の火山が爆発。そこをパステルたちに助けられたイーデンは心境に変化を生じさせ、脱出の際にアンジェリカ王女を助け、代わりに湖の底へ消えて行くのだった。

ツミレの花咲く里(第2巻)

パステル・G・キングたちのパーティは、今日も台所事情が火の車。そんな中、パーティメンバーの一人であるキットンが、伝説の花「ツミレの花」の情報を入手する。惚れ薬の材料にもなるツミレの花はとても高く売れるため、一行はツミレの花があるというロボスの谷を目指して出発する。しかしロボスの谷は、同じくツミレの花を求めてやって来た花コレクターの富豪マイヤーのせいで危機に陥っていた。そんな中、パステルやトラップは、マイヤーの雇った冒険者に捕まっていたロボス族の少女プリシュナを救出する。プリシュナは、ロボス族に伝わる守り神とそっくりなトラップを慕い、一行をロボスの里へと案内する。

緑の足の人(第3巻)

パステル・G・キングらの一行は、マイヤーたちから身を守るため、ロボス族に戦い方を教える事となった。しかし臆病なロボス族は戦う事を嫌がり、トラップは不安を覚えていた。そんな中、マイヤーたちが遂に里にやって来るが、ロボス族は一人残らず逃げてしまう。キットンの機転により何とか窮地を脱したものの、ロボス族の子供たちとプリシュナを人質に取られ、事態はますます悪化してしまう。キットンの秘策によって逆転の一手を得るものの、戦う勇気を持てないロボス族に不安を隠せない一行。しかしロボス族の少年アルコが勇気を持って立ち上がり、周囲を元気づける事でロボス族は次第に変わって行く。そしてパステルたちは、キットンが用意した秘策を手に人質を救出へと向かう。

登場人物・キャラクター

パステル・G・キング (ぱすてるじーきんぐ)

冒険者の少女でレベルは3、職業は詩人兼マッパー。年齢は16歳。クレイ・S・アンダーソンたちとパーティを組んでいる。詩人として自分たちの冒険談を小説にまとめて売っているほか、ダンジョン内で地図作成を行う役割を担っている。ただし、方向音痴で地図作成は苦手。パーティ内では財務も担当し財布を握っているが、経済事情は火の車でいつも頭を抱えている。 戦闘ではクロスボウを使うが矢の命中率は低く、味方が後ろから撃たれないか警戒するほどの腕前。戦闘面での貢献は少ないが明るく面倒見がいい性格をしており、パーティの食事当番を担当したり、パーティの年少組であるルーミィやシロの世話をよくしていたりする。またアンジェリカはパステル・G・キングの書く小説の大ファンであり、これがパステルがアンジェリカ救出にかかわるきっかけとなった。

クレイ・S・アンダーソン (くれいしーもああんだーそん)

パステル・G・キングの所属するパーティのリーダーを務める、戦士の青年。レベルは5で、騎士の装いをしている。トラップとは幼なじみの関係。礼儀正しくまじめな性格をしているため、パステルたちパーティのメンバーからは強く信頼されているが、同時に自他共に認めるほどとにかく運が悪い。そのため、トラップに敵と間違えられて攻撃されたり、一人だけマントに茨が絡んだりと、何かとトラブルを招きがち。

トラップ

パステル・G・キングのパーティに所属する青年で、職業は盗賊。クレイ・S・アンダーソンの幼なじみ。お金にシビアだがギャンブル好きで、パーティの中ではトラブルメーカーとなっている。そのためパステル・G・キングも警戒してトラップにはお金を預けないようにしている。一人だけ儲け話に首を突っ込むなど独自の行動が目立つが、これが結果的にパーティの危機を救ったり、イーデンの陰謀を暴くのに一役買ったりと、幸運に恵まれる事が多い。 先祖代々受け継いでいる「緑のタイツ」を穿いているが、これが原因でロボス族に伝わる「緑の足の守り神」と勘違いされる事となった。

ルーミィ

パステル・G・キングのパーティに所属する、エルフ族の幼女。職業は魔法使い。ただしようやく言葉をしゃべり始めたくらいの年齢のため、呪文を暗記して唱える事ができず、魔法の威力は低い。同じ年頃のシロとは仲よしで、よくいっしょに行動している。

ノル

パステル・G・キングのパーティに所属する、巨人族の青年。職業は運搬業。身長2メートルほどの恵まれた体格をした怪力の持ち主で、戦闘時にはクレイ・S・アンダーソンと共に前衛を担当する事が多い。性格は寡黙ながらとても優しく、動物や子供たちに慕われている。シロやルーミィにも懐かれており、よく自分の背や肩に乗せてあげている。

キットン

パステル・G・キングのパーティに所属する、年齢不詳の男性。「キットン族」と呼ばれる一族の出身らしいが、本人が記憶喪失なため詳細は不明。職業は農夫で植物やキノコに対して強い好奇心を示す。直接的な戦闘力こそないもののパーティの知恵袋的存在で、モンスターの特徴や弱点を教えたり、薬を調合したりしてパーティに貢献する。

シロ

パステル・G・キングたちと行動を共にしているホワイトドラゴンの子供。正体がバレると希少なドラゴンの存在を求める悪人に狙われる可能性があるため、普段は犬のふりをしながらパーティと行動を共にしている。語尾に「デシ」と付けてしゃべる癖があり、犬のふりをしていてもつい鳴き声に加えて「わんデシ」と言ってしまう。口から炎と光の二種類のブレスを吐く事ができるほか、10メートルほどの大きさまで巨大化する事も可能。 また空を飛ぶ事が可能で、緊急時には巨大化しみんなを背に乗せて飛ぶ事もできる。

アンジェリカ

リーザ国の第一皇女で、年齢は15歳。父親である国王に溺愛されており、美女との噂で今まで人目にさらされる事はなかった。事実、確かに美少女ではあるが、耳年増でお転婆などこにでもいる少女である。パステル・G・キングの書いた冒険小説のファンで、いつか自分も冒険をしてみたいと考えていた。他人の夢にメッセージを送るという特技を持ち、さらわれた時に偶然握っていたパステルの小説の切れ端を利用して、パステルにメッセージを送っていた。

イーデン

リーザ国の騎士。王や周囲からの信頼も厚い優秀な男性だが、その正体は裏で多くの悪事に手を染める悪党。リーザ王国の王都リーザリオンでは悪名高い金貸し「ヒサク」としての顔を持ち、賭博場を開き、殺し屋を利用した金の取り立てで多くの人を苦しめていた。アンジェリカ王女の誘拐事件もイーデンが仕組んだ自作自演の事件だったが、パステル・G・キングたちがアンジェリカのもとまでたどり着いてしまったため計画が狂い、さらにトラップによって正体をばらされてしまう。

オーシ

冒険者用の依頼や儲け話を売る、シナリオ屋の主人を務める中年の男性。パステル・G・キングたちのパーティも世話になっている。アンジェリカ王女の誘拐事件についてパステルたちに教えると共に、トラップには高額の報酬と引き換えに、王都リーザリオンの自分の賭博場から借用書を盗み出してほしいと依頼した。

マイヤー

花をコレクションする事を趣味とする富豪で、恰幅のいい体型の中年男性。自分の欲望を叶えるためなら周囲の人の迷惑を顧みない、傲慢な性格をしている。エナ・ダシールとレイ・ライモンドをはじめとした多くの冒険者や使用人を雇っており、ほかにも「バルンバロン」という種族の巨大な鳥型モンスターを飼っている。ツミレの花を求めて「ロボスの谷」を訪れ、パステル・G・キングたちと敵対した。 横暴な振る舞いが目立つが花への愛情は本物で、美しく咲いている花を荒らすような行動は許さない。

エナ・ダシール (えなだしーる)

マイヤーに雇われている戦士の青年で、レベル11のベテラン冒険者。直情的な性格をしており、相方のレイ・ライモンドの口車に乗っていつも貧乏くじを引かされている。ツミレの花を巡ってパステル・G・キングたちと敵対したが、普段は面倒見がよく気のいい人物。

レイ・ライモンド (れいらいもんど)

マイヤーに雇われている魔法使いの青年で、レベル11のベテラン冒険者。いつも要領よく立ち回り、貧乏くじを相方のエナ・ダシールに引かせているが、実力は本物で本気を出した際の「ブリザード」の魔法は辺り一面を凍らせるほどの威力を誇る。

プリシュナ

ロボス族の長老の娘。ロボスの里に伝わる「緑の足の人」の言い伝えに強いあこがれを抱いており、里に危機が訪れた際に、自分を助けてくれたトラップの事を守り神と慕うようになる。ロボスの谷の抜け道について知っており、パステル・G・キングたち一行をロボスの里まで案内した。

アルコ

ロボス族の少年。プリシュナに好意を寄せ続けているが、「緑の足の人」しか見ていないプリシュナにさびしい思いを抱いている。ロボス族の例に漏れず、本人も戦いを嫌う臆病な性格をしており、マイヤーが里に来た時にはパステル・G・キングたちを残してほかのロボス族と共に姿を隠してしまった。だが、これによりプリシュナが捕まった際には、ほかのロボス族が逃げて行く中、ただ一人残って人質を逃がそうと手助けする。

場所

ロボスの谷 (ろぼすのたに)

リーザ国に存在するロボス族が暮らす谷。「ロボスの谷風」と呼ばれる激しい風が吹き荒れる険しい谷で、人間が谷を行き来するためには谷にたった一つしかない橋を渡るしかない。ツミレの花と呼ばれる珍しい花の群生地があり、マイヤーはツミレの花を求めてロボスの谷に訪れた。また橋以外にもロボス族が使う抜け道が存在し、狭いもののここを通れば人間も簡単に谷を行き来できる。

その他キーワード

ツミレの花 (つみれのはな)

ロボスの谷でしか育たない不思議な花。見た目はスミレの花に似ているが、その葉は強力な惚れ薬の材料になるなど不思議な効能がある。また清流で育つとされるがこれは誤りで、ロボスの谷以外の場所に植えてもたちまち枯れてしまう。ロボス族はこの花を守る事を使命としており、ツミレの花とその守り神の話を今も伝え守っている。

ロボス族 (ろぼすぞく)

リスのような姿をした獣人。大人でも人間の幼児くらいの身長しかないとても身軽ですばやい種族で、大木や崖でも難なく登る事ができる。普段は森の奥深くに暮らしている大変臆病な種族で、戦闘になっても逃げ出す事がほとんど。狩りなどは行わず野菜や木の実を主食として暮らしている。ロボスの里の近くにはこの里の近くでしか育たないツミレの花が存在し、ロボス族はこの花を守る事を使命としている。 またロボスの里には花と里を守る「緑の足の人」と呼ばれる守り神の言い伝えが存在する。

クレジット

原作

深沢 美潮

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