概要・あらすじ
ごく普通の中学生だったヒロは、不慮の事故で死亡してしまう。が、その場に居合わせた姫と呼ばれる美少女の血液を与えられたことで、彼女を守るために戦う血の戦士として蘇生した。姫は無数の怪物たちを統べる王族の一員であり、次の王座を巡る戦いの渦中にあったのだ。不死身の力を得たものの、戦闘はまるで素人のヒロだったが、姫の命を狙って次々に現れる怪物たちとの戦いに身を投じていくことになるのだった。
登場人物・キャラクター
姫 (ひめ)
魔物たちを統べる王族の第二王女で、玲瓏な美貌と卓越した知性を備えた美少女である。誇り高く、常に堂々とした態度で振舞う一方で、その心情を晒すことはほとんどない。兄弟姉妹との苛烈な王権争いに参加はしているものの、本人は「王座になど興味はない」と発言しており、その言葉どおり攻められれば戦うが、攻めようとはしていない。 本名は「リリアーヌ」だが、そう呼ばれることを嫌っていくらしく、従者たちにはただ姫と呼ばせている。
ヒロ
第一話で事故により死亡してしまうが、その場に居合わせた姫から血液を与えられたことで彼女を守る血の戦士として復活した少年。事実上不死身に近い肉体となったが、姫もしくは王族の血液を定期的に摂取し続けなければ存在を維持できない。人外の者となってからも性格は変わらず、お人よしで気弱だが、姫を初めとする仲間の危機に際しては、文字どおり身を挺してこれを守ろうとする気概を持ち、次第に戦士として成長していく。 また、序盤のエピソードの多くは、彼の視点から語られている。なお、本名は「日和見日郎」だが、作中ではヒロと呼ばれ続けていた。
フランドル
物語の開始以前から姫に付き従っている童女型の人造人間。見た目に反する怪力と頑強なボディを持ち、力任せの戦いでは大いに活躍する。平時は姫の館の家事全般を担当しており、自動車の運転などの機械操作もこなしている。自意識はあるようだが、感情を表すことはなく、発する言葉も「ふが」だけだが、姫や他の人造人間とは問題なく意思疎通が可能。 電気を動力源としており、定期的に充電する必要がある。
リザ・ワイルドマン (りざわいるどまん)
人狼と人間との間に生まれた少女で、混血ながら人狼族の中でも優秀な戦士と知られている。殺された兄の仇を探しており、姫こそがその犯人であると思い込んで姫を襲ったが、誤解が解けた後は、姫の館に身を寄せるようになった。素早い身のこなしと、タフさが身上で、戦闘時には肘から先だけが狼のものに変わる。 性格は単純かつ粗暴だが、通すべき筋は通す純粋さも持ち合わせている。吸血鬼の嘉村令裡とは反りが合わず、顔を合わせるたびに激しく罵り合っている。
嘉村 令裡 (かむら れいり)
『怪物王女』の登場する純血種の吸血鬼。年齢は不詳だが、美しい少女の姿をしており、人間を装って高校にも通っている。初登場時には姫の血を狙って策を練るも失敗し、以後は敵対的な行動を見せなくなる。さらに、種族内のトラブルにより住処を失ってからは、姫の館に居候するようになり、実質的に仲間となった。戦闘力はかなり高いようだが、姫の周囲では唯一飛行能力を持っているためか、偵察や情報収集を担当することが多い。
日和見 紗和々 (ひよりみ さわわ)
ヒロの姉で、天然系の巨乳美女。高校卒業を機に、姫の館の住み込み家政婦となった。料理の腕前は確かで姫にも気に入られているほどだが、非常におおらかで細かいことを気にしない性格であるらしく、姫たちの正体や弟の異常にはまったく気が付いていない。
南久阿 (なくあ)
『怪物王女』の登場する、古くから日本に土着していた土地神の一員。日本の土地神たちは、姫が属する王国には属しておらず、「王国に帰依せぬ者達」あるいは神族と呼ばれている。王国と神族とは、互いに不干渉を貫いているはずだったが、ある事件をきっかけに姫たちと南久阿は敵対することになった。両者の戦いは姫側の勝利に終わったが、その後南久阿は姫の館の庭に建てられた祠に祀られることとなり、同居人として時折顔を見せる。
シルヴィア
王族の一員で姫の姉である第一王女。穏やかで優しげな気品溢れる女性だが、その裏に深い狂気と冷酷さを秘めている。姫とは王権を巡って相争う間柄であるが、同時に最も関わりの深い姉妹であるらしく、姫の回想にも度々登場していた。
フヒト
王族の一員だが、姫の兄弟姉妹よりも一世代前の存在である。決着が着かなかった前回の王位争いの参加者であり、姫たちの長兄であるデュケーンを早々に葬っているが、その事実を隠し、自身の部下にデュケーンを演じさせることで、王位争いの戦いを操ろうとしていた。
シャーウッド
王族の一員で姫の妹である第三王女。まだ幼いが、食人植物トリフィッドを意のままに操る能力を持ち、その力で姫の命を狙った。しかし元々姫に対しては敵意を持っていたわけではなく、姫に敗れた後に和解。以後は、姫と同盟関係となる。フランドルの姉妹機である人造人間フランシスカと、パンダの血の戦士劉劉(りゅうりゅう)を従者としている。
エミール
王族の一員で姫の兄のひとり。強力な念力の使い手であると同時に不完全ながら未来視の能力も持つ。今回の王位争いでは最も有望視されていたが、生まれつき病弱であり、王位争いの決着を見ることなく死亡。さらにシルヴィアの血の戦士として蘇り姫を襲った。
ブッチー
ヒロと同じ学年の友人で、本名は「小淵沢望」。陰謀論や怪奇現象が大好きなオタク気質で、思い込みが非常に激しい。あるエピソードで、高等部に通う令裡が吸血鬼であることに気付くが、その記憶を消されている。また、別のエピソードでは空飛ぶ円盤でやってきた謎の知性体に憑依されている。
フランケン・シュタイン博士 (ふらんけん・しゅたいんはかせ)
王国随一の頭脳を持つといわれるマッドサイエンティストで、フランドルを初めとする人造人間「フランシリーズ」の製造者。王国内の辺鄙な海岸に城のような研究所を構えている。その姿は巨大な脳髄そのもので、円筒状の透明な容器内に満たされた液体の中に浮かんでいる。その形状ゆえに移動することができないため、用事がある際には相手を研究所まで呼び出すことが通例となっている。
集団・組織
王族 (おうぞく)
『怪物王女』に登場する血族集団。人間界とは異なる場所にある王国にて、そこに棲む怪物たちの頂点である王に連なる一族である。定期的に王の血を引く若者たちが争い、その勝利者が次の王として君臨するといわれる。その正体は不死鳥(フェニックス)であり、成体となることで光り輝く巨大な鳥の姿となるらしい。ただし、成体となるには、いくつかの条件を満たす必要があり、年月による成長だけでは真の姿となることはできない。 また、成体となる前の姿は人間と変わりがなく、特殊な能力を持つことはあっても肉体的には非常に脆弱である。
書誌情報
怪物王女 20巻 講談社〈シリウスKC〉
第1巻
(2006-01-21発行、 978-4063730104)
第2巻
(2006-05-23発行、 978-4063730258)
第3巻
(2006-12-22発行、 978-4063730487)
第4巻
(2007-04-06発行、 978-4063730685)
第5巻
(2007-08-23発行、 978-4063730791)
第6巻
(2007-12-21発行、 978-4063730968)
第7巻
(2008-05-23発行、 978-4063731187)
第8巻
(2008-11-21発行、 978-4063731439)
第9巻
(2009-05-22発行、 978-4063731736)
第10巻
(2009-11-20発行、 978-4063731941)
第11巻
(2010-02-23発行、 978-4063762075)
第12巻
(2010-07-09発行、 978-4063762235)
第13巻
(2010-12-09発行、 978-4063762457)
第14巻
(2011-03-09発行、 978-4063762587)
第15巻
(2011-06-09発行、 978-4063762709)
第16巻
(2011-10-07発行、 978-4063762990)
第17巻
(2012-02-09発行、 978-4063763195)
第18巻
(2012-06-08発行、 978-4063763454)
第19巻
(2012-11-09発行、 978-4063763652)
第20巻
(2013-04-09発行、 978-4063763911)