あらすじ
第1巻
清水まりは、CDショップで新曲の情報を確認していたところ、万引きの疑いをかけられる。無実の罪を着せられそうになったまりは、突然の出来事に呆然とするが、そこにクラスメイトの早瀬さつきが現れ、彼女の代わりに謝ったことでその場は解放される。しかし翌日、早瀬から万引きを黙っていることを条件に、レポートを写させられたり、授業のノートを代わりに取らされたりといいように使われるようになり、食事代を払わされるなど、金銭面でもたかられるようになってしまう。まりは、万引きの疑いをかけられたことをばらされたくない一心で早瀬の言いなりになるが、早瀬の要求はエスカレートするばかりで、まりの精神は疲弊していく。そんな中、地獄通信と呼ばれるサイトのことを知ったまりは、藁にも縋る思いで、早瀬を地獄に落とすよう書き込みを行う。しかし、特に変わった様子は見られなかったためにいよいよ絶望し、マンションの屋上から身を投げようとするが、クラスメイトである閻魔あいに助けられる。まりは、自らを地獄少女だと語るあいに対して、改めて早瀬を地獄に落とすように頼み込む。しかし依頼を行った場合、その代償として魂が死後地獄に落ち、永遠の苦しみに苛まれることを聞かされるが、現在と未来を秤にかけた結果、早瀬を裁くことを依頼する。翌日、あいは早瀬のもとを訪れ、まりからの依頼を受けて地獄に落とす旨を伝える。だが早瀬は悪びれることなく、彼女に万引きの罪を着せたのは自分であることを得意げに語る。これを聞いたあいは、彼女が地獄に落ちるべき人物であると判断し、仲間である輪入道や一目連、骨女と共に地獄へと追い込み、万引きの疑いをかけられる恐怖を植え付けると共に、逃れることのできない牢獄へと閉じ込める。こうして、早瀬の陰湿ないじめから解放されたまりは、死後に安息を得られなくなったことを覚悟しつつも、つかの間の安息が得られたことを今は喜ぶことを決める。一方のあいは、輪入道から依頼がまったく減らないことを聞かされ、渋い表情を見せるのだった。(エピソード「夕闇の彼方より」。ほか、4エピソード収録)
第2巻
フィギュアスケートクラブに所属している佐伯あずさは、日頃の練習不足がたたり、全国大会への出場権を逃してしまう。全国大会への出場を条件に高校への推薦を受けていたあずさは、自分が大会に出るために、出場権を手にした斎藤えりと石塚マリエを排除しようと画策する目論んでいた。そんな中、あずさは友人たちから地獄通信に関する情報を聞き、えりとマリエを排除するために利用できないかと考え始める。地獄に落とせる相手が一人限定という条件を前に悩んだ末に、えりとマリエの両方に対して陰で嫌がらせを始め、その罪を擦り付けた挙句、地獄通信の情報を流して、互いの名前を書き込むように誘導する。翌日、全国大会にえりとマリエが姿を現さないことを知ったあずさは、互いを地獄に落としたことを確信し、内心でほくそ笑む。そして、二人の代わりに大会に出場することになるが、そこであずさは、会場には人っ子一人いないうえに、スケートリンクにはムカデが這い回るなど、明らかに異常といえる状況であることに気づく。さらに、そこに輪入道や骨女、一目連が現れ、あずさが陰で行っていた嫌がらせをそのまま繰り返される。激昂したあずさは、彼らに対してえりやマリエのように地獄に落とすと息巻くが、そこに閻魔あいが現れ、地獄に落ちるのはあずさの方であることを宣言。えりとマリエは、クラブでは慣れ合わないようにしていたが、実際は十年来の親友で互いに嫌がらせをするような関係ではなく、逆に二人であずさを地獄に送ろうと、地獄通信を利用したのである。あいは、私利私欲のために地獄通信を利用しようとしたあずさに裁きを与え、スケートリンクを湖に変化させると、そこにあずさを落として溺れさせる。えりとマリエは、共に地獄に落ちることを誓い合うと、現世にいるあいだは一流のフィギュアスケーターになるべく努力を続けるのだった。(エピソード「銀盤の影」。ほか、4エピソード収録)
第3巻
私立の進学校に通っている小島さおりは、父親のような教師になるために日々努力を重ねていたが、成績は伸び悩んでいた。ある日、苦手科目である数学のテストで赤点を取ってしまったさおりは、居残りで補修を受けていたが、そこに現れたクラス委員長の早坂正臣から勉強を教えてもらったことで、補修を早く終わらせることができる。これをきっかけに早坂にあこがれを抱くようになり、彼のようになりたいと考えたさおりは、この日を境に真剣に勉強に励むようになり、見る見るうちに成績を上げていく。それを見ていた早坂も、さおりの健闘を称えつつ、勉強を教えたり参考書を貸し出したりと応援し、二人の距離は徐々に近づいていく。そんな中、さおりは定期テストで早坂より優れた点数を取り、一位を獲得する。そんな中、早坂から告白され、晴れて彼女として付き合うことになる。幸せの絶頂にいたさおりだったが、ある日、早坂からプレゼントされた指輪をなくし、雨の中探し続けたことで風邪を引き、その影響で成績を大きく落としてしまう。さらに職員室に呼び出され、早坂の答案をカンニングしたという疑いをかけられる。相次いで不幸に見舞われたさおりは、早坂に助けを求めるが、実は早坂こそが、さおりに嫌がらせをしている犯人だった。早坂は、自分が優れた人間だという自尊心を満たすためにさおりに勉強を教えていたが、さおりが自分の成績を上回ったことに強烈な嫉妬心を抱き、好意を寄せられていたことを利用して悪事を働いていたのである。努力を否定されたうえに、居場所を完全に失ってしまったさおりは、地獄通信に早坂を地獄に落とすよう依頼し、閻魔あいから藁人形を受け取る。そして、さおりを陥れたことを自慢げにしゃべっていた早坂を目撃し、ついに藁人形の紐を引き抜く。その放課後、早坂は教師に扮した骨女によって落とし穴に落とされ、答えを間違えたら硫酸のプールに落とされるという罰を受ける。早坂はカンニングを駆使して乗り切ろうとするが、一目連はそれを見通しており、いよいよ窮地に陥る。早坂はそれでも、陥れたさおりを顧みることをせず、あいから自分のプライドのためにさおりを陥れようとしたことを告発された挙句、地獄へと落とされる。カンニングの疑いが晴れたさおりは、死後地獄に行くことを承知しつつ、大好きな父親を目指してさらなる勉強に励むのだった。(エピソード「偽りのテスト」。ほか、3エピソード収録)
第4巻
とある中学校で、地獄通信に似せた偽物のサイトが流行する。事態を重く見た一目連は、閻魔あいとは別に真相を探るべく、「石元」と名乗って教師として潜入する。一目連が潜入していた学校に通う白石早苗は、髪の毛に関する校則違反で、教師の林晃子から説教を受けていた。口うるさい林に辟易する早苗だったが、その夜、彼女のもとへ偽の地獄通信へのリンクが貼られたメールが送られて来る。早苗は冗談半分に林の名前を書き記すが、エラーが出るばかりで、結局地獄通信は単なる噂に過ぎないと結論づける。一方、輪入道たちは、偽の地獄通信に林の名前だけが書きこまれていることを不審に思っていた。その夜、林が何者かの手によって階段から突き落とされてしまう。さらに、林の同僚である落合が、職員室で地獄通信のサイトを発見したと訴え、調査の結果、早苗が学校用のホストを使って作られたという可能性が浮上する。これにより、教師たちから早苗が林を突き落としたと疑われ、無実を訴える彼女をよそに自宅謹慎処分が決まってしまう。そこに落合から連絡が入り、偽の地獄通信は林が自分に逆らう早苗を罠にはめるために作った可能性が高いことを告げる。そして、本物の地獄通信にアクセスして、林を地獄に流すように早苗を導く。しかし、真相に気づいた一目連が林と共に現れ、早苗を罠にかけたのは落合の方であることを明らかにする。落合はかつて林の教え子だったが、厳しくされたために高校受験に失敗したと信じ込み、逆恨みを続けてきたのだ。そして、復讐を果たすために彼女が浮気をしているというデマを流して、離婚に追いやるが、それでも飽き足らずに生徒を利用して地獄通信を使わせようとしたのである。林は家族を奪われた挙句、早苗をも貶めようとした落合を許すことができずに彼女を地獄に流すよう、あいに依頼する。依頼を聞き届けたあいは、一目連と共に落合をパソコンの画面に閉じ込め、早苗に与えた恐怖をやり返す形で、彼女を地獄へと流す。早苗は、林が自分を信じてくれていたことを知り、ひたすらに反抗だけしていたことを恥じる。そして関係を改善させると、自らを改めるためにも、校則を守ることを決意するのだった。(エピソード「偽地獄通信」。ほか、3エピソード収録)
第5巻
小学校を卒業した大塚千春のもとに、死んだと思っていた新田恭子から卒業を祝う手紙が届く。千春は、母親の夕子に真実を問いただそうとするが、夕子は「知らなくていい」と言うだけで、恭子について何も教えてはくれなかった。恭子に一目だけでも会いたいと願う千春は、両親の承諾を得ることなく、単身で手紙に記されていた住所の場所へと足を運ぶ。恭子の住む村へとたどり着いた千春は、彼女の家に向かう途中、同い年くらいの女の子たちと出会う。女の子たちは千春を歓迎し、かつて村の中で行方不明事件が発生したことを語る。さらに女の子たちは、千春に何をしにきたのかを尋ねてくるが、恭子に会いにきたと答えると、途端に蜘蛛の子を散らしたかのように逃げ去ってしまう。千春はその様子を訝しみ、不安になりながらも恭子の家を訪ねるが、迎えてくれた恭子は非常にやさしく、千春は会いに行ってよかったと安堵する。だが、家の庭に出たところ、先ほど会った女の子たちが現れ、恭子に対して「人殺し」とののしり、千春に対しても罵声を浴びせてくる。さらに、家の中で地獄通信にかかわる手紙を発見し、恭子がかつて地獄流しの依頼をしたのではないかと彼女を問いただす。恭子は千春に対して、自身の過去を話し始める。40年前、夫を早くに亡くしていた恭子は、紙すきの仕事をしながら、千春の母親を女手一つで育ててきた。しかし、北村征次郎に騙されて多額の借金を負わされ、彼から村に人たちに恭子の作った紙を買われないよう嫌がらせをされるなど、次第に追い詰められていく。そして、家に放火をされて夕子の身に危険が迫ったことで、北村を地獄に流すよう、閻魔あいに手紙を出したのだという。恭子は、これで静かに暮らしていけると考えたが、村人たちからは証拠がないにもかかわらず、北村は恭子に殺されたと決めつけ、挙句の果てに夕子は村を出ていってしまう。恭子は、地獄通信に頼ったことは間違いだったのかもしれないと考え、あいに対して懺悔の手紙を送るが、届くことはついになかったのだ。それを聞いた千春は、夕子が恭子に会いに来るよう説得し、それを受け入れられる。しかし恭子の命はすでに限界を超えており、千春の言葉に微笑むと、そのまま息を引き取ってしまう。千春たちの様子を見ていたきくりは、地獄に落ちることを知りながら、地獄通信を使おうとする人間が絶えないことへの疑問を口にするが、あいはそれに答えず、きくりを伴い恭子の家をあとにするのだった。(エピソード「地獄へのたより」。ほか、3エピソード収録)
第6巻
女手一つで育ててくれた母親を尊敬する上原あすかは、彼女を少しでも助けられるようになりたいと考え、日々勉強に励んでいた。そんな中、あすかのクラスに男子生徒の片瀬が転入して来る。片瀬は前の学校で授業が遅れていたため、あすかから勉強を教えてもらっていたが、彼女の教え方がとてもうまいことや、つねに前向きな姿を崩さないことから、やがてあすかに惹かれていく。片瀬に片思いをしていた市田はこれに嫉妬し、グループを扇動してあすかに嫌がらせを始める。いじめは次第にエスカレートしていき、片瀬もあすかを心配するものの、助ける勇気を出せずにいた。あすかの母親にまで迷惑をかけてしまい、希望を失ったあすかは、やがて地獄通信に依頼して、閻魔あいから藁人形を受け取る。しかし、地獄に流せる相手がただ一人ということもあり、学校をはじめとした世界のほとんどが敵しかいないと考えるに至り、自分自身を地獄送りにすることを望む。そして学校の屋上で、現世から逃れるために藁人形の紐を解くが、そこに広がった光景は、市田の取り巻きに罵声を浴びせられるという、学校での生活となんら変わりのないものだった。さらに、市田の手によって殺害される幻を見せられ、命を絶ったところで絶望からは逃げられないことを悟り、ありったけの声を振り絞って助けを求める。すると、あすかは現世に引き戻され、屋上から落ちそうになるところを片瀬によって救われる。片瀬もまた、前の学校でいじめられていたが、あすかによって勇気づけられ、学校も嫌なことばかりではないと希望を抱く。しかし、あすかを助けることで同じ結果をたどることを恐れ、今まで助けてあげられなかったのだという。片瀬は、助けてあげられなかったことを謝罪すると、あすかを支え続けることをはっきりと宣言する。一方のあいは、地獄通信は自殺のために使うことはできないことを打ち明け、今後また、絶望することがあれば、今度は憎い相手を消すために使うよう忠告するが、内心ではあすかが二度と地獄通信を使わないことを確信していた。これを見ていたきくりは、あいがあすかにかつての自分を重ねていたのではないかと推測する。あいはそれに答えることなく、きくりを伴って静かにその場を立ち去るのだった。(エピソード「地獄への依頼」。ほか、2エピソード収録)
第7巻
ななえのクラスで持ち物検査をしようとした教師が、突然消滅するという事件が発生する。教師を消滅させたのはほかならないななえで、説教が長く鬱陶しいという理由で、地獄通信へ依頼して地獄に流していたのである。ななえは、嫌われ者だった教師を地獄に流したことを武勇伝のように語る一方で、地獄に落ちるのは死んでからなんだから問題はないと高をくくり、閻魔あいと共にそれを見ていた骨女を呆れさせる。ななえが教師を地獄に流したという噂が広まると、友人である咲に対しても、暗に地獄に落とすことをちらつかせて、言うことを聞かせようとするようになる。そのうえ、杏奈が身につけていたブレスレットを半ば強引に奪い取ったり、他校の男子とカラオケに行った際に、好みの男子であった水野をレイカから横取りしようとするなど、増長の限りを尽くす。そんなある日、登校してきたななえは、机の上に「お前は地獄に落ちる」と書かれた紙が置かれていることに気づく。さらに、携帯電話のストラップのリボンを藁人形の紐と勘違いして激昂し、水野からも地獄通信を誇らしげに語ることを糾弾するメールが届き、相次ぐ災難に強く苛立ち、咲たちからも「調子に乗っていると地獄に落とされるかもしれない」とからかわれる。しびれを切らしたななえは、再度地獄通信のサイトにアクセスし、「私を地獄に落とそうとする奴全員」と書き込む。そして、そこに現れたあいの胸ぐらをつかみ、藁人形を渡すように迫る。しかし、地獄通信は一生に一度、一人にしか使えないことを告げる。ななえはこれにもひるまず、あいに罵声を浴びせて顔を平手打ちするなどの暴挙に出るが、あいはまったく動じることなく、彼女を快く思わない人から、ななえ自身の地獄流しを依頼されていたことを語る。それを聞いたななえは、つまらない理由で依頼した相手を糾弾しようとするが、あいから「それは自分も同じだろう」と断ぜられる。そして、絶望の表情を浮かべたまま、地獄へと流されるのだった。(エピソード「いらだちの瞬間」。ほか、2エピソード収録)
第8巻
親の教育が厳しい家に生まれ育った森頼子は、優しくできのいい姉の森英子を心から慕っていた。しかし、一年前に大学受験で失敗して以来、周囲からのプレッシャーと初めての挫折でショックを受け、部屋に引きこもるようになる。しかし見栄っぱりな両親は、英子が東京の大学に通っていると嘘をつき続け、当の英子は頼子が有名な私立中学校に合格すると、妬むあまり彼女に対して暴力を振るうようになっていた。それでも頼子は、いつかもとの英子に戻ってくれることを信じ、中学校でも熱心に勉強を続けて、やがて学年トップの成績を取るようになる。そんなある日、頼子は風邪を引いて学校を休むが、プリントを届けに来たクラスメイトの三木マリカに、英子が引きこもっていることを知られてしまう。マリカはこれを悪用し、ばらされない条件として自分より成績を落とすよう、頼子を脅す。家では英子から罵声を浴びせられ、学校ではマリカに脅されることで、頼子の精神は疲弊していく。それでも、英子のために必死に勉強に励むが、当の英子にはまったくそれが通じないどころか、英子は現在の環境に対して自暴自棄になり、毎日のように地獄通信のサイトにアクセスするようになる。地獄通信の噂はマリカも知るところとなり、頼子に英子の存在が重荷なのなら、いっそのこと英子を地獄に流せばいいのではないかと誘惑する。しかし英子を慕う頼子はこれを拒絶するが、いくら勉強を続けても罵ることをやめない英子を前に、ついに地獄通信のサイトにアクセスし、閻魔あいから受け取った藁人形の紐を、その場で解いてしまう。そして翌日、学校を訪れたマリカはクラスメイトたちから頼子を脅していたことを糾弾されたうえに、骨女によって地獄流しを宣言される。頼子はマリカの地獄流しを依頼しており、その理由も脅されたからではなく、英子を侮辱されたことによるものだった。頼子は、これで英子を守れると胸をなでおろすが、その英子が突然行方不明になったことを聞かされる。英子は、自分自身こそが最もどうしようもない存在と考えており、頼子に八つ当たりをしたことで自責の念が限界を越え、地獄通信に自分の名前を書き記してしまったのである。こうして、英子もまた地獄に流されるが、頼子はいつか地獄に落ちて英子に会えることに希望を見出し、今を一生懸命生きることを決意するのだった。(エピソード「自慢のお姉ちゃん」。ほか、3エピソード収録)
第9巻
生まれ育ったラブリーヒルズに帰ってきた紅林拓真は、動物を殺して楽しむ「悪魔の子」というレッテルを貼られ、さらに父親が重傷を負わされてしまう。その犯人は、父親の会社が倒産したことで自暴自棄となった柿沼ゆきのであることが判明し、ゆきのは拓真に謝罪すると共に噂がウソであることを周りに打ち明けようとする。しかし、その矢先にゆきのはクラスメイトから地獄に流され、拓真がその罪を擦り付けられる。ラブリーヒルズの住民たちは、悪魔の子とされた拓真を利用して思い思いに地獄流しを行い、閻魔あいに疲労を蓄積させていく。拓真の無実を信じる飯合誠一も、拓真を悪魔の子に仕立て上げようとする住民たちに襲われ、行方不明になってしまう。住民たちの陰謀により、逃げ道を失いつつあった拓真は、誠一の妹である蛍に助けられ、二人で地獄通信の大本となった地獄少女に関する調査を始める。そして、神社の境内で発見した一冊の本から、あいと仙太郎の顛末を知り、現在の拓真とあいの境遇が極めて似ていることを思い知る。そうしているあいだも、住民たちは拓真を追い詰めるために行動を続けていた。彼らはきくりから得た情報をもとに神社の境内に潜んでいた拓真と蛍を捕縛し、湖に落として殺害しようとするが、そこに誠一が現れて二人を救出する。誠一は二人を車に乗せ、集めた証拠を提出するために警察署に向かおうとするが、住民の一人が誠一の地獄流しを実行したことで、拓真たちは再び窮地に陥る。最愛の兄を失った蛍は、すべてを終わらせるために拓真を地獄に流そうとしたうえで、自らも入水自殺を図る。これに対してあいは、自らの意思で拓真の地獄送りを拒み、その影響から地獄少女としての記憶を失う。そして地獄少女としてではなく、一人の人間として拓真を守り抜き、やがて誠一が残していたレコーダーから住民たちの陰謀が暴かれ、拓真の無実が証明される。さらに、拓真を利用した住民たちも一人残らず消え去り、拓真は拓真の父親や、奇跡的に無事であった蛍と生還を喜ぶ。この事件によってあいの地獄少女としての役割は終わりを迎え、輪入道、一目連、骨女の三人は、それぞれ現世を巡る旅に出る。しかし、あいの地獄少女としての任務はこれで終わったわけではなく、拓真は近いうちに、あいが再び現れることを予感するのだった。(エピソード「彷徨」「あいぞめ」。)
関連作品
漫画
本作『地獄少女』の続編として、永遠幸の『新・地獄少女』と『地獄少女R』がある。『新・地獄少女』は、TVアニメ『地獄少女 三鼎』のコミカライズ作品で、三藁に次いで閻魔あいの使い魔となる山童や、キーパーソンの一人である御景ゆずきが登場する。一方、『地獄少女R』はアニメとは独立したオリジナルストーリーがメインとなっており、地獄通信を悪用して己の欲望を満たそうとする藤堂まりやが登場する。
登場人物・キャラクター
閻魔 あい (えんま あい)
午前零時にだけアクセスできるという地獄通信に地獄に流して欲しい相手を書き込むと、相手を地獄に流すとされる地獄少女の正体。地獄通信を行いそうな対象を観察するために複数の中学校や高校に潜入しており、その時はセーラー服に身を包んでいるが、地獄送りの際には花をあしらった和服を着ている。アイドルの吉井歩から「綺麗な人」と見惚れられるほどの美貌を誇る。また、傷をつけられても死ぬことはないうえに、戦闘能力も極めて高いが、特殊な能力を持たない人間に対しては、たとえ危害を加えられたとしても攻撃を仕掛けることはない。感情の起伏をめったに見せることはなく、会話をすることもほとんどない。しかし、感情が希薄なのは、地獄少女が地獄通信に私情を挟んではいけない掟によるところが大きく、本来は心優しい性格をしている。そのため、使い魔の三藁である輪入道、一目連、骨女からは慕われている。なお、身元が不祥ながら、学校に潜入しても誰からも怪しまれない。もともとは安土桃山時代にとある村で産まれた「あい」という名前の少女。儀式の生け贄として捧げられ、一度は幼なじみの仙太郎に助けられて生き延びたものの、数年後に捕まり生き埋めにされてしまう。その恨みから怨霊となって村を焼きつくし、その罰を洗い流すために「人面蜘蛛」と呼ばれる管理者から「閻魔あい」と名づけられ、それ以来数百年に渡って地獄流しを続けている。
輪入道 (わにゅうどう)
閻魔あいの使い魔である三藁の内の一人。本来は火の付いた車輪のような姿だが、普段は老人の男性のような容姿をしており、三藁の中では最古参。含蓄のある言葉を吐くことが多い。妖怪になる前はさる姫を運ぶ馬車の車輪だったが、敵勢に襲われた姫を守りきれなかったため、後悔の気持ちが強く妖怪となってしまった。 その後、行く宛もない気持ちを人を驚かすことで発散させていたところをあいと遭遇し、彼女の使い魔となった。
一目連 (いちもくれん)
閻魔あいの使い魔である三藁の一人で、片目を前髪で隠した美青年。隠された瞳を物体と同化させることで、離れた場所から物を見る能力を持つ。その正体は多くの人を殺めてきた刀の付喪神。ただし、見た目は人間とほぼ変わらず、ある学校で偽の地獄通信が作られた時は、犯人を探すために教師として潜入し、その際に「石元連」と名乗る。ふだんは斜に構えたような物言いをすることが多いが、内心では一目連なりの正義感を持ち合わせており、林晃子を陥れるために白石早苗を犠牲にしようとした落合に皮肉を言ったり、偽物の藁人形を用意して山崎有紗を弄んだ正木に対して、はっきりと不快感を口にするなど、時おり感情的になったり、私情を挟むこともある。また、三藁やあいのことを大切に思っており、あいが自分たちのことを忘れてしまった時は悲痛な表情を浮かべる。あいと同様に、学校に潜入しても誰からも怪しまれないという特徴を持つ。
骨女 (ほねおんな)
閻魔あいの使い魔である三藁の内の一人。本来の姿は名前の通り骸骨であるが、普段は肉付きの良い妙齢の美女の姿をしている。妖怪となる前はつゆという名前の娘だったが、男に裏切られて遊郭に売られた挙句、信頼していた妹のような娘にも裏切られた末に殺害されている。その恨みから妖怪と化してしまい、人々を驚かしていたところをあいと出会い、彼女によって救われたためにあいを強く慕っている。
きくり
幼女の外見をした妖怪。突如として閻魔あいらの前に現れて行動を共にするようになる。子供っぽい発言をする一方で、どこか大人びた面もかいま見える。
仙太郎 (せんたろう)
閻魔あいが人間の少女だった頃、同じ村に住んでいた少年。あいと親しくしており、彼女が7年に一度行われる儀式の生け贄として選ばれた時、彼女を救出する。しかし、その数年後にあいの存在が村人に発覚すると、あいは両親共々生け贄として生き埋めにさせられ、村人から強制的にあいを埋めさせられたせいで仙太郎自身もあいからの恨みを買ってしまう。脅されたとはいえ、あいに対する行いを深く後悔しており、のちに彼女を供養するための寺を建てる。一目連はこのことを知っているが、仙太郎の意思を尊重し、あいに直接伝えずにいる。
早坂 正臣 (はやさか まさおみ)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている男子。クラス委員長を務めている。成績優秀かつスポーツ万能で、多くの同級生たちからあこがれられている。ある時、数学の補習で苦労する小島さおりに声をかけ、彼女に勉強を教えてあげる。その結果、さおりは瞬く間に成績を伸ばし、やがて早坂正臣自身を追い抜いてトップの成績を獲得するまでになる。実は、さおりに勉強を教えていたのは、自分が優れていることをアピールして、優越感に浸るためだけに行ってきたことで、予想に反して自分を越えられたことで、さおりに憎しみを抱くようになる。そして、復讐の手段として彼女に交際を申し込み、プレゼントしたアクセサリーをわざと隠して失くしたと思わせたり、カンニングの疑いをかけるなどして彼女を追い込んでいく。やがて彼女が学校と家庭の両方から疎外されたことを知ると、満足そうにほくそ笑み、同級生たちに対してさおりを陥れたことを自慢げに語る。それをさおりに知られたことで、彼女の地獄流しの標的になる。地獄に流される時は、「自分はつねにトップでなければならない」と大声で訴えるが、骨女からはそれを「ちっぽけなプライド」と断じられる。
純子 (じゅんこ)
閻魔あいが人々を監視するために潜入した高校のうちの一つに通っている女子。両親は既に他界しており、飼い犬のラッキーと共に暮らしている。病気になってしまったラッキーを助けるために本條が経営する動物病院に駆け込み、手術を依頼する。そして後日、本條から手術が成功したという報告を受けると、元気になったラッキーに一目でも会うために、病院にこっそりと忍び込む。しかし、ラッキーはまったく回復しておらず、純子の目の前で命を落としてしまう。さらに、本條は女優や政治家のペットを優先して治療し、ほかのペットを見捨てることがしばしばあることや、コネクションを使って悪事をもみ消していることを知らされる。これをきっかけに、ラッキーを見殺しにした本條に強い憎しみを抱き、地獄通信に書き込みを行い、あいに対して彼の地獄流しを依頼する。
咲 (さき)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。授業中にななえの手によって嫌われ者の教師が地獄に流された場面を目撃し、ななえ自身から、地獄通信を利用したことを聞かされる。咲自身も教師を嫌っていたことから、その時は軽い気持ちでななえを賞賛するが、それからは彼女の機嫌を損ねただけで地獄流しを示唆されるようになり、次第に恐ろしさを感じ始める。
正木 (まさき)
山崎有紗や亮介と同じ中学校に通っている男子。外見がいいことから女子に人気があるが、軽薄そうな一面を見せることも多い。ある時有紗に告白し、付き合うことになる。最初は彼女にやさしく接していたものの、行動の記録を取らせたり、自分の気に入らない行動をいっさいしないように強要するなど、過度に干渉するようになり、彼女を言いなりにさせるためあらゆる手を尽くそうとする。さらに有紗が亮介と仲がいいことを知ると、二度と彼に近づかないようにと命令し、挙句の果てには地獄通信に亮介の地獄流しを依頼する。しかし、閻魔あいから拒絶されたため、やむなく偽物の藁人形を作り上げ、亮介の地獄流しをちらつかせて有紗を脅す。しかし、有紗がもともと亮介に好意を抱いていたことを知らず、彼を守ろうとした有紗によって、逆に地獄流しの対象とされる。男性としてあるまじき行動を取ったことから一目連からは特に嫌われており、「自分を顧みようともしない男に、女性と付き合う資格はない」と皮肉られ、永遠に自分で自分を讃えるように勧められながら地獄へと流される。
小山 珠里 (こやま じゅり)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。他者とのかかわりを拒む傾向にあり、小学校の頃から言葉遣いが悪く、一人で勝手な行動を取っていたため、周囲からは問題児扱いされていた。実際は口下手なだけで心優しく、学校の校庭に迷い込んできた猫のミケをかわいがっている姿を見た麻紀から、友達になるように誘いかけられる。しかし、産休を迎えた河合の代わりに赴任してきた高峰から、反抗的という理由だけで別室に隔離され、クラスから孤立させられる。さらに、授業でやっていない範囲の課題を課されたり、頭がよくなるからとマグロの目玉を食べさせられるなど、嫌がらせを受けるようになる。当初は、麻紀が高峰に目をつけられることを懸念し、一人で嫌がらせに耐え続ける。やがて麻紀に嫌がらせのことを知られるが、彼女から元気づけられつつ、高峰を見返すために成績を上げようと共に勉強に励むようになり、やがて麻紀と同じ高校に進学することを志すようになる。しかしある日、高峰がミケを川に流したところを目撃し、助けるために増水した川に飛び込んでおぼれたことで、意識不明になってしまう。
亨 (とおる)
庭で遊んでいた平山恵の前に現れた少年。1年前に親が借金を作って蒸発し、金貸しの息子がリーダーを務める不良グループに引き込まれる。借金の返済のために犯罪行為を強要され、心を痛めている。その結果、精神的に疲弊したことから富豪の娘である恵を利用することを思い付き、ケガをして倒れている様子をわざと見せて、面識を得る。そして優しく接する一方で、金目の物を盗むことを考えたが、恵が亨の来訪を心から喜んでくれたことから、次第に罪悪感を抱くようになる。後日、再び恵の前に現れ、謝罪をすると共にグループを抜けて警察に自首することを告白する。
黒川 さくら (くろかわ さくら)
閻魔あいに似た容姿を持つ女優。地獄通信の噂をもとに作成されたドラマ「地獄少女」の主演に抜擢されるが、それ以降はインターネットに中傷の書き込みが行われたり、菊の花を送られるなど、さまざまな嫌がらせを受けるようになる。「地獄少女」というドラマ自体がいわくつきの題材をもとにしているため、当初はなんらかの祟(たた)りに見舞われているのではないかと考える。しかし、その後も不穏なことや、ストーカー行為に類する行いなどを受け続け続け、ついには落下してきた照明で足をケガして、二度と歩けない身体にされてしまう。さらに、絶望したまま病室で横たわっていたところに松島薫が現れ、ドラマの主役が交代になったことや、嫌がらせを行っていたのが薫自身であることを自慢げに伝えられる。数々の嫌がらせを行った挙句、不幸をあざ笑った薫に強い憎しみを抱き、彼女を地獄に流すよう、地獄通信に依頼の書き込みを行う。
水野 (みずの)
中学生の男子。レイカの友人。整った顔立ちで、ななえから一目で気に入られる。レイカに頼まれ、友達と共にレイカやななえ、杏奈と合同コンパを行う。その際もレイカとなかよくしていたが、ななえが圧力をかけたことでレイカが帰ってしまい、なし崩し的にななえと交流することになる。その最中、ななえから地獄通信の話を聞き、気に入らない教師を地獄に流したことを自慢げに語られる。その場は笑顔で別れたが、内心では人を消しておきながら悪びれないななえを軽蔑しており、後日、つまらない理由で人を地獄に落としたことを糾弾するメールを送信する。
裕太 (ゆうた)
瑞穂の弟。1年前に両親が轢き逃げに遭って死亡し、瑞穂と共に親戚の家に引き取られる。まだ幼く、姉の瑞穂から大切にされている。もとから病弱なところがあり、両親を失ったストレスがきっかけで、さらに悪化する。犯人が早く捕まって欲しいとたびたび口にしているが、これは犯人への憎しみを表すものではなく、犯人が捕まれば瑞穂といっしょに過ごせる時間が増えるという理由によるものである。親戚からは表向きは優しくされているが、裏では両親の財産を得るために利用されており、高熱を出して寝込んだ時は、陰で「いっそ死んでくれた方がいい」とまで言われてしまう。
折原 (おりはら)
ちなみが通う中学校で国語教師を務めている女性。美人ながら陰気で独占欲が強く、付き合っていた古谷に今でも未練を残している。古谷が女性に優しくするたびに苛立ち、ちなみから挑発されたり、古谷から彼女との仲を見せつけられるなどして、敵意を募らせていく。さらに、古谷からちなみを地獄に流すよう誘導されると、地獄通信へアクセスを行い、閻魔あいから藁人形を受け取る。そして、ちなみより早く藁人形の紐を解き、地獄流しの契約を交わす。
鈴木 優 (すずき ゆう)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。クラスメイトの遠藤に密かに思いを寄せており、いっしょの高校に進学できた暁には、彼に告白しようと考えている。化学が苦手で、今のままの成績では遠藤と同じ高校に合格できない可能性が高いことに焦っている。そこで教師の矢崎から、マンツーマンの補習を持ち掛けられ、それを承諾する。しかし実験形式の補習の最中、服の一部が溶けるハプニングに見舞われ、恥ずかしい思いをする。さらに、複数の生徒が矢崎の家に集まって勉強会を開くと言われ、仕方なしに家に向かうが、家の中には矢崎一人しかおらず、セクハラを受けかけたばかりか、鈴木優の方が矢崎を誘惑しようとしたというレッテルを貼られ、家族や遠藤からも冷たい眼で見られてしまう。絶望と矢崎への怒りに身を震わせるが、そこで地獄通信の噂を聞き付けて藁にも縋(すが)る思いで、矢崎を地獄に流すよう依頼する。
平山 恵 (ひらやま めぐみ)
重い病気で10年ものあいだ入院している少女。富豪の娘で、病院からの外出を禁止されており、東京に住んでいるにもかかわらず、外の様子は、看護師に買ってもらった雑誌でしか知らない。そのため、外の世界にあこがれを抱いており、いつか病院の外に出てみたいと考えている。ある日、ヒマを持て余して中庭に遊びに出た際に、ケガで倒れていた亨と出会う。そして、写真をプレゼントされるなどして彼と距離を縮め、亨がお見舞いに来てくれることを楽しみに思うようになる。しかし、亨が多額の借金を抱えており、さらに彼がひったくり犯の疑いをかけられていることを知る。亨に真実を問いただしたところ、ひったくりについては答えてもらえなかったものの、資産家の娘である平山恵に近づき、あわよくば借金返済の足しにしようとしていたと答えられる。騙されていることを知ると、看護師から聞いていた地獄通信を思い出すが、恨みより恩の方がはるかに強いことを思い出す。
合田 希 (あいだ のぞみ)
美容師の専門学校に通っている女子。東京で姉と二人暮らしをしており、学費を払うためにあちこちで短期のアルバイトをしている。遊園地でのアルバイトの最中、藤井まゆと知り合ってなかよくなる。また、まゆからは中谷と付き合っているのではないかと考えられていたが、合田希自身はそれを否定している。ある時、体調不良となってアルバイトを休み、さらに別のアルバイトに誘われたということでまゆの前から去ってしまう。その情報は中谷のでっち上げで、遊園地でのアルバイト代を彼に奪われた挙句、中谷の仲間たちからこき使われる。しかし、そのことを知ったまゆが警察に通報したことで保護される。
吉川 あずさ (よしかわ あずさ)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。引っ込み思案な性格で、小学校の時に男子からからかわれて以来、男子そのものが苦手になっている。また、あいに対しても、威圧感を感じるという理由から苦手意識を抱いている。幼なじみの関根瞳からいつも助けてもらっており、吉川あずさ自身も瞳を慕っている。しかし、瞳が好意を寄せていた一史から食事に誘われたことで、瞳から強い嫉妬心を向けられ、やがて嫌がらせを受けるようになる。さらに、瞳から面と向かって邪魔だと思っていたと言われてしまい、絶望から地獄通信に瞳の名前を書き込み、あいから藁人形を受け取るが、瞳への友情を捨てきることができずに苦悩する。
レイカ
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。授業中にななえの手によって嫌われ者の教師が地獄に流された場面を目撃し、ななえ自身から、地獄通信を利用したことを聞かされる。誇らしげに話すななえを前に驚愕するが、教師自体を嫌っていたことから、その場は友人たちに合わせてななえを持ち上げる発言をする。しかし、その後の合同コンパで、なかよくしていた水野を横取りされると、ななえに嫌悪感を抱くようになる。
由香 (ゆか)
春日弘美の親友の女性。彼女のケーキショップ「パティスリー・ル・レーヴ」の開店を手伝っていた。甘いものが大好物で、弘美が作る洋菓子を何より好んでいる。弘美が独立できたことを心から喜び、彼女のかつての師匠だった森崎の知り合いの雑誌編集者が宣伝を行ってくれると聞き、さっそく弘美のことが書かれた雑誌を購入する。しかしその雑誌では、弘美の作ったケーキが森崎のものとして紹介されており、事実を問いただすために森崎に詰め寄るが、相手にされず一蹴される。さらに、森崎と山崎が弘美の店の悪い噂を流していることを知り、その影響で弘美が倒れてしまったことで森崎への怒りが限界に達し、地獄通信にアクセスして彼を地獄に流すよう書き込みを行う。後日現れた閻魔あいから、地獄流しを依頼する代償として、由香本人も地獄に落とされることを示唆されるが、弘美を救うために、改めてあいに対して森崎の地獄流しを依頼する。
森崎 (もりさき)
ケーキショップ「パティスリー・ドール」の店長を務めている男性。春日弘美のかつての師匠で、彼女が独立を果たして「パティスリー・ル・レーヴ」を開店した時はそれを祝福し、知り合いの雑誌編集者に宣伝してもらうため、ケーキのレシピと写真を提供するように頼む。しかし、実際は弘美の宣伝を行うつもりはなく、弘美の作ったケーキを自分の作ったものとして紹介。これを怒った由香に詰め寄られるが、弘美の手伝いに過ぎない由香が騒ぎ立てたところで彼女のイメージが落ちるだけと断じて、山崎に追い出させてしまう。さらに、山崎に命じて弘美の店の悪い噂を流させたり、弘美が作った新作のケーキを盗ませるなどの悪行を行う。その結果、弘美が倒れたことで由香の怒りを買い、彼女から地獄流しの標的にされる。なお、ケーキ作りの才能は弘美の方が圧倒的に上で、レシピを盗んだのは彼女を活躍させないようにするほか、弘美が独立したことで、自分のケーキの味が落ちたことを悟られないようにするためでもある。
春日 弘美 (かすが ひろみ)
ケーキショップ「パティスリー・ル・レーヴ」を開店した女性。かつて森崎に師事していたが、洋菓子コンクールで優勝を果たしたことをきっかけに独立を果たす。開店の祝福に訪れた森崎から、知り合いの雑誌編集者の新人パティシエの特集に推薦され、紹介するケーキの写真やレシピを提供する。しかし数日後、由香から春日弘美の作ったケーキが森崎のものとして紹介されていることを聞かされ、さらに森崎の店で根も葉もない噂を流されたり、いたずら電話などの嫌がらせを受けるようになる。由香に元気づけられることでなんとか持ち直し、美味しいケーキを作ることで悪い噂を払しょくしようとするが、作ったケーキを盗まれ、それまでの過労とショックで倒れてしまう。
北村 征次郎 (きたむら せいじろう)
新田恭子の住んでいる村で、金貸しを営んでいた男性。弱者に寄生して財産を吸い上げようと企む極悪人で、夫を失った恭子を騙して多額の借金を背負わせ、彼女の村に住む人々に圧力をかけて生活できないように仕向ける。さらに、娘の新田夕子(大塚夕子)ともども間接的に殺害しようと目論んだため、夕子を守ろうとする恭子が地獄通信に便りを送ったことで、地獄流しの対象となる。
白石 早苗 (しらいし さなえ)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。姉といっしょに暮らしており、時おり髪の毛の手入れをしてもらっている。明るく気の強い性格で、おしゃれや機械に強い。偽地獄通信の調査のために教師として潜入してきた一目連がお気に入りで、率先して挨拶を交わしている。その一方で、校則に厳しい林晃子を嫌っており、地獄通信の噂を聞き付けた際に、真っ先に彼女のことを考える。また、気の強さから林と衝突することが多く、林の名前が記された偽の地獄通信に学校からあてがわれたメールアドレスが使われていたことから、学校から偽地獄通信を作成した犯人として疑われる。そこに落合から連絡が入り、偽地獄通信は林が逆らう生徒をつるし上げるために仕掛けた自作自演であると伝えられる。そして、これ以上林の好きにさせないためにと、本物の地獄通信を探して、彼女を地獄に流すようにうながされる。
上原 あすか (うえはら あすか)
市田や片瀬と同じ中学校に通っている女子。母子家庭に育ち、母親を支えてあげるために勉強に励んでいる。クラスでは委員長を務めており、転校してきた片瀬に勉強を教えたうえに、不安がっていた彼を元気づけることで、やがてなかよくなる。しかしそれが原因で、片瀬に思いを寄せていた市田とその取り巻きたちから酷(ひど)いいじめを受けるようになる。一か月経っても状況は改善せず、さらに市田の策略によって、問題を起こしたと学校から誤解され、大好きな母親も悲しませてしまう。クラスの女子の大半にいじめられ、もはや市田一人を地獄に流しても意味はないと考えるようになり、その絶望から自ら命を絶とうとする。しかし決断できず、地獄通信にアクセスをして上原あすか自身を地獄に流してもらうように依頼する。そして、閻魔あいから受け取った藁人形の紐を解くが、その直後に地獄の映像を見せられ、学校での辛い日々となんら変わらない事態が待ち受けていることを知り、恐怖と絶望に苛(さいな)まれる。しかし、あいの手によって契約を破棄させられると、現実の世界に戻って片瀬に助けられる。そして片瀬もまた、かつていじめられていたことや、新しい学校でも不安だったところに元気づけてくれたあすかに感謝していることを伝えられ、二人は辛いことがあっても力を合わせて乗り越えることを誓う。なお、藁人形の紐を解いても地獄送りにはならなかったが、きくりはその理由を、あいがあすかをかつての自分と重ねたためだと推測する。
奈々 (なな)
同じマンションに住んでいる二人の幼なじみと共に行動している少女。年齢は14歳。ある時、道の中で倒れている犬を発見し、シロと名づけて介抱する。しかし、マンションではペットが禁止されているため、途方に暮れていたところ、テレビの放送で動物の保護活動を続けているという愛犬家の存在を知り、悩んだ末に彼女にシロを保護してもらうことを決める。しかし、しばらくしたのちに様子を見に行ったところ、愛犬家が保護していたはずの動物に虐待を加えていることを目撃し、愛犬家からもその姿を見られてしまう。警察に届け出ても信じてもらえず、せめてエサだけでも用意しようとするが、再度勝手に侵入したと咎(とが)められ、このままではシロの命が危ういと感じ、地獄通信にアクセスして愛犬家を地獄に流すよう依頼する。
早瀬 さつき (はやせ さつき)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。清水まりのクラスメイト。典型的な問題児で、小学生の頃から他人の物を無理やり奪うなどの悪事を働いていた。CDショップで万引きの疑いをかけられたまりに助け船を出し、警察や学校に通報する事態を回避させる。しかし、その恩を着せる形でさまざまな要求を突きつけ、断ったら万引きの件をばらすようなそぶりを見せて、まりを恐怖に陥れる。さらに、お金がないことを涙ながらに訴えるまりに対して、本当に万引きをすればいいと冷たく言い放ち、彼女を絶望させる。これがきっかけとなり、まりから地獄通信にアクセスされ、地獄流しの対象となる。地獄に流すために現れたあいに対してもまったく悪びれることなく、それどころかあいに対して、まりに万引きの疑いをかけたのが早瀬さつき自身であることを堂々と言い放つ。そして、それを聞いていた輪入道や一目連、骨女から、かつてまりに味わわせた、万引きを疑われる恐怖と絶望を思い知らされる羽目になる。
清水 まり (しみず まり)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。まじめな性格の優等生で、名門校に進学するために必死に勉強を続けている。ある時、CDショップで万引きの疑いをかけられた際に、同級生の早瀬さつきが代わりに謝ったことで、疑いを晴らすことはできなかったものの、警察沙汰にされることを免れる。それ以来、さつきとその友人たちに、食事をおごらされたりノートを代わりに取らされたりと、さまざまな要求を突き付けられる。断ったら万引きをばらされるかもしれないと考えて、さつきの要求を受け入れるが、エスカレートする要求に貯金も底をつき、やむなく両親の金に手を付ける。さらにそれがばれてしまい、家族との関係も悪化するなど、連鎖的に不幸が降りかかっていく。友人から地獄通信に関する話を聞き、不幸の元凶であるさつきを地獄に流すよう、地獄通信に依頼する。
斎藤 えり (さいとう えり)
中学生の女子。佐伯あずさや石塚マリエと同じフィギュアスケートクラブに通っている。優れた技術を持ちつつ努力を怠らないまじめな性格で、全国大会の出場権を獲得する。これを快く思わないあずさから、衣装を破かれたり、靴に虫を入れられるなどの嫌がらせを受け、それがマリエの仕業であると噓を吹き込まれる。さらに、地獄通信の話をちらつかせて、マリエを地獄に流すように誘導される。しかし、スケートクラブでは慣れ合っていないものの、マリエとは10年来の親友だったため、あずさの言うことがウソであることを最初から気づいていた。
佐々木 茗 (ささき めい)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。入院している幼なじみのつかさに好意を抱いており、毎日のようにお見舞いして、元気づけている。半年前から、ストーカーと思しきメールが幾度も届くようになり、メールアドレスを変更しても同じ事態に見舞われ、気味の悪さを感じる。それでも、つかさに対しては気丈に振る舞っていたが、つかさを侮辱するようなメールが届いたり、家に空き巣に入られたりと、ストーカー行為はエスカレートしていく。さらに、クラスメイトの結城が通りがかったあとに着ぐるみを着た長澤ユウキに襲われ、その場から逃げ出すものの、その最中に同じ読み方である「ユウキ」の名前を聞いたことから、結城をストーカーと勘違いする。そして、恐怖から地獄通信にアクセスし、彼の地獄流しを依頼してしまう。
新田 恭子 (にった きょうこ)
大塚夕子の母親で、大塚千春の祖母にあたる女性。40年前、夫を早くに亡くしたものの、一人娘の夕子を一人で育てるため、紙すきの仕事に精を出していた。しかし、北村征次郎に騙されて多額の借金を背負わされたうえに、北村の手によって村からも疎外されるようになっていく。さらに北村が家に放火をしたうえに、夕子にも危害を加えることを示唆されたため、夕子の命を守るために地獄通信に手紙を送り、北村を地獄に流す。北村が消滅したことで、親子で静かに暮らしていけると考えていたが、村人たちから証拠がないにもかかわらず北村を殺害した犯人として扱われ、村八分の状態となる。のちに夕子も中学卒業と同時に家を出ていき、長いあいだ孤独な時を過ごす羽目になる。
長澤 ユウキ (ながさわ ゆうき)
佐々木茗の行きつけの花屋の店主を務めている青年。茗がつかさのために花束を購入していることを知っており、時には二人の仲をからかったりすることもある。その裏では彼女に対してストーカー行為を働いており、定期的に偏愛を示すメールを送り付けている。さらに、つかさを侮辱したり、空き巣で入手した茗の卒業アルバムを見て、幼少の頃好きだった動物がうさぎだと知ると、うさぎの着ぐるみを着て彼女に迫るなど、その行動は次第にエスカレートしていく。しかし、茗がストーカー行為を受けていることにうすうす気づいていたつかさからはすでに怪しまれており、茗に危害を加えた時に備えて、地獄通信に名前を書き込まれていた。
林 晃子 (はやし あきこ)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つで、教師を務めている女性。校則に厳しく、違反した生徒を厳しく取り締まることから白石早苗たちからは嫌われており、偽の地獄通信が学校の中で蔓延した時は、林晃子の名前がいくつも記されるほど。また、過去に家族と別れており、そのことで陰口を叩かれることもある。しかし、物事を公正に判断し、決して理不尽なことをしないため、わずかながら支持する声もある。ある時、何者かから階段から突き落とされ、大きなケガを負う。その際に、偽地獄通信の作成者が早苗である可能性が高いことから、学校は突き落とした犯人も早苗であると疑う。しかし、林自身は、誰に対しても堂々と意見する早苗が陰湿なことをするとは思えず、別に犯人がいると考える。そして、偽地獄通信を調査するため教師として潜入してきた一目連と接触した結果、一連の事件の仕掛け人が落合であることを確信し、一目連と共に落合によって無理やり地獄通信に書き込みをさせられようとしていた早苗を助け出す。さらに、林自身の人生を大きく狂わせたうえに、早苗すらも陥れようとした落合を許すことができず、開かれていたパソコンに落合の名前を書き込み、彼女を地獄へと流す。
三木 マリカ (みき まりか)
骨女が人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている、1年生の女子。かつてクラスメイト森頼子と同じ塾に通っており、三木マリカ自身より成績のいい彼女にライバル意識を抱いている。頼子とはしばらくのあいだなかよくしていたが、東京の大学に通っているはずの森英子が、実は受験に失敗して引きこもっていることを知ると、頼子と英子を揃ってあからさまに見下すようになり、マリカに逆らったら英子のことを言いふらすと脅す。さらに英子が邪魔なのではないかと尋ねるなど、彼女を侮辱する言動を連ねたことで頼子の怒りを買う。
加奈 (かな)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。もの静かながら自己中心的な性格で、加奈自身に不幸が降りかかると周囲に苛立ちや被害者意識を振りまく癖がある。サッカー部のマネージャーを務めており、エース部員である緒方と交際している。部内恋愛は禁止されているが、親友のゆかりに協力してもらい、周囲に知られずに済んでいた。しかし、ある時を境に机の中にカミソリを仕掛けられたり、スニーカーを切り裂かれるなど、嫌がらせを受けるようになる。その対象は緒方にまで及び、やがてゆかりからその犯人が山根であることを聞かされる。そして、山根が緒方に嫌がらせをしていた言質を取るも、緒方が加奈と付き合っていることを妬む発言と共に刃物で襲われ、ゆかりに助けられる。しかし、問題にすると緒方にも迷惑がかかると言い含められ、注意するだけに留める。その翌日、学校や緒方に対して、加奈と山根が密会していたように見せかけた写真が届き、マネージャーを辞めさせられる。さらに、迷惑をかけまいと緒方にも別れを告げるが、当の緒方から二人が交際していることを山根が知っているのは、ゆかりが伝えたからではないかと告げられる。そして、加奈に嫌がらせをした主犯こそがゆかりで、山根が襲ってきたのもゆかりと共謀して行った演技であることを知ると、裏切られたと考えて激怒し、地獄通信にアクセスして、ゆかりを地獄に流す。その後、マネージャーを辞めたことで部活内の関係がなくなり、緒方とよりを戻す。しかし、ゆかりを地獄に流したことは微塵(みじん)も後悔しておらず、加奈自身も一歩間違えば彼女のようになっていたことには最後まで気づかなかった。
落合 (おちあい)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つで、教師を務めている女性。寛容な性格で、生徒たちに厳しい態度を取る林晃子の抑え役を担うことが多い。偽の地獄通信に林の名前が書きこまれ、さらに林が階段から突き落とされ、犯人として疑われた白石早苗に対して、偽地獄通信が林による自作自演だと主張する。そして、本物の地獄通信を探して林を地獄に流さなければ、早苗の高校受験も危ういと忠告する。しかし、一目連と情報交換をした林から、偽の地獄通信を作り出したり、階段から突き落とした犯人であることをつき止められ、身勝手な本性を現す。かつては「西川」という名前で、林のかつての教え子だった。林の厳しい指導のために高校への進学に失敗し、それ以降ずっと林を恨み続けていた。
関根 瞳 (せきね ひとみ)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。表向きは明るく、幼なじみの吉川あずさから頼られている。しかし、あずさのことを自分を引き立てる存在としか思っておらず、内心では鬱陶しがっている。一史に思いを寄せていたが、彼からあずさを食事に誘っていたことを聞かされ、嫉妬からあずさに嫌がらせを始める。さらに、嫌がらせに耐えかねたあずさが地獄通信で藁人形を受け取っていることを知り、あずさがいないあいだにそれを奪い取る。しかし、正式な使い方を知らないことから、あずさへの敵意をあらわにしながら藁人形に釘を打ち付けるという無為な行為を繰り返し、藁人形に変化していた輪入道の身体にダメージを蓄積させる。やがて、あずさに行った嫌がらせが原因で、関根瞳自身がクラスから爪弾(つまはじ)きにされる。あずさに泣きついて、いっしょに地獄通信を使ってクラスメイト全員を地獄に流すよう懇願するが、受け入れられないと知ると自分勝手な本性を見せつける。そして、あずさに藁人形の紐を引かせるが、皮肉にもそれがきっかけで瞳自身が地獄に流される羽目になる。
遠藤 (えんどう)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている男子。鈴木優のクラスメイトで、彼女に思いを寄せられている。遠藤自身も優に対して好意を抱いていたが、矢崎の陰謀で、優が彼に色目を使っていると誤解させられた時は、嫉妬心から優を非難する発言をしてしまう。しかし、噂が誤解であったことを知ると優に謝罪し、その際に彼女が矢崎を好きだったと勘違いしていたことを打ち明ける。
河合 (かわい)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つで、教師を務めている女性。麻紀や小山珠里の担任だったが、妊娠したことで産休に入る。優しい性格で生徒たちからは慕われており、麻紀は河合のために千羽鶴を折り、お見舞いの際に渡そうとしていた。その一方で、高峰からは、お見舞いの予定を無理やり中止させたり、千羽鶴を破棄されるなど、敵愾心を抱かれている。
山崎 有紗 (やまざき ありさ)
正木や亮介と同じ中学校に通っている女子。幼なじみの亮介に思いを寄せているが、まったくそれに気づかれないため、あきらめかけていた。そんな中、正木から告白され、付き合うことになる。それからは、亮介に仲をからかわれながらも、充実した生活を送っていた。しかし、正木から私生活に過剰な干渉をかけられると、次第に息苦しさを感じていき、彼とうまくいかない可能性を考え始める。さらに、正木が嫉妬から地獄通信に手を出し、亮介を地獄に流されたくなければなんでも言うことを聞くように強要される。ここに至って、正木を信用できない人間であると確信し、亮介を守るために山崎有紗自身も地獄通信に手を出す。当初は、地獄に落ちることへの恐れから、なかなか藁人形の紐を引けずにいたが、亮介が事故に遭い、正木から、偽物の藁人形で脅していたことを自慢げに打ち明けられたことから、亮介のためなら地獄に落ちることも怖くないと考える。そして藁人形の紐を解き、正木を地獄へと流す。
亮介 (りょうすけ)
山崎有紗や正木と同じ中学校に通っている男子。幼なじみである有紗から好意を寄せられているが、そのことに気づいていない。有紗が正木と付き合いだした時も、二人の仲をからかいつつも祝福していたが、有紗と仲のいい様子を見た正木から嫉妬され、彼から地獄流しの対象となりかける。閻魔あいが正木の依頼を拒絶したため、流されずには済んだが、不運にも交通事故に巻き込まれたことで重傷を負って、有紗が地獄通信に手を出すきっかけとなる。
翠の母親 (みどりのははおや)
女手一つで娘の翠を育てている女性。教育熱心で非常に厳しく、翠がテストで芳しくない点数を取るたびに、勉強を強要したり多くの塾に通わせたりするため、翠からは嫌われている。彼女が家出をしてそのまま行方不明になると、焦燥して警察に捜索依頼を出し、翠の母親自身も寝食を惜しんで探し回るなど、内心では翠を大切に思っている。その一方で、勉強を強要するのは、立派に成長した翠を別れた夫に見せたいという見栄もあり、山本研二から助け出された翠に対して、厳しく当たったことを謝罪する。
山崎 (やまざき)
ケーキショップ「パティスリー・ドール」で働いている青年。粗野で傲慢な性格ながら、店長の森崎には忠実に従っている。彼の命令で、不正を指摘しにきた由香を追い出したり、春日弘美が開いた「パティスリー・ル・レーヴ」に関する悪い噂を流すなど、悪事に加担し続ける。ただし、森崎からは信頼されておらず、閻魔あいの地獄流しを仕掛けられた彼が、盗作したことを告発する雑誌の幻を見せられた時は、山崎が密告したのではないかと疑われる。
大塚 夕子 (おおつか ゆうこ)
大塚千春の母親。旧名は「新田夕子」で、生まれてすぐに父親を亡くし、母親の新田恭子と二人で生活していた。物心つく前、恭子と共に北村征次郎に殺害されかけた過去を持ち、恭子は大塚夕子を守るために北村を地獄に流す。そのことを知らないまま育ち、村人からの心ない言葉に耐えかねて、中学卒業と同時に家を出ていってしまう。本心では今でも恭子を敬愛しており、千春から恭子と会うように求められた時は、わだかまりを捨てて夫と共に彼女のもとに出向こうとする。しかし、その矢先に恭子が命を落としてしまったため、再会が実現することはなかった。
石塚 マリエ (いしづか まりえ)
中学生の女子。佐伯あずさや斎藤えりと同じフィギュアスケートクラブに通っている。えりに次ぐ技術を誇り、補欠ながら全国大会の出場権を獲得する。これを快く思わないあずさから、一人で控室にいる最中にガスを流し込まれるという嫌がらせを受ける。さらに、これをえりの仕業であると吹き込まれ、地獄通信の話をちらつかせて、えりを地獄に流すように誘導される。しかし、えりとは互いを高め合うライバルである以上にかけがえのない親友であったため、このような嫌がらせを行うことなど最初から信じておらず、あずさのたくらみに乗ることはなかった。
森 頼子 (もり よりこ)
骨女が人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている、1年生の女子。親の教育が厳しい家庭に生まれ、姉の森英子と共に有名な学校に進学するように勉強させられている。要領が悪く、出来のいい英子と比べられることもあったが、当の英子からは優しく勉強を教えてもらい、落ち込むたびに元気づけてもらっていたため、弱音を吐くことなく努力し続けてきた。しかし英子が受験に失敗すると、彼女から辛く当たられるようになる。有名私立中学に合格したが、英子からは祝う言葉どころか皮肉を言われてしまう。その後もノイローゼを拗(こじ)らせた英子から心ない仕打ちを受け続け、さらに英子が引きこもっていることを三木マリカに知られると、口止めをする代わりに言うことをなんでも聞くようにと脅される。英子のことが知られる恐怖や心労から、成績を落としていくが、それでも英子のことを大事に思い、その姉妹愛は骨女からも認められていた。森頼子自身のみならず、英子にも悪口を言うマリカに対して、徐々に憎しみを募らせていく。
小島 さおり (こじま さおり)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。教師であった父親を尊敬しており、彼が勤めていた学校へと入学する。ゆくゆくは父親のような教師になることを夢見ているが、授業が厳しいことから成績が伸び悩んでいた。しかし、早坂正臣から勉強を教わると、飲み込みの早さから見る見るうちに成績を伸ばし、やがて学年トップにまで上り詰める。さらに、早坂から交際を申し込まれ、充実した学園生活を送れるようになる。しかしある時を境に、早坂の答案をカンニングしたという疑いをかけられるようになり、教師や生徒はおろか、母親からも軽蔑されるようになる。早坂からも、可哀想な人だと侮蔑交じりに憐れまれ、学校からも家からも居場所を失う。そんな中、カンニングの疑いをかけたのが当の早坂であることが判明し、交際を申し込んだのも、自分を負かしたことへの復讐を果たすための手段であることを知ってしまう。そして、自分を利用して貶(おとし)めた早坂への憎しみから、彼を地獄流しの標的とする。早坂がいなくなったあとは、再びトップの成績に返り咲き、のちに地獄に落とされる運命を知りつつも、父親のような教師になるという夢に向けて邁進していく。
千晶 (ちあき)
全寮制の中学校に通っている女子。心優しい性格で、1年前に母親を失っていることもあり、妹の千沙に愛情を注いでいる。春休みは補習のため家に帰ることができなかったが、ようやく時間が取れたため、千沙の様子を見る目的もかねて帰宅する。そして、久しぶりに家族に会えたことを喜びつつ、ホームヘルパーの西条百合絵と出会う。当初は、百合絵の丁寧な様子に好感を抱いていたが、千沙が怯(おび)えている様子を見て、百合絵に疑念を抱くようになる。さらに、千沙の身体に傷がついていることを知ると、疑念はほぼ確信に変わるが、千晶の父親はそれを信じてもらえず、寮に戻るまでの時間もないことから、発作的に千沙から聞き及んでいた地獄通信にアクセスし、閻魔あいから藁人形を受け取る。それでも実際に使う気にはなれなかったが、のちに本性を現した百合絵に襲われ、千晶自身と千沙を守るために藁人形の紐を解き、彼女を地獄へと流す。
飯合 蛍 (めしあい ほたる)
飯合誠一の妹。「ラブリーヒルズ」と呼ばれる町に住んでいる少女。兄を慕っており、つねに彼の身を案じている。ある日突然誠一が帰ってこなくなり、友人から「悪魔の子」であるという紅林拓真が怪しいことを聞かされる。そして実際に彼に接触するが、拓真から誠一に助けられたことを聞かされると、共に誠一を探しつつ拓真の疑いを晴らそうとする。その途中で、きくりの策謀により住民たちに見つかり、拓真共々襲われるが、無事だった誠一に助けられる。潔白を証明する証拠が揃えられていることを聞くと、拓真や彼と共に警察署に向かおうとするが、その矢先に住人の一人から誠一を地獄に流されたことで絶望する。そして、拓真の名前を地獄通信に書き込むと、飯合蛍自らも入水自殺を図る。
西条 百合絵 (さいじょう ゆりえ)
千晶の家で雇われているホームヘルパーの女性。美しい顔立ちで、寮から帰ってきた千晶に対して丁寧かつ優しげな様子を見せ、彼女から好感を抱かれる。ただしそれは上辺だけの姿で、実際は金にしか興味がなく、千晶の父親から寄せられている好意を利用して、より多くの金を稼げるよう画策している。さらに、子供が大嫌いで、誰も見ていないところで千沙に虐待するなどの悪事も働いている。のちに千沙への暴力が千晶に知られると、焦るあまり彼女を口封じしようとする。しかし、前もって地獄通信で西条百合絵の地獄流しを依頼していた千晶が、閻魔あいから受け取っていた藁人形の紐を解いたことで、地獄へと流される。のちに、あちこちで結婚詐欺を繰り返していることが発覚して指名手配され、世間では逃走中という扱いになっている。
雅絵 (まさえ)
吉井歩が子役だった頃、同じ番組に共演していた女性。人気がなくてすぐに打ち切りになったため、幼い頃の歩と同様に、ほとんど覚えられていない。歩に対して歪んだ愛情を抱いていたが、それを表現することないまま、10年間を過ごす。しかし、かつて共に出演していた番組が放送されると思いが再燃し、歩が幼い頃に身につけていた衣装を送り付けたり、アイドル用の衣装を切り裂いたりと、猟奇的な行動を取るようになる。さらに、歩が歳を取ることに耐えられなくなると、地獄通信にアクセスして、永遠に若いままでいられるようにと、歩を地獄に流そうとする。
桜井 (さくらい)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている、1年生の男子。理事長の孫で、教師も生徒も桜井に逆らうことができない。粗暴かつ傲慢な性格で、暇つぶしのために人をいたぶって楽しむ卑劣漢。当初は同じクラスの莉子をいじめることで憂さを晴らしていたが、莉子が学校に来なくなったことで、新しいヒマつぶしを見つけようとする。そんな中、友人から地獄通信と閻魔あいの情報を聞かされて興味を持ち、なんとかして彼女を呼び出そうと考える。その手段として莉子の友人である椎名文香に酷いいじめを行い、わざと自分たちに憎しみを向けさせることで地獄通信にアクセスさせようと目論む。そして、文香があいを呼び出すと、仲間たちと共にその場に現れてあいを拘束し、彼女に危害を加えようとする。
飯合 誠一 (めしあい せいいち)
飯合蛍の兄。「ラブリーヒルズ」と呼ばれる町に住んでいる警察官の青年。地獄通信の存在や紅林拓真に対する「悪魔の子」という評判に懐疑的で、独自に事件に対する調査を始める。その中で「柴田一」という人物が手掛けた本を読み、地獄通信が実在していることと、地獄通信の依頼者の身体に刻まれる文様のことを知る。そして、拓真の身体に文様が刻まれていないことを確認すると、彼の潔白を確信する。しかし、拓真に罪を着せようと企む住民たちに襲われ、行方不明になってしまう。死亡したと思われていたが実は生きており、きくりの策略によってラブリーヒルズの住民たちに追い詰められた拓真と蛍を救出する。そして、証拠を押さえた録音テープを二人に提示すると、住民たちの悪事を暴くため、彼らと共に警察署へと向かう。
高峰 (たかみね)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つで、産休を迎えた河合の代理として赴任してきた女性。表向きは勉強第一をモットーとする厳しい性格の持ち主。一方で、河合のお見舞いや千羽鶴のプレゼントを無理やり中止にしようとしたり、小山珠里を別室に隔離して、クラスから居場所をなくそうとするなど、気に入らない相手に対してはとことん陰湿な嫌がらせを仕掛ける。さらに、助けようとした珠里を侮辱したことで麻紀から怒りを買い、彼女の手により地獄流しの対象となる。要らないものはすべて処分するという考えを最後まで持っていたが、のちにあいの手により、高峰自身こそが誰からも必要とされていなかったことを思い知らされる。
結城 (ゆうき)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている男子。佐々木茗と同じクラスに在籍している。茗とは特に接点がなかったが、ストーカー行為を受けてナイーブになっていた茗の近くを通りがかったあと、ウサギの着ぐるみを着た長澤ユウキに襲われて逃げ出した茗が同じ読み方である「ユウキ」の名前を聞いたことからストーカーと勘違いされ、地獄通信に名前を記されてしまう。しかし、茗があいから受け取った藁人形を解く前に、つかさの手によって真犯人である長澤が地獄に落とされたため、結城自身は地獄に落ちずに済む。
相原 結 (あいはら ゆい)
小学校4年生の女子。3歳の時に実の父親が借金を作って行方不明になってしまい、困っていたところを、母親と共に現在の父親に助けられる。ピアノを弾くことが大好きで、休み時間に音楽室でよく演奏している。その演奏を同級生や教師に見込まれ、合唱コンクールの伴奏を任せられる。家でも練習をしたいとピアノの購入を願うが、義父から過剰なまでに反対され、どうしてピアノを憎悪するのか疑問を抱きながらも、家での練習を断念して学校で練習することを決める。しかし、義父がクラスメイトたちにまで苛立ちをぶつけるようになると、優しかった彼の豹変ぶりが恐ろしくなる。とうとう、義父から部屋の中に監禁されるに至り、母親にまで危害が及ぶなど、急転する事態に精神を疲弊させていく。そして、義父の本性を知ったことで恐怖が限界に達すると、地獄通信にアクセスして義父の名前を書き込む。
愛犬家 (あいけんか)
さまざまな犬を保護し、世話をしている中年の女性。愛犬家として有名で、テレビ番組でも取り上げられるほど。家の都合で動物を飼育できない奈々とその友人たちからシロを預けられ、彼女たちに責任をもって育てることを約束する。しかし、愛犬家としての姿は偽りのもので、実際は拾った犬たちをストレスのはけ口として虐待する残虐な性格の持ち主。シロもまた虐待の対象となり、それを見つけた奈々に対しても危害を加えようとするなど、一度怒り出すと何をしだすかわからない危険性も併せ持つ。一方で、テレビ番組などでは善人らしく見せることがうまく、近所に住んでいる大人たちからはまったく怪しまれていない。シロを愛犬家に預けてしまったことに責任を感じ、なんとかして救い出そうと考える奈々の手によって、地獄流しの対象にされる。地獄流しを依頼された人たちの中でも屈指の悪辣さを見せており、滅多に感情を現さない閻魔あいからも糾弾されるほど。
麻紀 (まき)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。クラス委員長を務めている優等生で、産休を迎えた河合のために千羽鶴をプレゼントすることを提案するなど、心優しい性格の持ち主。同じクラスの小山珠里のことを最初は怖がっていたが、彼女がミケを大事にしているところを目の当たりにすると、口下手なだけで優しい人だと気づき、やがて親友になる。珠里が高峰から嫌がらせを受けるようになると、彼女を心配する様子を見せ、やがて高峰を見返すために必死に勉強に励むようになる。その中で、珠里からいっしょの高校に通いたいと言われて喜ぶが、高峰の手によって川に流されたミケを助けるために珠里がおぼれてしまったことで我慢が限界に達し、ミケと珠里の復讐のため、地獄通信に高峰の名前を書き込む。
瑞穂 (みずほ)
中学生の女子。1年前に両親が轢(ひ)き逃げに遭って死亡し、弟の裕太と共に親戚の家に引き取られる。家族を引き裂いた轢き逃げ犯を強く憎んでいる。また、もともと病弱だったうえに、両親を失ったショックで身体を悪くしてしまった裕太を気遣い、彼のためにも、時間を作っては情報提供を求める呼びかけをしている。やがて轢き逃げ犯だった佐藤秀夫が警察に逮捕されるが、知り合いの刑事から現行法では懲役5年が限界だと言われる。瑞穂自身はともかく、亡くなった両親や苦しんでいる弟のことを考えると到底納得することができず、憎悪に突き動かされるままに噂に聞いていた地獄通信にアクセスし、佐藤を地獄へと流す。しかしそのあとで、佐藤自身も反省していた内容をつづられた手紙を見せられ、自分が行ったことが間違っていたのではないかと思い始める。
千沙 (ちさ)
千晶の幼い妹。姉を慕っており、千晶からも愛情を寄せられている。久しぶりに千晶に会えたことを喜ぶ反面、千晶に優しく接する西条百合絵を警戒する素振りを見せていた。さらに、千沙に対して地獄通信の噂を紹介し、これを使って百合絵を退治したいと言い出す。千晶からは当初、お母さんっ子だった千沙の反抗によるものと考えられていたが、実際は百合絵から家の中で邪魔者扱いされているばかりか、暴力を振るわれ虐待を受けていたことがのちに判明する。
山根 (やまね)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている男子。サッカー部に所属している。自分勝手な嫉妬深い性格で、レギュラーを取れなかったことで緒方に逆恨みをして、ユニフォームを切り裂く。その場面をゆかりに目撃され、口止めの条件として加奈を陥れるための共犯にされてしまう。さらに、加奈と緒方が付き合っていることを聞かされるが、このことがきっかけで、緒方や加奈から、ゆかりが嫌がらせの主犯であることをつき止められる。
佐藤 秀夫 (さとう ひでお)
瑞穂と裕太の両親を交通事故で死なせてしまった男性。事故のあと、警察に出頭することを考えたが、家には病弱な妻がいるため、結局逃げ出してしまう。妻が亡くなると、被害者への家族である瑞穂と裕太にあてた手紙を家に残して自殺しようとするが、反省していることを知らない瑞穂の手によって地獄流しの対象となる。
翠 (みどり)
中学生の女子。東京で暮らしている。教育熱心な翠の母親と二人暮らしで、母親が翠の成績が落ちるとすぐに怒ったり、通う塾を無理やり増やすなど過度な干渉をしてくることに悩んでいる。ある時、山本研二からモデルにスカウトされる。母親が厳しいこともあり一度は断るものの、「外見が素晴らしいのだから、勉強よりモデルの方が向いている」と言われると上機嫌になり、母親にモデルの仕事をしたいと懇願する。しかし、まったく聞く耳をもってもらえなかったことから家出し、山本のもとでモデルの仕事を始めようとする。だが、モデルの仕事というのは真っ赤なウソで、家出してきた少女たちの写真を撮り、裏サイトに売りつける悪徳商法であることが判明する。騙されたことを悟ると警察に通報しようとするが、山本に阻まれて失敗する。そして進退窮(きわ)まり、噂に聞いていた地獄通信に手を出そうとする。
佐伯 あずさ (さえき あずさ)
中学生の女子。斎藤えりや石塚マリエと同じフィギュアスケートクラブに通っている。全国大会の優勝候補と称されるほどの高い実力を持ち、出場を条件に高校の推薦を狙っている。しかし練習嫌いで、それが災いしてえりとマリエに全国大会の出場権を奪われてしまう。これを快く思わず、なんとか二人を潰して、佐伯あずさ自身が全国大会に出場できるように画策を開始する。その手段として地獄通信を使うことを思いつくが、地獄に落ちることへの忌避感や、二人を地獄に流すことが不可能であることから、それを解決するためにえりとマリエの両方に嫌がらせを行い、それをお互いの仕業に見せかけて、彼女たちに地獄流しを行うように誘導する。
富田 (とみた)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。渡辺真琴やシホのクラスメイト。一人でいることを好むうえにネット掲示板にのめり込んでおり、自分にとって都合の悪い存在は削除すればいいという、危険な思想に支配されている。学校生活にはほぼ興味がなく、シホにからかわれてもまったく意に介してなかったが、シホとその取り巻きによる真琴への仕打ちの巻き添えを受けるようになる。もとから孤立していたことから、真琴ほどショックを受けておらず、今まで以上にインターネットに傾倒するようになる。さらに、心配してきた真琴に心ない言葉をぶつけつつ、二度とかかわらないよう強要する。
矢崎 (やざき)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つで、教師を務めている青年。担当科目は化学で、整った容姿を持つことから女子生徒に人気がある。しかしその実態は、生徒に手を出すことをなんとも思わない変態で、鈴木優の成績が芳しくないことを知ると、二人きりで補習を行うように仕向けて、彼女にセクハラを行おうとするが、それを拒まれる。このことで優に怒りを覚え、優の方から矢崎に色目を使ったという噂を流し、彼女が孤立するように仕向ける。その結果、孤立した優から逆に地獄流しの標的として狙われる。さらに、地獄流しを行うために現れたあいに対してもセクハラを行おうとするが、それが世間に発覚する幻影を見せられ、発狂する。
千晶の父親 (ちあきのちちおや)
千晶と千沙の父親。1年前に妻を亡くしており、千晶も全寮制の学校に進学したため、仕事中に一人きりになる千沙の面倒を見てもらうため、ホームヘルパーの西条百合絵を雇う。百合絵のことを信頼しており、百合絵からは好意を抱かれてるとも思われている。そのため、千沙が百合絵に虐待されていたことも知らなかったが、のちになって虐待の事実や彼女が結婚詐欺を繰り返していることを知ると、彼女を信頼したことを反省し、千晶と千沙に対して謝罪する。ただし、百合絵が地獄に流されたことは知らない。
藤井 まゆ (ふじい まゆ)
中学生の女子。目先のことばかり考える悪癖を持ち、金銭感覚が欠如している。一方で、他者の恋愛沙汰に興味を抱くなど、年頃の女の子らしさも見せる。夏休みに友人たちと海に行こうと約束するが、その前に金を使い込んでしまっており、やむを得ず年をごまかして短期のアルバイトをしようと思い立つ。そして、遊園地のキャンペーンスタッフとして働くことになり、そこで高校生の合田希と知り合い、なかよくなる。しかし、チーフの中谷から希が体調を崩したと聞き、彼女を心配しつつもアルバイトをやり終える。中谷からは「もっと割のいいアルバイトがある」と誘われるが、すでに目的を果たしたうえ、年齢をごまかしていることを知られないためにそれを断る。しかし、中谷からは既に年齢を知られており、ばらされたくなければ言いなりになるよう強制される。さらに、中谷が希に支払われるはずだった給料を着服し、彼女を無理やり仲間に売り飛ばしたことを知ると、口封じのためにアトラクションとして用意された井戸の中に閉じ込められる。年をごまかしていた自分は仕方ないとしても、希に対する仕打ちを許すことはできず、どうせ死ぬならと持っていた携帯電話から地獄通信にアクセスし、中谷を地獄に流すよう依頼する。中谷が消えたあとも井戸に閉じ込められている状況は改善されなかったが、世間からは中谷とまゆが同時に行方不明になったと考えられており、警察が遊園地で捜索活動を行ったことで発見され、救出される。その後、警察に中谷の犯罪行為を訴えることで希を保護してもらうことに成功するが、年齢をごまかしてアルバイトをしたことを深く反省する。
ゆかり
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。親友の加奈と共にサッカー部のマネージャーを務めている。加奈と緒方が、禁止項目である部活内恋愛を行っていることを知っており、周囲に知られないように協力している。加奈から嫌がらせを受けていることを打ち明けられると、緒方を妬む山根が犯人であることを明かし、彼を地獄に流すよう誘いかける。しかし、緒方と加奈が付き合っていることを明かされているのはゆかりだけでありながら、山根がそれを知っていたことから、ゆかりこそが嫌がらせの主犯であることをつき止められる。そして、親友だったのではないかと詰め寄る加奈に対し、自分がうまくいって当然という加奈の態度には内心腹を立てており、実際は嫌っていたことを打ち明ける。さらに、ゆかり自身も緒方を好きだったことを告白するが、聞き入られることはないまま、加奈の依頼を受けたあいから地獄へと流される。
緒方 (おがた)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている男子。名門と知られるサッカー部のエースながら、禁止されているにもかかわらず加奈と黙って交際したり、緒方自身を取り巻く問題に深くかかわろうとしないなど、問題行動も目立つ。大会のレギュラーを取れなかった山根に逆恨みされ、ユニフォームを切り裂かれてしまう。さらに学校や緒方に対して、加奈と山根が交際しているように見せかけた写真が送られ、加奈がマネージャーを辞めさせられたことから、これ以上迷惑をかけたくないと別れを告げられる。しかし、二人が交際していることを山根が知っていることを不自然に感じ、ゆかりが告げ口したのではないかと疑う。
ちなみ
古谷が教育実習を行っている中学校に通っている女子。古谷にあこがれを抱いており、思い切って告白したところ、交際してもらえることになって舞い上がる。自分本位な性格で、古谷と付き合っていた折原をそれとなく挑発するなど、他者を見下す傾向にある。また、優しい言葉をかけられるとすぐその気になるなど警戒心も皆無に等しく、それらの短所を古谷に利用され、彼の誘導によって地獄通信に手を出す。そして、簡単に地獄通信に手を出そうとする姿勢をきくりから揶揄(やゆ)され、やがてちなみ自身の軽率さと地獄流しの恐ろしさを思い知ることになる。
古谷 (ふるや)
ちなみの通う中学校で社会科の教育実習をしている大学生の男子。顔がいいうえに口がうまく、学生時代の頃から女性たちから絶大な人気を誇っている。同性に対しても気さくなため、嫉妬されるようなこともない。かつて折原と付き合っており、お金を借りたり、教育実習生として彼女の学校に紹介してもらうなど、うまく利用している。しかし、利用していくにつれて女性を鬱陶しく思うようになり、好意を向けてくる女性を弄び、破滅させることに楽しみを見出すようになる。地獄通信に興味を抱いており、その真相を確かめるために告白してきたちなみを利用しようと思い立ち、彼女に対してこっそり交際するように申し出る。さらに、今でも古谷に未練を残している折原に対してちなみとなかよくしているところを見せつけ、ちなみに対しても無言電話や脅迫メールを送り付けたり、階段から突き落とすなどの行為で恐怖を煽り、それを折原の仕業に見せかけることで、互いに敵意を抱くように二人を誘導する。そして、ちなみと折原に地獄通信を紹介し、互いに地獄流しをするように仕向ける。姑息ながらも鮮やかな手際をきくりから評価され、彼女からもちなみと折原のどちらが藁人形の紐を引くか楽しみにされる。
紅林 拓真 (くればやし たくま)
ニューヨークに滞在していた中学2年の男子。きくりから悪意の混ざった興味を持たれ、地獄通信のサイトを開いただけで閻魔あいから気に掛けられるなど、ふつうの人間より霊への干渉力が強い。5年前に母親を亡くしており、それからは父親と二人で暮らしている。父親の仕事が落ち着いたことで、生まれ育った町である「ラブリーヒルズ」に戻ってきた。帰国子女ということから学校で人気者になり、幼なじみである柿沼ゆきのと再会するなど、楽しい学園生活を過ごしていた。しかしある時を境に、家にゴミや中傷ビラが投げ込まれる嫌がらせをされるようになり、学校でも動物を虐待する「悪魔の子」であるという噂を流され、一転していじめられるようになる。さらに、父親が何者かに襲われ、重傷を負って病院に入院させられてしまう。連続して起こる悲劇に精神を疲弊させ、地獄通信にアクセスするようになるが、地獄に流そうとはどうしても考えられずにいた。そんな中、ゆきのから嫌がらせの犯人であることを打ち明けられて謝罪されるが、ほかの生徒からゆきのを地獄に流され、その罪を擦(なす)り付けられる。そのうえ、ラブリーヒルズの住民たちが、拓真の仕業に見せかけて次々に地獄流しを始めたことで逃げ場を失い、潔白を信じる飯合誠一も住民たちに襲われ行方不明になり、完全に孤立してしまう。その中で誠一の妹である飯合蛍と出会い、彼女と共に自らの疑いを晴らすために、地獄通信および地獄少女に関する情報を集め始める。その結果、神社の境内の中で、「柴田一」という人物が手掛けた地獄通信に関する本を発見し、あいが地獄少女になったいきさつを知る。きくりに情報をリークされた住民たちに追いつめられるが、意識を取り戻した誠一によって助けられる。そして、潔白を証明してもらうために警察署へ向かおうとするが、誠一が地獄に流されたことで再び窮地に陥る。さらに誠一を失って絶望した蛍の手により、地獄流しの対象にされる。
大塚 千春 (おおつか ちはる)
小学校を卒業した少女。父親や母親の大塚夕子に祝いのケーキをプレゼントされるなど、親子仲は極めて良好。祖父母は既に亡くなっていると聞かされていたが、祖母の新田恭子から卒業を祝う手紙が届いたことから、彼女が健在であることを夕子に問いただそうとするが、「知らなくていい」と一蹴される。どうしても納得できずに、手紙の住所が記してある場所に自ら赴き、恭子と直接話をする。その結果、彼女が優しい性格であることに安堵するが、その矢先に村の子供たちから「人殺しの孫」と罵られて愕然とする。さらに、恭子の部屋から地獄通信へ宛てた手紙を発見し、恭子がかつて誰かを地獄に流したのではないかと疑い、彼女に真相を問いただそうとする。
市田 (いちだ)
上原あすかや片瀬と同じ中学校に通っている女子。自己中心的な性格で嫉妬深く、気に入らない相手を他者と共謀して陥れようとする卑怯者。片瀬に振られると、思いを寄せる相手と噂になった上原あすかに陰湿ないじめを繰り返すようになる。さらに、いじめている中で片瀬のことなどどうでもよくなり、あすかを苦しめることに楽しみを見出すなど、歪んだ性根を見せつける。
一史 (かずし)
関根瞳と同じ塾に通っている男子。外見が整っていることから女子から人気があるが、空気が読めないという欠点を持つ。瞳から思いを寄せられており、彼女から合同コンパに誘われる。しかし、そこで出会った吉川あずさを気に入り、コンパが終わったあとにメールで彼女を食事に誘おうとする。さらに、そのことを不用意に触れ回ったことで、あずさが瞳から嫉妬され、周囲からも孤立する原因を作ってしまう。
松島 薫 (まつしま かおる)
黒川さくらと同じ芸能プロダクションに所属している女優。一見すると素直で人懐っこく、さくらがドラマ「地獄少女」の主演に抜擢された時は、ドラマの内容に恐れをなしながらも、さくらを祝福する素振りを見せる。しかし実際は、さくらが主演女優となったことを妬んでさまざまな嫌がらせを行い、その罪を無関係のスタッフに着せるなど、その本性は極めて身勝手かつ醜悪。ついには照明を支えるロープを切断し、さくらに大ケガを負わせる。さらに、入院したさくらに対して、松島薫自身がさくらに代わって主演に選ばれたことや、嫌がらせの犯人が自分であること、そして、さくらが二度と歩けないことを嬉しそうに語り、彼女から恨みを買うことになる。その結果、地獄通信へのさくらの書き込みによって地獄流しの標的となり、輪入道、一目連、骨女から、かつて薫自身が行った悪事を再現される。
莉子 (りこ)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている、1年生の女子。椎名文香とは小学生時代からの親友で、中学になってもなかよくしようとお互いに誓い合っていたが、別のクラスになったことで、交流も途絶えがちになっていた。おとなしい性格なことから、桜井とその取り巻きからいじめのターゲットにされ、さらに親友の文香が助けてくれなかったことに絶望し、家に引きこもるようになってしまう。
森 英子 (もり えいこ)
森頼子の姉。妹と比べて成績優秀で、中学から高校と有名な学校に進学している。妹思いなやさしい性格で、頼子が困っている時は勉強を教えたり励ましたりしていたことから、彼女に信頼されていた。しかし大学受験に失敗し、初めて味わった挫折感にショック受ける。さらに予備校に通おうとするも、両親が勝手に大学に合格したと周囲に触れ回ったことで強いストレスを抱えるようになり、家に引きこもると共に、頼子にもつらく当たるようになる。頼子からは今でも慕われているが、彼女からやさしくされることで逆にコンプレックスを刺激されるという悪循環が形成されている。そしてストレスのあまり、ついに地獄通信に手を出してしまう。
杏奈 (あんな)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。授業中にななえの手によって嫌われ者の教師が地獄に流された場面を目撃し、ななえ自身から、地獄通信を利用したことを聞かされる。のちにレイカやななえと共に合同コンパを行い、その帰りにブレスレットを購入する。しかし、同じものを購入しようとしていたななえから地獄流しをネタに脅されて奪われ、彼女に対して反感を募らせる。
吉井 歩 (よしい あゆみ)
アイドルの女性。168センチの長身で、色気のある外見も相まって、主に若い男性から人気を集めている。子役出身だが、幼い頃はどちらかというと地味な外見で、仕事にもあまり恵まれていなかった。しかし、10年のあいだ自らを必死に磨き続けて、現在の地位にまで上り詰める。そのため、子役時代の自分が好きではなく、その時代のことを内心で嫌がっている。しかしある時、子役時代の番組を放送され、「顔が変わりすぎている」など、コンプレックスを刺激するような風評を立てられる。さらに子役時代に着ていた服や、身につけていたアクセサリーを送り付けられるようになり、気味の悪さを感じている。
柿沼 ゆきの (かきぬま ゆきの)
「ラブリーヒルズ」と呼ばれる町に住んでいる中学2年の女子。紅林拓真の幼なじみで、数年ぶりに帰ってきた拓真に対して元気な様子を見せるが、実は父親の会社が倒産したことで強いストレスを抱えるようになり、裏では盗みなどの犯罪を常習的に犯している。拓真に「悪魔の子」のレッテルを貼っていじめるよう仕向けつつ、紅林家に対して執拗な嫌がらせを行うようになる。さらに、拓真の父親に重傷を負わせ、やがて拓真自身に直接恨みつらみを口にする。しかし、拓真から仕打ちを責められることはいっさいなく、力になりたいと願い出られる。このことから紅林家に対する憎悪を薄れさせるが、かつて財布を盗んだクラスメイトに憎しみを向けられ、地獄流しの対象とされる。
辻 (つじ)
中学生の女子。成績優秀ながら、いつも一人で行動しており、体育には一度も出席したことがない。少しでも自分が失礼なことをしたと認識すると、何度も何度も謝る癖を持つ。ある時、クラスメイトの環と知り合ってなかよくなる。そして、飼い猫に心を癒されていることを打ち明けるなどして、環との時間を楽しむようになるが、ある時ショック症状で倒れてしまい、環の家に泊めてもらうことになる。その中で、実の父親から酷い虐待を受けていること、そしてそんな最悪の状況から脱するために、地獄通信に手を出そうとしていることを告白するが、環から猛反対に遭い、その場での契約は断念する。しかし翌日、家に帰ると外泊をしたことを理由に父親から激しい暴行を受け、辻をかばおうとした飼い猫を死なせてしまう。これによって父親への怒りが限界に達すると、飼い猫を弔ったあとに環の前で藁人形を取り出して紐を解こうとするが、必死に説得してくる環を見て、心を揺さぶられる。さらに、閻魔あいから藁人形を返すように求められる。
山本 研二 (やまもと けんじ)
モデル事務所を経営している青年。翠の母親への反発から夜遅くまで出歩いていた翠に声をかけ、モデルにならないかと勧誘する。しかし実際は、小児愛好者の客を相手にした裏サイトの経営者で、翠のような少女を言葉巧みに騙しては、事務所に監禁して写真撮影を強要している。翠が警察に通報しても、現れた警察官を口先だけで追い返すなど、詐欺を生業にしていることから口がうまい。
シホ
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子で、渡辺真琴や富田のクラスメイト。自分の思い通りにならないと気が済まないわがままな性格だが、気が強く優秀であることから、クラスの女子の中心的な存在となっている。真琴とは親友同士だったが、富田をからかっていた時に真琴から強く注意されたことで、真琴から裏切られたと認識し、強い憎しみを抱く。そして翌日から、真琴に対して陰湿な嫌がらせを行い、クラスメイトと共謀して、富田と真琴を仲間外れにしようとする。しかし、次第に自らの行いを後悔するようになり、やがて真琴と仲直りすることを決意する。
ミケ
1か月前から、麻紀や小山珠里が通う中学校の校庭に住み着いている猫。首輪を付けていることから飼い猫であると推測され、珠里の手によって飼い主が探されているが、いっこうに見つかる様子がない。珠里からかわいがられており、その姿を見た麻紀と彼女が親友になるきっかけを作る。さらに、麻紀からインターネットで飼い主を探す書き込みをなされるが、珠里への嫌がらせを目論む高峰によって川に流され、消息不明になってしまう。
本條 (ほんじょう)
獣医を務めている青年。優れた腕を誇り、芸能人や政治家などからの信頼も厚い。純子からラッキーを助けるように依頼され、手術を行うことを約束する。しかし、内心では金儲けのことしか考えておらず、有名人のペットを優先して、その見返りとして多額の報酬を受け取っているほか、一般市民には手術したと噓をついて、そのペットを見殺しにすることすらある。さらに、政治家に根回しして、事実を揉み消させるなどの悪事も働いている。飼い犬であるラッキーを見殺しにされた純子から恨みを抱かれ、地獄通信に書き込まれたことで地獄流しの標的となる。
つかさ
佐々木茗の幼なじみにあたる少年。3年前から重い病気にかかって入院しており、刑事になりたいという将来の夢と、毎日のようにお見舞いに来てくれる茗を心の支えにしている。刑事を目指すだけあって推理力に優れ、茗が噓をつく時に髪をかき上げることなど、本人すら知らない癖を見抜いている。茗がストーカー被害に遭っていることにもうすうす感づいているばかりか、彼女が被害に遭っている日が、長澤ユウキが営んでいる花屋の定休日と重なっていることから彼が怪しいと睨(にら)んでおり、前もって地獄通信にアクセスして、閻魔あいから藁人形を受け取っていた。そして、茗が行方不明になった日に連絡をしたところ「結婚式を挙げる」と返されたことから、長澤が犯人であることを確信し、藁人形の紐をほどいて彼を地獄に流した。なお、つかさ自身は、自分が長く生きられないことを知っており、のちに茗に対して、死ぬ前に役に立ちたいという一心で、彼女を守るために行動したことを打ち明ける。
渡辺 真琴 (わたなべ まこと)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。シホや富田のクラスメイト。誰とも分け隔てなく接する心優しい性格で、シホとは親友同士だった。しかし、富田のことをからかっていたシホについ強く出てしまい、彼女の反感を買う。その翌日から、陰湿な嫌がらせを受けるようになり、シホからも直接偽善者と罵られる。そして、シホに同調したクラスメイトからも無視されるなど、徐々に孤立していく。さらに、助けた富田からも邪魔者扱いされ、学校に居場所がなくなる。悲しみに暮れていたところで富田が見ていた掲示板を閲覧し、そこで噂になっていた地獄通信にアクセスする。衝動に駆られるままにシホの名前を書き込み、現れたあいから藁人形を受け取る。しかし、かつてなかよくしてくれていた頃のシホを思い出し、どうしても藁人形の紐を解くことができず、苦悩する。
中谷 (なかたに)
藤井まゆや合田希が働いている遊園地のチーフを務めている青年。さわやかな印象を与える外見や性格から、まゆから好印象を抱かれている。また、希と親しげに話していたことから、まゆからは希と付き合っていると考えられていたが、当の二人はそれを否定する。しかし、それらの雰囲気は相手を騙すための演技に過ぎず、関係者からひそかに盗みを働いていたり、アルバイトに志願した人たちを言葉巧みに騙(だま)して悪い仲間に売り渡すなど、裏で非道な行いを繰り返している。希に対しても、彼女のアルバイト代を奪った挙句、仲間に命じて酷使させており、まゆがそれに気づくと、口封じのために彼女をアトラクションの井戸に落として殺害しようと目論む。
片瀬 (かたせ)
上原あすかや市田の通う中学校に転入してきた男子。前の学校では授業が遅れていたため、勉強についていけるか心配していた。あすかから勉強を教えてもらうことで元気づけられ、やがてあすかとなかよくなる。しかし、あすかが市田とその取り巻きからいじめを受けるようになると、表立ってかばってあげることができず、苦悩する日々を過ごす。やがてあすかが地獄通信を使った自殺を試みると、ただならぬ様子で屋上に向かった彼女に悪い予感を感じ、慌てて駆け付ける。そして片瀬自身も、かつて通っていた学校でいじめを受けており、あすかと女子たちのあいだに干渉すると、自分もまたいじめられるのではないかと恐怖していたことを告げる。さらに、今まで助けてあげられなかったことを謝罪しつつ、これからは二人で助け合うことを誓い、絶望していたあすかが立ち直るきっかけを作った。
ななえ
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている女子。好奇心から地獄通信に手を出し、口うるさい嫌われ者の教師を地獄へと流す。その結果を見て、半信半疑だった地獄通信が本物だと悟ると、そのことを周囲に自慢げに吹聴するようになり、やがて周囲から恐れられるようになる。それからは、彼氏ができて付き合いが悪くなった咲に対して、冗談半分に地獄に落とすと脅し、それを見ていた骨女を呆れさせる。さらに、合同コンパで水野と親しげに話していたレイカに対して、水野となかよくなるために場所を譲るようにと圧力をかけたり、杏奈に対してブレスレットを譲るように要求するなど、増長をエスカレートさせていく。
椎名 文香 (しいな ふみか)
閻魔あいが人々を監視するために潜入している中学校のうちの一つに通っている、1年生の女子。莉子とは小学生時代からの親友で、中学生になってからもなかよくしようと誓い合っていた。しかし、別々のクラスになり、桜井とその取り巻きからいじめられている莉子を助けられず、彼女が不登校になる一因となってしまう。さらに、地獄少女を呼び出そうと企む桜井とその仲間たちから酷いいじめを受け、桜井への恨みを募らせる。そして、パソコンのある部屋に閉じ込められると憎しみは限界に達し、やがて地獄通信にアクセスする。
環 (たまき)
中学生の女子。ある事情から、閻魔あいや一目連から顔を覚えられている。数年前に母親が突如行方不明になっており、それからは父親と気まずい関係が続いている。ある時、クラスメイトの辻と知り合ってなかよくなる。しかし、辻から、実の父親から虐待を受けており、その影響で物事をはっきりと伝えられないようになってしまったことを聞かされる。そして、なんとかして辻が虐待に遭わないように考えようとするが、辻が地獄通信の話を始めると表情を一変させて、「それだけは絶対にしてはいけない」と何度も念を押すようになる。
シロ
奈々とその友人たちが住んでいるマンションの近くで生活していた野良犬。空腹で倒れていたところを奈々とその友達によって介抱され、「シロ」と名づけられた。マンションではペットの飼育が禁止されていたものの、その後もしばしば彼女たちの世話を受ける。そして、やはり幸せになるにはきちんとした飼い主に拾われるべきであると考えた奈々たちによって、テレビで紹介されていた愛犬家に預けられる。しかし預けられた先の愛犬家は、拾った犬たちを陰で虐待しており、シロもロクに餌を与えられず、野良犬だった時以上に苦難を強いられる。それでも、預けた奈々たちを恨むことはなく、シロの様子を見に来た奈々が愛犬家の差し金で猛犬たちに襲われた際、身体を張って彼女を守る。そのことが愛犬家の逆鱗に触れ、折檻(せっかん)されて命にかかわる重傷を負ってしまう。
その他キーワード
地獄通信 (じごくつうしん)
深夜零時にのみアクセス可能なwebサイト。地獄少女である閻魔あいに依頼をすることで、憎い相手を地獄へ流すことができる。依頼内容があいに認められると、彼女から赤い紐が付いた藁人形を手渡され、その紐を引き抜くことで契約完了となり、あいの手により対象への地獄流しが行われる。対象の記述は名前である必要はなく「つきまとう人」や「お父さん」など、抽象的な表現でも問題はない。地獄流しが行われた人間の身体は現世から完全に消滅し、世間では行方不明として扱われる。また、依頼の対象者が地獄に流される時に、行ってきた悪行を三藁の手によって再現されることもある。地獄流しを依頼した人は、現世における生を全うすることこそ許されるが、死を迎えたのちは地獄に落ち、永遠に苦しみ続けるという代償を支払わなければならず、その証として依頼人の胸元には印が付けられる。しかし、地獄での責め苦に関しては詳しく説明されないため、依頼者からは軽く見られることも少なくない。基本的には恨みを晴らすための手段であるとされているが、人間の恐ろしさがより顕在化した現代では、悪党から身を護ったり、憂さ晴らしに使われることも多い。また、ごくまれに依頼を断られることもあり、雅絵や正木、上原あすか、飯合蛍など、地獄通信に書き込みながら、契約できなかった人間もわずかながら存在する。なお、地獄通信に書き込みを行い、藁人形の紐を解くまでのあいだに対象が死んだ場合は、あいから藁人形を回収されるが、依頼者が地獄に落ちることはなくなる。また、自殺の手段として、自分自身を地獄へ流すことも可能だが、その場合は特例として、あいや三藁から本当にそれを行うか確認を取られるようになっている。あいが怨霊になってから数百年以上に渡って存続してきた制度で、インターネットが無い時代は手紙という形式を取っており、時代と共に進歩している。
クレジット
- 原作
-
地獄少女プロジェクト
続編
地獄少女R (じごくしょうじょりたーんず)
午前0時にだけアクセスできるサイト「地獄通信」に憎い相手の名前を書き込むと、「地獄少女」が現れて、恨みを晴らしてくれるという都市伝説があった。さまざまな人間関係のもつれによって呼び出される地獄少女・閻... 関連ページ:地獄少女R