概要・あらすじ
女手一つで子供を育てる小野寺は「息子の宏太が腹痛で元気がない」と、夜間保育から連絡を受ける。園の先生の勧めに従い、小野寺は川崎市立中央記念病院に宏太を連れて行くが、医者の診断はただの胃腸炎だった。「ウイルス検査をしなくても大丈夫なのか」と問う小野寺に、医者は苦笑いしながら「安静にしておけば大丈夫」だという。外来患者で混雑しており、一人の患者にあまり時間をかけたくないという様子だった。翌日、小野寺親子が保育園に向かう途中、宏太が突然、道端に嘔吐し始めた。腹痛もあるらしい。そこに通りかかったのが、鈴懸真心。ふだんは理研に勤務しているが、川崎市立中央記念病院の臨時医師としてやってきた小児科医だった。小野寺が宏太の体調記録をスマホに残していることを知った真心は、それを確認した後、触診する。おなかに腫瘤を見つけた真心は、救急車を呼んで、宏太を川崎市立中央記念病院に運んだ。腹部超音波検査の結果、宏太の病気は腸重積と判明。ウイルス感染によって腸のリンパ組織が腫れ、腸の一部が腸内にはまり込んでしまう病気だった。真心は宏太に高圧浣腸の処置をした。それで回復が見込まれない場合は手術を要するケースだったが、幸い宏太の腸は元に戻った。随分とおなかが痛かったはずだが、宏太は母親に遠慮をして痛みを我慢し続けていたようだ。それを聞いた小野寺は、仕事重視のために自分が宏太に無理を強いていたことに気がつく。自分は母親失格だと泣く小野寺に、真心はそんなことはないと優しく答えた。腸重積診断の決め手となったのは、小野寺がスマホに記録していた、腸重積特有の腹痛だったのだ。「宏太くんを救ったのはお母さんだ」という言葉に、小野寺は救われ、息子との絆をさらに深めるのであった。
登場人物・キャラクター
鈴懸 真心 (すずかけ まこ)
北海道出身の小児科医の男性。おかっぱ頭で中性的な外見が特徴。優しく誠実な性格で、患者の症状を丁寧に聞く。趣味でYouTubeを開設しているが評判は悪く、心ないコメントに傷ついている。父は、北海道で大病院の院長をしていた鈴懸吾郎。母はそこの小児科医だったが現在は死亡している。また、インドで小児外科医をしている兄がいる。経営を優先して赤字の小児科をあっさり閉鎖した父のことをよく思わず、長いあいだ父とは疎遠だった。北海道で新しく小児科を始めるという父から手紙を受け取り、病院で働かないかと誘われる。
鈴懸 吾郎 (すずかけ ごろう)
鈴懸真心の父親。小児外科医で、4年前まで北海道で大病院を経営していた。真心が子供の頃は、赤字の小児科をばっさり切り捨てる、利益優先主義の院長だった。病院を辞め、アメリカで過ごしたあとに、北海道の北広島市に移住。過去の考えを改め、「子どもたちの未来の手助けをしたい」と、総合病院の小児医療センター長として働くが、小児科医が足りず、真心を誘う。
書誌情報
プラタナスの実 10巻 小学館〈ビッグ コミックス〉
第1巻
(2021-01-29発行、 978-4098607822)
第2巻
(2021-03-30発行、 978-4098608676)
第3巻
(2021-07-30発行、 978-4098611058)
第4巻
(2021-11-30発行、 978-4098611850)
第5巻
(2022-03-30発行、 978-4098612710)
第6巻
(2022-07-29発行、 978-4098613823)
第7巻
(2022-11-30発行、 978-4098614707)
第8巻
(2023-03-30発行、 978-4098616022)
第9巻
(2023-07-28発行、 978-4098624874)
第10巻
(2023-09-29発行、 978-4098625154)