概要・あらすじ
時代は17世紀前半のフランス。修道院の地下室に棲む男シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディは、重罪人から真実を吐かせるという不思議な能力を用いて、拷問吏としてフランス王国を陰から支えていた。だが、仮面という謎の男から差し向けられた刺客たちにより、彼の人生は大きな転換を迎えることとなる。
登場人物・キャラクター
シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディ (しぃえんべるもんどどぅらんでぃ)
修道院「リヴィエール・サン・ミシェル」の地下室に棲む男だが身なりは良く、「地下に潜む者らしからぬ気高い男」と称されているほど。自身が思うがままに物を切ることができる創世の七曜剣第一の剣「ランディ」を用いた剣術と、意思が弱った人間の目から真実を観る能力「解錠」を持つことから「真実を観る者(ヴィジトゥール)」の異名を持つ。 その力を用いて重罪人から真実を吐かせる拷問を生業としている。幼い頃から魔女の子と忌み嫌われ、地下室から出ることを禁止されている。
ロラン
リシュリウ親衛隊第三分隊に所属する青年で、シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディのもとに罪人を送る任務を担っている。罪人の身体検査に不手際があり、罪人がナイフを隠し持っていることに気づかないなど詰めが甘いところがあるからか、ベルモンドからはしょっちゅうイジられている。修道院に仮面からの刺客が襲撃に来た際は、ベルモンドに加勢する形で剣を振るうも、ベルモンドの足を引っ張り怪我を負ってしまう。
セリーヌ
サータル侯爵の令嬢。半年前にサータル侯爵と一家の財宝と共に消えた使用人が、親衛隊によって拘束された際、父の安否を吐かせるためにシィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディと出会う。父親の安否に関して気丈な態度を取るも、無事を知った時は涙を流すなど少女らしい一面も持ち合わせる。父親の生還後はベルモンドと親しくなり、貴族でありながら地下室に入り浸っては、ベルモンドのことを「ベル様」と呼び慕う。 ベルモンドの助手にしてもらったクロエのことを若干疎ましく思っており、彼女とは衝突することが多い。
クロエ
3年前に人身売買組織によって両親を殺され、売り飛ばされていた女性。宰相親衛隊によって保護されるも、奴隷としてひどい目に遭っていたからか一言も口を利かなかった。拷問を受けた仲買人を殺そうとしていたところをシィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディに諭され、嫌いなニンジンを食べてもらうという名目で助手として働くことになる。 ハッキリと物を言う性格で、セリーヌに対しても何かと突っかかる。
アンドレ
修道院「リヴィエール・サン・ミシェル」の副修道院長。シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディが暮らす地下室に出入りでき、彼の特殊な能力を知っている数少ない人物。ベルモンドが幼い頃、魔女の血を引く者とわかってから若い修道士たちが距離を置いた後も、態度を変えることなく深い愛情をもって接している。また、昔からベルモンドをよく叱っていたようで、ベルモンドが唯一頭の上がらない人物。
ジョルジュ
修道院「リヴィエール・サン・ミシェル」の修道士。シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディとは幼なじみのような関係で、彼のことを「ベルっち」と呼びタメ口で接する。ベルモンドにとって初めてで唯一の友。一見物腰の柔らかい青年だが小さい頃からベルモンドの剣の相手をしており、剣の腕はベルモンドに次いで高く、地下室に来た刺客も撃退するほど。
バレアー
仮面に雇われた傭兵崩れの集団「五人衆ティフォ」のメンバー。病的なまでの潔癖症で、わずかな返り血がついただけでも着ていた服を捨てたり、常に自分の剣を磨いたりしている。「バレアー」という名は本名ではなく、潔癖症ゆえの通り名で、日本語に直すと「ほうき・A」。
ゴゴーシュ
仮面に雇われた傭兵崩れの集団「五人衆ティフォ」のメンバー。同じメンバーのドドルワとは双子の兄弟で、髪の毛の色が黒色。双子の兄であるドドルワとの息の合った剣術を得意とし、シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディを翻弄する。兄とは違い爪を噛む癖がある。
ドドルワ
仮面に雇われた傭兵崩れの集団「五人衆ティフォ」のメンバー。同じメンバーのゴゴーシュとは双子の兄弟で、髪の毛の色は金髪。兄弟同士でお互いを褒め称える姿は周囲に不快感を与える。本心ではバレアーのことを嫌っており、シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディが持つ不思議な力を彼に伝えなかった。
プッチ
仮面に雇われた傭兵崩れの集団「五人衆ティフォ」のメンバー。「プッチ」とはフランス語で小さいという意味だが、外見はその名前とは相反して大柄で長身。あまり頭が良くないようで、言葉が身についておらずバレアーからは「バカ」呼ばわりされている。メンバーの中では温厚な性格で人畜無害だったが、実際は自分をバカ扱いするメンバーを憎んでいた。
ゴシィスマ
仮面に雇われた傭兵崩れの集団「五人衆ティフォ」のリーダーで、仮面と唯一連絡を取ることができる人物。坊主頭で、常に口に草をくわえている。挨拶代わりにシィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディの左腕を切り落とし、「人の叫び声は美しい」などと発言して残忍な面を見せる。
仮面 (るますく)
綺麗な装飾が施された仮面で顔を隠し、黒いフードを頭から被っている。シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディに対して深い因縁があり、彼の殺害を企て傭兵崩れの集団「五人衆ティフォ」を多額の報酬で雇う。なお、「五人衆ティフォ」の中で仮面と実際に面識があるのはリーダーのゴシィスマのみで、他のメンバーは会ったことすらない謎の人物。
その他キーワード
ランディ(剣) (らんでぃ)
創世の七曜剣第一の剣。シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディが拷問の際に使用するもの。半身が白色で、もう半身が黒色。魔女の血を引く者が使うことで、斬るもの斬らないものを選び、足を細切れにしたり全身を輪切り状にしたりなど、思いのままに切断し、戻すこともできる。
解錠 (うゔりーる)
シィエン・ベルモンド・ドゥ・ランディの持つ、意志が最も弱くなると言われる「意識を失う間際まで追い込んだ状態」の相手に問いかければ、瞳の奥にその問いの答えを観ることができるという能力。ベルモンドはランディ(剣)を使って拷問をすることで、相手を適切にこの状態に陥らせられる。