概要・あらすじ
笑里は半年前に高校を卒業し、大学生になった。女子高校生の時は世間にちやほやされていたが、大学生になったとたんに自分が特別な存在ではないことに気づき、周囲にもなじめず、自分自身は空っぽな存在であることを自覚していた。そんな笑里の唯一の楽しみは、通学途中の電車の中で見かける月原羊平を遠くから見つめること。そんなある日、笑里は羊平が電車の中に落とした携帯電話をこっそりと拾い、落としたことに気づいて自分の携帯電話に電話をかけてきた羊平と、自分の正体は明かさないままやり取りを開始する。
羊平は携帯電話を返して欲しいと懇願するが、笑里はせっかくつながったこの関係を終わらせたくない。電話ではやり取りするものの、待ち合わせをしてもすっぽかしたりとなかなか携帯電話を返そうとしない笑里に、羊平は苛立ちを募らせるようになる。
だが、電話での会話を通じて次第に笑里の気持ちに気づき始めた羊平もまた、笑里に心惹かれていく。
登場人物・キャラクター
笑里 (えみり)
半年前に高校を卒業した女子大学生。女子高校生ではなくなった自分には何の価値もないと思っており、大学では周囲になじめずに、入ったサークルも辞めてしまった。以前から電車内で見かけていた月原羊平のことが気になっており、偶然彼の携帯電話を拾う。以来、携帯電話を返してほしいと連絡して来る羊平と、笑里自身の正体を明かさずに会話し、奇妙な関係を続けていくこととなる。
月原 羊平 (つきはら ようへい)
大学3年生の青年で、年齢は21歳。プレイボーイで、複数の女性とデートを繰り返している。電車の中に携帯電話を忘れてしまい、笑里に拾われた。以来、自分の携帯電話に連絡をし、相手の正体を知らないまま返してほしいと頼み続けているが、なかなか返してくれないことに苛立っている。田舎から上京して一人暮らしをしている。腰痛持ちで自営業の父親を気遣っている。