概要・あらすじ
2016年、ドイツのミュンヘン。マリエン広場で、ファルカはエドガー・ポーツネルと再会を果たす。1976年、ロンドンからエドガーとアラン・トワイライトが姿を消してから、実に40年の月日が経っていた。ファルカは、カフェに場所を移して、エドガーの話を聞く。火災に巻き込まれたエドガーは、「目」の力という特殊能力で、「グールの丘」の地下墓地の崩れた洞窟に移動していた。そこは、大老(キング)ポーにより、エドガーがポーの一族に加えられた場所だった。長い眠りから目覚めたエドガーはすっかり衰弱しており、グールのような怪物の姿になっていた。今の姿に戻れたのは、昨年の暮れにアーサー・トマス・クエントン卿に回復の手助けをしてもらったからだという。エドガーがファルカを訪ねてきたのは、アランのためだった。エドガーが目覚めたとき、焼けたワラのようなものを抱きしめていたが、それがアランの塊だったのだ。エドガーは、ほとんど炭の状態であるアランが入ったカバンを示し、アランを元に戻してほしいとファルカに頼む。しかしファルカは、涙を流しながらアランのことは諦めるようにとエドガーを諭す。そこへ「ダイモン」と呼ばれる男が現れた。ファルカによれば、人間からも仲間からも嫌われている怪物らしい。ダイモンは、エドガーと同じく、大老ポーから直接洗礼を受けた者だが、ポーの村を追放されていた。しかもある事情から、大老を"天敵"と呼び、彼を殺すことが生きがいだと公言している人物だった。ダイモンは、何度も死にかけた経験から、アランを元に戻す方法を知っているという。それを聞いたエドガーは、ファルカの制止を聞かず、ダイモンについていくことを決意する。
登場人物・キャラクター
エドガー・ポーツネル
大老(キング)ポーの血を受け継ぐバンパネラの少年。ポーの一族で、巻毛と青い目が特徴。1976年、エヴァンズ家の火災で消息を絶っていたが、2016年のミュンヘンに現れてファルカを訪ねる。火災でほとんど炭になってしまったアラン・トワイライトを元に戻すため、その方法を知っているというダイモンについていく。ダイモンとは、ほぼ面識がないが、1958年2月にベネチアのコンサートで、ダイモンが「ミューズ」と名乗っていたときに彼の歌を聞いている。
アラン・トワイライト
エドガー・ポーツネルによって一族に加わったバンパネラの少年。ポーの一族で、ストレートの金髪が特徴。1976年、エヴァンズ家の火災で焼かれ、2016年の時点では、ほとんど炭のような状態となっている。1958年2月のベネチア、1963年のロンドン郊外、1975年6月のロンドンでダイモンと会っている。ベネチアでは、ダイモンの真の名前を告げられるが、すぐに忘れる暗示をかけられる。
ダイモン
大老(キング)ポーの血を受け継ぐバンパネラの男性。ポーの一族からは追放されている。ボサボサの黒髪が特徴。大老(キング)ポーが、異母兄のフォンティーンを地下深くに埋め、ポーの村の薔薇の養分にしたことから、大老に恨みを持つ。大老を殺し、フォンティーンを救うことを生きがいとする。ファルカからは「ダイモン」と呼ばれているが、ポーの一族だった頃は、「バリー・ツイスト」という名前で、1958年2月のベネチアでは「ミューズ」と名乗っていた。また、フォンティーンにつけられた真の名前を持っており、その名を呼んだ者に対しては逆らえなくなる。アラン・トワイライトに好意を寄せているようで、しばしば彼に接触する。ベネチアでは、アランに真の名前を教え、すぐに忘れる暗示をかけるといった戯れを行った。2016年のミュンヘンに現れ、エドガー・ポーツネルに接触。炭になってしまったアランを救う方法を教えるといってエドガーを連れ出す。
関連
「ポーの一族」シリーズ (ぽーのいちぞくしりーず)
永遠の時を生きる吸血鬼の一族となった少年と、彼が巡り合う人間たちの運命を描いた物語。 関連ページ:「ポーの一族」シリーズ