概要・あらすじ
奥羽山脈で動物を狩る集団・マタギ。彼らは祖先伝来の型を使い、熊を追い詰め、狩りをするのだった。マタギのひとり三四郎は別名「野いちご落しの三四郎」と呼ばれていた。木の実などがならず、凶作となってしまった秋のことだった。冬眠前で腹を減らした熊が村に降りてきて、ひとが殺されてしまうという事件があった。
登場人物・キャラクター
三四郎 (さんしろう)
阿仁のマタギ、雷レッチュウ(狩猟隊)の若手。百五十尺(約45メートル)先の熟れた野いちごの実を狙い、その実を壊さずに付け根から撃ち落とすことから、野いちご落しの三四郎と呼ばれる。しかし、その呼び名には三四郎の出生の秘密が隠されていた。
辰五郎 (たつごろう)
阿仁のマタギ、雷レッチュウ(狩猟隊)のシカリ(リーダー)。転び射ちの辰五郎と異名を持つ。
子之吉 (ねのきち)
阿仁のマタギ、雷レッチュウ(狩猟隊)所属。念の入った射撃をすることから、「念入り子之吉」と仇名される。
佐市 (さいち)
阿仁のマタギ、雷レッチュウ(狩猟隊)所属。暴発事故で片耳を鼓膜ごと失ったため「音無し佐市」と呼ばれる。
久助 (きゅうすけ)
阿仁のマタギ、雷レッチュウ(狩猟隊)所属。冷静で、いぶし銀のごときベテラン。
岩松 (いわまつ)
阿仁のマタギ、雷レッチュウ(狩猟隊)所属。勢子(獲物を射場へ追い込む役)をさせたら天下一品の腕を持つ。
由蔵 (よしぞう)
阿仁のマタギ、雷レッチュウ(狩猟隊)所属。若手ながらも、根性をむき出しにしてがんばる。
白岩 サヨ子 (しらいわ さよこ)
白岩峰夫の妻。干しておいた洗濯物を取り込みに出たところを、熊に襲われ死亡。妊娠しており、子供も死んでしまう。
白岩 峰夫 (しらいわ みねお)
白岩サヨ子の夫。寒冷地で半農半酪を試みている。妻の白岩サヨ子を熊に殺され、その仇を討とうと山に入る。なかなか熊を仕留めに行かないマタギの三四郎を目の敵にする。
市太郎 (いちたろう)
熊が出たため、夜間の外出を控えるよう通達があったが、隣村の恋人に会いに行っていた。バイクに乗った帰りの夜道で、熊に出くわし、熊の臀部にあたって投げ飛ばされ死亡。
弥作 (やさく)
鳥海山の百宅マタギ。警戒狐と仇名される本土狐をマタギ犬のブチとともに追う。
民子 (たみこ)
弥作の孫娘。警戒狐の子どもと仲良くなる。
百造 (ももぞう)
仙北のマタギ。猛毒を持つといわれるバチヘビに咬まれ、右手を自ら切断。銃を持てないため、以後勢子(獲物を射場へ追い込む役)となる。
姫 (ひめ)
百造の愛犬。熊に脇腹を割かれるも、雄々しいマタギ犬に成長する。猛吹雪で食料がなくなるのを見て、何かを訴えかける。
源五郎 (げんごろう)
仙北のマタギ。白岩岳の六の沢の白髪滝に住むというお白髪神様にお参りしたところ、不思議な現象に会う。その後、マタギ語でサカブと呼ばれる山の神の声が聞こえるようになり、獲物の居場所を当てるようになる。
吹雪鬼 (ふぶき)
小玉流のマタギ。三四郎に惹かれていく。
その他キーワード
マタギ
『マタギ』の用語。狩猟をする者、集団をさす。マタギという呼び名が通用するのは主に秋田県で、阿仁、仙北、鳥海の三地域に別れる。また、重野流、青葉流、小玉流といった流派がある。独特のマタギ語があり、熊はイタズ、銃はシロビレと言う。