メギドの火

メギドの火

ごくふつうの中学生、北斗一生の周囲で起こり始めた不思議な現象や、謎の言葉「メギド」の秘密を描く心霊SFロマン。「週刊少年サンデー」1976年3・4合併号から1976年30号にかけて連載された作品。

正式名称
メギドの火
ふりがな
めぎどのひ
作者
ジャンル
ホラー
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あらすじ

第1巻

平凡な中学生の北斗一生は、ある朝の登校中、いつも使っている腕時計の針が逆に動いていることに気づく。さらに横断歩道を渡ろうとした一生は、車道の車が突如消滅するという奇妙な現象を体験する。この日以来、気に入らないと思った人間が目の前で消えたり、謎の飛行物体を目撃するなど、一生の周りでは不思議な現象が頻発するようになる。さらに一生にはいつの間にか念力が覚醒し、自らも超常現象を起こせるようになっていた。混乱する一生の顔には、身に覚えのない複数のホクロが出現し、洗っても落ちないそれは北斗七星のような形をしていた。そんなある日の夜、一生は自分の額から謎の光が放たれ、その光は夜空に浮かぶ円盤状の光につながっていることに気づく。しかし、その光は両親には見えず、一生だけにしか見えないものだった。不思議な現象の連続にとまどう一生は、鬼島に連れられて雑木林の奥に向かう。そこにはUFOのような円盤型の家があり、鬼島から紹介されたのはUFO研究家のキャンサー白鳥であった。キャンサー白鳥から宇宙人に狙われている可能性を聞かされた一生が恐怖に怯える中、夜空の大きな光がテレパシーを送り、一生の頭に謎の言葉「メギド」を刻み込む。メギドの意味を探ろうとする一生は謎の少女の星琴絵と遭遇し、さっそく接触を試みる。宇宙人との関係を一生に問われた琴絵は、自らが宇宙と交信するコンタクト・マンであることを打ち明け、これまでに体験した数々の不思議な出来事を語り出す。

第2巻

宇宙連合から正式にコンタクト・マンとして任命された北斗一生は、星琴絵一生の父の協力を得て、コンタクト・マンとしての活動を始める。その中でキャンサー白鳥の襲撃を受けた一生は、宇宙連合と敵対する闇組織「メギデロス」の存在を知る。メギデロスは地球征服のために、邪魔者であるコンタクト・マンの抹殺をもくろむ組織で、キャンサー白鳥もその一員だった。街中でメギデロスの一員を発見した一生は彼らのアジトに侵入するが、そこにはベテランのコンタクト・マンたちが監禁されていた。ほかのコンタクト・マンが実験台にされて目の前で死んでいく中、そのままメギデロスに捕まった一生は怪しい薬液を注入され、洗脳された彼は人間型メギデロスにされてしまう。家に戻った一生は琴絵に培養バクテリヤを飲ませようとするが、一生の変化を察知した宇宙連合は彼を捕まえ、彼の体内に入れられたバクテリヤを殺すことに成功。その後、正気に戻った一生は、琴絵と共にメギデロスのアジトへ向かうが、アジトのあったビルでは大爆発が起こっていた。バリヤーが張られていたアジトには宇宙連合も手を出せず、爆破した犯人はわからないままだった。そんな中、一生は宇宙連合からの指令の一つである「地球上の悪人の排除」に対し、疑問やためらいを持つようになる。一生の疑問を察した宇宙連合は、新しい護衛兼教育係としてローダを派遣するのだった。

登場人物・キャラクター

北斗 一生 (ほくと いっせい)

私立星城中学校に通う男子で、中央に星のマークが描かれたシャツを着ている。両親との三人暮らしで平凡な学生生活を送っていたが、ある日突然、アポーツ現象をはじめとするオカルト現象を次々と体験するようになる。やがて顔に北斗七星の形をしたホクロのようなアザが現れ、自らも謎の超能力を持つようになる。それからは夜空に現れた円盤型の光と交信するなど、宇宙人とのかかわりを持つようになっていく。鬼島を通して知り合ったキャンサー白鳥から宇宙人に狙われている可能性を聞かされ、彼の助言を受けながら行動する中、夜空に現れるようになった光から「メギド」という謎の言葉をテレパシーで受け取る。不思議な現象の正体や、メギドの意味を探る中で星琴絵と出会い、宇宙と交信できるコンタクト・マンの存在を知る。その後は正体不明のキャンサー白鳥を警戒しながら、琴絵といっしょに行動することが多くなる。のちに琴絵と共に甲府に呼び出されて宇宙連合の使者と直接会い、超能力を持ち続ける代わりにコンタクト・マンとして、地球上の悪人を抹殺するように命じられる。これ以来、宇宙連合と闇組織「メギデロス」の陰謀や戦いに巻き込まれるようになる。コンタクト・マンとして与えられたコードネームは「CJT48225ホクト」。メギデロスを探る中でアジトに潜入した際に彼らに捕まって人間型メギデロスにされるが、琴絵や地球連合に助けられて正気を取り戻した。その後もコンタクト・マンとしての使命を果たそうとするものの、地球上の悪人を次々と消すという横暴なやり方にはあまり賛同できず、いくつかの葛藤やためらいを抱えている。

鬼島 (きじま)

私立星城中学校に通う男子で、眼鏡を掛けている。北斗一生のクラスメート。UFOや超能力などのSFやオカルトに造詣が深く、いくつもの超常現象に悩むようになった一生の相談役となる。のちに、一生を知り合いのUFO研究者であるキャンサー白鳥に紹介する。

一生の父 (いっせいのちち)

北斗一生の父親で、大学教授を務めている。SFやオカルトなどに興味を持ち、特にUFOに関する事件を積極的に調べている。当初は不思議な現象を体験するようになった一生の話をあまり信じていなかったが、彼の様子や変化を見るうちに協力的な姿勢へと変化していく。のちに一生と星琴絵からコンタクト・マンや宇宙連合についての話を聞き、宇宙人や超常現象に強い興味を抱くと同時に、その存在を信じるようになる。のちにキャンサー白鳥との戦いに巻き込まれて重傷を負うが、一生の要請によって宇宙連合に救助され、神の治療を受けて一命を取り留める。

星 琴絵 (ほし ことえ)

北斗一生のクラスに転入してきた、謎の女子中学生。前の学校でのニックネームは「ベガ」。セミロングヘアの美少女でクラスの男子からも人気があるが、可憐な見た目に反して厳しい考え方の持ち主で、曲がったことを嫌う強い正義感を持つ。超能力を使えるため、一生から宇宙人との関係を疑われ、自分がコンタクト・マンの一人であること、宇宙連合の関係者であることを明かす。コンタクト・マンとして与えられたコードネームは「CJT02484ベガ」。胸元にはコンタクト・マンの証としてベガ(織姫星)を中心とする琴座の形をしたアザがあり、背中一面には大きな傷跡がある。世の中が超能力や心霊ブームになる中で、怪しい男から勧誘の電話を受けたのをきっかけにさまざまなオカルト現象を体験し、不思議な超能力を持つようになる。コンタクト・マンになると同時に知った「メギド」という言葉の意味を調べるために教会を訪れるが、何者かに襲われて火を放たれる。燃える教会から逃げる時に背中に大やけどを負い、この体験からメギドの意味を調べるのを断念する。メギドについて調べる一生に警告し、同じくコンタクト・マンに任命された彼といっしょに行動したり、相談したりするようになる。のちに一生と共に甲府で宇宙連合の指令を受けた際に、宇宙連合の使者に背中の傷跡を治してもらった。一生とは異なり、コンタクト・マンとしての使命はすべて忠実にこなすべきと考えており、地球上の悪人を消すことにも賛同している。

キャンサー白鳥 (きゃんさーしらとり)

鬼島の知り合いで、オカルト番組などにも多く出演しているUFO研究家の男性。雑木林の奥にUFO型の家を建て、そこにひっそりと住んでいる。祖父が貿易会社を経営しているために大金持ちで、巨大な天体望遠鏡などさまざまな研究道具を持っている。青白い肌に陰険な表情を浮かべ、上まぶたが大きく膨らみ、耳が尖っているなど、その容姿は人間離れしている。鬼島の紹介で、不思議な超常現象に巻き込まれるようになった北斗一生の相談を受け、さまざまな助言をする。一生に好意的且つ協力的に接する一方、なんらかの目的で彼の命を狙っている様子があり、星琴絵と協力するようになった一生からは警戒されるようになる。一度は一生の抹殺をもくろむものの失敗し、しばらくは身を隠していたが、コンタクト・マンとなった一生を再び襲う。その正体は闇組織「メギデロス」の刺客で、地球征服のためにコンタクト・マンとなった者が持つ情報と命を狙っている。一生から宇宙連合の情報を引き出そうとした際に、ミシュテカ280号の光線を受けて死んだと思われたがなぜか生きており、再び一生たちの前に現れる。ほかのメギデロスと同様に特殊な再生能力を持ち、全身がバラバラになっても再生や分裂によって死ぬことはない。

ミシュテカ250号 (みしゅてかにひゃくごじゅうごう)

宇宙連合の一員。コンタクト・マンとなった北斗一生の護衛として派遣されたミシュテカで、触手が何本も生えたクモのような姿をしており、見た目は不気味だが任務は忠実にこなす。一生を闇組織「メギデロス」から守るために、彼の部屋に住み着くようになる。ふだんは部屋の押し入れに隠れており、テレポートなどで姿を隠すこともできる。一生に宇宙連合の目的について語るが、彼にメギドの意味を聞かれた瞬間にメギデロスの光線を浴びて消滅させられてしまう。

ミシュテカ280号 (みしゅてかにひゃくはちじゅうごう)

宇宙連合の一員。闇組織「メギデロス」に消滅させられたミシュテカ250号に代わり、北斗一生の新たな護衛として派遣されたミシュテカで、ミシュテカ250号とまったく同じ見た目や能力を持っている。

(かみ)

宇宙連合に救助された一生の父を治療し、交信した謎の男性。長髪で長い白ヒゲを生やした穏やかな老人の姿をしており、その神々しい姿から一生の父には「神」と呼ばれている。コンタクト・マンとも時折交信している。正体は宇宙連合に属する高等宇宙人で、実体で現れる通常の宇宙人とは異なり、地球上に直接姿を現すことはない。このため、自分の姿を映像化させた状態で現れたり、テレパシーのみで交信したりしている。

ローダ

宇宙連合の一員。ミシュテカ280号に代わって、北斗一生の新たな護衛として派遣されたアンドロメダ系宇宙人で、コンタクト・マンとしての使命にためらいや疑問を持つ一生を正しく導くための、教育係も兼ねている。テレポートなどの超能力をあやつり、地球で行動するときは一生をはじめとする超能力者にしか見えないように姿を隠している。一生をUFOに乗せて、宇宙人の詳細や宇宙や地球の現状について教える。

バンドウ

コンタクト・マンの幹部クラスの男性。ほかのコンタクト・マンと結束しながら、地球の平和を守るために活動している。コンタクト・マンとしてのコードネームは「CJT01-017バンドウ」。色黒肌で、額の中央には大きなホクロがある。北斗一生を突如呼び出し、仲間のコンタクト・マンたちとの集会である「第1回CJT会議」に誘う。一生と出会う前からコンタクト・マンが集う秘密結社のリーダーを務めており、仲間たちと協力しながら闇組織「メギデロス」のアジトを爆破していた。メギデロスとの戦いだけでなく、地球上の悪人の排除や、公害などの環境問題を解決するための活動も積極的に行っている。

メギデロス総統 (めぎでろすそうとう)

闇組織「メギデロス」の一員で、宇宙人の男性。メギデロスが地球征服のために動き出すと同時に現れた。ほかのメギデロスと同様に異常に発達した上まぶたを持ち、軍服を着ている。世界中のテレビ局を制圧し、地球の新たな独裁者として君臨しながら、「メギデロス共和国」の設立を宣言する。地球の統一と世界の平和を名目に、逆らう者は全員抹殺することを宣言しており、世界各地の軍隊と一般人を巻き込むほどの大戦争を繰り広げるようになる。

集団・組織

宇宙連合 (うちゅうれんごう)

宇宙や地球の平和を守るために活動している謎の宇宙組織。地球の国際連合のような組織だが、組織の大半は地球以外の惑星に住む宇宙人によって構成されている。宇宙のあちこちを移動できるUFOやテレポートなどの超能力をはじめ、地球よりも大きく発達した科学力や特殊能力を持つ。闇組織「メギデロス」とは敵対関係にあり、彼らの陰謀から地球を守ろうとしている。北斗一生や星琴絵をコンタクト・マンに指名した組織でもあり、コンタクト・マンに超能力と指令を与えることで、地球や宇宙全体の安全を管理している。そのための目的の一つとして、地球上に存在する悪人を排除する「地球計画」をもくろんでおり、一生たちに接触したあとは彼らを護衛しつつ、さまざまな指令や知識を与えるようになる。宇宙の平和を守るためには自分勝手な者を徹底的に排除して、善人のみを助けるべきという考えを持つ。このため、悪人を消す超能力(アポーツ)をコンタクト・マンに与えながら地球上の悪人を次々と消しており、消した者はいずれも四次元空間に送っている。地球の平和と正義を守るという目的のためには手段を選ばず、わずかな悪事を働いた者でも次々と消しているため、これらの容赦ないやり方や考え方に関しては一生からも疑問を持たれている。

メギデロス

宇宙連合と敵対する謎の宇宙組織。地球人の改造と奴隷化による地球制服を狙っており、地球を守ろうとする宇宙連合の活動を妨害している。一部は地球人に化けて地球に潜伏しながら、各地のコンタクト・マンの抹殺を狙っている。また、メギドの意味を調べようとした者や、他者に意味を語ろうとした者を次々と抹殺している。肌が青白く上まぶたが異常に発達した顔立ちなどの身体的特徴を持ち、陰気な雰囲気をまとっている。正体はアンゴルモア星に住む宇宙人だが、アンゴルモア星にはより強力な知的生命体が存在するため、アンゴルモア星でのメギデロスは家畜のような扱いを受けている。メギデロスの大半は実体を持つが、神のように実体ではなく映像で姿を現す強力な高等宇宙人も存在する。バラバラになっても復活する異常な再生能力と吸血鬼のような力を持ち、狙った者の体に特殊なバクテリヤを注入することで、地球人を改造して手下として従えることができる。このバクテリヤを植えられて改造された人間は「人間型メギデロス」となり、メギデロスの特徴でもある上まぶたが膨らんだ顔立ちに変わり、洗脳されたようにメギデロスの指令に従うようになると同時に、高い知能も持つようになる。キャンサー白鳥を差し向けて北斗一生と星琴絵を殺害しようとするものの、宇宙連合に妨害されて失敗する。のちに地球征服のために本格的に動き出し、メギデロス総統を中心に全世界のテレビ局を乗っ取り、新たな世界大戦を引き起こす。

その他キーワード

メギド

北斗一生が夜空に現れた謎の光から、テレパシーという形で受け取った謎の単語。「メギドの火」や「メギドの日」とも称される。メギデロスによって言葉の意味が巧みに隠蔽されており、意味を調べようとした者は地球人に扮装したメギデロスの刺客によって抹殺されている。一生の父は、聖書などにも登場する「アルマゲドン」という地名の原語となった言葉であり、善と悪の戦いや地球の終末、人類滅亡を暗示した言葉だと解読している。またローダは一生に対し、宇宙連合とメギデロスの戦いに決着がつく「世界の最後が決まる日」こそが、「メギドの日」であると説明している。

コンタクト・マン

宇宙とコンタクトを交わすための交信者として選ばれた、特別な力を与えられた地球人の総称。宇宙連合によって選定され、候補者となった者は不思議な現象を体験するようになると同時に、アポーツやテレポートなどの超能力を使えるようになる。また任命されると同時に、番号と星の名前を組み合わせた「コンタクト・マン・ナンバー」というコードネームが与えられ、体の一部に星座を模したホクロのようなアザが刻まれる。超能力とミシュテカの護衛を得る代わりに宇宙連合から送られる指令をこなし、宇宙連合が定めた独自の規則に応じて悪人を排除するなど、宇宙への協力者として地球の平和や安全を守る使命を持つ。闇組織「メギデロス」に狙われやすいことから宇宙連合による保護を約束されている代わりに、基本的に指令を拒否することはできない。数年前は地球上に1000人ほどのコンタクト・マンが存在していたが、宇宙連合によって次々と選定、任命されているため、その人数は年々増えているUFOの目撃件数に比例して、増加しつつある。コンタクト・マンに選ばれる条件としては、意志が強く秘密を守れること、小さな悪も見逃さない正義感を持つこと、宇宙に関心を持ち友好的に交流したいと真剣に考えていること、超能力の素質や潜在能力を持っていることなどがある。何十年も前から活動を続けているベテランもいるが、同じ地球人でも大人よりも子供の方が多く選ばれる傾向にあり、全国の学校にはそれぞれ一人以上のコンタクト・マンが選定されている。

ミシュテカ

古代アメリカ文明と関係がある謎の宇宙生物。宇宙連合からコンタクト・マンの護衛として地球に派遣される。二本足で立ち、手のような触手が何本も生えたクモにも似た不気味な姿をしている。正体は宇宙連合の科学技術によって開発されたロボットで、体内には精巧なコンピュータが組み込まれており、テレポートなどの超能力も使える。また、過去に地球に派遣されていたミシュテカは、ピラミッドや古代マヤの遺跡、イースター島の石像などの建設に力を貸していた。

地球計画 (ちきゅうけいかく)

宇宙連合が推し進めている計画。地球上から悪人を排除し、平和や正義を愛する善人だけが生きる地球を作ることを目的としている。身勝手な地球人が環境汚染や戦争などを続けているために、いずれは地球が滅んでしまうことを危険視した宇宙連合が、地球の安全と平和を守るために始動した。そのための活動としてコンタクト・マンに特別な力を与え、味方となる地球人を増やしながらさまざまな指令を出すことで、計画を進めようとしている。

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