概要・あらすじ
海外の寄宿舎制女学園は、クリスマス休暇を迎えようとしていた。皆、家に帰る準備をしていたが、2年生のルビー・カノッサは寄宿舎に居残ることになった。両親が離婚の話し合いをするために、二人だけで旅行に出かけるというのだ。休暇中のことについて、校長室を訪ねたルビーは、そこに3年生のステファニー・ナジの姿を見る。冷たくお堅い性格と、義足だと噂される左足のせいで「鋼のステフ」と呼ばれる長身の美女である。今度の休暇での居残り組は、ルビーとステフの二人だけだった。こうして休暇が始まるが、二人は打ち解けることもなかった。そして迎えたクリスマス・イヴ。食堂で、食べ物を残していたルビーに、ステフが「食べ物を粗末にしてはいけない」とたしなめる。「イヴなのに、チキンもツリーもケーキもない」と不満を漏らすルビーを、ステフは静かに見つめていた。その夜、両親の離婚問題で一人で泣いていたルビーの部屋をステフが訪れた。「夜食だ」といって、チキンをドアの前に置いて帰ろうとするステフを、ルビーは泣きはらした顔で呼び止めた。ルビーの部屋で初めてちゃんと話をする二人。「自分には何の力もなく、決まったことに従うだけ。いてもいなくても同じなのだ」と嘆くルビー。ステフは「自分にも力はないが、自分はたしかにここにいる」と静かだが凛とした表情で答えた。ルビーはその言葉に救われた。休暇が明け、両親は離婚することになった。しかしルビーが再び泣くことはなかった。「自分はここにいるのだ」、それは何よりも確かなことだったからだ。
登場人物・キャラクター
ルビー・カノッサ
名門寄宿舎制女学園2年生の少女。黒髪長めのボブカット、大きな目が特徴。元気で気が強い。ピュアな性格で感情の起伏は激しい。1年先輩のステファニー・ナジに次第に惹かれていく。両親が離婚後、姓が変わり、キスリングとなる。
ステファニー・ナジ
名門寄宿舎制女学園3年生の少女。金髪の長髪と長身が特徴。優秀な成績と容姿から、彼女に憧れる女生徒も多く、学内では有名人。ハンガリーからの亡命者で、国境を超える際、仲間が地雷を踏んだ巻き添えを喰らい、左足の小指をなくす。そのため、歩き方がぎこちなく「左足が鋼の義足である」と噂されていた。クールなイメージと義足の噂から、「鋼のステフ」と呼ばれている。