メルヘン・メドヘン

メルヘン・メドヘン

松智洋、および創作集団StoryWorksの同名小説のコミカライズ作品。ひょんな事から魔法使いの才能に目覚めた女子高校生・鍵村葉月が、ふつうの高校生活と、魔法学園での魔法修行という多忙な生活を送りながら、魔法使いとしても、人間としても成長していく姿を描いた青春魔法ファンタジー。「ジャンプスクエア」2017年11月号から2018年6月号にかけて連載された。

正式名称
メルヘン・メドヘン
ふりがな
めるへん めどへん
原作者
松 智洋
原作者
StoryWorks
漫画
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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あらすじ

第1巻

極度の本好きと空想癖が災いして、友人のいない孤独な高校生活を送っていた高校1年生の鍵村葉月は、ある日、街でローブをかぶった不思議な人物を見かける。葉月は思わずその人物を追いかけるが、その正体は同世代の少女で、さらに彼女はほうきに乗って去ってしまう。その直後、彼女が忘れ物をしている事に気づいた葉月は彼女を追いかけ、魔法学校・クズノハ女子魔法学園に迷い込むのだった。そこで葉月は、ユーミリア・カザンに不審者と勘違いされ、追い詰められてしまう。だが、そんな葉月を救ったのは、ずっと持ち歩いていた一冊の本であった。買った覚えも借りた覚えもないその本は、いつのまにか葉月の鞄に入っており、さらに葉月に秘められていた魔法の力を引き出したのである。これによって葉月は魔法使い見習い「メドヘン」であり、さらに伝説的な原書『シンデレラ』の契約者である事が発覚。そして現在通っている学校と並行して、クズノハ女子魔法学園にも入学する事となる。葉月は、ここに来るきっかけとなったローブの少女・土御門静の指導のもと、魔法使いになる勉強を始める。

第2巻

世界中の魔法学園が参加する各校対抗戦「ヘクセンナハト」の開催日が決まり、強力な原書を持つ鍵村葉月もまた、クズノハ女子魔法学園の代表選手として参加する事になった。しかし葉月は、最も初歩の魔法「ブーフ・ヒュレ」を未だに成功させられず、悩んでいた。一方その頃土御門静もまた、本来原書使いの世界とは無関係の葉月を、このまま巻き込んでいいのかと悩むようになっていた。そんなある日、葉月のもとにユーミリア・カザンがやって来る。ユーミリアは、以前葉月がユーミリアに追い詰められた際、葉月はわずかだがブーフ・ヒュレを成功させたので、同じ状況を作り出して練習すればいいのではと考え、手伝いに来たのだという。これはユーミリアが葉月を痛めつけ、ヘクセンナハト参加を断念させるための方便であったが、葉月は乗る。だが、その結果ボロボロになった葉月を見た静は、これ以上葉月を苦しめる事はできないと考える。そして、才能のない葉月に愛想が尽きたと嘘をついて、無理やり学園から追い出すのであった。そして1か月後。葉月はクズノハ女子魔法学園日本校を去り、元の生活に戻っていた。しかしヘクセンナハト開催前日、葉月の前に加澄有子が現れる。有子から静の真意を聞かされた葉月は、翌日、この日誘われていたパーティにではなく、もう一度クズノハ女子魔法学園へ行く決意をする。 

メディアミックス

小説

本作『メルヘン・メドヘン』は、松智洋と創作集団・StoryWorksによる同名小説が原作となっている。集英社ダッシュエックス文庫から2017年2月に1巻が刊行され、2019年2月時点で4巻までが発売されており、イラストはカントクが担当している。また、外伝として、伊瀬ネキセ、斧名田マニマニ、慶野由志が執筆した『[ルヘン・メドヘン フェスト ~魔法少女達の前日譚~』もある。 

TVアニメ

2018年1月から3月にかけて、AT-X、TOKYO MX、BS11、各種動画配信サービスにて本作『メルヘン・メドヘン』のTVアニメ版が放送された。総監督は斎藤久、監督は上田繁、キャラクターデザインは森川侑紀、脚本は松智洋、アサウラ、門田祐一、金月龍之介が担当している。また、鍵村葉月役を楠木ともり、土御門静役を末柄里恵が演じている。

登場人物・キャラクター

鍵村 葉月 (かぎむら はづき)

東京の高校1年生で、クズノハ女子魔法学園にも在籍する15歳の女子。ヘクセンナハトのチーム「日本校」の一人でもあり、シャルル・ペローの作品『シンデレラ』と契約したメドヘンでもある。前髪を目が隠れないようにバラバラの高さに切り揃え、肩につくほどまで伸ばした青のセミロングヘアを、白いリボンでまとめたハーフツインにしている。気弱でおっとりとした性格の持ち主。趣味は読書で、子供の頃から母親に多くの本を読み聞かせてもらい、いつか自分だけの物語を見つけるように言われて来た。その結果、本が好きすぎるゆえに極度の空想癖を持つようになり、周囲にはいつもぼんやりしているおかしな子だと認識されている。そのため、高校1年生になっても友人ができた事がなく、自分に自信が持てず卑屈になり、さらに空想の世界に閉じこもるという悪循環に陥っていた。高校1年生のある日、気がついたら鞄の中に、一冊の不思議な本が入っている事に気づく。さらにその直後、街でローブを着た不思議な人物・土御門静を見かけ、思わず追いかける。その際、クズノハ女子魔法学園に迷い込んでしまったのがきっかけで、自分が原書使いの素質を持つ「メドヘン」と呼ばれる存在である事を知り、鍵村葉月自身の中にある魔法の力を使いこなすため、クズノハ女子魔法学園に入学。昼間は東京の高校、放課後はクズノハ女子魔法学園で学ぶ生活を送る事になる。誕生日は8月30日で、血液型はO型。身長は154センチ。特技は家事で、好きな食べ物はお米。

土御門 静 (つちみかど しずか)

クズノハ女子魔法学園に在籍する15歳の女子で、鍵村葉月の友人。日本を代表する魔法使いの家系・土御門家の当主で、クズノハ女子魔法学園の代表、さらにヘクセンナハトのチーム「日本校」のリーダーも務めている。作者不明の世界最古の物語『かぐや姫』と契約したメドヘンでもある。前髪を真ん中は眉よりも上、左右は眉の高さに切り揃え、腰まで伸ばした黒のスーパーロングという、平安時代の女性を連想させるような髪型をしている。真面目で穏やかな心優しい性格で、丁寧なお嬢様口調で話す。1年生のある日、葉月の住む世界「あちら側」へ行くついでに好物のファーストフードを買いに行った帰り、姿を見えないようにする魔法をかけているにもかかわらず、自分の存在を葉月に気づかれてしまう。そこで慌てて帰還したところ、肝心のファーストフードを忘れて落胆。しかし葉月が土御門静の忘れ物を届けに追いかけて来た事がきっかけで、彼女が原書使い見習い「メドヘン」である事、原書『シンデレラ』とすでに契約している事が発覚。本格的に学びたいと志願した葉月の指導役を務める事になる。誕生日は12月25日で、血液型はA型。身長は157センチ。趣味は鍛錬で、特技は礼儀作法。好きな食べ物はハンバーガーやフライドポテトなどファーストフードと、カレーライス。

ユーミリア・カザン

クズノハ女子魔法学園の短期留学生で、ヘクセンナハトのチーム「諸国連合」のリーダーを務める17歳の女子。作者不明の日本の伝説『酒呑童子』と契約したメドヘンでもある。前髪を目の下まで伸ばして目が隠れないように分け、腰まで伸ばした赤の外はねロングヘアにしている。長身で胸が大きく、スタイルがいい。シャルル・ジョバーニからは「姐さん」と呼ばれている。少し乱暴な、男性のような口調で話す、荒っぽく好戦的な性格。そのため周囲から誤解されやすいが、根は優しく面倒見がよく、仲間達から慕われている。居場所のない仲間達が安心して生きられる場所を作る事が目的で、そのためには手段を選ばない。その一環としてスパイ活動を行っており、リン・デイヴスの指示でさまざまな魔法学園に短期留学しては、そこで情報収集するという活動を行っている。ある日、クズノハ女子魔法学園の校内で見かけた鍵村葉月が、現実世界「あちら側」の人間であり、さらに何らかの原書を所持している事に気づく。その結果、葉月が『シンデレラ』の契約者である事を発覚させた。当初は平和な日本で暮らす葉月がメドヘンとなり、わざわざ危険に首を突っ込む理由が理解できず、苛立っていた。しかし葉月と接するうち、次第に心境の変化が起き始める。誕生日は2月28日で、血液型はAB型。身長は167センチ。趣味はアルバイトで特技は家事。好きな食べ物は焼肉。

加澄 有子 (かすみ ありこ)

クズノハ女子魔法学園に在籍する15歳の女子で、ヘクセンナハトのチーム「日本校」の一人。土御門静の幼なじみで、加澄家は土御門家とは主従関係にあり、作者不明の日本のおとぎ話『一寸法師』と契約したメドヘンでもある。前髪を眉が見えるように切ったラウンド前髪で、肩につくほどまで伸ばした紫色のセミロングヘアを、白いリボンでまとめたハーフツインにしている。身長は146センチと小柄で、実年齢より幼く見られがちだが、子供扱いされたり、体型が幼い事を指摘されると怒る。クールで落ち着いた性格。表情に乏しいため一見何事にも無関心に見えるが、洞察力に長け、他人の事をよく見ている。ある日、クズノハ女子魔法学園に入学した鍵村葉月と出会い、静といっしょに葉月のサポートをするようになる。その過程で葉月の一生懸命な姿勢に触れ、親しくなっていく。しかし同時に、静は葉月に無理をさせたり、危険に晒したりしたくないあまり、突き離そうと考えている事を知る。その結果、葉月はクズノハ女子魔法学園を去ってしまうが、このままではいけないと考え、葉月の住む現実世界「あちら側」へ行き、静の思いを伝える事にする。誕生日は6月28日で、血液型はB型。趣味は昼寝で、特技はどこででも眠れる事。好きな食べ物は梅干し。

シャルル・ジョバーニ

ヘクセンナハトのチーム「諸国連合」に所属する16歳の女子で、ユーミリア・カザンとモリー・C・クインの仲間。ヨーロッパ民話『長靴をはいた猫』と契約したメドヘンでもある。前髪を長く伸ばして額が見えるように左寄りの位置で分けた、赤茶色の外はねショートカットにしている。明るい性格のお調子者で、ユーミリアを「姐さん」と呼び慕っている。以前はストリートチルドレンだったが、ユーミリアに拾われ、諸国連合に加入した。誕生日は11月18日で、血液型はO型。身長は162センチ。趣味は買い食いで、特技は盗み食い。食べ物は、美味しい物であれば何でも好き。

モリー・C・クイン

ヘクセンナハトのチーム「諸国連合」に所属する15歳の女子で、ユーミリア・カザンとシャルル・ジョバーニの仲間。ドイツの伝承『ハーメルンの笛吹き』と契約したメドヘンでもある。前髪を長く伸ばして額が目が隠れないように分け、胸の下まで伸ばして耳の下の位置で二つに結んだ、水色の内巻きツインテールにしている。目の下にクマがある。無口で物静かな性格だが、心を許した相手にはべったり懐くタイプで、ユーミリアを慕っている。以前は紛争地帯で少女兵として戦わせられていたが、ユーミリアに拾われ、諸国連合に加入した。誕生日は3月10日で、血液型はB型。身長は157センチ。趣味はストーキングで、特技はスニーキング。好きな食べ物は、ユーミリアが作った料理。

リン・デイヴス

ヘクセンナハトのチーム「アメリカ校」のリーダーを務める14歳の女子。ハンス・クリスチャン・アンデルセンの作品『マッチ売りの少女』と契約したメドヘンでもある。前髪を長く伸ばして目が隠れないように左寄りの位置で斜めに分け、肩につくほどまで伸ばした亜麻色のセミロングにしている。いつも明るく愛想よく振る舞っているが、実際は計算高く狡猾な性格。目的のためには手段を選ばず、つねに策略を巡らせている。ヘクセンナハトでいい成績を残すため、ユーミリア・カザンを使って他校の情報収集をさせている。しかしそれを悟られぬようにするため、表向きは敵対しているかのように振る舞っている。戦力強化のため、鍵村葉月の持つ『シンデレラ』の原書を手に入れたいと願っている。そのため、現在存続を疑問視されているクズノハ女子魔法学園が廃校になれば、クズノハ女子魔法学園で所持している原書は、他校に分割移譲される。さらに、日本と同盟国である自分達アメリカには、原書は優先的に移譲されるので『シンデレラ』が自分達のものになるのではと考え、廃校を強く願っている。誕生日は1月9日で、血液型B型。身長は148センチ。趣味は悪巧みで、特技は作り笑顔。好きな食べ物は七面鳥の丸焼き。

マリヤ・ラスプーチン

ヘクセンナハトのチーム「ロシア校」のリーダーを務める17歳の女子。ロシア民話『大きなカブ』と契約したメドヘンでもある。前髪を眉上で短く切り、顔の両脇の髪の毛だけ肩につくほど伸ばした、白のショートカットにしている。身長は180センチと、非常に背が高い。軍人のような、硬い口調で話す。まじめで仲間思いな性格だが、そのためにややお節介をしてしまう事も多い。戦力強化のため、鍵村葉月の持つ『シンデレラ』の原書を手に入れたいと願っている。さらに『シンデレラ』はロシアの作品であると捉えており、もし原書を所有する権利がその作品が生まれた国に優先的に与えらえるのなら、優先順位一位は自分達ロシアであると考えている。誕生日は2月19日で、血液型はA型。趣味は衣装作りで、特技はサックス。好きな食べ物はボルシチ。

マハーカーリー

ヘクセンナハトのチーム「インド校」のリーダーを務める17歳の女子。古代インドの大長編叙事詩『ラーマーヤナ』と契約したメドヘンでもある。前髪を長く伸ばして一房だけ前に垂らし、後は上げてロングヘアをまとめたシニヨンにしている。髪の毛は青みがかった灰色で、褐色肌。語尾に「~じゃ」と付けるなど、古めかしい口調で話す。優雅で落ち着いた雰囲気の、生まれながらの支配者。戦力強化のため、鍵村葉月の持つ『シンデレラ』の原書を手に入れたいと願っている。さらに、すべての叡智はガンジスの清き流れをたどり、聖地リシケーシュへ至るという考えの持ち主で、もし原書を所有する権利を主張してもよいのなら、すべての原書はインドのものになるだろうと考えている。誕生日は8月31日で、血液型はB型。身長は160センチ。趣味はバカンスで、特技は審美眼に優れている事。好きな食べ物はカレー。

李 雪梅 (り しゅえめい)

ヘクセンナハトのチーム「中国校」のリーダーを務める17歳の女子。李雪蘭の姉で、呉元泰の作品『八仙東遊記』と契約したメドヘンでもある。前髪を目の上で切り揃え、腰まで伸ばした黒のストレートロングをカチューシャと花の形の髪飾りでまとめている。いつも笑顔で一見穏やかな雰囲気で、丁寧な口調で話す。しかし、実際は戦う事が大好きな戦闘狂。戦力強化のため、鍵村葉月の持つ『シンデレラ』の原書を手に入れたいと願っている。さらに、すべての叡智の登る先は蓬莱山にあると考えており、もしマハーカーリーと同じ理屈で原書を所有する権利を主張してもよいのなら、すべての原書は中国のものになるだろうと考えている。そのため、もしそのつもりがあるのなら、葉月と『シンデレラ』だけでなく、日本校のすべてを受け入れてもよいと考えている。誕生日は9月27日で、血液型はO型。身長は164センチ。趣味は修行で、特技は喧嘩の仲裁。好きな食べ物は肉まん。

李 雪蘭 (り しゅえらん)

ヘクセンナハトのチーム「中国校」の一人で、16歳の女子。李雪梅の妹であり、呉承恩の作品『西遊記』と契約したメドヘンでもある。前髪を長く伸ばして目が隠れないように左寄りの位置で斜めに分け、オレンジ色の髪をまとめて頭の左右に二つのお団子にしている。明るく元気な性格の持ち主。誕生日は8月2日で、血液型はB型。身長は150センチ。趣味は戦う事で、特技は棒高跳び。好きな食べ物はバナナ。

佐渡原 舞 (さどはら まい)

クズノハ女子魔法学園に在籍する16歳の女子で、ヘクセンナハトのチーム「日本校」に、鍵村葉月の代わりに補充メンバーとして選ばれた。日本の民話『鶴の恩返し』と契約したメドヘンでもある。前髪を目の上で切り揃え、腰まで伸ばした黒のストレートロングを、頭の高い位置でまとめたポニーテールにしている。顔の左脇の一房の髪の毛だけ赤く、鶴のような印象がある。まじめで物静かな性格。クズノハ女子魔法学園を去った葉月の代わりに急遽ヘクセンナハトの選手となり、懸命に鍛錬するも、自信を持てないまま戦う事になる。誕生日は2月4日で、血液型はAB型。身長は162センチ。趣味は裁縫で、特技は悪意に敏感な事。好きな食べ物は味噌汁。

崇神 壱与 (すがみ いちよ)

クズノハ女子魔法学園の学園長を務める女性。容姿は若く美しいが、実年齢は不明。前髪を目の下まで伸ばして目が隠れないように分け、胸の下まで伸ばした紫色の巻き髪ロングヘアを、ハーフアップにしてまとめている。穏やかな口調で話す。いつも落ち着いた雰囲気だが、飄々としてつかみどころがない。クズノハ女子魔法学園の敷地内にプライベート空間を作り、純和風の庵を作って生活している。そこで趣味の野菜作りをしており、この野菜を使って作った料理とお茶、庵の中にある露天風呂が自慢。特に露天風呂に関しては、生徒達にも開放している。ある日、ヘクセンナハトに向け土御門静と共に出場選手を選んでいたところ、偶然庵に迷い込んで来た鍵村葉月と出会う。そこで葉月が、魔女の血を引いていないにもかかわらず原書使いとして目覚めかけている事を知り、強い関心を持つ。その直後、葉月が原書使いとして覚醒し、クズノハ女子魔法学園への入学を志願した事で、生徒として受け入れた。入学後も葉月の事をつねに気にかけており、葉月と静のあいだにすれ違いが起きた時には、すぐに声をかけてアドバイスをした。

鍵村 冴子 (かぎむら さえこ)

出版社でファッション雑誌の編集を務める女性。鍵村美沙の母親で、鍵村葉月の義母でもある。前髪を長く伸ばして右寄りの位置で斜めに分けてピンで留め、髪の毛の一番長い部分を、肩につくほどまで伸ばした前下がりのボブにしている。クールで厳しい仕事人間で、バリバリのキャリアウーマン。しかし、自分の気持ちを伝えるのは苦手で、相手を思って話しているつもりでも、つい冷たい言い方になってしまう事が多い。そのため葉月ともなかなか良好な関係が築けずにいたが、ある日から葉月の帰りが遅くなり、なにかに熱心に打ち込んでいるらしい事を知って応援するようになる。

鍵村 美沙 (かぎむら みさ)

高校に通う傍ら、ファッション雑誌の読者モデルをしている女性。鍵村冴子の娘で、鍵村葉月の義姉。前髪を目の高さまで伸ばして目が隠れないように真ん中で分け、肩につくほどまで伸ばして巻いたセミロングにしている。葉月とは同じ高校に通っているが親しくはなく、葉月の、いつも自分の世界にこもっていたり、声をかけてもいつもビクビクおびえていたりするところが好きになれず、冷たい態度を取っていた。ある日、最近帰りの遅い葉月が部活動に入ったという話を聞くが、自分達の学校には、極端に遅い時間まで活動している部などない事から不信感を抱く。それから葉月の行動を監視し始め、やがて部活動ではなく、学校の外でなにかをしているらしい事を知る。そしてこれを冴子に報告し、葉月から直接詳しい話を聞くが、その際葉月から、実はこれまで部活動が忙しいと噓をついていたが、実際は大切な人の役に立ちたくて課外活動をしていた、と告白されて驚く。これがきっかけで葉月の事を見直し、関係が一気によくなった。しかし、葉月の言う大切な人、つまり土御門静の事を葉月の思い人だと捉えており、さらに男性だと勘違いしている。

集団・組織

諸国連合 (しょこくれんごう)

ヘクセンナハト参加チームの一つで、原書図書館を持たない国々のメドヘン達で構成されている。メンバーはみんな国力の安定していない小国、あるいは国の体すらなしていない後進地域から集まっている上、統率が取れずバラバラで、本来は「ヘクセンナハト」出場資格はなかった。しかし、リーダーであるユーミリア・カザンがまとめ上げ、十三人委員会に認めさせた事で出場資格を得た。

十三人委員会 (じゅうさんにんいいんかい)

魔法使いの始祖である「十三人の魔女」の後継者によって構成される、統一意思決定機関。魔法使いの世界において比肩するものはないほどの強大な権限を有し、同世界におけるほぼすべての物事に関与しているといわれている。ヘクセンナハトにおいても運営に参加しており、各試合の審判も、この十三人委員会から派遣された者が担当する。十三人委員会は、七年前、クズノハ女子魔法学園に強大なフレックが発生し、多数の原書使いと原書が失われた事を憂慮している。そのため、多くの人員と原書を失った現在のクズノハ女子魔法学園は最低限の力を保有していないため、廃校すべきではと考えている。

場所

クズノハ女子魔法学園 (くずのはじょしまほうがくえん)

崇神壱与が学園長を務める、日本にある魔法学園。通称「日本校」。所在地は日本だが知られておらず、とある図書館の奥で「machen(マッヘン)」という呪文を唱える事で入る事ができる。生徒はみな原書と契約した少女達で、基本的には全寮制だが、ほかの全日制高校に通っている鍵村葉月は、自宅から、かつ高校の放課後から通うという形で学んでいる。

イベント・出来事

ヘクセンナハト

世界中の魔法学園が参加する、各校対抗の魔法使い同士の祭典。1年に一度開催され、会場は各校持ち回り。鍵村葉月が入学した年度は、クズノハ女子魔法学園が会場となった。優勝校には、一度だけどんな願いも叶えられる魔法が与えられる決まりとなっており、これを得るために出場する選手もいる。試合はトーナメント方式で、ルールや勝利条件は試合によって異なるが、どの試合においても安全面に考慮して、ブーフ・ヒュレによる変身状態を維持できなくなった生徒は、その時点で退場となる事が決まっている。そのため、そもそもブーフ・ヒュレを使えない生徒は、どんなに強力な原書と契約していても、出場資格は得られない。ヘクセンナハトには、生徒の日ごろの鍛錬の成果を見せることと共に、大規模な掃除の役割も担っている。長い歴史と伝統を持つ重要な儀式ではあるが、昨今の魔法使いにとっては、スポーツのイベントというイメージが強い。

その他キーワード

掃除 (そうじ)

原書に発生したシミを、原書使い、あるいはメドヘン達の持つ白い魔法をぶつける事で中和して駆除する作業。掃除は、シミ、つまり黒い魔法に白い魔法をぶつける事でも実行できるが、白い魔法同士をぶつけ合い、その力を周囲に波及させる事でも実行できる。そのため、白い魔法を使うメドヘン同士が戦うヘクセンナハトは、大規模な掃除の役割も担っている。

メドヘン

原書に選ばれ、魔法の力を行使するため訓練中の人間。基本的に、原書に選ばれるほどの強い願い、強い思いを持つ少女のみが「原書使い」として選ばれる。原書に選ばれた人間は、まず原書を放棄して一般人としての生活に戻るか、原書から得られる力をコントロールするため、魔法学園に入学するかを選ぶ。ここで魔法学園に入学した者は「原書使い見習い」となり、メドヘンと呼ばれるようになる。

シミ

原書のある場所に湧き、原書を喰らおうとする化け物。黒い霧のような姿をしており「黒い魔法」とも呼ばれる。原書を一冊分完全に喰らったシミは、フレックと呼ばれる魔法獣に変化し、フレックは非常に危険であるため、早い段階で掃除を行い、駆除する事が推奨されている。

ブーフ・ヒュレ

原書を身にまとい、一体化する事で魔法の力を効率よく引き出す魔法。原書使いが最初に使えるようになる魔法でもあり、ブーフ・ヒュレに成功すると、術者は自身と契約した原書にちなんだ姿に、髪型や服装が変わる。たとえば『かぐや姫』と契約した土御門静であれば、服装がかぐや姫が着ていたものに似た十二単に変わる。このため鍵村葉月は、変身魔法と捉えている。ブーフ・ヒュレを使う際は特別な呪文などは必要なく、術者が好きな言葉を唱えたり、頭の中で念じたりする事で実行できる。

原書 (げんしょ)

長い年月をかけて語り継がれた物語から生まれる、魔法の本。見た目はふつうの本と変わらないが、各原書は、その原書に選ばれたものにしか開く事ができない。原書の中には物語という一つの世界が内包されており、古い作品であればあるほど、さらに沢山の人に読まれていればいるほど、強大な力を持つ。そのため、たとえば新しく原書を作り出そうと新規に物語を書いても、それが実際に原書となるかはわからず、なるとしても力が強まるまでには膨大な時間を要する。

クレジット

原作

松 智洋 , StoryWorks

コンテ

キャラクターデザイン

カントク

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