モザイク・ラセン

モザイク・ラセン

異世界と現代社会がラセン状の空間でつながっているという、SF作品。ラセンの空間を通る能力を持つ少年・ラドリと少女・ミラが、中世ヨーロッパを思わせる、悪夢のような異世界の王国を助ける。作品発表時はオカルト・ロマンとジャンル分けされていた。『月刊プリンセス』誌上で、1982年9月号から12月号まで連載された。

正式名称
モザイク・ラセン
ふりがな
もざいく らせん
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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概要・あらすじ

幼い頃から不思議な夢を見続けていたミラは、ある日、雑誌で夢の中の少年を見つける。その少年・ラドリは、いつも何かを恐れていた。雑誌社を訪ね、ついに実物のラドリに会いに行くが、ミラの目の前でラドリは何かにつかまり、異世界に飛ばされてしまった。ラドリを助けるために、ミラも異世界に飛ぶ。そこは、ミラが幼いときから夢で見ていた光景と同じで、黒の王が恐怖で支配する世界だった。

異世界に飛んだ人間は不思議な力を持つため、黒の王は2人を捕まえようと躍起になる。ミラはクーデター派について、黒の王を倒そうとするが、天羽の宝石の中に捕えられてしまう。やがて、世界が闇に包まれる「食の日」がやってきて、力のバランスが大きく崩れることになる。

登場人物・キャラクター

美羅・白川 (みらしらかわ)

イギリスの寄宿制女子校に通う日系の女の子。幼い頃から予知夢を見続ける。夢に出てくる少年・ラドリからはミリディアンと呼ばれている。ある日、ラドリが実在し、危険に直面していることを知り、助けに向かう。異世界への道であるラセンを渡る力を持ち、異世界ではラドリとともに天羽の鳥と呼ばれる。父親は考古学者。

ラドリ・マッキャベリ (らどりまっきゃべり)

街中でモデルにスカウトされるほどハンサムな黒髪の少年。とても強い超能力を持つため、異世界の魔の住人に、幼い頃から目をつけられる。呪文をかけられ、長い年月をかけて両親を魔物に変えられ、自宅は全焼。心神喪失したまま、ラセンを通って異世界に引きずりこまれる。

バーダ・マニ・ハナ (ばーだまにはな)

不思議な力を持つ男性で、頭にターバンを巻き、サングラスをかけている。スリランカ在住。古代から地球を行き来していた別の世界の生命体と、その空間をつなぐラセンの研究をしている。また、そのラセン空間を感知したり、出入りしたりできる能力を持つ人間を探している。数は少ないが、世界中に同士がいるらしい。

フォリン

金色の長い髪を持つ美しい男性。マニ・ハナの仲間。どうやら地球のオオカミ男らしく、驚くとオオカミの本性がでる。異世界に飛ばされたミラとラドリを助けるため、院長と一緒にラセン空間に入る。

院長 (いんちょう)

ラドリが入院していた病院の院長。実は「カメロ」という星からきた密入国者で、異世界の住人。妻子を置いて、地球に出稼ぎに来ている。日時計を使って空間を移動する。驚くとジンマシンがでる。

サマティ

ミラの寄宿学校の友人。祖父がテレパシー能力の持ち主で、よく予知夢を見ていたという。その能力のため、マニ・ハナも何度か祖父には会ったことがある。リーマと同じ顔をしているが、つながりはわからない。

リンゴ

カメラマン。街中でラドリをモデルとしてスカウトし、家出中だったラドリを一か月泊めたことがある。その後、巻き込まれるようにして一連の出来事に立ち会うことになる。

センジ

異世界の住人で、楽師。腰まで伸びた長い髪を持つ男性で、地球でいう神職のような存在。みなしごだったが、音律堂で育てられた。博識で、不思議な能力を持つ。

リーマ

異世界の住人。みなしごだったが、センジに拾われ、音律堂で暮らす女性。長い黒髪の持ち主で、センジを愛している。サマティと同じ顔をしている。

ダダ王子 (だだおうじ)

異世界の王子。前王の息子で、正当な王位継承者だが、黒の王に暗殺されることを恐れて隣国に4年間、留学させられていた。王位につける17歳の誕生日を前に帰国する。性格はヤンチャだが、国を思う気持ちと聡明さがある。しかし、両親や婚約者や重臣たちが次々と暗殺されたことに無力感も感じている。黒と白のメッシュの髪が特徴。

スピカ

異世界の名家の姫。3人の姉を黒の王に暗殺されたため、男の身なりで育てられた。男まさりでオテンバ。黒の王を倒そうとするダダ王子の手引きをする。なくなった姉の婚約者だったダダ王子に淡い恋心を抱いている。

シェジュ

異世界の住人。双子だが、腰のところで体がくっついている結合双生児。かつては見世物小屋にいたが、天羽の鳥を呼ぶ能力を持っているため黒の王に引き取られ、それからずっと地下牢に閉じ込められて、ラドリを呼ぶための呪文を唱え続けさせられる。後の萩尾望都作品・『半神』の原型といわれるキャラクター。

黒の王 (くろのおう)

異世界の王。かつては地方の一領主だったが、恋を失った絶望からラセンの夢魔を呼び出し、力を得た。悪夢を利用して王を殺し、王妃をめとってから殺し、有力な臣下たちもすべて殺して王になった。だが、世界が闇に包まれる「食」の日になると、力を増した悪夢に自分が飲み込まれるため、闇の中でも光を照らす天羽の鳥を強く欲している。

場所

ラセン

らせん階段状になった空間。他の星や異なった世界をつなげている。古代から、その空間を渡る能力がある者が、まれに出ることがある。

天羽の宝石

結晶体のラセン。天羽の鳥が触れると引きずり込まれ、そのまま閉じ込められ、光り輝く。ラセンの空間と違って道を持たず、結んでいるか解かれているかしかない。444ヘルツのA音で解くことができる。

その他キーワード

天羽の鳥

ラセンを通って別の世界と行き来できる地球の人間をさす、異世界での呼び名。異世界においては、特別な能力を持つ。地球でいう妖精のようなもので、伝説上の存在とされている。時々生まれる予見者や夢飛行者は天羽の子孫といわれている。夢飛行者とは、夢の中で異世界の人間と語り合うことができる者のこと。

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