あらすじ
闘技場のケンタウロス
人間と魔族が共存する街「リンド・ヴルム」で、グレン・リトバイトは魔族専門の医者として忙しい日々を送っていた。ある日、グレンは医学の師匠でもあるクトゥリフ・スキュルから闘技場で戦う闘士たちの健康診断を依頼され、助手のサーフェンティット・ネイクスと共に闘技場を訪れる。個性的な闘士たちとのやり取りに四苦八苦するものの、グレンは全員の健康診断を無事やり遂げる。診療所に戻ったグレンは、闘士の一人であるティサリア・スキュテイアーの従者から聞いたティサリアの体調不良のことが頭から離れず、診療結果を見直すものの異常は見られなかった。翌日、不調の原因がわかったグレンは、ティサリアに対して特別な処置を施す。
医者嫌いのフレッシュゴーレム
グレン・リトバイトとサーフェンティット・ネイクスは、ふだんと同様に診療所にやって来た患者を診察していると、リンド・ヴルムの有力者であるスカディ・ドラーゲンフェルトの訪問を受ける。グレンはスカディから彼女の護衛を務める苦無・ゼナウの治療を依頼されて了承するが、医者嫌いの苦無はグレンの治療を拒否して診療所から出て行ってしまう。苦無のことが気になったグレンは、苦無を追いかけるものの見失ってしまうが、なおも捜していると苦無の左脚を発見する。その後、苦無の右腕も見つけたグレンは苦無に追いつき、右腕と左脚の縫合治療を始める。
関連作品
小説
本作『モンスター娘のお医者さん』は、折口良乃の小説『モンスター娘のお医者さん』を原作としている。原作小説版は集英社「ダッシュエックス文庫」から刊行され、コミックスと同じくグレン・リトバイトがさまざまなモンスター娘を治療する日々が描かれている。イラストはZトンが担当している。
メディア化
テレビアニメ
2020年7月から、本作『モンスター娘のお医者さん』の原作小説『モンスター娘のお医者さん』のテレビアニメ版『モンスター娘のお医者さん』が、TOKYO MX、インターネット配信ほかで放映された。監督は岩崎良明が務め、制作はアルボアニメーションが担当している。キャストは、グレン・リトバイトを土岐隼一、サーフェンティット・ネイクスを大西沙織、ティサリア・スキュテイアーをブリドカットセーラ恵美、ルララ・ハイネを藤井ゆきよ、苦無・ゼナウを河瀬茉希、スカディ・ドラーゲンフェルトを種﨑敦美が演じている。
登場人物・キャラクター
グレン・リトバイト
人間と魔族が共存する街「リンド・ヴルム」で、リトバイト診療所を経営している人間の少年。年齢は17歳。人間領の大商家の出身で、6歳の時に魔族のサーフェンティット・ネイクス(サーフェ)といっしょに暮らしていたことがある。その時の体験から魔族に興味を持つようになり、14歳で魔族領のアカデミーに留学して魔族医療の権威であるクトゥリフ・スキュルに師事する。アカデミー在学中にクトゥリフから診療所を任されて魔族専門の医者となる。アカデミーで再会したサーフェを助手にして、忙しい毎日を送っている。優しく穏やかな性格で、つねに患者のことを考えている。
サーフェンティット・ネイクス
人間と魔族が共存する街「リンド・ヴルム」で、リトバイト診療所の薬師を務めている。ラミアの女性。年齢は19歳。薬学に通じるネイクス家の出身だが、すでに出奔している。グレン・リトバイトからは「サーフェ」と呼ばれている。8歳の時に人間のグレンといっしょに暮らしていたことがあり、その時からずっとグレンに思いを寄せている。魔族領のアカデミーに在学中にグレンと再会し、師事するクトゥリフ・スキュルから診療所を任され、忙しい毎日を送っている。グレンに好意を持つ女性が多いことを気にしており、女性に言い寄られて顔をほころばせるグレンを尻尾で締め付けて諫めている。
ティサリア・スキュテイアー
闘士として闘技場で戦っているケンタウロスの女性。年齢は20歳。人間と魔族が共存する街「リンド・ヴルム」で、運送を一手に担うスキュテイアー運送の令嬢。「運送王姫」という異名を持つ。ケンタウロスの中でも特に武芸に秀でているスキュテイアー家を誇りに思っており、次代のスキュテイアー家を担う者として武名を上げようと日々訓練を重ねている。最近は負けが続いているが、グレン・リトバイトの治療によって本来の力を取り戻し、連勝記録を更新している。
ルララ・ハイネ
建物の大部分が水没しているメロウ水路街に住んでいるマーメイドの女性。水路街にやって来る観光客に歌を聴かせてお金を稼いでいる。家族の生活費を稼ぐため、連日長時間歌い続けたことで体調を崩してしまう。メロウ水路街に買い出しに来ていたグレン・リトバイトに声をかけ、歌を披露するが途中で咳き込んでしまう。グレンから治療を受けて声が元に戻り、ルララ・ハイネの歌を聴きに人々が集まるほどに注目を浴びる。
苦無・ゼナウ (くない ぜなう)
スカディ・ドラーゲンフェルトの護衛を務めているフレッシュゴーレムの女性。スカディに絶対の忠誠を誓っている。人間の死体の一部をつなぎ合わせて体が作られているため、体の至る所に縫合の痕がある。縫合の糸が切れると部位は体から落ちてしまうが、落下したあとも苦無・ゼナウの意識で動かすことができる。医者が実験の過程で自分のような存在を作ったため、医者全般を嫌っている。5年前は闘士として活動しており、当時の成績は今でも伝説として語られるほどで、戦闘能力が非常に高い。
スカディ・ドラーゲンフェルト
人間と魔族が共存する街「リンド・ヴルム」で、評議会の議長を務めているドラゴンの女性。人間と魔族の戦争後、リンド・ヴルムを人間と魔族の両者が住める街にして、両者の架け橋役を担った人物。魔族最強の力を持っているため、闘技場からは永久追放を受けている。話し声が非常に小さく、護衛の苦無・ゼナウに自分の考えを伝え、代わりにしゃべってもらうことで他人と会話をしている。リンド・ヴルムをよりよい街にするためにさまざまな政策を行う一方で、犯罪組織の壊滅作戦も指揮している。
クレジット
- 原作
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折口 良乃
- キャラクター原案
-
Zトン