竜と人間の戦いを描いたバトルファンタジー
舞台となるのは人間と竜が相争うファンタジー世界。竜は銀から発せられる「銀気」が弱点のため、人々は銀で武器を作り、その武器で竜を狩る「狩竜人(かりゅうど)」と呼ばれる者たちが一定数存在していた。狩竜人の少年、ラグナは生まれながらにして竜に襲われては生き残るという呪われた運命を背負っていたが、天才狩竜人の少女、レオニカと出会い、彼女に心が救われる。以降、ラグナは「レオニカの腰巾着」と陰口を叩かれようと、頑(かたく)なに彼女に尽くし、いつまでも彼女のそばにいることを願っていた。しかし、ある日からラグナはレオニカの死を夢で見るようになり、それが未来からの自分のメッセージであることに気づく。
裏切りの元竜王・クリムゾン
竜たちの頂点に座する竜の神は突如、ラグナたちの暮らすレーゼ王国を滅ぼすことを決める。これまでの竜とは桁違いの強さを誇る上位竜によって国の狩竜人は蹂躙(じゅうりん)され、街は破壊の限りを尽くされる。レオニスも上位竜のグリュムウェルテと対峙(たいじ)し、そのままグリュムウェルテの手によって命を落とすはずだったが、ラグナは未来の自分と対話し、多大な代償を払って未来の自分の強大な力を手に入れ、グリュムウェルテを倒し、悲劇の未来を回避するのだった。しかし過酷さを増す戦いにレオニスを巻き込まないようにするため、ラグナは単身行動することを決める。そしてラグナはまず、かつて竜の神に次ぐ翼の「竜王」の地位に就きながら、竜に反逆した元竜王のクリムゾンを探し始める。
六つの血族の存在
竜は「竜の神」を頂点に、「翼」「鱗」「爪牙」「咆哮」「眼」「骨」の六つの血族があり、それぞれに代表である竜王と、その配下の上位竜たちが存在する。レーゼ王国を滅ぼそうとしているのは翼の血族で、クリムゾンとは新旧竜王対決となる。その因縁ゆえにラグナは、レオニスと別れたあとにクリムゾンを発見し、翼の血族との戦いに本格的に身を投じていく。本作は剣と魔法のファンタジー世界であるものの、クリムゾンは旧文明の遺産とされる銃や機械を積極的に使用するなど謎が多い。また、クリムゾンは冷静沈着な策士であるため、ラグナに協力はしても信用はしていないというスタンスで、お互いを利用し合う関係にある。
登場人物・キャラクター
ラグナ
竜を狩る「狩竜人」の少年。しかしラグナ自身は狩竜人の才能がなく、専ら天才狩竜人の少女・レオニカのサポートに専念しているため、周囲からは「レオニカの腰巾着」と心ない言葉を投げかけられている。幼い頃から竜に襲われても、ただ一人生き残るという呪いじみた生涯を送っているため、かつては人生に絶望していた。そんな中、レオニカが自分を必要としてくれたことで生への希望を見いだし、立ち直ることができた。そのためレオニカを何より大切に思っており、彼女のサポートを行うことに強い充実感を感じている。だが、夢で未来の自分からレオニカの死を警告として受け取るようになり、上位竜が攻めてきたことで状況は一変。このままでは未来の自分の予言どおりレオニカが死ぬことを悟ったラグナは、「代償」を差し出して未来の自分から力を前借りし、竜の天敵である「銀気」をあやつる「銀気闘法」を身につけた。これによって体は未来の自分が愛用していた銀の剣と一体化し、剣とも人間ともいえない存在となる。代償と共に寿命は大幅に減っているが、残された時間をすべて使って、竜の根絶を誓う。
クリムゾン
竜たちを束ねる「翼の血族」の第一位「血主」で、「翼の王」とも呼ばれた存在。しかし竜の神に反逆したため、その地位を追われて力の大半を奪われている。竜としての力はほぼ失ったが、日光に当たると焼け死ぬという竜特有の弱点もなくなり、ふだんは人間のふりをして生活している。ラグナが見つけた際にはメイドの少女姿だったが、性別や年齢は自由自在に変えられ、時には少年姿とるなど複雑な「設定」をロールプレイしている。竜に並々ならぬ憎悪を抱いており、竜にかかわるすべてを葬り去ることを目標としている。未来のラグナが銀気闘法を身につけたあと、その力に利用価値を見いだして竜たちとの戦いで共闘するものの、最終的に敗北して過去のラグナに力を託す呪法を行った。現在の時間軸でもラグナと再会。当初は未来の話をするラグナをいっさい信じず、メイドのふりをしていたが、竜との戦いでラグナの力を見て正体を明かし、再び共闘関係を結ぶ。ラグナとの旅ではお供の「魔法使い」として振る舞い、考えるのが苦手なラグナのブレイン役を務める。
書誌情報
ラグナクリムゾン 14巻 スクウェア・エニックス〈ガンガンコミックスJOKER〉
第1巻
(2017-10-21発行、 978-4757555068)
第2巻
(2017-12-22発行、 978-4757555587)
第3巻
(2018-07-21発行、 978-4757557901)
第4巻
(2019-01-22発行、 978-4757559813)
第5巻
(2019-07-22発行、 978-4757561809)
第6巻
(2020-01-22発行、 978-4757564756)
第7巻
(2020-07-21発行、 978-4757567566)
第8巻
(2021-01-22発行、 978-4757570412)
第9巻
(2021-08-20発行、 978-4757574281)
第10巻
(2022-03-22発行、 978-4757578289)
第11巻
(2022-08-22発行、 978-4757580848)
第12巻
(2023-06-22発行、 978-4757586215)
第13巻
(2023-11-21発行、 978-4757589070)
第14巻
(2024-06-20発行、 978-4757592643)