ラピスラズリの王冠

ラピスラズリの王冠

大きな魔力を持っていながら魔法を使えない少女、ミエル=ヴィオレットが、王子のラヴィアン=ザート=サヴァランに出会い、彼がいる王宮に就職するために、努力を重ねて魔法の力を伸ばしていく姿を描いたファンタジック・ラブストーリー。「ララDX」2004年1月号から2005年3月号にかけて連載された。

正式名称
ラピスラズリの王冠
ふりがな
らぴすらずりのおうかん
作者
ジャンル
魔法使い・魔法少女
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概要・あらすじ

没落貴族の娘であるミエル=ヴィオレットは、魔法を使える家に生まれたはずなのに、魔力のコントロールがとても下手で、優秀な姉のサラ=ヴィオレットや、妹のレニイ=ヴィオレットにいつもからかわれていた。そんなある日、いらいらした気持ちのまま街に出掛けたミエルは、人を探している「ラディ」という人物に出会い、一緒に彼の友人、ジーク=バゼールを探すことになる。そこでミエルは、遠くまで見とおすために空を飛ぶ魔法を使うが、着地に失敗してしまう。だが、ラディはそんなミエルに対し、「魔法を使えるようになると信じている」と告げ、見つかったジークとともに立ち去るのだった。その直後、ミエルは1人の女性に、「魔法を活かす仕事」を手伝ってほしいと声をかけられる。自分の魔法が求められたことが嬉しくて、彼女についていったミエルだったが、それが犯罪に関する仕事であることを知る。困惑していたところを、突如現われたラディの魔法で救われる。その後、ミエルはラディとともに犯罪組織と戦い、捕縛することに成功。ここでラディは、自分が王子、ラディアン=ザート=サヴァランであることをミエルに明かす。ミエルはラディアンと再会するため、魔法を勉強して将来は王宮に入ることを目指すと約束するのだった。

やがてミエルは、一般高校から王立魔法学校に編入。幼なじみのロゼット=テールや、貴族のセーグル=シフォナードとともに学び、望み通り王立研修学校への進学を果たして、王宮で働くことになる。結界管理府所属となってしばらく後、国を守る結界を張り替える「結界張替の式典」が行われることとなり、ミエルは強大な魔力を買われて、代表に選ばれる。しかし、貴族として力を失いたくないシフォナード家が、王族であるラディアンが式典を仕切ることに反対。代表には自分たちが操りやすい第二王子のシトロナ=ザート=サヴァランを推してくる。そして魔法を使えないシトロナの代わりに、セーグルが式典に参加すると宣言。こうしてミエルとセーグルのどちらが役目に相応しいか、対決が行われることとなるのだった。

登場人物・キャラクター

ミエル=ヴィオレット

ストレートのロングヘアをした17歳の少女。明るく前向きな性格で大食漢。また怪力の持ち主だが、人前ではその怪力は隠しておきたいと考えている。先々代まで王宮で仕事をしていた貴族の家の生まれ。現在は家が没落しており、ミエル=ヴィオレット自身もカフェテリアでアルバイトをしている。強大な魔力の持ち主だが、魔法が上手く使えず、優秀な姉に劣等感を抱いている。 そのため、魔法なんて使えなくていいと、一般の高等学校に進学した。魔法を身につけるよりも玉の輿に乗りたいと考えていたが、ラディアン=ザート=サヴァランとの出会いの後は、王宮で働くことを目標に、魔法を使えるようになろうと努力するようになる。

ラディアン=ザート=サヴァラン

サヴァラン王国の第一王子。国を守る結界管理府の責任者で、年齢は18歳。人前で魔法を使うことはあまりないが、上級魔法使い並みの使い手である。王子、ラディアン=ザート=サヴァランとして人前にいる時は、魔法で長髪にしており、穏やかで優しく社交的な性格を表に出している。国民の願いをよく聞いてくれるうえ、無理を強いることもない立派な王族として、国民からの人気が高い。 時おり王宮を抜けだしては街を散策しており、その際には「ラディ」と名乗り、魔法を解いて短髪にしている。そのため街に詳しく、知り合いも多い。実際には快活な性格でストレートに意見を言い、友達で世話役のジーク=ハゼールをまいて遊ぶなど、茶目っ気もある人物。怪力の持ち主で魔法が下手なミエル=ヴィオレットと出会い、彼女のことを面白いと気に入る。

レニイ=ヴィオレット

ミエル=ヴィオレットの妹。年齢は13歳。ウェーブがかったボブヘアをしている。王立魔法学校に通っており、この年齢にしてはかなり優秀。生意気な性格で、姉であるミエルに対してもきつい言葉を投げかけることが多い。しかし実際は、友達のために苦手な高いところに上るなど、優しい一面も持つ。将来は優秀な姉同様に、魔法を扱う職に就きたいと思っている。

サラ=ヴィオレット

ミエル=ヴィオレットの姉。年齢は20歳。眼鏡をかけ、ストレートのロングヘアをしている。王立魔法学校を首席で卒業した優秀な女性で、今は上級魔法使いとして、魔法を教える資格を持つ。はっきりした性格で、魔法の苦手なミエルに対して厳しいことを言うが、ミエルが王立魔法学校に入学する際には、講師として指導をした。

ジーク=バゼール

ラディアン=ザート=サヴァランの親友にして従者を務める男性。年齢は20歳。黒い短髪を額中央でわけている。厳しくはっきりものを言う性格で、自由気ままに振舞うラディアンを、しょっちゅう叱りつけている。反面、面倒見は良く、なかなか本音を言わないラディアンが困った時、唯一助けを求められる相手でもある。結界管理府に所属する上級魔法使いであり、魔法剣を扱う。

シトロナ=ザート=サヴァラン

サヴァラン王国の第二王子で、ラディアン=ザート=サヴァランの弟。女の子のようにかわいい美少年で、年齢は14歳。魔力が強く人望も厚い兄に憧れている。シトロナ=ザート=サヴァラン自身は、普通の人よりも高い魔力を持っているが、それを扱うだけの体力がないので、魔法は使えない。強い魔力を持つ者に近寄ると、暴走してしまう。

ロゼット=テール

王立魔法学校の2年生の女子。組長を務めている。ミエル=ヴィオレットのクラスメイトであり、小学校まで一緒の幼なじみでもある。気が強く面倒見の良い性格で、行動力はあるが体力はない。編入生のミエルに、学校の決まりや勉強について、いろいろと教えてくれる。セーグル=シフォナードとは、学年首位の成績を争うライバル。 お互いに得意な呪文を見せあった時には、セーグルの繰り出した幻術魔法を、見事に分解し、無効化してみせた。しかしこれほどの力を持ちながら、家族に魔法使いはいない。

セーグル=シフォナード

王宮仕えの貴族、シフォナード家の嫡男。王立魔法学校の2年生で、ミエル=ヴィオレットとロゼット=テールの隣のクラスに在籍している。真面目でロマンチストな性格で、女子に人気がある。中学の頃は有名貴族シフォナードの名を落とさないように、学年トップの成績をとっていた。負けず嫌いのロゼットが、「大好きな魔法で他人に負けたくない」とライバル宣言したことを機に、自分ももともとは、魔法が好きだったと思い出す。 その後はシフォナードの血筋を利用せずに、自分の力で好きな仕事を摑み取りたいと考え、より一層勉強に励んで学年トップを維持し続ける。考えを改めるきっかけを与えてくれたロゼットに、好意を寄せている。ロゼットと得意な呪文を見せあった時には、花びらを風に舞わせる幻術系の魔法を見せた。

デリス=ダット

魔法使い貴族の力が強い南部、サルセル地方の出身の男子。年齢は18歳。王宮研修学校の入学試験で、ミエル=ヴィオレットと対戦した時に、ミエルの怪力と根性を気に入って告白する。その後はミエルと一緒に結界管理府に配属される。まっすぐで噓がつけない性格で、「ラディ」がサヴァラン王国の王子、ラディアン=ザート=サヴァランだと気付きながら、本人の前でも、貴族も王族も嫌いと断言した。 魔法の能力は高く、結界を張ろうとして失敗したミエルを助けてくれる。

集団・組織

結界管理府 (けっかいかんりふ)

サヴァラン王国を守るため国全体を覆っている結界と、結界を維持しているラピスラズリの王冠を守っている部署。ラディアン=ザート=サヴァランが責任者を務めている。貴族出身の魔法使いの他、ラディアンが集めた優秀な人材がそろっている。結界管理府においてはシフォナード家が強い権力を持っている。ラピスラズリの王冠を守るのは、昔からの魔法使いだけでいいという考えから、ラディアンとは折り合いが良くない。 かつてミエル=ヴィオレットの先祖も結界管理府にいたが、大きな失敗をして王宮を追われたという過去がある。

場所

サヴァラン王国 (さゔぁらんおうこく)

ラヴィアン=ザート=サヴァランら王族が治める国。強大な魔力を秘めたラピスラズリの王冠と、結界管理府によって守られている。人口の約2割が魔法を使えるうえ、他の国からも魔法使いが集まってくる。首都は、王宮や魔法に関する機関など国の主要機関が集まっている「ザーラ」。

王立魔法学校 (おうりつまほうがっこう)

サヴァラン王国で一番大きな魔法学校。他の公共機関同様、首都である「ザーラ」の中央区にある。授業は講義と実技があり、進学希望によって学ぶコースが別れている。ときおり、ラディアン=ザート=サヴァラン達王族も視察に訪れる。男女ともに制服はブレザーで、女子は胸にリボンを付け、男子はネクタイを締めている。

王立研修学校 (おうりつけんしゅうがっこう)

王宮で魔法使いとして働くための実務を学ぶ学校。しかし学校とは名ばかりで、実際は王宮内の仕事を手伝いながら、技術を身につけていく場所になっている。入学後は適正と希望に応じて、同じ敷地にある王宮内の各部署で、研修が組まれる。制服は、女子はブレザーにスカート、男子はロングコート。

イベント・出来事

結界張替の式典 (けっかいはりかえのしきてん)

サヴァラン王国を守る結界を張り替えるための式典。10年に一度行われる。方法は、術者が、魔法具であるラピスラズリの王冠に力を注ぎ、術者の中の指揮者が代表として、最後に力をまとめて王冠から結界を作り出す。現在は術者を務められるほどの魔力を持つ人物が減っていることや、この式典を自らの力を見せつけるために政治利用しようとする者が存在することが問題視されている。

その他キーワード

ラピスラズリの王冠 (らぴすらずりのおうかん)

ラピスラズリがはまった王冠。サヴァラン王国の王宮内にある王冠の間に安置されている。サヴァラン王国の結界を維持している魔法具で、国の象徴でもある。結界はラヴァラン王国全体を覆い、国内の魔法のバランスを保っている。また国の守護石でもあるラピスラズリは、かつて賢者が魔法を封じ込めたものである。

魔法 (まほう)

能力のある者が呪文を唱えると発揮する特別な力。使える血筋の者か素質がある者が、学んで身につけることができる。力を使うするためには石が必要で、魔法使いは皆、自分に合った石をアクセサリにして身に着けている。硬度が高い石ほど、強大な力に耐えられる。また魔法を使うための魔力は、実体にすると、大きな力ほど重くなる。

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