八男って、それはないでしょう!

八男って、それはないでしょう!

Y.Aの小説『八男って、それはないでしょう!』のコミカライズ作品。ある日突然、異世界転生したサラリーマンの一宮信吾は、田舎の貧しい騎士爵家の八男であるヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターとして生きることとなった。実家の厳しい財政状況から冒険者を目指すことにしたヴェンデリンが、古代竜討伐をきっかけに英雄となり、冒険者として大成功していく姿を描いた異世界転生冒険ファンタジー。「ComicWalker」2015年4月19日から連載の作品。

正式名称
八男って、それはないでしょう!
ふりがな
はちなんってそれはないでしょう
原作者
Y・A
作者
ジャンル
転生
 
魔法使い・魔法少女
レーベル
MFC(KADOKAWA)
巻数
既刊13巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

日本の商社で働く一宮信吾は、7年前のある日、突然異世界に転生してしまう。それからは、信吾は田舎の貧しい騎士爵家の八男であるヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターとして生きることになり、12歳の現在は、冒険者予備校に通っている。八男という立場から、生活していくのも厳しいために少しでも早く冒険者として独立しようと考えていた。そんなある日、ヴェンデリンが友人のエルヴィン・フォン・アルニムと狩りをしていると、クラスメートのイーナ・ズザネ・ヒレンブラントルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークが、魔物に襲われているところを目撃する。すぐさまヴェンデリンたちは二人を助けたことで、二人から気に入られ、勝手にパーティメンバーとして申請されてしまう。こうして四人でパーティを組むことになったヴェンデリンたちだったが、人気者のヴェンデリンと無断でパーティを組んだイーナとルイーゼは、周囲から嫉妬されることとなる。そこでイーナとルイーゼは、ヴェンデリンを狙っていた女子生徒二人を納得させるため、二対二で害獣狩りの討伐数を競うことにする。

第2巻

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターは、魔法の師匠であるアルフレッド・レインフォードの遺産として、彼の屋敷を相続することになった。屋敷は非常に立派であるうえ、状態保存の魔法によって掃除も行き届いており、ヴェンデリンはすぐさま引っ越しを決意。使用人であるゴーレムたちの学習能力の低さに辟易しながらも、今後はここをパーティの拠点とすることを決める。そんなある日、ヴェンデリンはルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークに誘われ、二人で出かけることとなる。そこでヴェンデリンは、以前から気になっていたことを尋ねる。ルイーゼとイーナ・ズザネ・ヒレンブラントは、常人よりも多い魔力量を保持していながら、あえてこの力を隠していた。さらにルイーゼに至っては、故意にこの力を伸ばさないようにしていたのだ。その理由が、周囲から孤立しないためであることを知ったヴェンデリンは、今後はルイーゼが安心して魔力量増加の鍛錬に励めるように、仲間として協力することを誓うのだった。それからしばらくが経ったある日、ヴェンデリンたちは冒険者予備校の夏休みを利用して、王都のスタットブルクで開催される、ヴェンデリンの兄であるエーリッヒ・ヴィレム・フォン・ブラントの結婚式へ向かう。これにはアルフレッドの師匠であるブランターク・リングスタットも同行し、楽しい旅行になるはずだったが、魔導飛行船での移動中に船が突如魔物に襲われてしまう。

第3巻

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターは、魔導飛行船を伝説の古代竜から守ったことで、ヘルムート王国の国王、ヘルムート37世に謁見することになった。ヘルムート37世が必要としていたのは、古代竜の骨とその体から採れた魔石だった。そこでヴェンデリンはこれを売却し、同時にドラゴンスレイヤーとして「双竜勲章」と第六位準男爵位を与えられる。こうして実家から分離独立し、法衣貴族となったヴェンデリンだったが、実家は第七位の騎士爵であるため、一夜にして家族よりも自分が偉くなってしまったことを危惧していた。その直後、ヴェンデリンはエーリッヒ・ヴィレム・フォン・ブラントのもとへ向かうが、結婚式当日、父親のアルトゥル・フォン・ベンノ・バウマイスターが、持参金を用意していないことが発覚。アルトゥルはエーリッヒの婿入りを認めておらず、ヴェンデリンとエーリッヒの兄たちに費用を立て替えさせようとしたのである。そこでヴェンデリンは、自分が費用を立て替えて事態を無事におさめる。その後、休暇を楽しもうとしていたヴェンデリンだったが、突如王都郊外にある軍の駐屯地に連れていかれる。そこで、ヘルムート37世にアルフレッド・レインフォードの友人であるクリムト・クリストフ・フォン・アームストロングと、ブランターク・リングスタットと三人で、パルケニア草原の老土竜「グレードグランド」を倒すことを命じられる。

第4巻

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターはグレードグランドを倒したことで、爵位が男爵に上がった。これによってますます有名人となったヴェンデリンは、聖教会のホーエンハイム枢機卿の孫娘で、クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングの姪でもあるエリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイムを紹介される。さらにその場でエリーゼと婚約することになってしまったヴェンデリンは、急展開に驚きつつも、エリーゼに親近感を抱く。周囲から「聖女」と呼ばれ、過剰な期待を寄せられるエリーゼと、突然英雄視されるようになった自分が、とても似ていると感じたのである。そこでヴェンデリンは、エリーゼに3億円もの指輪を贈り、エリーゼを喜ばせるとともに聖教会に対して、高価なプレゼントの見返りとして、今後自分を守ってほしいとプレッシャーをかけるのだった。その直後、ヴェンデリンのもとにブライヒレーダー辺境伯から手紙が届く。竜を二体も倒したヴェンデリンは、すでに冒険者予備校で学ぶことはなく、それは仲間のエルヴィン・フォン・アルニムたちも同様で、今後は王都のスタットブルクでの留学を勧められる。こうして留学を決めたヴェンデリンたちは、その直後に冒険者ギルドから特別依頼を受ける。

第5巻

王都のスタットブルクでの暮らしが始まって一年が経過したある日、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターは、ロマーヌス・アルベルト・フォン・ヘルター公爵に決闘を申し込まれる。ロマーヌスは以前からエリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイムに思いを寄せていたが、エリーゼは先日ヴェンデリンと婚約が決定。そこであきらめきれないロマーヌスは、決闘に勝ってヴェンデリンからエリーゼを奪おうと考えたのである。辟易するヴェンデリンだったが、ブランターク・リングスタットからの助言もあり、最終的には決闘を受けることにする。しかし当日、ロマーヌスの代理人として現れたのは、全身をミスリルの鎧で包まれた竜だった。さらに竜はロマーヌスさえも制御不能で、ヴェンデリンはこのルール違反に呆れつつも、竜をあっさり倒してしまう。ロマーヌスとその従者は、決闘を汚した罪で捕えられてからは、ヴェンデリンたちにはいっさい近寄らなくなるのだった。さらに一年半が経過し、全員15歳となったヴェンデリンたちは、ついに冒険者としての登録資格を得る。さっそく、冒険者ギルド本部に向かったヴェンデリンたちは、新たにエリーゼも加えた五人パーティ「ドラゴンバスターズ」を結成。すぐに王国側から強制依頼を受ける。

第6巻

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターたち「ドラゴンバスターズ」は、ブランターク・リングスタットも交えた六人で、パルケニア草原にある古代遺跡の調査を行うこととなった。その途中、罠にかかったヴェンデリンたちは、遺跡の最下層に転移させられてしまう。そこには無数のゴーレム兵士がおり、一度認識されると、ヴェンデリンたちが全滅するまで襲い掛かってくる仕組みになっていた。そこでヴェンデリンたちは、交代で休みながら何日もかけて攻略する作戦を立てる。こうして10フロア分進んだ頃、今度は最初の広間にいたドラゴンゴーレムが再び現れる。さらに背後からはゴーレム兵士がせまり、絶体絶命の危機に陥ったヴェンデリンは、時間をかけて進むというこれまでの戦法をあきらめて短期決戦に挑む。しかし、とうとうヴェンデリンの魔力は尽き、魔力供給をしてくれていたブランタークが先に倒れてしまう。そこでエリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイムは、「奇跡の光」という最大級の治癒魔法を使用。これによってヴェンデリンの魔力は回復し、ヴェンデリンたちは激戦の末にドラゴンゴーレムを倒すのだった。こうして古代遺跡を攻略したヴェンデリンたちは、魔導飛行船の地下船渠を発見して、専門調査団を呼ぶことにする。

メディアミックス

小説

本作『八男って、それはないでしょう!』は、Y.Aの小説『八男って、それはないでしょう!』を原作としている。原作小説は、2013年6月から2017年3月にかけて、小説投稿サイト「小説家になろう」で連載された。2014年4月からMFブックスで書籍化もされ、イラストは藤ちょこが担当している。

登場人物・キャラクター

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター

ヘルムート王国のブライヒブルクにある冒険者予備校に通う特待生の男子。年齢は12歳で、魔法使い。バウマイスター騎士爵家の五代目当主であるアルトゥル・フォン・ベンノ・バウマイスターの八男でもある。のちに、古代竜を倒して、国王から「双竜勲章」と、第六位準男爵位を与えられる。その後、さらに爵位が上がって男爵となった。前髪を目の上で切って真ん中で分けた、焦げ茶色のストレートショートヘアにしている。あだ名は「ヴェル」で、さらに古代竜を倒してからは「竜殺しの英雄」とも呼ばれるようになった。落ち着いた性格で、メンタルも非常に強い。元は現代日本の商社で働く25歳の日本人男性「一宮信吾」だったが、ある日突然、当時5歳のヴェンデリンに転生してしまう。この時、バウマイスター騎士爵家の困窮ぶりを理解し、少しでも早い独立を決意する。そんな中、自らに魔法の才能があることに気づき、修行を始める。そしてある日、「語り死人」となったアルフレッド・レインフォードに出会い、師事するようになる。この時にさまざまな魔法を取得し、卒業試験としてアルフレッドを成仏させた。その後、冒険者予備校に通い始めるが、夏休みに兄のエーリッヒ・ヴィレム・フォン・ブラントの結婚式に向かう途中、古代竜を討伐したことで、運命が大きく動き出す。異世界転生後も日本食が大好きで、自分で味噌や醬油を作って食事している。

エルヴィン・フォン・アルニム

ヘルムート王国のブライヒブルクにある冒険者予備校に通う特待生の男子。年齢は12歳で、剣士ながら弓も使える。実家は人口500人ほどの村の騎士爵家で、五男。財政状況は芳しくないため、冒険者を目指している。前髪を眉の上で短く切った、亜麻色の短髪にしている。あだ名は「エル」。明るい性格のお調子者で、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターとは、冒険者予備校で出会って親しくなった。当初はヴェンデリンと二人で冒険をしていたが、ある日、ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークとイーナ・ズザネ・ヒレンブラントが魔物に襲われている場面に遭遇し、二人を助ける。これをきっかけにヴェンデリンが二人に気に入られ、無断でヴェンデリン、ルイーゼ、イーナのパーティに自分も登録されてしまう。以来、四人で共に冒険することとなった。五男という立場から、早く安定した地位を手に入れたいと考えている。女性が大好きながら、ルイーゼやイーナにはまったく相手にされていない。幼い頃から自炊しているが、料理は非常に苦手。さらにその自覚がないため、四人パーティになってからは、料理を任されなくなってしまう。

ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク

ヘルムート王国のブライヒブルクにある冒険者予備校に通う特待生の女子。年齢は12歳で、「魔闘士」と呼ばれる、魔力を闘気に変えて戦う拳法の使い手。実家は代々魔闘道場を経営している。前髪を目の上で切った水色のショートボブヘアで、体型は小柄。そのため、実年齢よりも若く見られることが多い。領主のブライヒレーダー辺境伯から、兵士たちの槍の師範として任命されている陪臣の家系だが、側室の娘で三女ということもあり、同じ陪臣の家に嫁げる可能性は低く、身を立てるために冒険者を目指している。イーナ・ズザネ・ヒレンブラントとは幼なじみで、同じ境遇なのも手伝って非常に仲がいい。明るく人懐っこい性格で、一人称は「ボク」。冒険者予備校では主にイーナといっしょに行動し、魔物退治のアルバイトもしていた。そんなある日、以前から気になっていたヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターに魔物から助けられ、ヴェンデリンのことをさらに気に入るようになる。そこでヴェンデリンとエルヴィン・フォン・アルニムには無断で、二人を自分とイーナのパーティメンバーとして登録し、それからは四人で組んで冒険することになる。常人よりも高い魔力を持つが、それゆえに周囲から浮いてしまった過去があり、現在ではこの魔力を隠していた。しかし、ヴェンデリンの仲間になってからは、彼を信頼してもっと強くなるために魔力を高める鍛錬を始めた。

イーナ・ズザネ・ヒレンブラント

ヘルムート王国のブライヒブルクにある冒険者予備校に通う特待生の女子。年齢は12歳で、槍術士。実家は代々槍術道場を経営しており、領主であるブライヒレーダー辺境伯から、兵士たちの槍の師範として任命されている陪臣。三女であることから、同じ陪臣の家に嫁げる可能性は低いため、身を立てるべく冒険者を目指している。ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークとは幼なじみで、同じ境遇なのも手伝って非常に仲がいい。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばした赤のロングヘアを頭の高い位置でポニーテールにしている。まじめな性格のしっかり者で、冒険者予備校では主にルイーゼといっしょに行動し、魔物退治のアルバイトもしていた。そんなある日、以前から気になっていたヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターに魔物から助けられ、ヴェンデリンのことをさらに気に入る。そこでヴェンデリンとエルヴィン・フォン・アルニムには無断で、二人を自分とイーナのパーティメンバーとして登録し、それからは四人で組んで冒険することになる。常人よりも高い魔力を持つが、周囲にはこれを隠している。

エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム

ホーエンハイム枢機卿の孫娘で、クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングの姪。ヘルムート王国の王都、スタットブルクで暮らしている。前髪を目の上で切りそろえ、腰まで伸ばした金色のストレートロングヘアにしている。周囲からも評判の美形で、胸が非常に大きい。穏やかで落ち着いた性格の持ち主。結婚前の手習いとして、聖教会の修道院で修行をしており、その魔力は高く、治癒魔法の才能にも恵まれている。さらに誰にでも分け隔てなく接し、業務態度も非常にまじめなことから「ホーエンハイム家の聖女」と呼ばれ、周囲から慕われている。しかし、聖女と呼ばれることにプレッシャーを感じていたところ、ホーエンハイムからヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターを紹介されて知り合った。この時、ホーエンハイムの勧めでヴェンデリンと婚約する。結婚については、当初はホーエンハイムの意向に従う気持ちが強かった。しかし、ヴェンデリンもまた「竜殺しの英雄」という高い評価に重圧を感じていることを知り、親近感を抱くとともに強く惹かれていく。そこで、15歳になってからは婚約者としてだけでなく、冒険の仲間としてもヴェンデリンについて行くことにし、冒険者ギルドに登録した。特技は料理と裁縫。

アルフレッド・レインフォード

魔法使いの若い男性で、30歳で亡くなった。ブライヒレーダー辺境伯家に仕えていた。ブランターク・リングスタットの弟子で、クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングの友人でもある。前髪を長く伸ばして真ん中で分け、腰まである金色のロングヘアにしている。装飾の多いローブを身につけ、サークレットとピアスをしている。あだ名は「アル」。穏やかな性格で、孤児ながら魔法の才能に恵まれ、冒険者となった。やがてその実力を買われ、ブライヒレーダー辺境伯家のお抱え魔法使いとなり、最初の大きな仕事が辺境伯のバウマイスター騎士爵家領内にある「魔の森」への進軍で、その途中で死亡する。その後5年間、魔の森の中で「語り死人」という、死霊系の魔物になった状態で自分の後継者を探していた。そんなある日、修行のために魔の森を訪れたヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターと出会い、「器合わせ」という短期間で一気に魔力の量を上げる修練方法を始め、さまざまな魔法を2週間にわたって指導する。そして最終日に卒業試験として、ヴェンデリンが放った「聖」魔法で成仏した。また、この時に遺産として「魔法の袋」に詰めた物資や食料をヴェンデリンにプレゼントした。

ブランターク・リングスタット

魔法使いの男性で、年齢は48歳。ブライヒレーダー辺境伯家のお抱え魔法使いで、アルフレッド・レインフォードの師匠でもあり、アルテリオの元冒険者仲間でもある。前髪を額が見えるほど短く切り、無精ひげを生やしている。体型は細めで頰がこけており、ローブを身につけている。気さくな性格の持ち主。一度会ったことのある魔法使いなら、その魔力反応を数千キロの範囲で探知できる特技を持つ。そのため、アルフレッドの死後もその魔力を感知し続けており、彼が危険な魔物になっていないかどうか、ずっと見守っていた。そんなある日、突然アルフレッドの魔力反応が移動してしまったのを不思議に思う。その直後、魔法使いであるヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターが、ブライヒブルクにある冒険者予備校に入学したのを知り、アルフレッドとの関連を疑うようになる。そこで、アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダーが開催する園遊会にヴェンデリンを招き、真相を探ろうとする。この時、アルフレッドの持ち物である「魔法の袋」を持っていたことで、二人の関係を確信。これを機にヴェンデリンの魔法の師匠となり、いっしょに冒険に出るようになる。

アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダー

ヘルムート王国のブライヒレーダー辺境伯家の当主を務める男性で、年齢は30代。前髪を上げて額を全開にし、肩につくほどまであるセミロングヘアを撫で付け髪にしている。7年前の「魔の森」への進軍でアルフレッド・レインフォードを失うが、死後も彼の魔力を探知できることをブランターク・リングスタットから知り、ずっと様子を見ていた。そんなある日、突然アルフレッドの魔力反応が移動してしまったのを不思議に思う。その直後、魔法使いであるヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターが、ブライヒブルクにある冒険者予備校に入学したのを知り、アルフレッドとの関連を疑うようになる。そこで、アマデウス・フライターク・フォン・ブライヒレーダー自身が開催する園遊会にヴェンデリンを招き、真相を探ろうとする。この時ヴェンデリンが、アルフレッドの持ち物である「魔法の袋」を持っていたことで、二人の関係を確信。ヴェンデリンにブランタークを紹介したのち「魔法の袋」の物資を返してもらい、その二割をお礼としてヴェンデリンにプレゼントした。また、アルフレッドの遺した屋敷も与えた。

クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング

ヘルムート王国の王宮筆頭魔導師を務める貴族の男性で、階級は男爵。グレードグランドを倒してからは、子爵となった。アルフレッド・レインフォードとヘルムート37世の友人で、エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイムの伯父でもある。髪の毛をそり上げて頭頂部だけ残したモヒカンで、カイゼルひげを生やして、あごが二つに割れている。非常に背が高く、筋肉質で大柄の体型。一人称は「某」。明るくおおらかな性格で、やや強引なところがある。「魔導機動甲冑」と呼ばれる、魔力を物質化する魔法を用いる。鎧を身につけ、杖をハンマーに変えて身体能力を大幅に強化して戦うため、魔法使いながら肉弾戦も強い。ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターとは、ヴェンデリンが古代竜を倒したことで関心を持つようになる。その後、王家からの強制依頼で、いっしょにグレードグランド討伐をしたのをきっかけに親しくなった。グレードグランド討伐後は、ヴェンデリンとルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェークの魔法の師匠となる。料理に関しては雑で、動物を血抜きして塩焼きにする調理法しか知らない。

アルテリオ

ヘルムート王国の王都、スタットブルクで商会を経営する中年男性。ブランターク・リングスタットとは元冒険者仲間でもある。帽子をかぶり、肩につくほどまである金色の内巻きセミロングヘアで、口ひげとあご髭を生やしている。いつも目を閉じているように見えるほどに目が細く、小柄で太めの体型をしている。ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターとは、スタットブルクに向かう魔導飛行船の中で知り合った。この時、ヴェンデリンが古代竜を倒して得た魔石の扱いに困っていることを知り、その価値を教えるなどアドバイスをした。その後も、ヴェンデリンが古代竜の骨と魔石を売却する場に立ち会い、ヴェンデリンが損をしないようにサポートした。かつてブランタークと共に竜を倒したことがあるが、この時に負ったケガが原因で冒険者を引退している。また、その際に手に入れた討伐の資金で商会を設立した。

ヘルムート37世 (へるむーとさんじゅうななせい)

ヘルムート王国の国王を務める中年男性。クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングの友人でもある。前髪をあごの高さまで伸ばして真ん中で分け、肩の下まである巻き髪セミロングヘアにしている。物腰柔らかく気さくな性格だが、抜け目のないところがあり、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターには食えない人物と評されている。ヴェンデリンとは、彼が古代竜を倒したのをきっかけに、古代竜から手に入った魔石と骨をゆずってほしいと考え、彼を呼び出して知り合った。また、この時ヴェンデリンに「双竜勲章」と、準男爵位を与えた。それからはヴェンデリンを気に入り、遺跡調査などギルドを通さない強制依頼をするようになる。

ホーエンハイム

ヘルムート王国の王都、スタットブルクで聖教会の枢機卿を務める年老いた男性。エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイムの祖父。頭頂部は禿げ上がっており、こめかみから下に伸ばした銀色の髪の毛が胸の上まであるロングウエーブヘアで、口髭とあご髭を長く伸ばしている。エリーゼを非常にかわいがっており、彼女にふさわしい男性を探していた。そんなある日、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターの存在を知り、二人を半ば強引に婚約させた。しかし、ヴェンデリンのことは、油断ならない小賢しい人物だととらえている。

アルトゥル・フォン・ベンノ・バウマイスター

ヘルムート王国にあるバウマイスター騎士爵領の領主を務める中年男性。バウマイスター騎士爵家5代目当主で、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターとエーリッヒ・ヴィレム・フォン・ブラントをはじめとする八男二女の父親でもある。前髪を耳の下まで伸ばして真ん中で分けた短髪で、口髭とあご髭を長く伸ばしている。エーリッヒがバウマイスター家と同格の騎士爵家であるブラント家に婿入りしたことに、納得していない。さらに、バウマイスター家は一般的なこの国の貴族とは違い、中央とのつながりが薄いため、結婚資金を出そうとせず、息子たちに立て替えさせようとした。結果、これに呆れたヴェンデリンが持参金を支払うことになる。

エーリッヒ・ヴィレム・フォン・ブラント

アルトゥル・フォン・ベンノ・バウマイスターの五男。年齢は23歳。ミリヤム・ヴィレム・フォン・ブラントの夫で、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターの兄でもある。あごの高さまで伸ばした、ふんわりとしたボブヘアにしている。中性的でかわいらしい顔立ちの持ち主。おっとりとした性格で、ヴェンデリンとも非常に仲がよく、ヴェンデリンにとってはきょうだいの中で最も心を許せる存在である。上の兄二人の結婚を機に実家を離れ、ミリヤムと結婚してブラント家の婿養子となった。エルヴィン・フォン・アルニムたちとは、ミリヤムとの結婚式に招いたことがきっかけで知り合った。その後、ヴェンデリンたちがスタットブルク滞在中、いっしょに過ごした。

ミリヤム・ヴィレム・フォン・ブラント

ヘルムート王国の王都、スタットブルクに住む貴族の女性で、年齢は19歳。エーリッヒ・ヴィレム・フォン・ブラントの妻で、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターの義姉でもある。前髪を目の上で切って真ん中で分け、ゆるく巻いたロングヘアにしている。明るく気さくな性格で、ヴェンデリンたちとは自分とエーリッヒの結婚式がきっかけで知り合った。その後、ヴェンデリンたちがスタットブルク滞在中、いっしょに過ごした。

ロマーヌス・アルベルト・フォン・ヘルター

ヘルムート王国の王都、スタットブルクに住む貴族の男性で、階級は公爵。前国王の末弟。前髪を右寄りの位置で分けて、撫で付け髪にしている。体型は小柄で、非常に太っている。傲慢で身勝手な性格で、人間性にかなり問題がある。側室が24人いるが、エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイムに思いを寄せており、25人目の側室にしたいと思っていた。しかし、エリーゼがヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターと婚約したことに腹を立て、ヴェンデリンに決闘を申し込み、エリーゼを奪おうとしている。当日、全身をミスリルの鎧で包んだ竜を用意したが、竜はロマーヌス・アルベルト・フォン・ヘルターにも制御不能で、闘技場は大騒ぎになってしまう。しかし、竜はあっさりヴェンデリンに倒されてしまい、ロマーヌスはルール違反を問われ、決闘を汚した罪で捕えられる。それからは、ヴェンデリンにまったく近寄らなくなった。

クレジット

原作

Y・A

キャラクター原案

藤ちょこ

書誌情報

八男って、それはないでしょう! 13巻 KADOKAWA〈MFC〉

第1巻

(2015-09-19発行、 978-4040677965)

第6巻

(2019-01-21発行、 978-4040651972)

第7巻

(2019-12-23発行、 978-4040642079)

第12巻

(2023-01-23発行、 978-4046820778)

第13巻

(2023-09-22発行、 978-4046828101)

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