概要・あらすじ
最初はゲバ棒と火炎瓶で戦っていたものの、全共闘運動は勢いを失う一方の1969年。左翼グループの「革命者連盟」と「赤色軍」は、1970年初頭に過激なゲリラ活動を行っていた。2つのグループは、手を組んで武装闘争を行う決意を固める。関東をめぐり『G(ギャング)作戦』で資金を調達。銃器を強奪し、爆弾を自作。
拠点を山岳ベースに移し、寝食を共にする。しかし次第に内部で分裂が起き、逃げ出すものや漏洩するものを「処刑」せざるを得なくなる日がやってくる。刻一刻と迫る決起の日に備え、左翼の若者たちは思想のぶつかり合いを経ながら、緊張した空気の中、戦いの準備をする。
登場人物・キャラクター
赤城 容子 (あかぎようこ)
革命者連盟所属。革命運動に専念するために仕事をやめた、女性活動家。体が弱く、立っていられないことも多いが、組織活動への情熱は強く、ゲリラ闘争こそが正しいと信じている。谷川博からプロポーズされた後、子供を妊娠するが、中絶。1970年に革命者連盟のリーダーに選ばれる。 1970年の銃器奪取作戦後は、ゲリラ活動に拍車をかける。赤色軍と革命者連盟が山中にこもって共同軍事訓練を始めてからは、群馬県山中で、銃による殲滅戦のための赤色軍の訓練を行う。群馬県山中で逮捕。モデルは連合赤軍の元メンバー永田洋子。
谷川 博 (たにがわひろし)
赤城容子の夫。1969年、羽田空港の火炎瓶闘争に参加し逮捕され、翌年懲役7年を求刑される。その際赤城容子にプロポーズし、結婚。最初のうちは革命者連盟というグループでのゲリラ活動に疑問を抱いていたものの、ともに戦うことで熱心な闘争家になっていく。活動している面々が次第に指名手配犯になり、人の目に怯えて戦わなくてはいけなくなったのを見て、ゲリラ活動の拠点を山中に移すことを提案。 手旗信号での連絡も習熟。長野県の■■山荘で逮捕。モデルは連合赤軍の元メンバー坂口弘。
宮浦 (みやうら)
14番。吾妻正久の恋人。もともとは運動で逮捕された人たちの救援活動をしていた。吾妻正久を助けた所、革命者連盟に所属する羽目になり、組織全体の荷を負わされた。権利停止処分をした赤城容子や谷川博には不満を抱き、組織をやめて喫茶店を開きたいと考えたていたこともある。吾妻正久の子を身ごもった時には、中絶をすすめられた。 過激なゲリラ活動にも比較的反対気味。山中に行った後、群馬県迦葉山で身ごもったまま死亡。モデルは連合赤軍の元メンバー金子みちよ。
吾妻 正久 (あづま まさひさ)
革命者連盟所属。1969年の羽田空港火炎瓶闘争に参加し逮捕。翌年懲役5年を求刑される。宮浦は同棲中の恋人。かつて学園紛争の際何も変わらなかったことから、武装闘争が必要であると考えている。宮浦が妊娠した時は、中絶を提唱。長野県■■山荘で逮捕される。モデルは連合赤軍の元メンバー吉野雅邦。
赤石 一郎 (あかいし いちろう)
1番。革命者連盟所属。ゲリラ闘争支持者で、指名手配犯だったためアパートに潜伏していた。赤城容子がリーダーに選ばれた後、交番を襲撃して革命者連盟のリーダー筑波を奪還するためピストルを奪取しようとする。その際射殺される。モデルは活動家の柴野春彦。
筑波 (つくば)
革命者連盟のリーダー。1969年に逮捕され、獄中生活を送っている。谷川博に手旗信号で、密かに支持を出して、獄中からの脱出を試みて、赤石一郎たちの交番襲撃を招いた。モデルは活動家の川島豪。
安達 幸一 (あだち こういち)
10番。革命者連盟所属。1970年の米軍基地敷地内ダイナマイト爆破や、北関東鉄砲店の銃器奪取など、ゲリラ活動の実行部隊の切り込み隊長。札幌に潜伏後、自分をリーダーとした組織の改組案を訴えるものの、赤城容子に批判され、引き下がる。群馬県山中で処刑される。 モデルは活動家の寺岡恒一。
空木 (うつぎ)
2番。合法部で活動を望んでいたが、革命者連盟に参加し、山岳での活動に入るも、山を降りたいと臨むようになり、脱走未遂をする。その後脱走に成功。他の人に山での生活の愚痴をこぼしていた。これが火種となって赤城容子らの怒りを買い、1971年、千葉県で安達幸一たちによって絞殺という形で処刑される。 モデルは革命左派のメンバー早岐やす子。
五竜 (ごりゅう)
3番。半合法部の活動家。テロリストになるため革命者連盟に入隊し、山岳に入る。しだいに山を降りたいと考え、脱走。公安と飲酒をしたり、山中の出来事を小説に書いていると、付き合っていた白根に話した。情報漏洩をおそれた彼女の考えから、、千葉県で組織によって絞殺、処刑される。 モデルは革命左派のメンバー向山茂徳。
白根 (しらね)
13番。革命者連盟所属。赤石一郎と共に交番襲撃をした大山と付き合っていたが、その後五竜と交際。ところが山から脱走した後の五竜が情報漏洩しているおそれを察知し、赤城容子に処刑を進言した。モデルは革命左派のメンバー大槻節子。
伊吹 逸郎 (いぶき いつろう)
4番。革命者連盟獄中メンバーの救援対策担当の一人。安達幸一、黒部一郎らと共に、米軍基地にダイナマイトをしかけて爆破させるゲリラ活動に参加。1971年の拡大党会議に参加している。山岳ベースでは日和見主義だと追求され、総括(左翼活動における活動報告と思想の言語化)ができていないと皆にリンチを受けて、群馬県榛名山で死亡。
黒部 一郎 (くろべ いちろう)
7番。革命者連盟所属。安達幸一、伊吹逸郎と共に、都内の米軍基地にダイナマイトを仕掛け爆破させた。山岳ベースでは薬師に好意をよせ、近づこうとする。3人兄弟の長男で、未成年の二郎、三郎も活動している。群馬県山中で死亡。モデルは連合赤軍のメンバー加藤能敬。
苗場 (なえば)
12番。革命者連盟所属。合法組織『共闘戦線』の中京支部で活動。空木たちが調査にやってきたときには、自分の車を提供、運転手として薬師を紹介している。群馬県山中で死亡。モデルは革命左派のメンバー山本順一。
薬師 (やくし)
6番。名古屋の半合法部の活動家で、かつて殲滅戦で戦おうとしていたことがある。車の運転ができるからということで、苗場の紹介で革命者連盟に入軍、入山する。組織に逆らった空木や五竜の処刑を嫌がるものの、運転免許を持っているのが彼女だけのため、実行メンバーになる。モデルは革命左派のメンバー小嶋和子。
岩木 泰広 (いわき やすひろ)
赤色軍所属。東北地方の大学で全共闘学生活動を行っていた。1969年にあやふやになった学生運動のさなか、オルグ(勧誘)され赤色軍に合流。1969年10月21日の国際反戦デーに新宿で赤色軍の活動と関係なく投石で逮捕。出所後は一度青森県に戻り、赤色軍と革命者連盟の共闘集会ポスターを貼ったり、関東で赤色軍の主力として資金強奪闘争「G作戦」などを牽引する。 革命者連盟の共闘戦線では、合同集会の中心人物になり、組織再編に伴い非合法部入り。皆との活動や、警察とのスリルにワクワクしている一面を時折見せる。東日本各地で『G作戦』を行いながら、革命者連盟の非合法部隊に爆弾の製造方法を教えるなどしている。 山岳ベースでは何度か痴漢行為を行い、責められている。飄々と山岳ベースでの活動をこなす。モデルは連合赤軍の元メンバー植垣康博。
北 盛夫 (きた もりお)
赤色軍所属。赤色軍で獄外に残っている人間のリーダーになる。革命者連盟と赤色軍の統一軍である「赤色連盟」の結成を提案した。リーダー的な立場になってからは、脱走者である空木と五竜の処刑を唱えるなど、過激な主張と厳しい姿勢で革命軍を統制。日常における自己批判と総括(左翼活動における活動報告と思想の言語化)を推奨。 秩序をまとめていく。次第に問題があると思われる仲間を、指導のために私刑(リンチ)し、次々と死なせていく。群馬県山中で逮捕の後、留置所内で自殺。モデルは連合赤軍のメンバー森恒夫。
高千穂 三郎 (たかちほさぶろう)
5番。赤色軍所属。横浜で独自に活動していたが、赤色軍のオルグ(勧誘)を受け、岩木泰弘に協力するようになる。軽い性格で、熱心な岩木を茶化すことも多い。軽率であるがゆえに、過激派の北盛夫には度々問題視されていた。群馬県山中で死亡。モデルは連合赤軍のメンバー進藤隆三郎。
天城 (あまぎ)
8番。赤色軍所属。男を次々オルグ(勧誘)しているバリバリの闘士で、逮捕された幹部政治局員の妻でもある。前衛連合の全国代表者会議に出席し、中央組織が地方組織を蔑視していることを批判したことがある。山岳ベースで合流。後に群馬県山中で死亡。モデルは連合赤軍のメンバー遠山美枝子。
神山 純 (かみやま じゅん)
11番。赤色軍所属。ドイツ帰りの帰国子女で、一度は活動に行き詰まって実家に戻っていた。なんとか中央軍で活動したいと岩木泰弘に申し出る。免許書を持っているため、岩木泰弘の助けで運転手として赤色軍に合流。資金強奪闘争『G作戦』にも参加する。群馬県山中で処刑される。 モデルは連合赤軍のメンバー山崎順。
磐梯 (ばんだい)
9番。赤色軍所属。北盛夫の伝令役を務めていた。かつては東大闘争にも参加していた闘争家。群馬県山中で死亡。モデルは連合赤軍のメンバー行方正時。
霧島 (きりしま)
15番。赤色軍所属。赤色軍の元最高幹部で、活動を離れていた。しかし最初からやりなおすことを決意し参加。子持ち。群馬県山中で死亡。モデルは連合赤軍のメンバー山田孝。
集団・組織
革命者連盟 (かくめいしゃれんめい)
『レッド』の登場集団。正式名は「革命者連盟神奈川委員会」。神奈川県を拠点とする、新左翼グループ。ゲリラ闘争路線で、攻撃的な政治運動を繰り返していた。1970年に交番襲撃事件を敢行、左翼内部の支持を集めることになる。毛沢東思想に基づく反米路線を掲げるグループ。後に志を共にした赤色軍と結束、『赤色連盟』が決k性され、軍事共闘することになる。 モデルは日本共産党(革命左派)。
赤色軍
『レッド』の登場集団。新左翼党派の一つ。1969年に大量逮捕され、ほぼ壊滅状態だった。交番襲撃事件を起こした革命者連盟と手をつなぐようになり、1971年に合同集会を開催。資金調達作戦『G作戦』で活動資金を調達していた。ビラ配りなどの「合法部」、実働部隊の手伝いをする「半合法部」、武装闘争を行う「非合法部」に分担されている。 後に志を共にした革命者連盟と結束、『赤色連盟』が結成され、軍事共闘することになる。モデルは共産主義者同盟赤軍派。
書誌情報
レッド 8巻 講談社〈KCデラックス〉
第1巻
(2007-09-21発行、 978-4063723229)
第2巻
(2008-07-23発行、 978-4063755275)
第3巻
(2009-06-23発行、 978-4063757224)
第4巻
(2010-06-23発行、 978-4063759228)
第5巻
(2011-02-23発行、 978-4063760316)
第6巻
(2012-02-23発行、 978-4063761740)
第7巻
(2013-03-22発行、 978-4063767834)
第8巻
(2014-02-21発行、 978-4063769449)