あらすじ
第1巻
開拓時代のアメリカ、カリフォルニア州北東部を縄張りにしていた凄腕の賞金稼ぎであるブラッド・ウルフは、稼業中に謎の化け物の襲撃を受け、ヴァイパー探偵秘密捜査部のダークハンターによって命を救われる。この世にあらざる悪しき存在のダークを闇に葬るダークハンターの活動に興味を抱いたブラッドは、自分を組織の一員にしてほしいと、リーダーのアッシュに願い出る。ヴァイパー探偵社の支部長を務めるクレイマンと面会したブラッドは、実戦でダークを葬るという採用試験を受けることになった。メンバーと共に試験現場へと赴いたブラッドは、そこでダークと化したジョージ・ワシントンに遭遇。銃が効かないワシントンに大苦戦を強いられ、激闘の末に弱点である後頭部の顔を撃ち抜くも、ワシントンを倒すことは叶わなかった。限界に達したブラッドをよそに、瞬時にワシントンを倒したアッシュは、ブラッドがワシントンと戦う前に誤射した女性が、実はダークであったことを明かす。アッシュはブラッドに対し、試験に合格したことを言い渡すのだった。
第2巻
鉄道会社ローズベルト&カンパニーに鉱山を抑えられたことでダークを倒す弾丸の材料となるシルバライトが高騰し、ヴァイパー探偵秘密捜査部は深刻な資金難に陥っていた。そんなある日、街をうろついていたブラッド・ウルフは、鉄道会社ローズベルト&カンパニーを経営する大富豪のザカリー・ローズベルトと出会い、彼からアッシュがかつて死と血にまみれた罪人であった過去を聞かされたうえ、アッシュを殺すように依頼される。2週間の猶予を与えられたブラッドはアッシュと直接対話し、真相を見極めようとするも、結局アッシュを殺すことはできなかった。ブラッドの葛藤をよそに大陸統一に動き出したザカリーは、ダークを使役して街を襲撃する。しかし、アッシュとブラッドに行く手を阻まれたザカリーは、戦いの中でアッシュをダークへと変貌させてしまい、アッシュに命を奪われてしまう。人間ではなくなったアッシュと対峙したブラッドは、彼を安らかな眠りに導くため、最後の戦いに挑む。
登場人物・キャラクター
ブラッド・ウルフ
凄腕の賞金稼ぎの青年。やや直情的な性格をしている。射撃の腕は並外れており、日々賞金首を退治して金を稼いでいる。酒や女、ギャンブルが大好きで、この世での栄達を夢見ている野心家。物心がつく前に孤児となっており、本人も本名は知らない。賞金稼ぎとして名を上げ、周囲からは「ブラッド・ウルフ」と呼ばれるようになったため、本人もそう名乗っている。稼業中に不死の怪異であるダークに襲撃され、ダークハンターによって命を助けられた。この事件がきっかけとなり、自らもヴァイパー探偵秘密捜査部に所属し、ダークハンターの一員となってダークを滅する任務へと就くことになった。自分勝手に振る舞っているが意外に素直な一面もあり、自分を助けてくれたリーダーのアッシュのぶっきらぼうな態度に反抗心を抱きながらも、彼のダークハンターとしての高い技量は認めていた。孤児となった時になぜか持っていたダークハンター用の銃を今でも所持している。生まれてから一度も教育を受けていないため、読み書きがほとんどできない。
アッシュ
ヴァイパー探偵秘密捜査部に所属するダークハンターの青年。長身のクールな男性で、ヴァイパー探偵秘密捜査部のリーダーを務めている。仕事中にダークに襲われ、ダークへと墜ちそうになっていたブラッド・ウルフを救出した張本人。ダークハンターとしての腕は超一流で、ダークハンターになるための試験に挑んだブラッドが大苦戦したジョージ・ワシントンも眉ひとつ動かさず闇に葬っている。ブラッドがヴァイパー探偵秘密捜査部の一員となったあとは、彼を厳しく指導するようになった。もともとは支配階級の出身で、大富豪のザカリー・ローズベルトとは幼なじみの親友同士だった。過去に多くの人を殺(あや)めてしまい、荒野をさまよっていたところを、クレイマンに拾われた過去を持つ。本名は「オーランド・ホークショウ」だが、その名前はすでに捨てている。
ゲイル
ヴァイパー探偵秘密捜査部に所属するダークハンターの青年。おしゃべりなお調子者で、飄々とした性格をしている。もともとは保安官をしていたが、半年前にヴァイパー探偵秘密捜査部に所属する。軽薄だが世話好きで、新人であるブラッド・ウルフの面倒も割と親身に見ていた。味覚が一風変わっており、脂身が大好き。腹をすかしたブラッドに脂身だけの料理をおごり、気持ち悪がられていた。弓矢を武器として扱う。
トクガワ
ヴァイパー探偵秘密捜査部に所属するダークハンターの青年。元傭兵でシノビの末裔で、黒髪をおかっぱにしている。非常におとなしい性格で、ふだんは何を考えているのかまったくわからない。怒らせるとメンバーの中でも一番怖いため、ゲイルは恐れていた。銃声のけたたましさが暗殺に向かないという理由から銃をいっさい使わないが、ダークハンターとしての腕は一流。
ビコ・ラ・フラメル
ヴァイパー探偵秘密捜査部に所属するダークハンターの青年。中性的な容姿の眼鏡をかけた長髪の男性。欧州からの移民で、もともとは交霊術を生業にしていた。さまざまな知識を身につけ、薬草にも詳しい。そのため、ケガをしたダークハンターの治療も担当していた。基本的に戦闘には参加しない。
クレイマン
ヴァイパー探偵社に所属し、サクラメントの支部長を務める中年男性。アッシュが率いるダークハンターの指揮も担っている。食えない性格をした曲者で、荒野をさまよっていたアッシュをダークハンターにした張本人。ダークが変化した粘土人形をいじるのが趣味。
ザカリー・ローズベルト
大富豪の青年。鉄道会社ローズベルト&カンパニーを経営している。有能な経営者で、借金まみれのアメリカがいずれ世界一の経済大国になることを予見している。ダークを使役し、北米大陸全土を手中に収めようと画策していた。アッシュとは幼なじみで、彼のことを、友人という枠を超えたかけがえのない人物だと思っている。怖いもの知らずだった頃のアッシュを至高の存在としており、ダークハンターになり果てた今のアッシュを見ておれず、ブラッド・ウルフに依頼して殺害しようとする。
ジョージ・ワシントン
ダークと化した元アメリカ大統領の男性。大きな斧を携え、頭部が桜の木と融合した、非常に不気味な姿をしている。交霊術の失敗によって現世に呼び出された。幼少の頃に桜の木を折った際、父親に正直に告げたという逸話を残しているが、それが捏造であることを知っており、偽りのエピソードを流布し続ける後世の人間を憎み、殺害しようと斧を振るい続けていた。実在の人物、ジョージ・ワシントンがモデル。
集団・組織
ヴァイパー探偵社 (ゔぁいぱーたんていしゃ)
アメリカの各地に支社を持つ私立探偵社。政府や警察の力が及ばない地域の治安を守る治安組織としての役割を与えられており、犯罪者を荒野まで追い詰めて逮捕するのが仕事。逮捕のためなら違法な捜査も辞さない武闘派の組織。
ヴァイパー探偵秘密捜査部 (ゔぁいぱーたんていひみつそうさぶ)
ヴァイパー探偵社内部で組織された、ダーク退治を専門に請け負う部署のこと。複数のダークハンターが所属しており、単なる探偵では手に負えないダークを次から次へと闇に葬っている。
その他キーワード
ダーク
この世ならざる悪しき存在の総称。開拓者や先住民族の死霊、伝承の怪異や怒った精霊など、さまざまなダークが存在する。いずれも黒色をした死の煙を吐き出すのが特徴で、浴び続けた人間をダークにしてしまう。通常の攻撃は効かず、倒すには特殊鉱石シルバライトが必要。ふつうの人間には手に負えない存在であるため、出没が確認されると、ダーク退治専門のダークハンターが始末する仕組みが構築されている。倒すと黒色の粘土人形になることがある。
ダークハンター
都市開発の障害になる悪しき存在のダークを専門に狩る凄腕のハンターを指した言葉。その危険性と業務の特殊性から、合格率が1割に満たず、死ぬこともあるほど危険な採用試験を突破しないと、ダークハンターになることはできない。
クレジット
- 原作
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牧野 圭祐